「Radiant Green Garden」のガーデナー青木真理子 / 東北で物語のあるナチュラルガーデンを作る
小野寺葉月
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今回のボタニカルピープルは、山形を中心にフリーのガーデナーとして活動されている「Radiant Green Garden」のガーデナー青木真理子さんにお話を伺いました。
プロフィール
■名前: 青木真理子
■ニックネーム: みどりちゃん
■職業: ガーデナー
■出身地: 山形
■活動拠点:山形がメインの東北
■受賞歴:第18回 国際バラとガーデニングショウ 2016 優秀賞
2017年ウインターガーデニングショーinにいがた 来場者人気投票第一位
自己紹介をお願いします。
フリーのガーデナーをしています。家業は魚屋で、高校は通信制に通っていたので日中仕事ができる花卉生産のアルバイトを始めたことが植物との出会いです。花卉生産の仕事を継ぐ選択肢もあったのですが、花卉生産は本当に大変な仕事なので勤まらない気がして。独学で20歳から庭を作り始めました。今は東北メインで個人庭や店舗の植栽のお仕事をしたり、年2回くらいコンテストに出たりしています。
スタートは自宅の庭から
最初庭に好きな植物を植えたら全然育たなくて、何が駄目だったんだろう? などということは全部インターネットで調べました。土壌改良して土を全部変えて、株が大きく成長した植物は植え替えや入れ替えをして、作り始めて4年ほどである程度、庭として完成しました。現在はほとんど手を入れなくても勝手に保たれる状態になっています。
自分の家の庭をこじゃれた風に作ろうとは思っていません。例えば庭でカフェ風の…アイスコーヒーとかスコーンではなく、お父さんが出すのは普通の和食と、ペットボトルの飲み物とか缶コーヒーとかなんです。カッコつけられない(笑)。お庭でお酒を飲んだり、ご飯を食べて家族でくつろげるようにに出来たらいいなと思って。
コンテストに出ることになった経緯を教えてください。
自分の家の庭で作るものがなくなったからです(笑)一通り庭で「あれやりたい! これありたい! 」ということをやりつくてしまったんです。東北だと実現できないアイデアや使えない植物を形にできるので、「よし、(コンテストに)出よう! 」と思って。年2回くらい出るんですが、準備にぜんぜん時間をかけられなくて…いつもぎりぎりで仕事をしているので、周りの人に助けていただいてます(笑)。植物も現地調達したりして。予算も大体で組んでます。どうせ計画よりは多くなってしまうので(笑)
デザインが自由だから毎回すごく楽しいです。貝塚造園さんともコンテストで知り合って仲良くなって、前回一緒に作品を作りました。コンテストはそういう出会いがあるから楽しいです。
コンテストの場合は、お庭を作る前にどんなお庭がいいかをイメージします。次にそのイメージに合った小物を揃えていきます。するとそこに物語が出てくるんです。物語に沿ったキャラクターも出てきます。じーちゃんとばーちゃんが2人で庭を作りながら暮らしていて、この椅子で休憩して…というようなイメージ。
東北でのお庭づくりについて教えてください。
植物の本で品種別に「耐寒性がない」と書いてあっても、自分の家で実験したら越す場合もあるので、全部自分の家の庭で試してみています。自分の庭が実験台ですね。オリーブやアカシア、プロテアやセルリアなどは外では絶対冬越しできないです。東北でも太平洋側だったら冬越しできる場合もあるのですが、日本海側は難しいですね。東北の中でも全く気候が違うんです。仙台市内は風が強くて雪が積もらない分、雪が積もってるところよりも体感は寒いですからね。雪が積もっているところのほうが暖かいですよね。
山形はどの家も庭が広いのですが、庭で一番過ごす時期は6月ごろじゃないでしょうか。夏は盆地なのでまた暑いんです。庭に出られる期間が少ないこともあり、庭で過ごせる季節は気づくと家族全員庭にいたりします。冬の間はずっと雪です。12月から3月ごろまで積もって4月中旬に雪が全部なくなるくらい。仕事の上でも雪に耐えられる、寒冷地仕様のお庭を提案するのが得意です。
ローメンテナンスのお庭とはどんなものですか?
