世界の植物紀行 – 四代目金岡又右衛門 –スペインで生産されているアガベ・マンガベ【後編】
LOVEGREEN編集部
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今回は、アガベの近縁種であり、人気が高まってきているマンガベについてお話を……。
目次
マンガべとは
読者の皆様の中にはマンガベって? という人もいるかと思うので、簡単に紹介しよう。
まずマンガベは、アガベとアガベの近縁の植物であるマンフレダとの交配種であり、マンフレダの“マン”+アガベの “ガベ”をとってマンガベであろう。初めて聞く人にとっては、へぇ~~~という感じで、わかりやすいような、わかりにくいような名前である。なぜ、アガレダかアガフレダにならなかったのかは発音の問題なのかもしれないと勝手に思ったりしている。
そしてその見た目は交配種らしく、マンフレダ特有のまだら模様や比較的柔らかな葉の質感がアガベに加わったような感じである。性質は比較的似ていて、個人的には双方の個性の良いところが出ているのではないかと感じている。
スペインで栽培されているマンガべ4選
今後はアガベ同様に人気が高まり生産量も多くなってくると思っている段階なので、まだまだ少ない情報しか持ち合わせないが、敢えてアガベに続くこの機会に紹介させていただくことにする。
マンガベ・ムーングロウ
マンガべの特徴的な、まだら模様がはっきり出ており、地を這うような背の低さが魅力的。
マンガベ・インクブロット
まだら模様と真っすぐ放射線状に伸びる葉がとても美しい。
マンガベ・ホエールテール
アガベに近く感じる形状でうねりのあるシルバーの葉が美しい品種。
マンガベ・フォーリンウォーターズ
ウェーブがかった葉が愛らしく、他人には思えない又右衛門のお気に入り品種である。
この他にも、シルバーの葉が放射線状に真っすぐ広がる美しい品種で、特に女性は好むのではないだろうか?と思われるマンオブスチールや、バッドヘアデイなどが栽培されているのと、順次新しい交配もされているので今後が楽しみである。
最近では、アガベや前々回こちらで紹介したユッカ類を用いたローメンテナンスであるドライガーデンの人気が高まってきている。
ユッカ類は基本は上へ上へと生長する高さを出せる植物。そこにアガベが加わると背が低く、こんもりした形状であるために高低差を出せてデザインがしやすい。さらに、地を這うように拡がり、ユッカ類やアガベにはない褐色やまだら模様の配色のマンガベは、互いの良さを引き立てて相性がいい。ガーデンのアクセントにもってこいの植物ではないだろうか?
また、きつい棘ではないため、子どもが多く集まる場所などでも比較的安心して使えるであろう。しばしば冬には葉が傷んでしまうことがあるが、夏季には新しい葉が展開し、多湿にも耐える報告もあることから日本の気候に比較的順応できるといえる。
これからもこのような魅力的なマンガベは引き続き注目していきたいと考えているので、続報が入れば何かの機会でお届けしたいと考えているので、お楽しみに。
最後に
現在ではスペインでのアガベ・マンガベ生産は数社が手掛けているが、研究・培養施設を保有し品種改良しながら、適地で品質の良いものを栽培しているナーセリーはごく一部である。そのため、そのようなナーセリーには世界各国からの引き合いが強く、高品質を求める日本のバイヤーも植物の確保には一苦労である。さらに昨年あたりからヨーロッパでアガベ類の人気がさらに高まっている。その需要は日本の数十倍とのこと。品種によっては数年先までのオーダーが入っている状況らしく、ここしばらくは品薄が予想され、エンドユーザーの皆様の手が出しやすい価格にはもう少し時間がかかるかもしれない。
このような背景により、日本での安定的な供給のためには、生産者はスペインで用意されたメリクロン苗を日本で栽培するという形も一手であろう。実際に苗で輸入すれば現在の輸送コストを明らかに低減できる。しかしながら生産コストは日本での栽培の方が高くつくのと、生長スピードもスペインには劣るであろう。どちらが良策かは一概には言えないが、商品の確保という目的であれば、うまくスペインのナーセリーと連携し、日本での栽培を検討していくことも対策の一つになるのではないだろうか。またエンドユーザーにとっては、小さな苗から育てていくことを楽しみと感じていただける仕組みをつくれば、少々小さな苗でも喜んでいただけるのではないかと考える。
いずれにしても、ドライガーデンの主役からアクセントまで、また室内のインテリアとして人気があるアガベ・マンガベ類はこれからも人気は続きそうである。
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