山野草店「つるかめ山草園」榊原晶子さん /「植物を届けるだけでなく、情報も届けたい」

土屋 悟

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最近人気の原種シクラメンなどの草花をはじめ、山野草を扱う「つるかめ山草園」の榊原晶子さん。榊原さんの植物にかける思いをインタビューしてきました。

目次

プロフィール

■名前: 榊原晶子  ■職業: 山野草店「つるかめ山草園」店主  ■出身地: 山形県  ■居住地: 千葉県  ■ボタニカル歴: 30年くらい

■名前: 榊原晶子

■職業: 山野草店「つるかめ山草園」店主

■出身地: 山形県

■居住地: 千葉県

■ボタニカル歴: 30年くらい

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山野草と出会ったきっかけを教えてください。

結婚してから、自然が好きな夫と山歩きをするようになり、いろいろな草花や野草を見たり、名前を覚えるようになりました。  関東近県の山だけでなく、出身地の山形県や一時期住んでいたことがある山梨県周辺などにもよく行きました。  そうやって各地の山を歩いていると、同じ種類の植物でも日本の北と南では咲く時期が違ったり、株姿が違っていることがあることに気づきました。

結婚してから、自然が好きな夫と山歩きをするようになり、いろいろな草花や野草を見たり、名前を覚えるようになりました。

関東近県の山だけでなく、出身地の山形県や一時期住んでいたことがある山梨県周辺などにもよく行きました。

そうやって各地の山を歩いていると、同じ種類の植物でも日本の北と南では咲く時期が違ったり、株姿が違っていることがあることに気づきました。

 

山を歩くようになると、「○○○○○は木の陰になる場所に生えているんだな」とか、「×××は明るい場所と、ちょっと陰になる場所だとちょっと雰囲気や咲く時期が違うんだな」などということも考えるようになりました。  同じ山なのに斜面の北側と南側では全く違う植物があったり、同じエリアでも乾いているところにはなくてジメジメしたところにだけ生えているものがあったりということがとても面白いと感じるようになり、どんどん山野草にのめり込んできました。  夫は元々植物が好きで結婚前から山野草を育てていたのですが、特にたくさん集めていたのがカンアオイでした。葉がとても美しい植物なので、お花だけでなく「葉を楽しむ」という楽しみ方があることも知りました。

山を歩くようになると、「○○○○○は木の陰になる場所に生えているんだな」とか、「×××は明るい場所と、ちょっと陰になる場所だとちょっと雰囲気や咲く時期が違うんだな」などということも考えるようになりました。

同じ山なのに斜面の北側と南側では全く違う植物があったり、同じエリアでも乾いているところにはなくてジメジメしたところにだけ生えているものがあったりということがとても面白いと感じるようになり、どんどん山野草にのめり込んできました。

夫は元々植物が好きで結婚前から山野草を育てていたのですが、特にたくさん集めていたのがカンアオイでした。葉がとても美しい植物なので、お花だけでなく「葉を楽しむ」という楽しみ方があることも知りました。

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どのように山野草店を開いたのでしょうか?

夫は環境調査など植物や自然に関わる仕事をしていて、もう一歩踏み込んで植物を自分で育てる仕事をしたいという気持ちをもっていました。  山野草店を開く前は神奈川に住んでいて、私も普通の事務員として勤め、それ自体に不満はありませんでした。  しかし、野山を歩いて植物のことをより知るようになり、家でも植物に触れる機会がふえると、タネをまいたり株分けをしたりして、何かを生み出す仕事というのもいいなと思うようになりました。  今は千葉で山野草店をやっていますが、その前は神奈川県の一軒家を借りて住んでいました。家には庭があったので、3坪ほどのビニールハウスを建てて植物を育て、趣味と兼ねながら山野草店を開く準備をしていました。  最初は住んでいる場所から近い神奈川県内で山野草店を開く土地を探していたのですが、手の届く金額で売りに出ている土地は傾斜地がほとんどで、こちらで希望するような平坦な土地ではありませんでした。  土地を探しているうちに、千葉県の外房であれば比較的手に入りやすいことに気づき、現在の場所に決めました。もともと店の名前を縁起の良い「つるかめ」と付けようと決めていたので、ここ長生村(ちょうせいむら)は「ながいき」とも読むことができご縁があるとも思ったのです。18年ほど前のことです。

