アリ植物を地下室のワインセラーで栽培!?伊藤彰洋さんにインタビュー
LOVEGREEN編集部
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LOVEGREENとフリーペーパーBotapiiの販促プランナーをしている伊藤 彰洋さん。
植物の進化や形態美に引き込まれ、実家の地下ワインセラーを魔改造して雲霧林と化し、熱帯の着生植物を中心に育てながら各地イベントにも出店しています。
さらに、まだ見ぬアリ植物を探しに海外のジャングルに行くようになったというとんでもない人物なんです。
この熱心な植物愛を伝えずにどうする!ということで、伊藤さんにアリ植物のことなどインタビューしてみました。
目次
自己紹介をお願いします。
愛知県出身で高校卒業後、美大に進学し日本画を専攻していました。日本画をずっと描いていてそのモチーフは自然や、花、植物が多くて、植物を観察して描いていくうちに、その造形や色に惹かれて気がつけば植物を集めるようになっていました。
「キツネノマゴ」とだけ書かれた植物を買いました。他にもチランジア、多肉植物もありました。部屋をちょっとオシャレにしたいなあと思って。そして、最終的にとんでもない造形だなと思ったのが「アリ植物」でした。育てられることにも驚いたし、未知な植物ということにも、惹かれましたね。
レカノプテリス・セレビカ 根茎の中が空洞になり、アリが住むアリノスシダ。
▼伊藤さんの日々の植物との様子はこちらからチェックできます!
Twitter→@ito_akihiro_
Instagram→@itome_sp_
小さい頃から生き物が好き
昆虫など昔から生き物が好きで。そういこともあって、虫と共生しているということもあり、さらにアリ植物には惹かれました。
—自宅のアリ種類はどれくらいあるのですか?
60種類はあるのかと。まだ判明していないものあるので厳密ではないかもですが。
地上から20mほどの高い松の木に着生しているレカノプテリス・バルゴイー
—自宅の栽培について
今は大体500種類くらいあります。大学時に300種類くらいあって。「なんでこんなに植物あるんだろう」って、植物嫌いになりかけたくらいです(笑)
—地下室のワインセラーで栽培しているんですよね。
まだ始めたばかりの時の地下の一部
地下室ってめちゃくちゃ環境悪いんです。ワインセラーって、カビがすごくて。ちょっと置いただけで、ボワっとカビが生えてしうまうことも。自然光も風もないので、ここから環境を作るのが大変でした。最初のうちは300株くらい枯らしてしまいました。
屋外に出せば楽には楽だけど、自分が作り出した環境で植物が育つということ、自分でコントロールできるのが面白いですね。なので続けたいなと。
温室の一部の様子
アリ植物・ミルメコディアについて
インドネシアで漢方薬にされているそうで、取り尽くされたと言われている地域もあるんです。
ミルメコディアとうアリ植物は山採り(山に自生している植物を採取したものこと)株は安定していない状態なので、買った1週間で腐ることがあります。多肉質だけど水好きなのでめちゃめちゃ腐りやすいですね。実生で育てて、環境もコントロールできるようになりたいです。
環境下に置けばちゃんとした姿になるんです。現地に近い環境を作ることでしっかりとした姿に。現地のものを自分で作れるようにならないと面白くないなと。実生(種から育てていること)で現地の姿にすることが目標です。
—アリはどうやって植物の中に入るんですか?
植物自体が穴を開けているんです。小さい実生のときから穴ができています。
アリ玉によって生長の仕方や形状も違って、穴は1個から増えていきます。
小さなうちから自らアリの入り口を作るミルメコディア
—アリ植物、育てるのは難しそうですが。育てるのに大事なことを教えてください。
生長速度は早いですね。
水と風が重要です。日光はすごく好きです。アリ植物の自生地を見るとわかりやすいかと思います。自生地では、木のいちばん高いところについているんです。
現地では1本の木にまとまって着生している。
花が咲く種類もあります。ミルメフィタムは青い綺麗な花が咲くんです。
最近流通するようになったミルメフィタム・セレビクム
アリ玉はロマンの塊
アリ玉は着生しているのがロマン。大きいのに木にぶら下がっているので、それがたまらないです。
アリ植物は完全にアリに依存している訳ではありませんが、スクアメラリアというアリ玉はアリが木の幹に種を埋め込み、アリが巣を栽培しているんですごいなと。その栽培方法の確立を目指したいです。
アリ玉は5属150種類くらいあって、まだまだ知られていないものがたくさんあります。この前見つけたアリ玉も未知のものでした。見つけるのも楽しいし栽培するのも楽しいです。
伐採された木に着いていたアリノスシダの塊根
現地まで行こうと思ったのは何がきっかけ
普通では手に入らないし、とにかく自生地が見たい、じゃあ行くしかないかなと。
ちゃんと調べて行きました。現地の人の力を借りないといけないのでガイドさんを探し環境を整えていきました。
スラウェシ島にて 現地ハンターと
—現地でのエピソードとか、ありますか。
エピソードですねえ……ずっと植物を探していますね。シダとかも見ています。
興味のあるものは、形態に惹かれるので造形を見て楽しんでします。アリ植物を探る時、アリに襲われるんですが、少しだけわざと噛まれています。実際にこの植物に住んでいたという感覚を味わうのが醍醐味だと思って。
木に張り付くホヤ・インブリカータ。葉の裏にアリが住んでいる。
最後にひとこと
アリ植物を解明するためには時間がまだまだ掛かります。人生、捧げられます。写真とか分類もまだバラバラなんです。明らかに形状も違うし、なのに一括りにされているので、それを分類したいです。実際に見て、調べたいです。
こんな植物があるということを知ってほしいですね。生き物、自然のすごさがわかりやすいので、見てほしい。「こんな変わった植物が育てられるんだ」と思われますが、一つのジャンルとして知ってほしいし、認知度を高めるということ。そこまでいけたら良いなと思います。
インタビューを終えて
アリ植物のことを話している姿はとてもイキイキとしていて(いつもイキイキはしていますがよりイキイキと!)その姿からも本当にアリ植物を愛してやまないということが伝わってきました。
伊藤さんありがとうございました。
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