ブラックベリーとは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- ブラックベリー
- 学名
Rubus
- 英名
- Blackberry
- 科名
- バラ科
- 属名
- キイチゴ属
- 原産地
- アメリカ、ヨーロッパ
ブラックベリーの特徴
ブラックベリーは、初夏に黒い実をつける落葉性のつる植物です。生食できる他、ジャムなどに加工するのにも向いています。性質がとても強く、病害虫の心配も少ないことから、無農薬でも簡単に育てられ家庭で育てるのに向いています。
ブラックベリーは品種が多品種あり、もともとはトゲがある植物ですが、最近流通している品種はトゲなし品種が一般的で、誘引なども簡単にできるようになりました。地植えの他、鉢植えでも栽培可能です。
ブラックベリーの詳細情報
園芸分類 | 果樹 |
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草丈・樹高 | 1.5~5m |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
花色 | 白、ピンク |
開花時期 | 5月~6月 |
ブラックベリーの育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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植え付け・植え替え | ||||||||||||
剪定 | ||||||||||||
開花 | ||||||||||||
収穫 |
ブラックベリーの栽培環境
日当たり・置き場所
日当たりと風通しの良い場所で育てます。日当たりによって花数がかなり違います。花の後に実がなるので、ブラックベリーにとって日当たりはとても重要です。
鉢植えでも地植えでも育てることができますが、生長力があるので鉢植えの場合は大きめな鉢が必要です。
用土
肥えた土ならすぐに植え付け可能ですが、土壌改良が必要な土地の場合は、植え付け前に土を耕す準備が必要です。土が酸性に傾いている場合は、まず植え付けの2週間前位には石灰を入れ、耕しましょう。その1週間後に完熟堆肥と元肥を入れ土になじませます。土の酸度は、市販の酸度測定液などを使うと安価で簡単に調べることができます。
窒素分を含む肥料は、石灰と合わさることで窒素分がアンモニアガスとなって消失してしまうため、同時に使用してはいけません。
なお、この場合の石灰とは「消石灰」や「苦土石灰」をさします。牡蠣殻などの「有機石灰」ではそのような化学反応は起きないので、どうしても日数がない場合は「有機石灰」「完熟堆肥」「有機肥料」を使うと同時に混ぜ込むことが可能で、すぐに種まきや植え付けができます。
鉢植えの場合は、果樹や野菜、ハーブ用の土で問題なく育ちます。
ブラックベリーの育て方のポイント
水やり
地植えは、雨にまかせて問題ありません。
鉢植えは、鉢の表面の土が乾いたら鉢底から流れ出るくらいたっぷりと与えましょう。
肥料
2月と実ができる前の5月終わりごろ、実がすべてなった後の9月ごろに油粕などの有機質肥料かハーブや果樹、野菜用の緩効性肥料を施します。
地植えの場合は、肥えた土なら無肥料でも問題なく実が収穫できる場合があります。花つきなどの様子を見ながら与えましょう。
病害虫
果樹の中では病害虫の害が少ない部類です。食べるものなので薬剤はおすすめできません。
つぼみが急に黒くなって枯れたら、バラゾウムシに食べられている可能性があります。黒くて小さな虫でとてもすばしこく、片手でつまもうとすると死んだふりをしたように落下して姿をくらまします。落下することを想定して、片手をつぼみの下に配置して、片手で虫に近づくと手に落ちてくるので捕殺します。
その他、風通しの悪い場所で育てると、カイガラムシがつく場合があります。
ブラックベリーの詳しい育て方
選び方
初夏に実つきの鉢が流通します。葉が緑色でつる先まで生き生きとした鉢を選びましょう。ポット苗で購入した場合は、すぐに植え替えましょう。通信販売では、実がついていない時期でも販売されていますが、秋以降は落葉している可能性があります。
植え付け
11月~2月の落葉期が植え付け適時です。ただしポット苗で購入した場合はすぐに植え替えましょう。
ブラックベリーは生長が早い植物です。大きめなプランターで栽培しましょう。
仕立て方
つる性のため、フェンス、トレリス、支柱などはわせる何かが必要です。アーチ仕立てもできますが、実を収穫するためなら、手の届く高さにつるを仕立てた方が収穫の時に脚立などが必要ないため楽です。
冬はメインの枝だけのブラックベリーですが、春になるとメインの枝のいたる所から脇枝が出てきて開花、花の後に実がなります。
