「芸える」←読めますか? 〜園芸にまつわる難読漢字と春の植物巡り〜【ぴーちゃん連載vol.8】

LOVEGREEN編集部
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タイトルの「芸える」は、「うえる」と読みます。
「げいえる」と読んだみなさん、同志です。いつまで経っても素直な気持ちを忘れずに生きていきましょう。
ちなみにこの言葉、意味は「植える」と同じ。「芸」は、我ら園芸好きにも馴染み深い漢字ですが、こんな読み方や意味があることはあまり知られていないんじゃないでしょうか。なぜこの「芸」という漢字が、「うえる」と読まれるのか……。そこには、知られざる「芸」の物語があったのです。
マンションで観葉植物やベランダガーデニングを楽しむ様子がInstagramで人気。植物の育て方・飾り方から、インスタとは思えない長文の植物コラムまで、ネタが渋滞気味の「自称植物系アカウント」。最近はバラ沼にはまり中。第1期LOVEGREENアンバサダー。 |
目次
実は2種類存在する、「芸」という漢字
ということで今回は、「芸」とはなにかについて考えてみたいと思います。
実は、「芸」という漢字は、2種類、存在しているんです。
何を言っているんでしょうか。私にもわかりません。
いや実は、これはつまり、「芸」という漢字は、
①「藝」が簡略化されてできた漢字
②もともと昔からあったそういう漢字
という、2種類が存在している、ということなのです。
それは例えるならば、見た目=体(字体)は同じ。でもその中には、まったく違う2人の人格が宿っている。
らんま1/2的な……
ジキルとハイド的な……
ということなのです。
まず第一人格、①「藝」が簡略化されてできた漢字としての「芸」。
その昔、画数が多い文字(旧字体)を簡略化し、新字体というのを政府が作りましたが、この「芸」も、そんな風にできた新字体のひとつ。旧字体「藝」の中の部分を省略して書くと、新字体「芸」になります。
「藝」には、もともと「種を植える」という意味があり、そこから派生して、人間の精神に良い種子を植えつける、そこから豊かに花開く「藝術」という意味が生まれたんだとか。(参考:「美について」 今道友信、講談社、1973年)
なるほど、芸術は人間の精神から豊かに花開くものだったのか…!そう言われると納得できる気がしませんか。
一方、第二格、②もともと昔からあった漢字としての「芸」は、「刈り取る」「防虫効果のある薬草」の意味があって、「うん」「くさぎる」という読み方をしたらしいです。日本最古の図書館とされる奈良時代の「芸亭」が「うんてい」と読まれるのも、このもともと昔からあった「芸」の字の方を使っているからなんですね。
つまり「芸える」という読み方は、
意味は①の系統(=植える)だけど、
読み方が②の系統(=うえる)になっている
という非常にややこしいことになっています。
本来逆の意味を持つ漢字が、今では単純に、同じ文字の新字体/旧字体 として扱われてしまっているのは、なんだか不思議な漢字……、おっと、感じがしますね。
そういえば日本最高峰の芸術系大学・東京藝術大学って、正式名称は「東京芸術大学」なのに、なぜか「藝大」って呼称を使ってるんですよね。
なに旧字体使ってカッコつけちゃってるの、なんて私はひねくれ心で思ってたんですが、もしかしたら、本来の漢字の意味を踏まえてあえて「藝」という漢字を使っているのかな、なんて思ったりしました。
突然ですが、少し早い春のおすそわけ
さて、そんな東京藝術大学のそばに、「上野東照宮 ぼたん苑」という場所があるのをご存知でしょうか。その名の通り、牡丹(ぼたん)のお花を楽しめる素晴らしいスポットなのですが……
藁を被った牡丹たち。とても風情があります
牡丹以外にもたくさんの植物があり、それらが少し早い春の訪れを告げていたので、植物を愛する皆様におすそわけさせていただければと思います。
今回の記事に載っている写真は、すべて「上野東照宮 ぼたん苑」内で撮影した写真です。(撮影・2月上旬)
蝋梅
私はこの蝋梅の香りが大好きで!
蝋梅の香りの香水とか、どなたかご存知ないですか?
美しくいい香りがしますが、全草に毒性があります。ペットなどが食べないよう、要注意です。
梅
言わずもがな。この花が咲くと春はもうすぐだなぁと感じますね。
水仙
水仙といえば、ギリシャ神話では悲劇のイケメン・ナルキッソス君。(水仙の学名は「ナルキッソス(Narcissus)」に由来しています)。
でも群生してると悲劇感はないというか、むしろ楽しげにワイワイ遊んでいる子どもたち、のような印象を受けます。

体を寄せあい、キャッキャと笑う子どもたち。私は何を言ってるんですかね?
ぼたん苑の主役・ぼたん(牡丹)
今回初めて牡丹を見たのですが、これはグッとくるものがありますね。めちゃかわ。育てたくなりました。場所ないけど。
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」なんて言いますよね。美しい花の代名詞。納得です。
そういえば「上野東照宮 ぼたん苑」さんがInstagramでフォトコンテストを実施されていたのですが、どの写真で応募しようかなーと悩んでいたら無事参加し忘れました。来年は忘れないようみんなで参加しましょう。
スマホで撮りましたが、ぼたん苑からは重要文化財の五重塔が見えました。東京の喧騒の中にいることを忘れてしまうような、素敵な空間でした。
みなさまも少し早い春を探しにお散歩に出掛けてみませんか。
(芸の話どこ行った???)

上野東照宮 ぼたん苑
東京都台東区上野公園9-88(上野動物園のとなり)
アクセス:JR上野駅 公園口より徒歩5分
※開園時期はご確認ください
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