キンポウゲ科の植物一覧|可憐な花から美しく個性的な花まで
山田智美
このライターの記事一覧
キンポウゲ科の植物をどれくらいご存じですか?花のフォルムや咲き方など、種類は多様。キンポウゲ科の植物を属ごとに分類して、画像とともに紹介します。いつまでも眺めていたくなるような美しい花をご覧ください。
目次
- キンポウゲ科とは?基本情報と特徴
- イチリンソウ(アネモネ)属
- オウレン属
- オダマキ属
- オキナグサ属
- カラマツソウ属
- キンポウゲ(ラナンキュラス)属
- クレマチス(センニンソウ)属
- クロタネソウ(ニゲラ)属
- サラシナショウマ属
- シラネアオイ属
- セツブンソウ属
- チドリソウ属
- デルフィニウム属
- トリカブト属
- ヒメウズ属
- ヘレボルス(クリスマスローズ)属
- フクジュソウ属
- ミスミソウ属
- リュウキンカ属
- レンゲショウマ属
キンポウゲ科とは?基本情報と特徴
- 学名:Ranunculaceae
- 分類:双子葉類 キンポウゲ目 キンポウゲ科
キンポウゲ科は、東アジアの温帯を中心に世界に約60属あるといわれます。その中でも約20属が日本に自生しています。
キンポウゲ科の植物は、多くは多年草ですが、一年草やつる植物、木になるものもあります。この特徴や遺伝子解析などさまざまな理由をもとにグループ分けされているのが「属」です。イチリンソウ属やオダマキ属、キンポウゲ属、トリカブト属など、同じキンポウゲ科の植物でも属が違うと特徴や花の形状まで違うから不思議なものです。
キンポウゲ科の特徴
キンポウゲ科の花は、一部の種類を除き、ほとんどが花びらを持たないという特徴があります。花びらのように見える部分はがく片が変化したものです。
ガーデニングの花や切り花、身近な場所で見かける野草、ちょっとめずらしい山野草、薬草や毒草など、わたしたちにとっての役割も様々です。
イチリンソウ(アネモネ)属
イチリンソウ属は、世界中に150種以上が分布すると言われている多年草です。イチリンソウやキクザキイチゲのような山野草から、アネモネやシュウメイギクのようなガーデニングや切り花で愛されるものまで多様です。
アネモネ
- 学名:Anemone coronaria
- 花期:2月~5月頃
アネモネは、花色、咲き方共に美しく、ガーデニングや切り花で人気の多年草です。
アネモネ・シルベストリス
- 学名:Anemone sylvestris
- 花期:4月~10月
アネモネ・シルベストリスは、原種系のアネモネ。春咲きシュウメイギクという別名もあります。野花を思わせるような可憐な花を咲かせます。
アネモネ・バージニアナ
- 学名:Anemone virginiana
- 花期: 5月~6月
アネモネ・バージニアナは、初夏に咲く多年草。白く小ぶりな花がかわいらしいアネモネです。
イチリンソウ
- 学名:Anemone nikoensis
- 花期: 4月~5月
イチリンソウは、日本の山野に自生している多年草。白く可憐な花を1輪咲かせるからイチリンソウと名付けられましたが、2輪咲くこともあります。
ニリンソウ
- 学名:Anemone flaccida
- 花期: 4月~5月
ニリンソウは、日本の山野に自生している多年草。白く可憐な花を2輪咲かせるからニチリンソウと名付けられましたが、1輪や3輪咲くこともあります。
シュウメイギク
- 学名:Anemone hupehensis var. japonica
- 花期: 9月~11月
シュウメイギクは、秋に咲く多年草。秋風にそよぐ姿は、優雅で風情があります。
キクザキイチゲ
- 学名:Anemone pseudoaltaica
- 花期:3月~5月
キクザキイチゲは、山野に自生する多年草。早春に、草丈低く真白で可憐な花を咲かせます。
オウレン属
オウレン属は、アジアやアメリカに約10種分布する多年草です。オウレンという名前の由来は根が黄色いことにちなみます。
