植物を選ぶとき、その植物の故郷のことを想像してあげてください。
LOVEGREEN編集部
このライターの記事一覧
プロフィール
■名前:飯田史よ
■職業:necomoss 代表
■出身:大阪府生まれ茨城県育ち
■居住地:千葉県
自己紹介をお願いします。
植物屋「necomoss」を運営しています。
手の平サイズで季節感を楽しめるミニ盆栽、器に拘った多肉植物、流木や板にハンギング出来るように仕立てた着生植物など、屋内・外、置き・吊り下げなど様々なアレンジで省スペースでも生活に楽しく植物を取り入れられるものを取り扱っています。
実店舗はなく、東京、千葉を中心にイベント出店、委託販売、ネット販売、植物を使った空間ディスプレイもしています。
▼イベント出店の様子の動画はこちら
「necomoss」のお店の名前の由来は何からきていますか?
necomossというブランド名は「根っこ(neco)」と「苔(moss)」に由来しています。
余談ですがnecomoss(ネコモス)なので、よくネコが好きなの?と聞かれます。ネコは好きですがネコモスは「根っこ」と「モス」です。
植物や花との出会い、好きになったきっかけを教えてください。
林檎農園兼植木屋さんをしていた祖父母のもと育った母親が園芸オタクだったので、物心ついた頃から毎週のようにホームセンターなどの園芸コーナーに連れて行ってもらっていたと思います。庭に一畳ほどの「自分用の畑」のようなコーナーを用意してくれて、その中で自分で選んで買ってもらった苗を育てるのが楽しかった記憶があります。その当時は「母親」というのは、家事と同様に庭で植物を弄っているのが普通だと思っていました。笑
私は美術大学で日本画を専攻していて、20代前半までは美術やデザインに関する仕事をいくつも掛け持ちしていました。その中で日本古来の季節の植物や野菜、伝統工芸品などで歳時記を紹介するような印刷物の挿し絵を描く仕事もしていました。
▼植物や野菜、伝統工芸品などの挿絵。原画は手元にないので印刷したもの。
モチーフは、写真ではなく出来る限り現物を入手して描くことにこだわっていたので、いつも次のモチーフになる季節の植物探しをしていたと思います。
ただ、現物入手した植物が根のあるものだと「枯らしたらかわいそう!」ということで育て、徐々に鉢が増えていき、だんだんモチーフの植物自体に興味と愛着が強くなり、始めは日本の植生を小さな鉢に植え込むミニ盆栽を楽しみはじめたのがきっかけでした。
その後、中米グアテマラを旅行して、熱帯ジャングル感や自生する着生植物の凄まじさに感動し、次第に着生シダやチランジアにも強く興味を持つようになりました。
▼グアテマラ中部の熱帯ジャングル地帯セムクチャンぺイの宿の敷地内を散策したときに拾ったもの。樹から地面にボロボロと落下していた着生植物。
▼見渡す限り広大なジャングルの中に突如そびえ立つマヤ文明のティカル遺跡。
初めて育てた植物や花について教えてください。
小学生の頃、二十日大根か苺だったと思います。自分でお庭で育てたものが食べられる!といことがとても嬉しかったような記憶があります。
思い出に残る植物や花があれば教えてください。
ユーフォルビアのホワイトゴーストです。
観葉植物について無知だった当時、あまり高価な種類は買ったことがなかったのですが、昼休みに職場の近くの園芸店でみかけて「何この白いサボテン!高っ!」と驚きつつも、その色と形がどうしても気になり翌日の昼休みに駆け込んで買いました。そのときにサボテンではなくユーフォルビアというのがあることを初めて知りました。
置き場所や扱いが不慣れだったため、何度もひっくり返して枝を折ってしまい不格好に育ってしまいましたが、植物オタクとしての私の成長を見守ってくれているようで、今も大事に育てている思い入れのある個体です。この数年はひっくり返していないと思います。
自宅で育てている植物や花は、どんな種類がありますか?
ミニ盆栽、ビカクシダ、チランジア、ラン、多肉などなど、販売で取り扱っている植物はほとんどすべて自宅でも育てています。取り扱う品種は出来る限り自分も普通のお家の環境下で栽培しながら勉強したいと思っていて、それがとても楽しいです。ただ、増えるばかりで少し困っています。
お気に入りの植物や花を教えてください。
ビカクシダの胞子培養のこと。
種子ではなく胞子から育つシダ植物、成株を見かけることはありますが、発芽からの成長の過程を見ることはなかなかないので、観察して喜んでいます。非常にデリケートで育て方の情報も少ない為、自生地の環境を想像しながら未知のことに試行錯誤しつつ栽培する感じが楽しくて。他の品種の胞子培養にも挑戦中ですが、前途多難で燃えます。
▼ビカクシダ・リドレイ(ridleyi)の胞子培養約1年目の株。
普段のボタニカルライフを教えてください。
日常のボタニカルライフは、
水やりパトロールライフです。
毎日のミニ盆栽と着生ランへの水やり、週に数回のビカクシダやティランジアへの水やり、月に数回の多肉植物への水やり、など。水やりの時になるべく成長や不具合がないかなど観察しながらやるようにしています。気乗りしない日は大変だなあ……と雨乞いしたくなりますが、楽しい日は最高の時間に感じます。
思い出の花束!?
花束をもらいたいと思うことはあまりないですが、最近はドライフラワーにも興味があります。
忘れられない花束は昔、誕生日に主人が買ってきてくれた仏花です。綺麗だったから!という理由で選んでくれたらしいのですが、「誕生日に仏花」の斬新さに笑い転げた可笑しさと気持ちが、もらって嬉しかったなと思います。あげたいと思ってくれる、気持ちの花束が嬉しいです。
プロならではの育て方や管理のテクニックなどがあれば教えてください。
植物を育てるときは、まずその品種の性質と好む環境を調べることが大切です。
日当たり、風通し、温度、湿度、雨季乾季、春夏秋冬の有無などです。できれば自生地の環境をすこしでも再現するつもりで置き場所や水やりなどのお手入れの仕方を決めます。
水やりの頻度は、「置き場所の温度・湿度・風通し」によって大きく変わってしまうので、育て方に書いてる頻度はあくまでも参考までに、自分の置き場所での丁度良い管理のコツを見つけてみてください。
安価なものでも良いので、温度計と湿度計を。できれば1日の最低と最高の温度と湿度を記録してくれる最低最高温湿度計を用意するのがおすすめです。
丁寧に観察して小さな変化に早めに気がついてあげることがずっと元気でいてもらうヒントになると思います。特に、購入した直後は環境の変化で生育が停滞しがちなので、置いた環境が本当にその植物に適しているのかこまめに様子をみて、なにか変化があれば早めに対処してあげると良いと思います。その環境に慣れて元気に動き出せばエンジンがかかったように上手に育てられると思います。
仕事場の様子は?
関連ワード
今月のおすすめコンテンツ
「植物を選ぶとき、その植物の故郷のことを想像してあげてください。」の記事をみんなにも教えてあげよう♪