世界の植物紀行 – 四代目金岡又右衛門 –マダガスカル編5「モロンベ旅行記(前編)」
LOVEGREEN編集部
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さて今回は、再びバオバブに会うためにモロンベに行ったときのことを書かせていただく。モロンベには空港があり、アンタナナリボから飛行機で行くことができるので、モロンベのユニークなバオバブだけを紹介させていただくのも簡潔で良いかもしれないが、それでは観光ガイドっぽくなってしまう。そこで、私は他の植物にも興味があるため、ちょっと無理してチュレアールから車で往復してきた2日間の強行軍での見所や出会えた植物について旅行記のような感じで3回に分けて紹介させていただく。
目次
チュレアールを出発
この日は朝7時にチュレアールのホテルを出発。悪路を約12時間走り、モロンベに到着する予定である。用意された車はランドクルーザー。少し贅沢な車のようにも感じられるかもだが、このような車でなければ、走破できないので必須条件である。
まずは街の中心部を、牛車やバスなどとすれ違いながらすり抜けるように車を進ませる。
アンタナナリボはマダガスカルの首都なので、当然この辺りは道が整備されている。しかし、行き交う人も多いため簡単には進めない。現地の人たちの生活を垣間見ることができて勉強になる。
街を抜けると一転、自然観満載である。自生するアガベなどが目に飛び込んでくる。徐々にテンションが上がっていく自分がわかる。
さらに車を走らせていくと今回の移動で初めての大きなバオバブに遭遇。これはフニィという種になる。とても魅力的な形をしている。
また近いところにパキポデュームを見つけることができた。これはラメリー。これはかなり大きい。一瞬バオバブと見間違うぐらいである。この辺まで来ると、もうテンションは最高潮近くまで達しかけていた。
またパキポデューム近くに、実のなったサボテンがあり、ガイドの勧めもあり、せっかくなので食すことにした。
本来ならきちんとグローブをつけて触るべきところ、あまり時間がなかったのとお腹が空いていたのも手伝って、車に取りに行くことを怠ったため、案の定サボテンから制裁を受けてしまった。このサボテンの棘はとても細かく容易に刺さる。さらに肉眼では取り切れず、手のひらや唇までチクチクする。おかげで登りつめかけたテンションは一旦かなり低くなり、少しうつむき加減で目的地に向かうことになった。
途中では幾度も村人とすれ違い、多くの人が笑顔で手を振ってくれる。とても温かい気持ちになり、痛みはあるものの気持ちは上向きとなる。又右衛門はかなりわかりやすい生き物である。
途中でランチタイム。持参したランチボックス。チキンにゆで卵、ふかしジャガイモ。シンプルでおいしい。お腹を満たし、大草原でトイレ休憩をして、またひたすら走る。ちなみに女性の方にお伝えしておくが、このような移動ではトイレはないため、草原にて用を足していただかなければならないので、その心構えが必要である。
途中バオバブを横目に見ながらひた走る。少しバオバブがある光景に慣れてくる。
感動の再開
さらに車を走らせ、ホテルCALIFORNIAにてドライバーさんの休憩をとることにした。
今回関西空港から私と同行の谷さんは、10年前にこの地を訪れたとのこと。その時撮った写真を日本から持参されており、皆さんに見せていた。殆どの人がこの地を離れていなくなってしまっていたが、ある村人が写真に写っている子を知っていると言って、一人の青年を連れてきた。
青年が写真を目の前に、照れながら喜んでいる。その光景を嬉しそうに眺め、再びまたシャッターを下ろす谷さんの姿がとても感動的であった。
バオバブの林立
そのような感動の再会を果たし、再び車を走らせ、出発から約8時間。圧巻の光景が目に飛び込んできた。
バオバブの林立である。凄いと言って良いのか?美しいと言っていいのか?言葉が見つからない光景であった。
ここのサイズは、マダガスカルでは2~3番目の大きさとのこと。迫力満点である。この光景をもっと多くの人に見てもらいたいが、時間の余裕がないと厳しいかと思う。でもせっかくならば行かれることをお勧めする。
お勧めしておきながら、反面、多くの人が訪れるとこの素敵な光景が人の手で崩れてしまわないかと心配になってくる。そのような複雑な思いもしながら、しばしこの光景に釘付けになってしまった。
そして後ろ髪をひかれる思いで、再び目的地モロンベをめざし、出発から約13時間。日が沈みしばらくして宿泊地その名もHOTEL BAOBABに到着した。
到着後、まずはチェックイン。そして部屋に入る。お馴染みの蚊帳がつってある。荷物を置いて、簡単な食事の前に、さっとシャワーを浴びようとしたが、お湯は出なくて水であった。よくあることである。
また食事中には停電。これもまたマダガスカルではあたり前と思っていいほどのことである。食事中はローソクをともしながら趣のある時間となった。
その後部屋に戻り就寝の準備を行う。私は蚊帳が少々苦手で、手繰り寄せてしまい蚊が入る隙間を作ってしまいがちなのでスタッフに用意してもらった蚊取り線香を取り出すことにした。
日本から持参した蚊取り線香はこれ。約2時間持続可能なものである。私は常に移動するので携行しやすいものをわざわざ用意してくれたのであろう。その配慮はとてもありがたいのではあるが、今回は部屋用であったので少々時間が足らない。普通の蚊であれば刺されても気にはしないが、この辺りはよく知られたマラリアの発生地域であるので細心の注意が必要で、朝まで蚊取り線香は絶やさないほうが賢明である。しかし私の持ってきたものは2時間用なのでその度につけ、朝まで幾度か繰り返すことになった。父が亡くなった時にお寺に泊まり込んでお線香の番をしていたことが思い出された。
そんなちょっとしたハプニングもありながら、無事翌朝目覚めることができた。 今はシュッとひと吹きで朝まで蚊を寄せ付けない強力な殺虫剤もあるので、ぜひ国内持ち込みOKの際は携行をお勧めします。効果絶大です。
さて次回はモロンベの息を飲むようなバオバブを紹介しますのでお楽しみに。
PROFILE
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四代目金岡又右衛門
「世界の感動を日本に。日本の感性を世界へ。」 まだ見ぬ植物との出逢いを求め、世界を奔走する金岡又右衛門。世界各国に拡がるネットワークと持ち前の行動力を駆使し、希少性の高い植物を求め、自らの足で直接現地に赴き目利きをし、日本に紹介している。植物と大地への尊厳の念を持ち、植物の”生”へのこだわりを第一とする活動スタイルは、国内外の専門家から高く評価され、業界からの信頼も厚く、植物貿易の第一人者と評価される。
Facebook/人と人、国と国を繋ごう。
HP/緑匠・又右衛門
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