古典園芸植物の火つけ役「変化朝顔(へんかあさがお)」を育ててみました!
LOVEGREEN編集部
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東京オリンピックまであと3年となりましたが、きっとあっという間でしょうね。
オリンピックの「おもてなしの心」として、様々な分野で準備が進んでいますが、植物の世界でもおもてなしの準備が始まっていますよ。
オリンピックは真夏に開催されるため、真夏の暑さに耐えうる植物が公園で実証実験されています。しかも、日本らしい真夏のおもてなしとして、どのようなものが海外のお客様に喜んでいただけるか思案されています。
そんな中、日本の伝統園芸植物といえばアサガオ!
今回はそのアサガオの中でも、古典園芸植物としてブームを巻き起こした「変化朝顔(へんかあさがお)」についてご紹介し、実際に種から育ててみようと思います。
目次
変化朝顔とは
illustration:小野寺 葉月
アサガオは古典園芸植物(伝統園芸植物)といわれており、その古典園芸植物の中でも唯一の一年草の植物です。
江戸に一大ブームを巻き起こしたアサガオは、一年草という特徴から、他の古典園芸植物よりも多く品種を作り出しました。
愛好家の中で品種を競う「朝顔番付」も関西や関東で盛んに品評会が開催された記録が残っています。
この江戸時代の育種により、アサガオの変異体である「変化朝顔(へんかあさがお)」が誕生しました。つるが伸びない「木立」、細かいひだ状の花弁が細く筒咲の「南天」など、葉や花の形が違う、これが本当にアサガオなの?と疑うほど様々な変化朝顔が栽培されていました。
遺伝子の法則も、植物の受粉の仕組みも解明されていない中で、アサガオは愛好家たちのもと、特殊な栽培技術で数千種類にも及ぶバリエーションが生み出されました。
変化朝顔の種まき
芽切り
発芽温度は25℃で、暖かい時期でないと芽が出ません。そのため、春から初夏にかけて種まきをします。
アサガオの種子は、そのままでは水を吸収しないほどの硬実種子です。そのため、種をまく前に芽きりといって、種に傷をつける処理が施されています。
傷がついて見えるのは芽きりの跡です。
芽切りをしていない種は、ヤスリを使って芽切りをしましょう。まずは、朝顔の種のへそを見つけましょう。
へその裏の部分を芽切りします。
ヤスリを使いましょう。
へその裏の部分が、白くなるまで削ります。
種まき(7月12日)
今回まく種は、2017年7月8日に行われた
園芸文化をみんなで守ろうセミナー・江戸の花プロジェクト
未来につなぐ江戸の朝顔文化~歴史と観賞~
このセミナーでいただいた、変化朝顔の種をまきました。
1.5cm程の穴をあけます。(人差し指の第一関節より少し短い位)
先程芽切りした部分を上に向けて土に埋めます。
土をかぶせて完成です。
変化朝顔の生長記録~発芽から双葉
発芽(7月14日)
変化朝顔が発芽しました!2日で発芽しました。このまま双葉が出るまで育てていきたいと思います。
双葉(7月15日)
変化朝顔の双葉が出てきました。
双葉(7月18日)
変化朝顔の双葉がかなり伸びています。今後はプランターで育てていきます。
変化朝顔の生長記録~本葉からつるの生長
本葉(7月24日)
種をまいてから12日ほどで、本葉が出始めました。
双葉よりもさらに、変化朝顔のそれぞれの特徴があらわれます。
こちらの変化朝顔の本葉は、葉に細かな凸凹があります。
この変化朝顔の本葉は、葉が巻きこまれています。
つるの生長(8月7日)
一段と葉が深く切れ込み、抱え込んだ葉の形をしています。徐々に草丈が伸びています。
つる性のものは、こんなに伸びました。
こちらは、つるが巻き付かず、地面に向かって伸びる形状をしています。
変化朝顔の生長記録~開花から種
開花(8月中旬以降)
こちらは、花弁が切れ込んでいます。
この変化朝顔は、花弁の真ん中が薄く、切れ目のない濃紫色の花色です。
こちらの変化朝顔は、花弁がとても縮れています。
全体的に紫色の花びらで、白いふちどりがあります。
種(8月下旬以降)
変化朝顔の中でも、種がとれるタイプのものは、このように花後に種を付けます。
ちなみに、変化朝顔の種について2つのタイプがあります。
正木タイプ
種が採れるタイプの変化朝顔。
出物タイプ
遺伝子の組み合わせによって、種が採れないタイプの変化朝顔。
今回育てた変化朝顔の種類
木立
つるが伸びない木立(こだち)変異をもつ系統で、子葉は胚軸が短くずんぐりしている。花色は、紫覆輪。
縮緬(ちりめん)
葉に細やかな凹凸が入り、花筒が折り返し飛び出す。花色は淡桃。
南天
葉は深く切れ込み複葉状になる。花色は白。
乱菊石畳
七五三葉とも呼ばれる、不規則に切れる乱菊葉。子葉は丸みがあり、しばしば複葉状になる。花色は紺覆輪。
渦
矮性、葉や花が濃緑色で、肥厚する。花持ちがいい系統。花色はすすけ。
笹
笹の葉紋に似た細い葉を付け、花弁もリンドウのような浅く切れた細長い花をつける。子葉は、裂片が幅広くなり抱えている。花は団十郎と同じく柿色変種によるねずみ色。
枝垂
つるが巻き付かずに、上に伸びない品種。子葉はわずかに抱えており、胚軸も傾いていることがある。花色は水色。
立田鼻葉
花弁が幅広く切れ、子葉は細い裂片が平行になり葉脈が目立つ。花色は、紫と暗紅が複合した紅。
いかがでしたか?
私たちがいつも目にしている朝顔は、種をまくと、つるが伸び、朝に花を咲かせます。葉や花の形も縮れたり、巻き込んだりしません。
しかし、今回育ててみた変化朝顔は、葉の形も笹やモミジに似たものや、凹凸があるものなど、様々な変化をしています。
江戸時代の朝顔は、朝顔そのものの美しさだけにとどまらず、「どうしてこんな変化をするのだろうか?」と変異体の面白さ、奥深さに心惹かれていったのでしょう。
様々な植物の進化の過程に心を馳せて、皆さんも奥深い変化朝顔の世界をのぞいてみませんか?
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