フィロデンドロンとは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- フィロデンドロン
- 学名
Philodendron
- 科名
- サトイモ科
- 属名
- フィロデンドロン属
- 原産地
- 熱帯アメリカ
フィロデンドロンの特徴
フィロデンドロンはサトイモ科に属しており、中南米に多く分布しています。有名なものでは大きく木立ちになるフィロデンドロン・セローム(Philodendron selloum)やヒメカズラ(Philodendron hederaceum var. oxycardium)などがあります。フィロデンドロンは生長につれて気根と呼ばれる根を生やしていきます。気根はフィロデンドロン自身を支えるために使われ、つる性のフィロデンドロンは気根を他の植物や岩などに着生させながら生長していきます。一般家庭ではなかなか難しいですが、大きく生長したフィロデンドロン・セロームなどは圧巻です。また、耐陰性が強く、明るい室内ならば育てることができるため、フィロデンドロンは初心者の方にもおすすめの観葉植物です。葉の模様が美しい品種も多く、コレクション性が高いのも魅力の一つです。
フィロデンドロンの詳細情報
園芸分類 | 観葉植物 |
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草丈・樹高 | ~1m程度 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 強い |
フィロデンドロンの育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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植え付け | ||||||||||||
植え替え | ||||||||||||
剪定 | ||||||||||||
肥料 |
フィロデンドロンの栽培環境
日当たり・置き場所
ビロードカズラは耐陰性があるため暗めの場所でも生長しますが、日当たりの良い場所で管理した方が葉が肉厚で、よく締まった株になります。ただし夏場の直射日光には弱いので、半日陰のような場所で育てると良いでしょう。100均やホームセンターで売られている寒冷紗や遮光ネットを使うと簡単に遮光することが出来ます。遮光の強さは大体30~50%程度が良いでしょう。生長期である春~秋は屋外での管理が望ましいですが、屋内で通年管理する場合はレースカーテン越し程度の光が当たる明るい窓辺などで管理すると良いでしょう。また、エアコンなどの空調の風が直接当たらないように注意しましょう。
温度
フィロデンドロンは低温に弱いので、霜に当たらない様に気をつけましょう。ベランダ等で育てられている方は、肌寒くなってきた位から室内に取り込んで下さい。気温が低くなってくると生長が緩慢になります。
用土
フィロデンドロンは水はけの悪い土を使ってしまうと根腐れを起こしてしまう可能性があります。そのため、観葉植物用の土など出来るだけ水はけの良い土を使うのをおすすめします。自分でブレンドする場合は、観葉植物用の土2:赤玉土1:鹿沼土1の割合でブレンドし、生育環境に合わせて微調整してください。また、土の表面を赤玉土や鹿沼土、化粧砂などの無機質の用土で覆うことでコバエの発生を防ぐことが出来ます。
フィロデンドロンの育て方のポイント
水やり
フィロデンドロンは水が好きな植物です。生長期は土の表面が乾燥していたら水やりをするようにし、場合によっては朝晩2回の水やりを行っても構いません。また、水はけがとても良い土を使い、受け皿などを使って水やりの感覚を調整するやり方もあります。屋外で管理する場合はそのままホースなどで葉にもかかるように水やりをし、屋内の場合は水やりのときに霧吹きなどで葉水を行うことでハダニなどの害虫の発生を防ぐことが出来ます。
寒くなり生長が緩慢になったフィロデンドロンは水を控えめに与えるようにします。目安としては土の表面が乾燥してから2~3日過ぎてからが良いでしょう。ただし、人が生活しているような暖かいリビングなどでは生長を続けるので、水はしっかり与えるようにします。
肥料
基本的に肥料は無くても良いのですが、与えた方が生長が早くなるため、植え替えの時などに適量を混ぜ込むと良いでしょう。 冬場の生長が緩慢になるときに肥料を与えてしまうと肥料焼けをする可能性があるので、春~秋の生長期に与えるようにします。肥料の種類は適切な濃度に希釈した液肥を10日に1回与えるか、緩効性の置き肥を与えてください。 有機肥料ではなく、化成肥料を使うことでコバエの発生を予防することができます。