バイカオウレン
- 学名:Coptis quinquefolia
- 花期:2月~3月
バイカオウレンは、早春に小さな白い花を咲かせる多年草。草丈低く、群生する姿は見事です。名前の由来は、花が梅の花に似ているからだと言われています。
セリバオウレン
- 学名:Coptis japonica var. dissecta
- 花期:2月~3月
セリバオウレンは、早春に小さな白い花を咲かせる多年草。セリバオウレンという名前は、葉がセリの葉に似ていることにちなみます。
オダマキ属
オダマキ属は、北半球を中心に約80種が分布している多年草です。先端がつぼまり、後ろに突き出したようなフォルムの花が特徴です。オダマキの他にミヤマオダマキ、西洋オダマキなどがあります。
西洋オダマキ
- 学名:Aquilegia vulgaris
- 花期:5月~6月
西洋オダマキは、花色が豊富で、咲き方も一重から八重咲きなどがあります。ガーデニングや切り花で人気の花です。
ミヤマオダマキ
- 学名:Aquilegia flabellata Var. pumila
- 花期:5月~6月
ミヤマオダマキは、標高の高い山か冷涼な地域に分布しています。一般的なオダマキよりも草丈が低いのが特徴です。
ルリオダマキ
- 学名:Aquilegia sibirica
- 花期:5月~6月
ルリオダマキは、シベリア原産の多年草。山野草として流通しています。
オキナグサ属
オキナグサ属は、北半球の温帯に約30種分布する多年草です。全草に産毛のような細かい毛があるのが特徴です。
オキナグサ
- 学名:Pulsatilla cernua
- 花期:4月~5月
オキナグサは、深い紫にも焦げ茶にも見える色合いが美しい多年草。オキナグサ(翁草)という名前の由来は、花の後にできる白いふわふわとした種を老人の白髪に見立てたからだと言われています。
カラマツソウ属
カラマツソウ属は、アジア、アメリカ、南アフリカなどに約130種分布し、日本には約15種が自生している多年草です。シキンカラマツやツクシカラマツなどが有名です。
タリクトラム・デラバイ
- 学名:Thalictrum delavayi
- 花期:7月~8月
タリクトラム・デラバイは、洋種カラマツソウとも呼ばれる多年草。花色は白やピンクがあります。
ツクシカラマツ
- 学名:Thalictrum kiusianum
- 花期: 6月~8月
ツクシカラマツは、淡い紫がかったピンクの花を咲かせる多年草。風に揺れる姿が可憐で人気のある山野草です。
キンポウゲ(ラナンキュラス)属
キンポウゲ属は、世界中に400種以上が分布する多年草、あるいは一年草です。園芸種の多くは、学名のRanunculus(ラナンキュラス)の名で流通しています。
日本にもウマノアシガタやミヤマキンポウゲ、キツネノボタンなどが自生しています。
ウマノアシガタ
- 学名:Ranunculus japonicus
- 花期:4月~6月
ウマノアシガタは、明るい黄色の花を咲かせる多年草。日本各地に自生しています。
ラナンキュラス
- 学名:Ranunculus asiaticus
- 花期: 3月~4月
ラナンキュラスは、春に色とりどりの花を咲かせる多年草。ガーデニングや切り花で流通しているラナンキュラスです。
花は色とりどりの八重咲きで豪華なものの他に、一重咲きや、花が小ぶりな原種系など、たくさんの種類があります。
ラナンキュラス・ゴールドコイン
- 学名:Ranunculus repens ‘Gold coin’
- 花期:4月~5月
ラナンキュラス・ゴールドコインは、春に小さな黄色の花を咲かせる多年草。草丈低く、広がっていくのでグランドカバーに向いています。
クレマチス(センニンソウ)属
クレマチス(センニンソウ)属は、世界中に300種以上あるとも言われています。花の美しさ、つる性の優美さが愛され、たくさんの園芸種が作出されています。多くはつる性ですが、木立性のものもあります。
