「園芸家」間室みどりさん/植物とともに美しく生きる
戸松敦子
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テレビや雑誌などでご活躍の園芸家の間室みどりさん。作品とご本人から感じる凛とした美しさが印象的です。間室さんはカラリストの資格もお持ちで、常に「美しさ」をあらゆる視点から分析し、植物の表現に生かすことを意識されているそうです。
間室さんの仕事場でもある「ガーデンセンターさにべる」を訪れ、間室さんのお仕事についてや、気になるご家族、プライベートについてもたっぷりインタビューしてきました。
プロフィール
■名前: 間室みどり
■職業: 園芸家、㈲サニベルグリーンハウス主任
■資格:グリーンアドバイザー、ハンギングバスケットマスター、パーソナルカラリスト
■出身地: 埼玉県
■居住地: 埼玉県
■ボタニカル歴: 20年くらい
いつものお仕事を教えてください。
埼玉県にある「ガーデンセンターさにべる」で、主に仕入れを担当しています。週に1日は世田谷市場まで、週に2日は鴻巣市場に自ら運転して行きます。山梨、長野、群馬、新潟や九州などの生産者さんの所まで行くこともあります。
生産者さんには、苗を購入してくださるお客様たちが楽しめるような、お客様に提案しやすいような苗を作ってもらうように相談したりもしています。忙しい時の仕入れはたまにネットで行うこともありますが、できるだけ自分の目で見て納得したものを仕入れたいと強く思っています。仕入れてきた苗たちをお店に美しくバランス良く配置するなど、お店の雰囲気づくりにも力を入れています。店頭に立っている時もありますよ。
あとは、寄せ植えやハンギングバスケットの講座を開催したり、出張の講習会、テレビや雑誌の撮影、執筆などをしています。
植物に関わるお仕事をしたいと思った、することになったきっかけを教えてください。
生まれた環境が大きいですね。名前も「みどり」ですし。(笑)
父親がカリフォルニアのサニベルという場所で園芸を学んで日本に戻り、マムの生産から始めてポインセチア、パンジービオラ、野菜苗などの生産仲卸業を行い、この「ガーデンセンターさにべる」ができました。父は現在も苗の生産部門を担当しています。母は父と結婚してから園芸を始めましたが、園芸に見事にはまり、今は200名以上の生徒さんたちに恵まれてハンギングバスケットの講師をしています。
そんな家に生まれたことで、自然の流れで東京農業大学農学部農学科(花卉園芸学)に進み、その後北欧デンマークでは切り花を中心に学びました。デンマークの人達の「花に対するあふれる愛情」や「誰でもが普通の暮らしの中で当たり前に花を楽しんでいる姿」にふれ、日本でももっと花のある生活を楽しみたいと感じ、花や植物の良さをたくさんの人に伝えたいと思うようになりました。花の仕事は「やったら楽しいかな。」と思ってやってみたら楽しかったのですが、花との向き合い方が日本と少し異なるデンマークに行って様々なことを感じ、花の仕事をしっかりやって行こうと心に決めました。
ご姉妹についてお聞きしても良いですか?
写真右側は妹さんです。(四女の夏実さん)
はい。私は4人姉妹の長女です。次女が小枝子(さえこ)、三女が芽衣子(めいこ)、四女が夏実(なつみ)です。三女は山梨の生産者さん(小立ガーデン)におりますが、次女と四女は「ガーデンセンターさにべる」で一緒に働いています。
「皆さん、植物にちなんだお名前なんですね!」
そうなんです。最近たまに、「みどりという名前はペンネームですか?」と聞かれたりするのですが、本名です。(笑)
「ガーデンセンターさにべる」にあるアンティーク風の小屋は、義理のお兄様の手作りで、四女の夏実さんがモルタルとペンキを塗ってDIYしたそうです。
次女の小枝子さんは、スワッグ作りが得意だそうで、それぞれが得意な分野で活躍し、「ガーデンセンターさにべる」を盛り上げているのだそう。
(テレビドラマに出てきそうな、素敵すぎる園芸ファミリーに驚き、うっとりしてしまいました。)
植物に関わるお仕事のやりがいを教えてください。
植物を通じて、あらゆる方にお世辞ではなく、心から喜んでもらった時の達成感がこの上なく気持ち良くて、それを感じたいがために日々植物と向き合って頑張っています。
(迷いなくとてもまっすぐにお答えくださりました。)
間室さんの寄せ植えやハンギングバスケットのお教室の様子について教えてください。
「ガーデンセンターさにべる」の教室はこのサンルームのような温室で開催するので、天井も高く開放的。寒い冬は手がかじかんでなかなか寄せ植えを作る気持ちになれないですが、ここに来ていただけたら一年中快適に寄せ植え作りが楽しめます。花苗の組み合わせも私がしっかり選んでおくので、生徒さんたちには思い切り植物と土にふれる時間を楽しんでいただき、心癒されながらの作品づくりに集中してもらっています。
生徒さんは30~40代が40%、50~60代前半が60%です。車で30分~1時間くらいでいらっしゃる方が多いですね。
間室さんが寄せ植えやハンギングバスケットを作る時のポイントやこだわりを教えてください。
Photo by:間室みどり
特に色合いを気にします。あとは、デザイン性も大事ですが、レッスンの生徒さん用に組み合わせを選ぶ時は特に、長く楽しめる実用性も重視して使う苗を選びます。また、生徒さんはレッスンの日はその1パターンの組み合わせしか作れないので、その苗が無い時はこの苗でも作れるなど、次に作る時にも作りやすい説明を加えるようにしています。
▼間室みどりさんに教わった寄せ植えはこちら
思い出に残っている撮影やイベントはありますか?
