「コンテナガーデニング講師」樺澤智江さん 緑と笑顔のあふれる暮らし
戸松敦子
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度々Botapiiの寄せ植えページで素敵な寄せ植えをレクチャーして下さっている樺澤智江さん。日頃はハンギングバスケットや寄せ植えなどの「コンテナガーデニング講師」として大人気です。樺澤さんの教室はいつも生徒さん達でにぎわっていて、キャンセル待ち状態が続く講座もあるくらい。生徒さんは一度始めたらやめることが少ないそうですが、どうしてそんなに人気があるのでしょう?今回、その魅力を探るべく、樺澤さんが勤務されている渋谷園芸の練馬本店を訪問してたっぷり取材して参りました。
プロフィール
■名前: 樺澤智江
■職業:コンテナガーデニング講師・園芸店スタッフ
■資格:グリーンアドバイザー、ハンギングバスケットマスター、花育アドバイザー
■出身地: 千葉県佐倉市
■居住地: 東京都
■ボタニカル歴:18年くらい
いつものお仕事を教えてください。
園芸店やカルチャーセンターなどで、寄せ植えやハンギングバスケットの講師をしています。渋谷園芸のスタッフとして店頭で植物のアドバイスを行ったり、ディスプレーや販売用のコンテナを作ったりもしています。
「見てください。このケヤキの大樹がとても素敵でしょ。ここに来るとケヤキの大樹に見守られているようでとても穏やかな気持ちになるんです。」
渋谷園芸練馬本店の2階テラスは、ケヤキの大樹に合わせて設計がされていて自然のやさしさにつつまれています。
落葉した枝の間から見える青空が最高に美しく、樺澤さんはこの季節の景色が大好きだそうです。
写真は2017年12月号Botapiiで紹介された樺澤智江さんの寄せ植えです。
樺澤さんには、Botapiiの寄せ植えページで何度も素敵な寄せ植えのレクチャーをしていただいています。
写真は2017年12月号Botapiiで紹介された樺澤智江さんの寄せ植えです。
実はとても奥ゆかしい方でいらっしゃり、Botapii寄せ植えページのプロフィール写真が最近まではお手元だけの写真であったほどなんです。
今日はたっぷり取材させていただきたいと意気込みます。(笑)
植物を好きになったきっかけを教えてください。
写真は2018年2月号Botapiiで紹介された樺澤智江さんの寄せ植えです。
幼い頃のお手伝いでは、落ち葉掃きが一番好きでした。植物は好きでしたが、そばに緑がある暮らしがあたり前で、結婚後もそれほど植物にこだわりを抱いてはいませんでした。でも、東京に家を購入して住み始めると何故かとてもストレスを感じて不思議に思いました。
後から知ったのですが、私は東京の中でも実は緑が少ない場所に家を購入してしまったようで、私にとって緑はかけがえのない大切なものなのだと強く実感しました。その後草花をたくさん育て始め、草花が好きで一日中関わっていたいと思いました。
植物にかかわるお仕事をすることになったきっかけを教えてください。
一日中植物のそばにいても飽きなかったので、子供が小学生になったら園芸店で働いてみたいという希望がわいてきました。そして国際バラとガーデニングショウでハンギングバスケットの技法を初めて見て驚き感動し、園芸店で働く前にハンギングバスケットの勉強を始めました。ハンギングバスケット資格取得講座を受けに行く際、幼なじみが子供を預かってくれたので気持ちを集中させて参加することができました。本当に感謝しています。
植物に関わるお仕事のやりがいを教えてください。
Photo by:樺澤智江
生徒さんが少し緊張した雰囲気の中で教室がスタートし、作品を作り終えた時にとびっきりの笑顔でお帰りになる姿を見ると毎回嬉しい気持ちになります。花は人と人を繋ぐ最高のコミュニケーションツールだなって思います。
寄せ植えやハンギングバスケットの魅力を教えてください。
庭など広い部分をデザインするのとは異なり、手軽にここだけの小さな世界、自分だけの空間を作ることができます。
コンパクトな作品の中には植物の知識、色や形などのデザイン、植え込みの技術が複合されていて、頭で考えた通りに出来上がらないことも多く、満点が無いんです。終わりが無いのでハマります。(笑)