基本的に植え替えや、植物を足すことのないお庭です。人が手を入れなくても、庭の植物が自分たちで生長して空いたスペースをカバーしていくような気がします。庭で倒れてる草があっても、あまり気にしないです。生き残る子は生き残る子だし、死ぬ子は死ぬ子なので。生き残った子だけで構成されている庭だから、管理が楽なんです。
今は自宅の庭は植え替えは全くしない。足したりもしない。全部宿根草と多年草でできているので。何かが枯れてもグランドカバーでカバーできるんです。宿根草と多年草は冬になると地上部が枯れてしまうのですが、雪が隠してくれるので気にならないんですよね。雪がない地域は地上部が枯れてると目立つってしまうため、東北だからこのやり方が出来る、ということでもあるのですが…
お庭って水やりしなくても生きるんです。植物の特性さえわかっていれば、将来これぐらい大きくなるだろうとか、株がこれぐらい広がるな、など先のことがわかるようになります。除草はしなくていいように最初に考えて庭を作ります。グランドカバーはたくさん使います。
寄せ植えに使った植物が庭のあちこちにはびこって「なんか多いな~? 」と思ったりします。ドクダミもいっぱい出ちゃうと大変だけど、ちょっと隅のほうに生えてたりすると「あ、かわいいな」って新しいかわいさに気が付いたり。
病害虫についてはどう考えてお庭を作っていますか?
去年はうどん粉病がバラなどにもかなり出てしまったのですが、実際にはあまり気にしてませんね。病害虫に強い苗を最初から選ぶことが大切です。品種選び間違えてしまうと大変ですよね。
庭を作り始めたころに何もわからなくて、花を見て選んだ品種は今も管理に苦労してます。目隠し用に大きくなりそうな株を選んだらあまりにも大きくなっちゃって困ったりとか・…(笑)やっぱり最初にある程度計画しないとだめだな! と思いました。
青木さんにとって、お庭とは何ですか?
どういうふうに手をかけたいか、庭を含めたどういう暮らしをするか。
「庭=暮らし方」
暮らしの負担にならない庭が私はいいと思うんですよね。花がらをいちいち摘まなくても、いつも花が咲いてなくても、庭で四季を感じられれば十分じゃないかと。
「なくてもいいけど、あったらいい」
「庭のある暮らし」が当たり前になったら、庭がない生活にはもう戻れないと思います。
庭がない場合はまず緑の中に椅子をおいてみることをおすすめします。椅子を置くだけでくつろげるので。自宅の庭にはたくさん椅子が置いてあります。朝はこっちの椅子、日当たりが変わってきたらこっち。隠れたいときはこっちの木陰…。そんなふうに、公園や庭園に行ってもベンチありますけど、日当たりが良すぎて暑くて座れないこともあるじゃないですか。なのでレジャーシートでも椅子でも持っていって緑の中でくつろいでみるととってもいいと思います。
これから取り組んでいきたいことや夢などあれば教えてください。
理想はDASH村みたいな暮らしがしてみたいです。小麦を育ててみたい。古民家を改装して、おしゃれじゃなくっていいので、心地いい暮らしができるように。
家の前には大きな木があるので、そこにツリーハウスをつけたり、木の太い枝にはブランコをつくったり、川を引いてきて果物と野菜冷やして食べたり、そんな自然に寄り添った心地のいい暮らしがしたいです。
青木真理子さん、ありがとうございました!
やりたいこと、実現させたいことがたくさんある青木さん。これからたくさんのお庭を作りながら、素敵なお庭を作り続けて行ってほしいです!
青木真理子さんのWEBをチェック!
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