また、無機質の土で育てていると葉が黄色くなってくる場合があります。害虫や病気による症状も考えられますが、植え替えてから肥料を一回も与えていない場合は肥料不足の可能性があります。その場合は即効性のある液肥を施肥し、少し間をあけてから緩効性の置き肥を与えると良いでしょう。
病害虫
【ハダニ】
黄緑や赤い体色をした0.5mmほどの小さな害虫です。葉の裏側に潜み吸汁します。ハダニに吸汁された箇所は白い斑点状になるのですぐ分かります。そのまま放置しておくと最悪の場合枯れてしまいます。
【アブラムシ】
アブラムシは2~4mmほどの小さな害虫です。幼虫、成虫ともに葉や蕾を吸汁します。群生していることが多く、早めに対処しないと手遅れになる場合があります。
アブラムシはスス病などのウイルス病の媒介者で、吸汁されてしまうとそこからウイルスがフィロデンドンの中に侵入し、病気を発症させます。
また、小さな株は発症しなくても吸汁されたことで体力がなくなり、そのまま枯れてしまう場合があります。
【カイガラムシ】
3mmほどの小さな虫で、白い綿毛のようなものを背負っています。吸汁して生長していくと、身体からワックスなどを分泌し、身体を守ろうとします。カイガラムシに吸汁されると株が弱ってしまい、そのまま枯れてしまうことがあります。
【ナメクジ】
葉や花芽など、食べれる場所ならどこでも食害する性質の悪い害虫です。外に出していると寄ってくる場合があるので、注意してください。大食漢でもあるので、梅雨時などナメクジが発生しやすい時期は夜に見回りをしてください。少し食害された程度なら生長に問題はありませんが、小さい株の場合は葉の大半を食害されたり、生長点を食害されると枯れてしまう可能性があります。
【ダンゴムシ】
柔らかい花芽や新葉、根、発芽したての株を食害します。ナメクジより食害される可能性は低いですが、外で管理しており地面の近くにフィロデンドロンを置いている場合は注意が必要です。
【バッタ】
イナゴなどのバッタは葉の硬さに関係なく食害します。また、食害する量も多いので気付かないでいると手遅れになっていることがあります。割り箸などで見つけ次第捕殺してください。防虫ネットも有効です。
フィロデンドロンの詳しい育て方
選び方
フィロデンドロンを買う時は必ず病害虫に注意してください。ハダニやアブラムシ等が付着している株を買ってしまうと後々フィロデンドロンが弱ってしまったり、最悪の場合他の植物へ付着してしまう可能性があります。
種まき
種はほとんど流通していないので挿し木で増やします。勢いのある茎を2~3節分に切り、赤玉土や挿し木用培養土に挿しておきます。
植え付け
フィロデンドロンの植え付けは5月~9月の暖かい時期に行うのがおすすめです。 7月以降に植え付けを行う場合は猛暑日は避けるようにします。根が出ていない場合は、根が出るまで常に土が湿っているようにしてください。
剪定・切り戻し
切れ味の良いハサミやナイフを使ってフィロデンドロンの古くなった葉や茎を剪定し、通気性を良くしてください。剪定は生長期の後半か、生長期が終わった後に行うのがおすすめです。
植え替え・鉢替え
フィロデンドロンの植え替えは初夏から夏が適期ですが、真冬以外なら大丈夫です。「観葉植物の土」で育てられます。鉢底から根が見えたら植え替えましょう。
夏越し
屋外で育てる場合、猛暑日は日陰に移動してください。30%~50%程度の遮光をすると葉焼けを防止することが出来ます。水やりは土の表面が乾いたら夕方~夜にたっぷり与えてください。午前中に行うと土の中の水分温度が上昇し、根に負担をかけてしまいます。 活力剤を1000倍に希釈して水やりの2~3回に1度のペースで行うと夏バテを防止できます。
冬越し
気温が低くなったら生長が緩慢になるので、水やりを土が完全に乾燥してから行うようにしてください。霜に当たると枯れてきてしまうので、霜に当たらないように肌寒くなったら室内に入れるか、温室内でファンヒーターなどを使って保温してください。ファンヒーターなど暖房器具を使う場合は火事に注意してください。
増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)
フィロデンドロンは挿し枝で増やすことができます。2~3節程度切り取ってミズゴケや赤玉土に植えましょう。根が出るまでは乾燥しないように注意します。