カンペが用意されているのに、どうしても言えない言葉があって35回も間違えてしまったことがあります。(笑)
あ!もっと良い思い出もあります。
新潟のイベントで、趣味の園芸でおなじみの三上 真史さんとトークショーを行った時のことです。
全く打ち合わせ無しで臨んで若干心配だったのですが、「植物っていいよね。」から始まって植物の話題が次から次に出てきてあっという間に時間がたってしまいました。植物の話って、どんどん広がるんだなと感動しました。特に、植物好きの人と話すと不思議なくらい果てしなくて本当に面白いなぁ。と思います。
間室さんが育てているお気に入りの植物や花がありましたら教えてください。
Photo by:間室みどり
バラが好きです。キラっとしいて、どこにあっても存在感が伝わるような可憐さがたまりません。この写真は、香りが爽やかなスイートチャリオット(ミニバラ)四季咲きです。
Photo by:間室みどり
この写真はローブリッター(一季咲)です。ピンクのコロンとした花姿がキュートで大好きです。
間室さんが「ガーデンセンターさにべる」で実際に育てているバラのお写真をお借りしました。
よく行くショップやおすすめのショップ(園芸店やお花屋さん)がありましたら教えてください。
はい。「ガーデンセンターさにべる」にいることが多いです。(笑)
さにべるの特徴は、寄せ植えに欠かせないカラーリーフや鉢物が豊富なところです。カラーリーフはメインではなく添え物だけど、立派な脇役。カラーリーフ無しでは美しい寄せ植えやハンギングバスケットは作れません。
ガーデン雑貨や簡単なエクステリアなども取り揃えています。
(店内がとても広々としています。)
(シキミアの苗だけでも、色違いでこんなにたくさん入荷していました。)
営業担当の方がここを訪れると、「田舎に来た~。という雰囲気が本当に心地よく、とても癒され落ち着く。」とおっしゃいますよ。
(確かに、さにべるではとてもゆっくりとした優しい時間が流れているように感じました。)
▼「ガーデンセンターさにべる」についての詳しい情報はこちら
Photo by:間室みどり
さにべると同じ敷地内には、ハッピータイムというカフェがあり、ランチタイムにはいつもお客様が並んでいます。フローズン苺や桃のかき氷も人気なんですよ。
(取材当日は、間室さんのおすすめで数量限定のポトフランチをいただきました。やさしい味のスープがしっかりしみ込んだ美味しいお野菜が丸ごと入っていて大興奮!)
自分が働いているお店以外では、八王子にある「グリーンギャラリーガーデンズ」や、埼玉県にある「フローラ黒田園芸」もとても好きです。
このはさみケースは、「グリーンギャラリーガーデンズ」で購入して愛用しています。
※受注発注などにつきましては、グリーンギャラリーガーデンズへ直接お問い合わせください。
▼「グリーンギャラリーガーデンズ」についての詳しい情報はこちら
間室さんは、デニムのエプロンの上からサイドをベルトでしめてハサミケースをつけていました。デニムのエプロンは、ソムリエエプロンのように丈が長かったものをカットして好みの丈にリメイクしているそうです。とてもオシャレでお似合いです。
取材させていただいた私の個人的なイメージですが、
間室さんお気に入りの「グリーンギャラリーガーデンズ」と「フローラ黒田園芸」は、「ガーデンセンターさにべる」と同じように手入れの行き届いたこだわりの苗がそろっていて、メインの華やかな花だけでなく、大切な脇役であるカラーリーフが豊富。そしてお客さんをわくわくさせるガーデン雑貨がセンス良く並んでいるなど、それぞれ全く異なる素敵なお店なのですが、ガーデニング好きの心をぐっとつかむポイントに共通している所が多くあるように思いました。3つとも、家の近くにあったら毎週、毎日通いたい、スタッフになって働きたいと思ってしまうお店です。
▼「フローラ黒田園芸」についての詳しい情報はこちら
普段の間室さんのライフスタイルについて教えてください。
仕事になると急にスイッチが入ってテキパキするのですが、友達からは「天然」と言われたりもします。(笑)
私の中でぶれない軸がひとつあります。どんな場面でも常に「美しさ」を追及し、いかに美しくおさめるかを考えます。夏は、日焼け対策で手袋と帽子は欠かせません。ジャンクフードは極力食べないです。今の自分は120日前に食べたものでつくられているので、日々食べるものには気を付けています。でも、楽しく美味しくいただくことも忘れていませんよ。(共感し、大きくうなずきました。)
