高嶺の花とイメージしがちな胡蝶蘭ですが、実は気軽に楽しめる植物です。
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プロフィール
椎名洋ラン園
■名前:椎名 正樹
■場所:千葉県旭市
■生産歴:15年
■面積:5000坪
■主な生産品:ミディー胡蝶蘭、マイクロ胡蝶蘭
生産者さんのご紹介
千葉県の長い砂浜が続く九十九里浜の近く、旭市に椎名洋ラン園さんがあります。主に栽培されているのは小さくて可愛らしい印象の胡蝶蘭、「ミディー胡蝶蘭」「マイクロ胡蝶蘭」です。
椎名 正樹さんのお父様である 椎名 正剛さん(代表取締役)がランの生産を始め、品種改良にも日々努力されました。その結果、従来のイメージを覆すコンパクトタイプの胡蝶蘭の開発に成功し国内ないし、現在ではヨーロッパやアメリカ、アジア諸国にも需要が高まり流通しています。 取り扱っている品種は200種類以上。その中の80%はなんと椎名さんオリジナルの品種で、現在もより時代に合った良い商品を作るために品種改良をされています。
もっと身近に感じてもらうよう、時代のニーズに合わせた胡蝶蘭づくりに励む生産者さんです。
生産者になったきっかけとは
幼少期からランを間近で見てきたと思いますが、いつ頃から生産者を目指されたのですか?
全く(笑)全然です。意識し出したのは20代前半あたりですかね。それまで全く興味なく父親の仕事という認識でした。園芸の学校を出たわけではないし、異業種の仕事をやるつもりでマスコミ関係学校に通っていました。
椎名さんの心を動かしたきっかけは何ですか?
父親の仕事を手伝っているうちに段々と興味が湧いてきました。それとオランダへ行った時のことですが、現地ではどこの家もランが観葉植物のような飾り方をしているのを見て驚きでした。日本と全く異なったスタイルでランを楽しんでおり、衝撃を受けましたね。
日本だとザ・開店祝いや贈答用のイメージが強く、気軽な植物ではないですよね。日常に馴染んでいる姿を見た時「カッコいいな、国内でもこのスタイルを浸透させたいな」と思いましたし、広めるは自分の使命だと感じましたね。
そしてミディだからというのはかなり大きいです。カジュアルに飾れて且つ花色が豊富なミディだからこそ、色々な視点で楽しめるのではないかと思えたんです。
そんな魅力にあふれるミディ胡蝶蘭ですが、栽培する中で特に苦労する点は何でしょうか?
増やすのに年数を要する所ですね。種を蒔いて開花するまでに約4年かかります。
新しい品種を作るときは、さらに品種を安定させなければなりませんので約10年かかります。10年後を見越した品種を作りを必要とされ、またそれが中々思い通りの品種にならないので苦労します。確率ですと10000分の3。思い通りの品種が出来るのは奇跡に近いですね。
それでは今ある品種はどのように増やしているのでしょうか?
まず種では株数を増やせないんです。種を蒔いても親株と同じ子どもは出ないので播種はできません。色々な花が咲いてしまうのです。
一体どうするのか?それは、親株の茎の部位でバイオ技術を用いてクローン苗を作ります。しかしクローン苗でも生育差が生じ、親株と同じように花が上がってこないなどの問題が出てきます。 このように、品種を作るのも増やすのも容易ではありませんね。
増やすのに手間のかかる胡蝶蘭ですが「やっててよかった。」と思う瞬間はありますか?
やはり専門店さんやお客さんから直接いい評価を受けた時ですね。
先日開催された世界らん展で、弊社のランを購入されたお客さんから「ずっと枯れないで咲き続けているけど大丈夫なの?」という嬉しい電話がありました。心配されるほど咲き続ける花は中々ないと思います。苦労する工程があるからこそ、このような声を頂けた時は非常に嬉しいです。
生産されている中で特におススメの植物を教えてください。
たくさんの種類があって迷ってしまいますが、特におすすめのランは何ですか?