夫は環境調査など植物や自然に関わる仕事をしていて、もう一歩踏み込んで植物を自分で育てる仕事をしたいという気持ちをもっていました。

山野草店を開く前は神奈川に住んでいて、私も普通の事務員として勤め、それ自体に不満はありませんでした。

しかし、野山を歩いて植物のことをより知るようになり、家でも植物に触れる機会がふえると、タネをまいたり株分けをしたりして、何かを生み出す仕事というのもいいなと思うようになりました。

今は千葉で山野草店をやっていますが、その前は神奈川県の一軒家を借りて住んでいました。家には庭があったので、3坪ほどのビニールハウスを建てて植物を育て、趣味と兼ねながら山野草店を開く準備をしていました。

最初は住んでいる場所から近い神奈川県内で山野草店を開く土地を探していたのですが、手の届く金額で売りに出ている土地は傾斜地がほとんどで、こちらで希望するような平坦な土地ではありませんでした。

土地を探しているうちに、千葉県の外房であれば比較的手に入りやすいことに気づき、現在の場所に決めました。もともと店の名前を縁起の良い「つるかめ」と付けようと決めていたので、ここ長生村(ちょうせいむら)は「ながいき」とも読むことができご縁があるとも思ったのです。18年ほど前のことです。

 

つるかめ山草園を開いてすぐは、ギボウシやサクラソウなど一般的な山野草をはじめ、ススキの仲間など寄せ植え材料や、ホトトギスやセンノウ、野菊、ヤマアジサイなどの茶花も多く扱っていました。  店を始める直前には、全国各地の山野草屋さんを尋ね歩き、植物を直接仕入れました。

つるかめ山草園を開いてすぐは、ギボウシやサクラソウなど一般的な山野草をはじめ、ススキの仲間など寄せ植え材料や、ホトトギスやセンノウ、野菊、ヤマアジサイなどの茶花も多く扱っていました。

店を始める直前には、全国各地の山野草屋さんを尋ね歩き、植物を直接仕入れました。

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山野草店の仕事で大変なことはありますか?

日本全国から植物を集めてきても、うちの植物を買ってくださるのは千葉県在住、または関東近県の方がほとんどでした。たとえば北海道では難なく育っていた植物であっても、気候の違う千葉県に持ってきてもすぐにちゃんと育たないというのが悩みでした。

日本全国から植物を集めてきても、うちの植物を買ってくださるのは千葉県在住、または関東近県の方がほとんどでした。たとえば北海道では難なく育っていた植物であっても、気候の違う千葉県に持ってきてもすぐにちゃんと育たないというのが悩みでした。

 

なんとかしたいと思い、千葉県よりも夏に涼しいところで育った植物であれば、仕入れた株を育ててタネを採り苗から育てなおしたり、一度夏越しを経験させたりして環境にあった株を販売するよう心がけました。買ってくださってもすぐにダメになってしまうような株では困りますよね。

なんとかしたいと思い、千葉県よりも夏に涼しいところで育った植物であれば、仕入れた株を育ててタネを採り苗から育てなおしたり、一度夏越しを経験させたりして環境にあった株を販売するよう心がけました。買ってくださってもすぐにダメになってしまうような株では困りますよね。

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最近は原種シクラメンをたくさん作られていますが、そのきっかけなどを教えて下さい。