樺澤さんの寄せ植えやハンギングバスケットのお教室の様子について教えてください。
Photo by:樺澤智江
まず、みんなが笑顔なんです。
渋谷園芸の教室は、生徒さんの作りたいものを作ってもらうスタイルで行っています。器と苗は店内でご購入いただきます。ベテランの生徒さんは、寄せ植えよりハンギングバスケットを作られる方が多いですね。
ハンギングバスケットはコンテナガーデンの中の究極の技法なので、美しく育って長持ちするハンギングバスケットを作るためには色合わせ花合わせだけでなく、植物の特性や根のくずし具合など様々なコツが必用です。一度ハンギングバスケットの良さを知ると、次はもっと上手に作りたい気持ちになるのではまっちゃうんです。
渋谷園芸練馬本店の教室は、テレビや雑誌などでも有名な園芸家「金子明人さん」がご担当されていた教室を10年前に私が引き継いでいて、金子さん時代から通って下さっている生徒さんもいらっしゃるんですよ。
樺澤さんが寄せ植えやハンギングバスケットを作る時のポイントやこだわりを教えてください。
Photo by:樺澤智江 写真は以前、国際バラとガーデニングショウで「大賞」を受賞された樺澤智江さんのハンギングバスケットです。
植物の個性を尊重し、その魅力を最大限に見せてあげるように、また、長い間その場所で育ってきたかの様に植えます。自分本意ではなく、植物の言葉を聞いて植物に添って合わせてあげると、生き生きとしたコンテナが出来上がります。
植物が今美しく見えるように、そしてこれから美しく育っていくためにお手伝いをしてあげることが私の役割だと思っています。
思い出に残っているレッスンがあれば教えてください。
ハンギングバスケット資格取得のために通った柚木直子先生のレッスンが忘れられません。10ヶ月間、学生時代よりも真剣に授業を聞きました。先生の一言一言を一つも聞き逃さないように自分の本気度がはんぱなかったです。(笑)
(とってもよくわかります!私もハンギングバスケット資格取得の際、同じく本気度はんぱなく通いました。ハンギングバスケットって本当に魅力がありますよね!)
自分の教室での思い出は、レッスン当日に大雪が降った際、皆さんお休みされると思っていたら生徒さんが大勢いらして下さったことが忘れられません。生徒さんたちのガーデニングに対する熱い気持ちや強いエネルギーを感じ、本当に嬉しかったです。
ハンギングバスケット協会について教えてください。
Photo by:樺澤智江
ハンギングバスケット協会は、ハンギングバスケットやコンテナによる花飾りの普及を目的とし、優れた指導者や技術を養成する組織として1996年3月に発足しました。東京支部では、毎年秋に行われる日比谷公園ガーデニングショーのイベントを企画したり、花飾りで会場の装飾を行うことを大きな活動としています。
Photo by:樺澤智江
一人ではできないことも、ハンギングバスケットマスターの皆さんの力を合わせることで、毎年大きなイベントを成功させています。2017年6月から2年間の任期で東京支部支部長としてハンギングバスケットの普及活動に努めています。
樺澤さんが育てているお気に入りの植物や花がありましたら教えてください。
はい。この菊は、お世話になった園芸家「杉井明美」さんのお母様が育てていらしたものを株分けでいただきました。株分けでいただいてからずっと大切に育てています。今日は切り花として持ってきました。
紫色の花も菊ですが、これは自分の母から株分けしてもらったものです。
(大切な方から株分けしてもらった菊を大事に育てて、その菊は毎年美しい花を咲かせて見る人を楽しませている。とても素敵なお話をお聞きすることができました。)
お気に入りのガーデニングツールがあれば教えてください。
「ウィッチフォードの鉢」が大好きです。渋谷園芸ではウィッチフォードの鉢を種類豊富に販売していて、ウィッチフォードの鉢を使って寄せ植えを作らせてもらうこともあり、テンションが上がります。(笑)
渋谷園芸練馬本店には、ウィッチフォードを展示販売するこんな素敵な小屋もあるんです。
(世界中のガーデナーの憧れともいわれるウィッチフォードの鉢ですが、どんな所が魅力なのでしょう?)