こちらの「チュンリー」という品種ですね。病気に強く花上りも良いですし、万人ウケする色で人気があります。また栽培もしやすいこともあり、海外でも人気の品種です。
こちらは、アクアポットというオリジナルポットでの販売もしています。
このポットは逆さにしても水が垂れてきませんのでオフィスのパソコン脇や、土こぼれの心配もないので食卓テーブルやキッチンにも置けます。さらに水がどの位入っているのか確認できるので、水やりのタイミングも簡単です。虫がわく心配もないので、虫嫌いな人も安心して育てることができますよ。
こちらのランも人気です。 「パレルモ」という品種で、先ほどいっていた「ずっと枯れないで咲き続けているけど大丈夫なの?」と嬉しい声を頂いたランがこちらです。 特徴は花色が変化する所で、日陰で管理をするとグリーンに変わります。花持ちも良く最長で8カ月持つので長く楽しめます。
これから栽培してみたい植物はありますか?
ランの仲間だけでも様々な種類があり、可能性をたくさん見いだせる植物だと思っていますので、ランのジャンルからは外れることは考えてないですね。小さく可愛らしいランや、葉っぱと茎のない根だけのラン(無葉ラン)なんかもこれから栽培していきたいと考えています。
こんな小さくてもお花は咲くのでしょうか?
ちゃんと咲きますよ。ちょうど今蕾がついてますね。
母の日が終わるまで待ってほしいんですけど咲いてしまいそうですねぇ…。
無葉ランも花は咲くのですか!?
ちょうど今咲いてますよ。
根だけだなんて不思議でしょう、植物の最終形態の姿ですよね。
また、ミディ胡蝶蘭を板へ着生させた状態での栽培も考えてますよ。現地では木に着生して生きているので、本来の胡蝶蘭に近い状態を見てもらうのも面白いと思っています。この状態でもちろんお花は咲きますし、花がない時期もこれなら十分インテリアとして観賞できますよね。
ペイントして自由に飾れるのもいいですね。
そうですね、壁掛けもできますし、とにかく自由に楽しんでほしいです。
着生させたランは、水やりなど管理は難しいのでしょうか?
難しくないですよ。水やりは霧吹きで行い、置き場は半日陰の所で管理していただければ大丈夫です。時々、水を張ったバケツなどに浸けても尚いいですね。
プライベートで育てている植物はありますか?
ランはもちろん、出先等で購入した観葉植物です。
植物全般好きですが特にこれが好きというのはなくて、見かけた時にカッコイイと感じれば買うという感じ。その辺は初心者感覚で持ち帰り、育てています。
特徴的なランの根が見えるようにクリアーポットで飾っています。ちなみにクリアーポットでの販売もしていますよ。
トイレなどあまり日が当たらないところでも満開ですね
そうですね、むしろ北向きの窓の方が最高ですよ。この光量でもお花は咲きますし室内で十分管理していただけます。コチョウランはその場所に順応する性質を持っていますので、案外置き場を選ばないんですよ。
最後に一言おねがいします。
高価で管理が難しそう…枯らしてしまいそう…と高嶺の花とイメージしがちな胡蝶蘭ですが、実は気軽に楽しめる植物です。
北向きの場所やあまり日が当たらない部屋・トイレでの管理で花を咲かせてくれるので、むしろ観葉植物より場所を選ばない植物です。花も基本的に1カ月以上持ちますし半年以上咲き続ける品種もあります。 花が終わっても2度楽しむことができますよ!下から2節以上残して切ってください。そうすると節の下から新しい花芽が伸びてきて、半年後再び花が咲きます(2番花)。
最初の時より花数が少なかったり、花茎が短くなるかもしれませんがそれも愛嬌ですね。2番花も咲き終わると下の方でまた切っていただければ来年花芽を出しますので、是非やってみて下さい!
自分の部屋で咲かれたらより可愛く感じます。 室内で楽しむには本当に育てやすいので、ホームユースで飾り方ももっと自由に、もっと身近に感じてほしいと思っています。ギフト用だけでなく、自分が楽しむ用で是非飾ってみてくださいね。 きっとイメージが変わりますよ。
椎名洋ラン園さんが気になったらこちら!
直営店はこちら!
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