ハコベとは?ハコベの花の咲く季節、食べ方、漢字、特徴まで
山田智美
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ハコベをご存知ですか?ハコベはとても小さくて可憐な花を咲かせる植物。ハコベの特徴、種類、春の七草、食べ方、ハコベの漢字表記、似ている植物やインコとの関係まで。ハコベについて詳しくなれます。
目次
- ハコベとは?ハコベ基本情報
- ハコベとハコベラの違いは?
- こんなにある!ハコベの種類
- ハコベの花の咲く季節
- ハコベの種
- ハコベを漢字で書くと?
- 春の七草のハコベとは?
- ハコベによく似た植物
- ハコベとインコの関係
ハコベとは?ハコベ基本情報
- 学名:Stellaria
- 科名:ナデシコ科ハコベ属
- 分類:越年性一年草
ハコベの特徴
ハコベは日本のどこでも見られる越年性一年草です。地面に平たく這うように葉茎を伸ばし、生長していきます。明るいグリーンの柔らかい茎に小さなたまご型の葉を対生させ、先端にこれまた小さな白い花を咲かせます。
ハコベは春の七草としても有名です。
越年草とは秋のうちに芽吹き、そのまま越冬して春に生長するサイクルの植物のことです。ハコベは寒い冬の間もひっそりと、明るいグリーンの新芽を出して春を待っています。
ハコベとハコベラの違いは?
ハコベとハコベラの違いは、古い名前か新しい名前かの差です。ハコベの古い名前がハコベラです。
ハクベラが転じて、ハコベラになったとも言われいます。古くは万葉集に波久倍良(ハクベラ)という名前で登場しています。
つまりハコベとハコベラは同一植物を指す言葉でした。どういう経緯で「ラ」が無くなってしまったのかはわかりません。
こんなにある!ハコベの種類
ハコベの種類を紹介します。この中でも日頃ハコベと呼ばれ親しまれているのは、コハコベ、ミドリハコベ、ウシハコベの3種です。
コハコベ
- 学名:Stellaria media
コハコベの特徴
春の七草のハコベとしても有名なハコベの代表種。花も葉も小ぶりで草丈も低く、地面を這うように伸びていきます。茎がほんの少し紫がかっているのも見分けるポイントです。
ミドリハコベ
- 学名:Stellaria neglecta
ミドリハコベの特徴
コハコベより少しだけ大きく、葉も茎も全体的に緑色をしています。花径は6~8mm、草丈低く地面を這うように伸びていきます。
ウシハコベ
- 学名:Stellaria aquatica
ウシハコベの特徴
コハコベやミドリハコベより大型のハコベです。茎に赤味があるものもあります。放っておくと草丈50㎝ほどまで大きくなることもあります。
サワハコベ
- 学名:Stellaria diversifolia
サワハコベの特徴
街中よりも山野に自生しているハコベです。湿地を好みます。
ヤマハコベ
- 学名:Stellaria uchiyamana
ヤマハコベの特徴
山野に自生しているハコベです。主に西日本に多く分布しています。
ミヤマハコベ
- 学名:Stellaria sessiliflora
ミヤマハコベの特徴
山野に自生しているハコベです。北海道などでも見かけます。
ハコベの花の咲く季節
ハコベの花の咲く季節は、2月~5月くらいです。陽射しが春らしさを帯び始め、木の上では梅やマンサクの花がほころび出した頃、ハコベの花は咲き始めます。
ハコベは地面を這うように生長するので、うっかり見逃しがちですが、道端、花壇の隅、畑の畔など、あらゆるところで見かけます。
ハコベの花の特徴
ハコベの花はとても小さく、花径は直径5mm程度、色は白、花びらは5枚です。ハコベの学名Stellaria(ステラリア)はステラ、つまり星という意味です。5枚の花びらを星形に咲かせます。
ハコベの花の特徴は、何と言ってもその花びらです。花びらは深く切れ込みが入ったウサギの耳のような形状をしています。このためハコベの花は、一見花びらが10枚あるかのように見えますが、実のところは5枚です。
ハコベの花の咲く時間
ハコベの花にはもう一つ可愛らしい特徴があります。ハコベの花の可愛らしい特徴とは、お日様に反応して咲くところ。ハコベの花は日が当たると開き、日が陰ると閉じてしまいます。曇りや雨の日もあまり開きません。建物の陰になってしまう時間も閉じています。
ハコベの花を見たいと思ったら、天気の良い日に出かけましょう。日当たりの良い道端や空地、駐車場、河原など、あらゆるところで咲いています。
ハコベの種
ハコベの種は、つぼみなのか種のかちょっと判別しづらい形状をしています。顔を近づけてよく観察して、先端に白い花びらの先がちょっとだけ出ていたら、それはつぼみです。
先端からちょっとだけグリーンが見えたら種で間違いないでしょう。この中に小さな種がたくさん詰まっています。
ハコベの種は、熟すと弾けて周囲に飛び散ります。少し離れたところに着地した種はそこから発芽してまた生長していきます。
いつのまにかハコベが群生しているのは、この種バラまき作戦によるようです。ハコベは花も種もとても小さな植物ですが、たくましく仲間を残しています。
ハコベを漢字で書くと?
