スパティフィラムとは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- スパティフィラム
- 学名
Spathiphyllum
- 英名
- peace lily
- 和名
- 笹団扇(ササウチワ)
- 科名
- サトイモ科
- 属名
- スパティフィラム属
- 原産地
- 熱帯アメリカ
スパティフィラムの特徴
スパティフィラムは熱帯アメリカの多年草で、アンスリウムやカラーなどと同じサトイモ科に属しています。仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる、一見花びらのように見える白い部分は、葉の一部で花ではありません。仏炎苞に包まれた黄色い部分のことを肉穂花序といい、これがスパティフィラムの花です。
小型種から大型種まで様々な品種がありますが、日本で作出されたスパティフィラム・メリーが一般的に多く流通しているようです。
寒さに弱いので、基本的には鉢植えで育てて室内の明るい場所で管理します。日光が強すぎると白い花が緑がかり、花付きが悪くなります。夏の間の気温が高い時期であれば、屋外の涼しい日陰~半日陰で花を楽しむこともできます。肥料を好み、施肥が足りないと花付きが悪くなることがあります。
スパティフィラムの詳細情報
園芸分類 | 観葉植物 |
---|---|
草丈・樹高 | 30~80cm |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | あり |
花色 | 黄色(仏炎苞は白) |
開花時期 | 5月~10月 |
スパティフィラムの栽培環境
日当たり・置き場所
【屋外】
春~秋にかけては屋外で育てることができますが、夏の直射日光を当ててしまうと、刺激が強すぎて葉焼けを起こしてしまうので、30%~70%の遮光が必要です。遮光率はそれぞれの環境に合わせて調整してください。
気温が高ければ高いほど葉焼けは起きやすくなるので、40℃を超える場合は日陰に移すことをおすすめします。
遮光するときに遮光ネットや寒冷紗を使用すると簡単に遮光することができます。遮光ネットと寒冷紗はホームセンターや園芸店だけでなく、100均でも購入することが出来ます。
【屋内】
耐陰性があるので、屋内でも育てられます。しかし、日光がよく当たった方が健康な株になるので、なるべく日光が当たる場所に置きましょう。
室内でも直射日光を当ててしまうと葉焼けを起こしてしまうので、レースのカーテン越し程度の日光を当てて下さい。
【置き場所】
耐陰性もあるため、室内の日光が入る場所なら育てられます。 エアコンなどの風が直接当たると葉が傷んでしまうので、直接当たらない場所に移動させましょう。
温度
寒さに弱いため、気温が15℃前後になると生長が緩慢になります。外の気温が15℃ぐらいから室内に取り込みましょう。
用土
スパティフィラムは水はけの良い土を好みます。水はけが悪い土を使うと根腐れを起こすことがあるので注意が必要です。
自分でブレンドする場合は、観葉植物用の土4:赤玉土1:鹿沼土1の割合でブレンドし、生育環境に合わせて微調整してください。
また、土の表面を赤玉土や鹿沼土、化粧砂などの無機質の用土で覆うことでコバエの発生を防ぐことが出来ます。
スパティフィラムの育て方のポイント
水やり
スパティフィラムは気温が低くなると休眠するので季節や気温(室温)によって水やりのタイミングを変える必要があります。
【気温が15℃以上のとき】
主に春~秋の生長期では土の表面が乾燥したらたっぷりと水を与えるようにします。
【気温が15℃以下のとき】
スパティフィラムは気温が15℃前後を下回ると生長が緩慢になります。そのため、水をあまり必要としなくなるので、水やりの回数を減らします。具体的には、土の表面が完全に乾燥してから2~3日後に水やりをしてください。
スパティフィラムを乾燥させて樹液の濃度を高めることで耐寒性を上げる事が出来ます。
水やりの回数を減らすことでスパティフィラムの葉が落ちるような場合は、水やりの回数を増やすなど調整しましょう。
【葉水】