クレマチス
- 学名:Clematis
- 花期:品種による
クレマチスは、センニンソウ属の総称。フロリダ系のような大輪咲き、テキセンシス系やヴィオルナ系のようなベル咲き、インテグリフォリア系のような木立性、フォステリー系のような常緑性、アンスンエンシスやシルホサのような冬咲きなど、品種により咲き方、咲く時期、特徴が違います。
センニンソウ
- 学名:Clematis terniflora
- 花期: 7月~9月
センニンソウは、原種のクレマチス。夏に白い花を咲かせます。
クロタネソウ(ニゲラ)属
クロタネソウ属は、ヨーロッパ、北アフリカ、アジアなどに約20種が分布する一年草です。
ニゲラ
- 学名:Nigella damascena
- 花期:4月~7月
ニゲラは、青や白の花を咲かせる一年草です。花の周囲に広がるレースのような葉が美しい品種です。和名のクロタネソウは、花の後にできる種に由来します。
サラシナショウマ属
サラシナショウマ属は、北半球の温帯に10数種が分布し、日本には3~4種が自生しています。
イヌショウマ
- 学名:Cimicifuga biternata
- 花期: 7月~9月
イヌショウマは、白く小さな花を穂のように咲かせる多年草。山野草として人気があります。
サラシナショウマ
- 学名:Cimicifuga simplex
- 花期:8月~10月
サラシナショウマは、山野や湿地に自生する多年草。草丈1~2m程、白い穂のような花を咲かせます。
シラネアオイ属
シラネアオイ属は、春に開花する多年草です。1属1種の日本固有種としても知られています。
シラネアオイ
- 学名:Glaucidium palmatum
- 花期:4月~5月
シラネアオイは、1属1種の日本固有種の多年草。日本の深山で群生している山野草ですが、最近では自生地も減少しており保護が必要とされています。淡い紫や白の花を咲かせます。
セツブンソウ属
セツブンソウ属は、アジアの温帯を中心に分布し、6~7種あります。日本では早春に開花するセツブンソウが有名です。他に、黄色い花を咲かせるヨウシュセツブンソウなどがあります。
セツブンソウ
- 学名:Eranthis pinnatifida
- 花期:2月~3月
セツブンソウは、早春に開花する多年草。草丈10cm程度、白く可憐な花を咲かせます。路地では節分のころにはまだ開花しませんが、2月の後半くらいから咲き始めます。
チドリソウ属
チドリソウ属は、デルフィニウムによく似た花を咲かせる一年草。もとはデルフィニウム属に分類されていましたが、一年草の品種がチドリソウ属として分類されました。
ラークスパー(チドリソウ)
- 学名:Consolida ajacis
- 花期:5月~7月
ラークスパーは、デルフィニウム属近縁の一年草。チドリソウやヒエンソウという和名でも呼ばれます。青や白、ピンク、紫などの涼しげな花を咲かせます。
デルフィニウム属
デルフィニウム属は、ヨーロッパ、アジア、北アメリカ、アフリカなどに約600種が分布している多年草です。和名は大飛燕草(オオヒエンソウ)。花のフォルムをツバメが飛んでいる姿に見立てたのが由来だと言われています。
デルフィニウム
- 学名:Delphinium grandiflorum
- 花期: 5月~7月
デルフィニウムは、青や白、紫の花を咲かせる多年草。すっと伸ばした花茎にたくさんの花を咲かせます。
ガーデニングや切り花で人気の園芸種の多くは、この Delphinium grandiflorum と多品種を掛け合わせて作出されたものです。
セリバヒエンソウ
- 学名:Delphinium anthriscifolium
- 花期: 4月~5月
セリバヒエンソウは、外来種の一年草。山野や公園など、身近な場所に自生している野草です。淡い紫とも水色とも言えない花色が魅力です。