職人さんがひとつひとつ作っているので、同じように見えて実は同じものがないオリジナルで、鉢の底を見ると職人さんのサインが入っているんですよ。
ウィッチフォードの鉢で植物を育てると根の張り具合が抜群に良く、植物が生き生きと育つことを実感できるので感動します。
よく行くショップやおすすめのショップ(園芸店やお花屋さん)がありましたら教えてください。
はい。渋谷園芸練馬本店と、渋谷園芸ヴェルデステにいることが多いです。(笑)
観葉コーナーからご案内しますね。
(渋谷園芸練馬本店をご案内いただきました。)
渋谷園芸の苗はとにかく良いんです!活力が違うんです!凄腕の仕入れ担当がいるので、いつも最高の苗が入ってくるんですよ。最高の状態の苗を使って教室ができることが本当に幸せです。
店内はとても広々としていて、生花、プリザーブドフラワー、ドライフラワー、雑貨なども豊富です。
写真左に写っていらっしゃるのは、社長夫人でもある渋谷マネージャーです。笑顔で優しく迎えて下さりました。
鉢も小さいものからビッグサイズまで様々あり、ここに来たら欲しい器が必ず見つかりそうな品ぞろえです。
渋谷園芸オリジナルの培養土もおすすめです。
(イエローのウィッチフォードの鉢が美しくて欲しくなってしまいました。)
お店の看板犬「ヨースケちゃん」もいましたよ。
Photo by:渋谷園芸
渋谷園芸練馬本店には、カフェレストラン樹藝夢も併設されています。渋谷園芸社長が海外で購入されてきたアンティーク雑貨や、社長の描かれた絵も飾られていてとても素敵な落ち着いたお店です。
今回の取材場所としてもご協力いただきました。
ケーキにエディブルフラワーが添えられていて、さすが園芸店に併設されているカフェだなと感動しました。
▼「渋谷園芸練馬本店」についての詳しい情報はこちら
▼「渋谷園芸ヴェルデステ」についての詳しい情報はこちら
渋谷園芸以外では、川崎市にあるSOLSO FARMが好きです。プロが選び抜いたかっこいい植物たちが並びます。子供から大人までみんなが植物と触れ合える仕掛けがたくさんあるので、目で見て、触って、植物を思いっきり体感できる場所です。
▼「SOLSO FARM」についての詳しい情報はこちら
植物がきれいなお気に入りの公園がありましたら教えてください。
公園ではないのですが、赤坂にあるアークヒルズのルーフガーデンが好きです。サントリーホールの屋上なんです。
ルーフガーデンは年に数回しか公開されていないのですが、本当に素敵です。ぜひ、特別公開の時期を逃さずに行ってみてくださいね。
植物以外の趣味がありましたら教えてください。
絵画鑑賞です。以前は描いたりもしていたのですが、今は鑑賞です。(笑)
「伊藤若冲」の作品は、200年たった今でも新しく感じます。確実な眼と表現力と遊び心。心から楽しんで作品づくりをしていたに違いないと思ってしまいます。心から楽しんで作ったものは、人を感動させることができる。絵画と園芸は異なる分野ですが、楽しんで作品作りをすることの大切さをあらためて教わったように思いました。そんな鑑賞の仕方をしてしまいます。
あとは、地味なんですけど、草取りが好きです。(笑)
心がちょっと弱っている時などに草取りをすると、無心になれて心のコントロールができるんです。座禅効果みたいなものですかね。ウキウキ気分の時にはあまりしたくないので不思議です。
(とっても同感です。草取りをすると大地の香りに癒され、心の中がすっきりします!)
樺澤さんが今後取り組んでいきたいことや夢を教えてください。
できることなら日本中の空き地を花畑にしたいです。(笑)
私が子供の頃は、日が暮れるまでひたすらシロツメグサを編むなんてことを遊びにしてた思い出があるのですが、今の時代はなかなかそんな場所も無かったりするので、都会にもっと緑が増えて、ガーデニングを通じて一緒に「楽しい」を共有できる人も増えるといなと思います。
そんな気持ちもあり、最近は地域の児童公園花壇の植栽管理ボランティア活動も行っています。公園を美しくしておくとゴミも捨てられにくくなったり、治安が良くなり地域の防犯にも繋がり子供を守ることもできるんです。
最後に何かありましたら一言お願いします。
Photo by:樺澤智江
さあみんな、園芸店へ行こう!お気に入りのひと鉢を見つけに。
このボタニカルピープルやBotapiiを読んで、園芸店に行きたくなる人が一人でも増えますように。
樺澤智江さんありがとうございました!
小柄で可憐な印象の樺澤智江さんですが、その小さな体からいつも植物と生徒さんたちへの愛情があふれ出ています。
コンテストで多数受賞されてきた樺澤さんに憧れて、樺澤さんに習いたいと思う生徒さんたちも多いと思うのですが、一度始めたらやめることが少ない樺澤さんの教室の一番の魅力は何でしょう?
生徒からの相談に対して樺澤さんはいつもわかりやすく的確な答えをくれる。その安心感が大きな信頼となり、樺澤さんの下で学び続けたいと思う気持ちに繋がるのだと私は思います。
樺澤さんのコンテナガーデニングのセンスと技術、植物に対する真っすぐな愛情と生徒さんに対する誠実さ、可憐で控え目でありながら、ぶれない芯の強さを兼ね備えている。そんなお人柄が人気なのだとつくづく思いました。
笑顔あふれる教室で、信頼できる先生の下で植物好きの仲間と学べる時間は本当に幸せな時間です。
これからも、生徒さんたちに尊敬され愛される樺澤智江さんのご活躍が楽しみですね!
樺澤智江さんの寄せ植え、ハンギングバスケット教室
渋谷園芸練馬本店、渋谷園芸ヴェルデステ、アグリス成城、コミュニティクラブたまがわなどで教室を開催しています。現在キャンセル待ちの講座もありますので、詳細はそれぞれの教室にお問い合わせください。
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