葉水は乾燥を防ぐだけでなくハダニやアブラムシなどの害虫を予防する意味もあるので、毎日1回は霧吹きなどで行いましょう。
スパティフィラムは葉にホコリが積もりやすいので、葉水のときに濡らしたティッシュペーパーか、ハンディモップを使って拭きましょう。
肥料
施肥を行うことで花付きが良くなります。
冬場の生長が緩慢になるときに肥料を与えてしまうと肥料焼けをすることがあるため、春~秋の生長期に与えるようにします。
病害虫
病気は特にありません。
害虫は、ハダニやアブラムシ、カイガラムシが発生することがあります。見つけたらすぐに対処しましょう。
【ハダニ】
黄緑や赤い体色をした0.5mmほどの小さな害虫です。葉の裏側に潜み吸汁します。ハダニに吸汁された箇所は白い斑点状になるのですぐ分かります。そのまま放置しておくと最悪の場合枯れてしまいます。
【アブラムシ】
アブラムシは2~4mmほどの小さな害虫です。幼虫、成虫ともに葉や蕾を吸汁します。群生していることが多く、早めに対処しないと手遅れになる場合があります。
アブラムシはスス病などのウイルス病の媒介者で、吸汁されてしまうとそこからウイルスがスパティフィラムの中に侵入し、病気を発症させます。
また、小さな株は発症しなくても吸汁されたことで体力がなくなり、そのまま枯れてしまう場合があります。
【カイガラムシ】
3mmほどの小さな虫で、白い綿毛のようなものを背負っています。吸汁して成長していくと、身体からワックスなどを分泌し、身体を守ろうとします。
カイガラムシに吸汁されると株が弱ってしまい、そのまま枯れてしまうことがあります。
スパティフィラムの詳しい育て方
選び方
スパティフィラムを選ぶときは、害虫がついていないか確認しましょう。ハダニやアブラムシ等が付着している株を選んでしまうと、後々株が弱ってしまったり、最悪の場合他の植物へ付着してしまう可能性があります。
植え付け
植え付けは5月~9月の暖かい時期に行うのがおすすめです。 7月以降に植え付けを行う場合は猛暑日は避けるようにします。
剪定・切り戻し
スパティフィラムは春~秋が生長期にあたるので、春~秋の間に剪定します。
古葉や不要な葉が風通しを悪くしている場合は、思い切って剪定してしまうことをおすすめします。
サトイモ科の樹液に触れてしまうと体質によっては皮膚がかぶれてしまうことがあります。ゴム手袋などをして触れないようにしてください。触れてしまった場合は、流水でよく洗い流しましょう。
剪定した葉は切り花として飾っても美しいです。
植え替え・鉢替え
スパティフィラムは、植え替えをしないでいると鉢が根でパンパンになって根詰まりを起こすため、1~2年に1度1回り大きい鉢に植え替えをする必要があります。
鉢底に鉢底石を入れ、水はけの良い土を使って植え替えましょう。植え替え時期は5月~9月頃が最適です。
花
白い仏炎苞に包まれるように、黄色い肉穂花序の花を咲かせます。
夏越し
30%~70%程度の遮光をすると葉焼けを防止することが出来ます。
屋外で、気温が40℃以上になった場合は日陰に移動しましょう。
夏の水やりは、土の表面が乾いたら夕方~夜にたっぷり与えます。午前中に水やりをすると、暑くなり煮えてしまいます。
水やり2~3回に1度のペースで、活力剤を1000倍に希釈して与えると夏バテを防止できます。
冬越し
気温が15℃以下になったら生長が緩慢になるので、水やりは土の表面が完全に乾燥してから2~3日後に行うようにしてください。
気温が5℃を切ると枯れてしまうので、切らないように15℃前後になったら室内に取り入れましょう。
増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)
スパティフィラムは株分けや挿し木で増やすことが出来ます。
株分けは、植え替えの時に一緒に行うのがおすすめです。
挿し木は、5月~7月頃に節を2~3節程度残してミズゴケか小粒の赤玉土に植え込み、用土を常に湿っている状態にします。発根したら植え替えに使う水はけの良い土に植え込みます。挿し木のときに葉が残っている場合は葉を半分~1/3程度残して切り取ると、葉を切ることで蒸散(葉から水分が出ていくこと)を軽減することができます。