山椒(サンショウ)とは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- 山椒(サンショウ)
- 学名
Zanthoxylum piperitum
- 英名
- Japanese pepper
- 和名
- 山椒
- 別名・流通名
- 椒(はじかみ)
- 科名
- ミカン科
- 属名
- サンショウ属
- 原産地
- 日本、中国
山椒(サンショウ)の特徴
山椒(サンショウ)は雌雄異株のミカン科の落葉低木。爽やかな香りは古くから香辛料として親しまれています。樹高は2~5m、葉の付け根に鋭い棘があります。
葉、花、実、木の皮まですべて薬味になり、葉は葉山椒、花は花山椒、実は実山椒(雌株のみ)と呼ばれ、ピリッと舌がしびれるような独特の辛味があり、ウナギの薬味など、さまざまな料理に利用されています。
山椒(サンショウ)の花は、4月~5月頃に黄色の小花が咲き、6月になると雌株には果実が実り始め、9月~10月に赤く色づきます。雄株は花は咲きますが、果実は実りません。果実を実らせるには、雄株と雌株の両方が必要です。
山椒(サンショウ)の詳細情報
園芸分類 | 庭木、落葉 |
---|---|
草丈・樹高 | 2~5m |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | やや強い |
花色 | 黄色 |
開花時期 | 4月~5月 |
山椒(サンショウ)の雑学
室町時代の食物和歌本草増補7巻に、うなぎのかば焼きに山椒(サンショウ)をつけて食べたことが記されています。うなぎの泥臭さを消すと同時に、油っぽさを和らげるので、うなぎと山椒(サンショウ)の組み合わせが定番になったようです。山椒(サンショウ)をうなぎの上にかけると、いきなり山椒(サンショウ)の辛みが口の中を支配してしまうので、最初にうなぎを裏返して山椒(サンショウ)をかけ、戻した上でごはんの温かさで山椒(サンショウ)の薫りをふんわりと香らせると、調和が取れておいしくいただくことができます。
山椒(サンショウ)の栄養
食物繊維、炭水化物、マグネシウム、カルシウム、鉄、たんぱく質、カロテン、ビタミンB1,B2、サンショオール、シトネラース、ジペンテン、リモネン、ゲラニオール、フェランドレンなどが含まれています。下ごしらえは枝がついたまま洗って虫がいた場合は取り除きます。沸騰したお湯で5分ゆでたら1時間水にさらし、アクを取ります。その後、枝を取って調理します。
山椒(サンショウ)の歴史
3世紀後半に書かれた魏志倭人伝に山椒(サンショウ)が自生しているという記述があります。奈良時代ではナルハジカミという名前だったそうで平安時代にはお茶漬けの薬味になっていたようです。室町時代になるとうなぎの薬味として山椒(サンショウ)が使われだしました。原産地は中国という説と日本という説があります。
山椒(サンショウ)の育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
植え付け | ||||||||||||
剪定 | ||||||||||||
開花 |
山椒(サンショウ)の栽培環境
日当たり・置き場所
山椒(サンショウ)は、低い山地の湿り気のある林に自生している植物です。冬から春は日当たりが良く、初夏以降は半日陰程度の湿潤な場所が適しています。
根張りが浅く、乾燥と真夏の強い日差しに弱いので、夏に長時間西日が当たり続けるような場所は不向きです。
用土
乾燥に弱いため、水はけと適度に保水性もある肥沃な土が適しています。
山椒(サンショウ)の育て方のポイント
水やり
地植えは、根付いてからは特に水やりの必要はありません。山椒(サンショウ)は湿り気のある土壌に自生しているので、極端に乾燥が続いた時にはたっぷりと与えるようにしましょう。
鉢植えは、鉢の表面の土が乾いたら、たっぷりと水やりを行います。根張りが浅いので夏場の乾燥には気を付けましょう。
肥料
寒肥として1月~2月に油粕、もしくは緩効性肥料を与えます。その後は、生育に応じて収穫後にも与えましょう。
病害虫
害虫
アゲハチョウの幼虫に葉を食害されることがあります。食欲がすさまじくあっという間に食べつくされてしまうことがあるので、見つけたらすぐに取りましょう。
病気
白絹病というカビの病気になることがあります。感染すると回復は難しいので、なるべく高温多湿の状況を避けて風通しを良くしたり、鉢植えの場合は根詰まりを避けるようにするなど感染させないように気を付けましょう。
山椒(サンショウ)の詳しい育て方
選び方
山椒(サンショウ)の鉢植えは、初夏の頃に最も多く流通します。きれいな葉の苗や鉢を選びましょう。
実は雌株にしか実りません。また、雌株と雌木を植えなければ実がならないので注意が必要です。流通上は、雄株・雌株の記載があるものと記載がないものがあります。
山椒(サンショウ)には鋭い棘がありますが、棘が少ない品種や常緑性の品種も流通しています。
種まき
秋に種をとってすぐまくか、保存して春にまきます。養分が多くて水はけが良い土にまき、本葉がそろったら植え替えましょう。
植え付け
植え付けは、厳寒期を除く落葉期が適時です。山椒(サンショウ)の流通は、3号ポットサイズから出回っています。3号ポットサイズは数年は鉢植えで育て、少しずつ鉢を大きくして苗木を生長させてから地面に下ろしたほうがよいでしょう。
根鉢のサイズの倍程度の幅と深さの穴を掘り、元肥として腐葉土や堆肥(もしくは緩効性肥料)を土に混ぜ込んで植え付けましょう。
植え付けたらたっぷりと水やりを行います。植え付け直後はぐらつきやすいため、しばらくは注意深く様子を見るようにしましょう。
剪定・切り戻し
落葉期に混み合っている枝、勢いよく伸びている枝、木の内側に向かって生えている枝などを根元から剪定し、風通しが良く、木の内側まで日が当たるようにします。
鋭い棘があるので、作業をするときは必ず厚手の手袋をつけて行いましょう。
植え替え・鉢替え
山椒(サンショウ)は植え替えを嫌い、根をいじると枯れるので、植え替えの時は根の周りについている土を落とさず植え替えをしましょう。
花
4月~5月に黄色の小さな花が咲きます。山椒(サンショウ)の花は、酢漬け、塩漬け、醤油煮など、和食に使われます。
収穫
春は新芽、6月~7月は青い果実、10月は熟した実の収穫時期です。
夏越し
山椒(サンショウ)は乾燥と真夏の強い日差しに弱いので、直射日光が一日中当たるような場所に植え付けるのは避け、土を乾燥させすぎないよう注意しましょう。
増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)
種まき、挿し木、接ぎ木で増やすことができます。
挿し木のやり方
1.前年に伸びた若い枝を10~20cm程切ります。
2.上の方の葉を2~3枚残し、他の葉は切り落とします。
3.切り口を斜めにカットして一時間程水につけます。(発根剤を少々混ぜた水につけるとより発根しやすくなります)
4.赤土やバミューライト等、保水力があり水はけの良い土に挿し木します。
5.土が乾かない様に、日陰で管理しましょう。
6.新芽がでたら鉢に植え替えます。