あと、ワインが好きです。(笑)肉や魚が小さい時から少し苦手で、その代わりに野菜は何でも大好き。ワインと一緒に野菜サラダをよく食べます。バルサミコ酢が大好きで、サラダにバルサミコ酢、塩、コショウ、レモンと少しオイルをかけたらもう、いくらでも野菜が食べられますよ。
(あ~。野菜、ほんとに美味しいですよね。そして間室さん、ワインがとてもお似合いです。)
植物以外の趣味がありましたら教えてください。
Photo by:間室みどり
森林浴が好きです。最近はあまりできていないのですが、仕事で出かけた時に少し足を延ばして山に行き、歩きます。特に朝の山を歩くと心が解き放たれて、パワーがわいてきます。森の中を5分歩くと、その後の作業の生産効率がUPすると聞いたことがありますが、本当にそう思います。
あとは、猫が大好きです。(笑)
「ガーデンセンターさにべる」には看板猫として、茶トラのみーちゃん(女の子)がいます。みーちゃんは3代目の看板猫で、1代目は球根を食べるねずみ対策のためにお店で飼い始めました。今はその働きをしてくれているかは謎ですが、とても人なつこく良い性格の子です。
こちらは自宅で飼っているマンチカンのよっちゃんです。マンチカンは足が短いのがチャームポイントと言われますが、この子は何故か足が長く生まれてしまって引き取り手が無いことを知り、すぐに飼うことを決めました。かなりのツンデレくんで、本当に可愛いんです。
間室さんが今後取り組んでいきたいことや夢を教えてください。
大きなことを言ってもいいですか?
(はい。ぜひ。(笑))
この日本という国を、世界一「エンゲル係数」ならぬ、「園芸(エンゲイ)係数」の高い国にしたいと思っています。日本も欧米のように、まず国が園芸や花にお金をもっと惜しみなく使って欲しい。そして日本に住む人が園芸にお金や時間をかけたいと自然に思えるように、園芸やってみたいなと思えるような切り口を見つけて発信し、園芸の裾野を広げていきたいです。
土や植物にふれると、リラックス効果が生じるのは知られていますよね。でも実は、土いじりをすると心が癒されるだけでなく、腸内環境も良くなり、免疫力が高まるなんてことも言われているんですよ。植物と人は2人で1人。植物と人は切り離してはいけないもののはずなので、切り離してはいけないという証拠をつかみたいと真剣に考えています。(笑)
最後に何かありましたら一言お願いします。
たまには土を素手でさわりましょう。
手に傷がある時はばい菌が入ってしまうので気をつけた方が良いですが、たまに素手で土を触ると癒され、きっと体にもいいことがたくさんある気がしています。植物とともに健康に美しく生きたいですね。
間室みどりさんありがとうございました!
テレビや雑誌の間室さんの印象は、凛とした美しさが印象的で、実際はどんな雰囲気の方なのかとても楽しみだったので、ワクワク取材をさせていただきました。質問を重ねていくうちに、メディアで拝見しているだけではなかなか発見できない、間室さんの人間味あふれる魅力を感じ、とても嬉しい気持ちになりました。
植物と暮らし、植物とともに美しく生きる。美しくて、おおらかな心があたたかい。
間室さんは、ゆっくりと優しい時間が流れている「ガーデンセンターさにべる」にとても似ている方だと感じ、それはきっと、間室さんがさにべるとともに歩まれて来たからこそで、本当に素敵だなあ、と思いました。さにべるから見える空いっぱいの夕焼けもとても美しかったです。
間室さんの「美」への意識の高さと、植物に真剣でまっすぐな瞳がとても心に残りました。今後のご活躍もとても楽しみですね。
間室みどりさん寄せ植え、ハンギングバスケット教室
Photo by:間室みどり
埼玉県の「ガーデンセンターさにべる」で開催。その他、出張教室やセミナーを随時開催しています。
間室みどりさん執筆のご紹介
NHK趣味の園芸「すぐに使える!土・肥料・鉢」では、鉢のページを間室みどりさんが監修。
NHKテキスト「趣味の園芸」では、間室みどりさんの寄せ植えレクチャーなどを紹介。
NHK趣味の園芸 すぐに使える! 土・肥料・鉢 (生活実用シリーズ)
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「ガーデンセンターさにべる」のブログSunny Day’s Garden
は、間室みどりさんの妹さんたちが担当され日々更新中です。
でも、妹さんたちが日々発信しているそうですよ。ぜひ見てみてくださいね。
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