株元から新しく出てくるメインの枝は、初夏から秋までどんどん伸びます。放置していると地面に枝が接地し根付いてしまうので注意しましょう。
剪定・切り戻し
ブラックベリーは、初夏に株元から新しいシュートが出て、その枝から出た脇枝に翌年実がつくというリズムで実が付きます。
実がついた枝は枯れていくので収穫後に剪定します。剪定してよいかがわからない場合は、そのままにしておくと初冬には枝が枯れてくるので、そのタイミングで地際で剪定しましょう。
植え替え・鉢替え
鉢植えは、11月~2月にひと回り大きな鉢に植え替えます。植え替えは2~3年に1回は行いましょう。
花
初夏に開花し、その後、実になります。
収穫
ブラックベリーは、品種によって収穫が始まる時期が若干違います。早なりのものは6月頃から、遅なりのものは7月頃から、それぞれ1か月間くらいにわたって実が収穫できます。実はいっぺんに色づかず、同じ房でも色づくタイミングは違うため、黒くなったものから摘み取りましょう。
黒くなった実を手で触ってぽろっと落ちるものが甘くておいしく、もぎ取るようにして取ったものはまだ酸味が強いので注意しましょう。数日違うだけで甘みがかなり違います。
いっぺんに収穫できるわけではないので、ジャムを作りたい方は収穫した実を冷凍保存して必要量をストックするとよいでしょう。
ブラックベリーを収穫する上でいくつか気をつけたいことがあります。
1.収穫した実は洗わずにストック
収穫したブラックベリーをすぐに食べる時はひと洗いして食べます。冷蔵庫にストックする場合は、洗わずに保存容器に入れて野菜室に保管します。イチゴもそうですが、ベリー類は水で洗うと傷みやすいのが難点です。洗ってストックするとカビやすいので、食べるときに洗うようにします。また、保存できるのは1~2日です。できれば収穫したらすぐに洗って食べるのがベストです。
2.雨の日は収穫しない
上記の理由から雨の日にブラックベリーを収穫すると、実が濡れているので傷みやすくなります。その場で食べるのなら構いませんが、できれば収穫は晴れた日に行いましょう。
3.雨上がりは実をチェック
雨が続くと実がカビることがあります。雨上がりは、カビている実がないかをチェックして、見つけたら取り去って、他の実に伝染しないようにします。
夏越し
ブラックベリーは、夏に来年実がなる枝が株元から伸びてきます。それを放置して土に枝がついてしまうと根付いてしまうので、必ず新しい枝を紐やワイヤーで誘引していきましょう。枝が伸びすぎたら剪定して伸びすぎないように管理します。
冬越し
秋に紅葉した後、落葉します。冬は落葉してつるだけの状態ですが、根は活動しています。鉢植えで育てている方は、水やりを忘れないようにしてください。
実がなった枝は遅くても2月くらいまでに地際で剪定作業を行いましょう。(枯れ枝になるので切るべき枝は一目でわかります。)
今年伸びた枝は翌年の実がなるための大切な枝です。剪定しないように注意しましょう。
増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)
つるを土を入れた鉢の上に置いておくと、葉の下から容易に発根します。発根したら切り離し、鉢に植え付けます。
ブラックベリーの誘引
ブラックベリーはつる性のため、トレリス、オベリスクなど這わせるものが必要です。行灯仕立てで流通しているのが一般的です。植え付け後、初夏に新しいシュートが株元から出てきたら、随時、誘引しましょう。
誘引で一番気を付けたいことは枝を誘引する高さです。
ブラックベリーは、冬の間はメインの枝しかありませんが、春になるとメインの枝の至る所から脇枝が伸び、それぞれの枝の頂点に複数の花が開花し、実になります。
脇枝の丈は20~30センチの短いものもあれば、伸びるものは50センチ以上のものもあります。誘引する時は脇枝が伸びることを考慮し、地植えならメインの枝は1m以上の高さで横に誘引しましょう。あまり低い位置に誘引すると、そこから脇枝が伸びて重さのある実が実ると地面に接地してしまい、泥はねなどで傷んでしまいます。
頂芽優勢 つるは必ず横方向に誘引しよう
頂芽優勢(ちょうがゆうせい)とは、茎の一番頂点の芽を優先的に生長させ、それより下の脇芽の生長を抑えようとする性質のことです。そのため、自然に育てると茎の頂点にしか花が咲かなくなります。ブラックベリーの場合は、メインのつるを上方向に直立させると脇枝がのびないため、つるは必ず横方向に誘引しましょう。横方向に誘引することにより、翌年つるの節から脇枝を伸ばし、それぞれの脇枝の頂点に実を複数つけます。
ブラックベリーの実がなる仕組み
ブラックベリーは、今年伸びたつる(枝)に来年実がなるというリズムで実がなるので、実がなるまでに1年かかります。今年の実は去年伸びたつるにつき、実がついたつるは収穫後、枯死します。
毎年初夏の頃に株元から来年のメインの枝となるつるが伸びてきます。来年実がなるつるなので大切に育てましょう。