ナギとは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- ナギ
- 学名
Nageia nagi
- 英名
- Asian bayberry
- 和名
- 梛
- 科名
- マキ科
- 属名
- マキ属
- 原産地
- 日本、台湾
ナギの特徴
神社の境内でよく見られる、日本人にゆかりの深い樹木です。古来から神の宿る神聖な木とされてきました。 ツバキのような楕円形の葉をつけますが、分類学上は針葉樹の仲間です。 20mを超える大木に成長しますが、観葉植物として鉢植えで愛でることもできます。近年はパワースポットとして神社めぐりをする人が増え、ナギの鉢植えは幸運を招くアイテムとしても注目されています。 葉脈がすべて縦方向に走っているため、葉をちぎろうとしてもなかなかちぎれません。そこで、縁結び夫婦円満のシンボルにもなっています。ナギは「凪ぎ」に通じることから航海安全のご神木にもなっています。
ナギの詳細情報
園芸分類 | 庭木、常緑 |
---|---|
草丈・樹高 | 20mを越える大木に成長しますが、観葉植物として鉢植えで育てることもできます。 |
開花時期 | 5~6月 |
ナギの名所1・熊野速玉大社
全国の熊野神社の総本社である和歌山県新宮市の速玉(はやたま)大社には、樹齢約1000年のナギが鎮座しています。ナギとしては日本最大で、天然記念物に指定されています。平重盛(清盛の息子)が手ずから植えたものという伝説があります。ちなみに平重盛は1138年の生まれなので、彼が植えたとすると樹齢1000年に届かないことになってしまいますが。 速玉大社、本宮大社、那智大社の熊野三山をめぐる「熊野詣」のルートは、ユネスコの世界遺産にも登録されています。 山岳地帯をゆく熊野詣はたいへん厳しいものです。速玉大社のナギの葉は道中安全のお守りとして大切にされてきました。
ナギの名所2・春日大社
熊野古道と同じく世界遺産となっている奈良の春日大社。ここにはナギだけの林があり、天然記念物に指定されています。春日大社ではサカキ(榊)の代わりとして、この林のナギを神事に使ってきました。 ナギ林は人為的な植林でできものではないようです。元はごくわずかのナギが献木として植えられていただけでしたが、鹿が好んで食べようとせず、他の樹木もうまく育たなかったことからナギだけの林ができあがったのです。他の植物があまり生育しない理由については次でご説明しましょう。
ライバルを退ける物質
ナギの木は「ナギラクトン」という物質を分泌しています。ナギラクトンには他の植物の生育を抑制する働きがあります。そのためナギの周囲にはあまり大きな木が生えません。他の木々をしり目に、存分に枝葉を伸ばすナギの姿を見て、古代の人々は神がかった力を感じたのでしょう。ちなみにクルミも同じ効果を持つ物質をまいて他種をしりぞけます。こうした行動をアレロパシー(多感作用)と呼びます。 ナギラクトンには抗菌、抗炎症効果もあり、アロマテラピーで利用されています。
ナギの育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
種まき | ||||||||||||
植え替え | ||||||||||||
開花 |
ナギの栽培環境
日当たり・置き場所
日当たりのよい場所を好みます。寒さはやや苦手なので東北以北は鉢植えで育てます。
用土
水はけ以外は特に選り好みしません。市販されている「草花の土」「観葉植物の土」のどちらでもよく育ちます。
ナギの育て方のポイント
水やり
鉢植えは表面の土が乾いたらたっぷりと。冬場は数日に1度にとどめます。庭植えの場合は特に水やりは必要ありません。
肥料
肥料分がなくてもよく育ちます。生育がよくないと感じたら、春から夏に液肥を少なめに与えてもよいでしょう。
病害虫
病害虫は特にありません。株元におがくずのような塊があったら、テッポウムシが入り込んでいますので駆除しましょう。
ナギの詳しい育て方
選び方
移植を嫌うので主に種からふやします。苗木はあまり流通していません。観葉目的の幼苗はホームセンターでも手に入ります。
種まき
赤玉土や市販の培養土にまき、浅く土をかけておきます。1週間に1度程度は水やりして乾燥を防ぎます。翌年の春には芽を出します。中には2年後にようやく芽吹くものもありますので、気長に待ちましょう。
植え付け
よく根をひろげる一方、地植えの場合は移植を嫌う性質があります。鉢植えは根が回ったら鉢増ししましょう。
剪定・切り戻し
樹形が乱れず、あまり枝数を増やさないので、剪定の必要はほとんどありません。スペースに合わせて適宜、切り戻します。
増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)
移植を嫌うので主に種からふやします。