トリカブト属
トリカブト属は、世界に約300種が分布している多年草。日本でもトリカブトやミヤマトリカブト、レイジンソウなど多くの種類が自生しています。独特なフォルムの花を咲かせます。
トリカブト
- 学名:Aconitum
- 花期:8月~10月
トリカブトは、山野に自生する多年草。全草に毒を持っているのが特徴です。他の山菜と間違えた誤食の事故も確認されていますので、口に入れることのないように気を付けてください。根は「烏頭」や「附子」と呼ばれ、漢方で利用されます。
アズマレイジンソウ
- 学名:Aconitum pterocaule
- 花期:8月~10月
アズマレイジンソウは、山野に自生する多年草。根は塊根になります。花の後ろの距と呼ばれる部分が細長く突き出しているところ、茎が大きく曲がるところなどが特徴です。
ヒメウズ属
ヒメウズ属は、日本や中国、朝鮮半島などに分布する、1属1種の多年草です。
ヒメウズ
- 学名:Semiaquilegia adoxoides
- 花期:3月~5月
ヒメウズは、公園や空き地、山野など身近な場所で見かける野草です。オダマキを思わせるようなフォルムの白い花をうつむくように咲かせます。とても小さな花なので、うっかりしていると見逃してしまいます。
ヘレボルス(クリスマスローズ)属
ヘレボルス属は、ヨーロッパ、アジア、中央アジアを中心に10数種分布する多年草。クリスマスローズという呼び名は、ニゲルという品種がクリスマスの頃に咲くことに由来します。
クリスマスローズ
- 学名:Helleborus
- 花期:1月~4月
クリスマスローズは、冬から春にかけて開花する常緑性多年草。うつむくように花を咲かせる姿が可憐です。
ニゲルのようなまだ寒い時期から開花する品種、早春から春まで楽しめる品種、花茎を立ち上げて咲くコダチクリスマスローズなど、多くの品種があります。
フクジュソウ属
フクジュソウ属は、北半球に約30種、日本には3種が自生しています。早春に明るい黄色の花を咲かせるフクジュソウの他に、キタミフクジュソウやミチノクフクジュソウなどがあります。
フクジュソウ
- 学名:Adonis amurensis
- 花期: 2月~5月
フクジュソウは、早春から春に明るい黄色の花を咲かせる多年草。漢字で書くと福寿草という名前が縁起が良いとされ、お正月の花としても人気があります。
ミスミソウ属
ミスミソウ属は、北半球の温帯に約10種分布する多年草です。
ミスミソウ(ユキワリソウ)
- 学名:Hepatica nobilis
- 花期:2月~4月
ミスミソウは、ユキワリソウという別名でも有名な多年草。早春に雪の中から顔を出すからというのが別名の由来です。白やピンク、紫などの小さな明るい色の花を咲かせます。
リュウキンカ属
リュウキンカ属は、アジアの温帯に10数種分布し、日本には2種が自生しています。
リュウキンカ
- 学名:Caltha palustris
- 花期:5月~7月
リュウキンカは、草丈15~60cm、明るい黄色の花が印象的な多年草。山野に自生しているような花です。
レンゲショウマ属
レンゲショウマ属は、1属1種の日本固有種です。山野の湿り気のある場所に自生しています。
レンゲショウマ
- 学名:Anemonopsis macrophylla
- 花期:7月~8月
レンゲショウマは、日本に山野に自生する多年草。日本の固有種です。透けるように淡い薄紫色の花をうつむくように咲かせます。
キンポウゲ科の植物には、花が美しいもの、毒のあるもの、めずらしいものなど、たくさんの種類があります。紹介しきれなかった種類もまだまだあります。キンポウゲ科の植物の魅力を知って、奥深い世界をのぞいてみませんか。
▼編集部のおすすめ
関連ワード
今月のおすすめコンテンツ
「キンポウゲ科の植物一覧|可憐な花から美しく個性的な花まで」の記事をみんなにも教えてあげよう♪