もともと趣味で育てていた原種シクラメンのコームが1株あって、出来たタネをまいて苗を販売していました。2003年に、いつも読んでいた山野草の雑誌で原種シクラメンが紹介されていて、20種類以上もの原種があり、咲く時期もいろいろあることを知りとても興味を持ちました。その上、英国シクラメン協会という団体があって、入会すると種子がもらえたり、最新情報が得られる会報が送られてきたりすることも紹介されていて、これはぜひ育ててみたいと思い入会しました。  日本の山野草は、真夏と真冬がどうしてもシーズンオフになってしまうので、その時期にも販売できる面白いものが何かないかなといろいろ探していた頃でもあり、原種シクラメン数種類を実際育ててみて、いろいろな面で魅力のある植物だとわかり、これなら日本でも受け入れられるのではと感じ、本格的に扱ってみることにしました。  シクラメン協会での配布種子だけでなく、2008年からはオランダやイギリスのナーセリーからも種子を購入して種類を増やしていき、今では原種シクラメンのほとんどの種類を育てていて、タネが採れるようになりました。  それまでほとんど日本の山野草しか扱っていなかったので、初めから全種類を上手く作れたわけではありませんでした。うちの作場の環境にあった数種類は何とかなりましたが、気候の違うヨーロッパ原産の植物に合った栽培方法がつかめずに苦労しました。  原種シクラメンの日本での育て方の情報はあまりなく、詳しいことは海外の本で調べるしかありませんでしたが、ヨーロッパの情報がほとんどなので、そのまま日本でやればよいという訳でもなく、参考にする程度であとは自分でやってみるしかありませんでした。  日本原産の植物を育てる時でも、その自生地の環境を知ることがとても重要なので、いつも気にかけていました。シクラメンの場合も自生地の気温や年間の降水量をインターネットで調べて栽培の参考にしました。  そんな試行錯誤が今とても役立っていて、原種シクラメンを育ててみたいという方に栽培のコツなどを説明する際、自生地とは気候が違う日本でも、ちょっとしたポイントさえ押さえれば原種シクラメンを育てて楽しむことができるということをお伝えしています。  原種シクラメンにはタネをまいてもすぐに発芽せず、長いものは2年もかかるものがあります。さらに開花までは2年から5年ほどかかる気の長い植物です。日本の山野草の中にも雪割草やヒメサユリなど発芽まで1年かそれ以上、開花まで3~5年かかるようなものもたくさんあったので、その辺りは全く苦にはなりませんでした。  原種シクラメンの中には、葉のある期間が4ヶ月くらいしかなく、地上部の無い状態で1年の半分以上を過ごす種類もあります。日本の山野草にも、春にしか地上に姿を現さないイチリンソウやセツブンソウなどがあるので、そんなものに抵抗はありませんでした。  山野草栽培の経験は今の原種シクラメン生産にとても活きていると感じています。

もともと趣味で育てていた原種シクラメンのコームが1株あって、出来たタネをまいて苗を販売していました。2003年に、いつも読んでいた山野草の雑誌で原種シクラメンが紹介されていて、20種類以上もの原種があり、咲く時期もいろいろあることを知りとても興味を持ちました。その上、英国シクラメン協会という団体があって、入会すると種子がもらえたり、最新情報が得られる会報が送られてきたりすることも紹介されていて、これはぜひ育ててみたいと思い入会しました。

日本の山野草は、真夏と真冬がどうしてもシーズンオフになってしまうので、その時期にも販売できる面白いものが何かないかなといろいろ探していた頃でもあり、原種シクラメン数種類を実際育ててみて、いろいろな面で魅力のある植物だとわかり、これなら日本でも受け入れられるのではと感じ、本格的に扱ってみることにしました。

シクラメン協会での配布種子だけでなく、2008年からはオランダやイギリスのナーセリーからも種子を購入して種類を増やしていき、今では原種シクラメンのほとんどの種類を育てていて、タネが採れるようになりました。

それまでほとんど日本の山野草しか扱っていなかったので、初めから全種類を上手く作れたわけではありませんでした。うちの作場の環境にあった数種類は何とかなりましたが、気候の違うヨーロッパ原産の植物に合った栽培方法がつかめずに苦労しました。

原種シクラメンの日本での育て方の情報はあまりなく、詳しいことは海外の本で調べるしかありませんでしたが、ヨーロッパの情報がほとんどなので、そのまま日本でやればよいという訳でもなく、参考にする程度であとは自分でやってみるしかありませんでした。

日本原産の植物を育てる時でも、その自生地の環境を知ることがとても重要なので、いつも気にかけていました。シクラメンの場合も自生地の気温や年間の降水量をインターネットで調べて栽培の参考にしました。