ハコベにはたくさんの漢字が当てられています。古くは「ハコベラ」「ハクベラ」と呼ばれていました。ハコベの漢字での書き方を集めました。
繁縷(ハンロウ、ハンル)
ハコベの中国名です。日本語では、ハンロウ、あるいはハンルと読みます。ハコベの漢字というとこの字が当てられることが多いようです。
波久倍良(ハクベラ)
万葉集にこの漢字で登場しました。
鵞腸菜(ハコベ)
江戸時代の百科事典にこの漢字での表記が残っているそうです。
葉細群(ハコメラ)
ハコベラの語源となったと言われていますが、諸説あり定かではありません。
春の七草のハコベとは?
春の七草として親しまれているのはコハコベです。ホトケノザのように同じ名前の違う植物というようなことはありません。春の七草のハコベは、ナデシコ科ハコベ属のハコベです。
コハコベは柔らかく食べやすいので、春の七草として親しまれているのはコハコベですが、ミドリハコベやウシハコベでも間違いではありません。ウシハコベは草丈も大きく食べがいがありそうですが、硬くてあまりおいしくないそうです。
ハコベの食べ方
ハコベの食べ方は、よく知られている七草粥の他、お浸しや胡麻和え、さらにお味噌汁などがあります。軽く茹でたハコベはシャキシャキとした歯ごたえを楽しめます。
▼春の七草について詳しく紹介しています。
ハコベによく似た植物
ハコベによく似ていて、間違われやすい植物を紹介します。
ミミナグサ
- 学名:Cerastium fontanum
ミミナグサの特徴
ミミナグサはハコベと同じく星形の白い花を咲かせます。ハコベとの違いは地面をほふくすることなく、しっかりと上に向かって伸びるところです。さらに全体に産毛のような毛があり、これをネズミの耳に見立てたことから、ミミナグサ(耳菜草)と名付けられたと言われいます。
ツメクサ
- 学名:Sagina japonica
ツメクサの特徴
道端や空地、駐車場などいろんな場所に生えています。地面をほふくするように茎を伸ばしていく草姿がハコベに似ています。ハコベと同じように白い星形の花を咲かせますが、花びらがハコベのように裂けていないので見分けが付きます。さらに葉や茎に光沢があります。
ワチガイソウ
- 学名:seudostellaria
ワチガイソウの特徴
ワチガイソウは街中よりも山野で見られる植物です。ハコベと同じように星形の白い花を咲かせます。草丈は低く5~15㎝程度ですが、ハコベのようにほふくしていません。
ハコベとインコの関係
ハコベとインコには意外な関係があります。ハコベはインコの好物です。インコに限らず、小鳥やニワトリもハコベを食べます。インコにハコベを与えると葉や茎をついばんで食べます。
自宅のインコにあげてみようかな、という方は似た植物と間違えないように注意してください。
ハコベの英名も小鳥!
ハコベの英名も小鳥に関係ありました。
- 英名:chickweed
chickはひよこ、weedは草ですから、ひよこ草という意味です。海外でも小鳥がハコベを好むのでしょう。可愛らしい名前です。
普段何気なく歩いているような道や、自宅の花壇の隅、時には鉢の中にまで生えてくるハコベ。春に白くて小さな星形の花を咲かせる可愛らしい植物です。ハコベの魅力を知って、もっとハコベを可愛がってあげてください。
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