そんな試行錯誤が今とても役立っていて、原種シクラメンを育ててみたいという方に栽培のコツなどを説明する際、自生地とは気候が違う日本でも、ちょっとしたポイントさえ押さえれば原種シクラメンを育てて楽しむことができるということをお伝えしています。

原種シクラメンにはタネをまいてもすぐに発芽せず、長いものは2年もかかるものがあります。さらに開花までは2年から5年ほどかかる気の長い植物です。日本の山野草の中にも雪割草やヒメサユリなど発芽まで1年かそれ以上、開花まで3~5年かかるようなものもたくさんあったので、その辺りは全く苦にはなりませんでした。

原種シクラメンの中には、葉のある期間が4ヶ月くらいしかなく、地上部の無い状態で1年の半分以上を過ごす種類もあります。日本の山野草にも、春にしか地上に姿を現さないイチリンソウやセツブンソウなどがあるので、そんなものに抵抗はありませんでした。

山野草栽培の経験は今の原種シクラメン生産にとても活きていると感じています。

 

日本の山野草の中には最近の猛暑の中で育てるのには工夫が必要な種類もたくさんあり、暑さ対策についてもシクラメンに応用できました。たとえば、暑さが苦手な植物は、鉢底穴が大きい鉢で水はけが苦手な植物は、鉢底穴が大きい鉢で水はけ良く育てるのも山野草栽培の技術から応用できるコツの一つです。

日本の山野草の中には最近の猛暑の中で育てるのには工夫が必要な種類もたくさんあり、暑さ対策についてもシクラメンに応用できました。たとえば、暑さが苦手な植物は、鉢底穴が大きい鉢で水はけ良く育てるのも山野草栽培の技術から応用できるコツの一つです。

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これからやりたいことはありますか?

店を開くときに思っていたのは、植物を売るだけではなくて、育て方などの情報も伝えていきたいということです。園を開いた17年前にはすでにインターネットはありましたが、それでも今ほど情報が溢れているという状況ではありませんでした。

店を開くときに思っていたのは、植物を売るだけではなくて、育て方などの情報も伝えていきたいということです。園を開いた17年前にはすでにインターネットはありましたが、それでも今ほど情報が溢れているという状況ではありませんでした。

そのため当時から、育て方などの情報をお客様に丁寧に伝えることで、植物を育てることを楽しむ方が増えて、さらに新しい植物にも興味を持ってもらえるようになるといいなと考えていました。

時代が変わり、ブログやホームページしかなかった頃は、情報は割と一方通行に発信するという性質のものでしたが、今はいろんなSNSがあり、うちもFacebookやTwitterのアカウントも持っています。

SNSでもイベント出店の情報などを宣伝したりという「発信」もしますが、シクラメンを育てている人とコミュニケーションを取ったりといった、一方通行では収まらない交流が出来るようになっていると感じます。

また、趣味家の人と直接交流することで、それぞれの地方や栽培環境による細かい違いなどについても知ることが出来るのもありがたいですね。

商売をやっていると自分のやっている仕事や商品についての宣伝や発信も大事ですが、植物のように、ちょっとした環境の違いで育ちに差が出るようなものは、それぞれの人がどのような環境で育てて、どんな育ち方をしているのかを知ることも大事。SNSでの交流の中から知った環境ごとの違いを、また別の人に伝えていく。

そうやって、栽培の知識をこまめに更新していきながら、より多くの人に楽しんで植物を育ててもらえるような情報を伝えていければいいなと思っています。

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土屋 悟
土屋 悟

長野県松本市生まれ。早稲田大学第二文学部在学中より雑誌編集部でのアルバイトの延長でライター活動を始め、卒業後もフリーライターとして活動。 その後、編集プロダクションをいくつか経て、2009年より約9年間NHK出版「趣味の園芸」テキストの編集兼ライターに従事。 最近は湿度を好む植物、特に着生ランをいろいろ育ててます。 また、ガラスケースとLEDを使った屋内での植物栽培、窓がないトイレで育てるパルダリウム「トイレリウム」などもやってます。ときどき実家の庭の手入れもしており、庭仕事では剪定が好きです。【twitter】 @tutti0514 【Instagram】 @satorutsuchiya_

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