世界に通じる品種を作るのが私の目標

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プロフィール

大栄花園

■名前 :高橋 康弘
■場所 :千葉県成田市
■生産歴 :17年
■面積 :ハウス3000坪 露地3000坪
■主な生産品 :シクラメン、アジサイ

 

生産者さんのご紹介

成田空港でご存じ成田市でシクラメンとアジサイのオリジナル品種を育種・販売をされている生産農家さんです。見たことない色合いや美しい姿形をした品種を育種・生産されており、それぞれの植物が日本のみならず海外でも高い評価を受けています。

近年、母の日のプレゼントとして定番のアジサイですが、高橋さんのアジサイは飽きの来ないよう毎年新しい品種を作出しておりコレクションしたくなる品種ばかりです。また世界初の咲き方をしたシクラメンを作り出し、業界を驚かせました。

 

近くに直売所とカフェを併設した素敵なお店「Botanical cafe & Breed」もあり、ここではゆっくり植物を見ながら購入することができます。

 

シクラメン・アジサイのほかにユッカやブロメリア、チランジア、ビカクシダなどの観葉植物も栽培されているようです。これからも、どんな品種や植物を生産されるのか期待してしまいます。

 

生産者になったキッカケを教えてください。

両親がシクラメン栽培をしていた昭和50年頃、日本はシクラメンブーム。当時から12月の出荷でしたが、もともと地中海沿岸の植物とあって冬に開花させるのは難しかったようです。そこで父親は自分の気に入った品種を生産するために育種を始めました。その結果新しいタイプのシクラメン「パピヨン」という品種を作り出すことに成功、現在では世界的な主流品種でヨーロッパから*¹F1という形で日本に入ってきている品種です。

*¹他の品種と交雑させた一代目の品種

 

そうした父親の姿を見てきたせいか興味はあって、大学も東京農大へ行き花卉園芸研究室に。しかしその時はサーフィンに夢中な時期でしたし、そこまでちゃんとは考えていなかったですね。

考えが変わった3つのターニングポイント

卒業後、就活もろくに行わなかった自分は家に就農しました。2年後には両親から「全部あんたに任せるから」と言い渡され当時1,500坪あった土地をすべて任されました。ぬるま湯に浸かった状態のスタートでしたので、もちろん順調ではなく15,000鉢あったシクラメンは全て害虫の被害に遭い失敗してしまいました。最終的には父親や大先輩の方々に助けられ綺麗な姿になったのですが、そこで目が覚めました。これが1つ目のポイント。

その失敗したシクラメンですが、まだ世にでていない種類ばかりで父親が育種したシクラメンだったんです。良い状態にできた頃市場へ出荷したところ、セリに出しても5,000円を切らない高値がつきました。その様子を目の当たりにし「育種ってこんなに儲かるんだ」と思ったのと同時に、きちんと植物と向き合っていないと痛い目に遭うことを学びました。これが2つ目ですね。

 

世界的に注目する品種を作ったお父様のもとに訪れたフランスの種苗会社。その人たちが来ることでさらに目が覚めます。

何も知らなかった自分は、そのようなお客さんを安易に招いたことで起こる代償を知る由もありませんでした…

「パピヨン」の存在を知ったフランスの種苗会社がうちに訪問してくださいました。その時に「この品種は世界中でここだけにしかないから僕たちにくれないか」と頼まれましたが「特許がかかっているからダメだ」とお断りしました。しかし2,3年の間にいつの間にか持って帰られてしまい、数年後には逆輸入という形で日本へ大量に入ってくることに…そのとききちんと契約結んでから農場に入れるべきだったんですね。

「パピヨン」で利益を上げようとしていたうちは、その前に売れなくなる事態を招いてしまったのです。

 父親にすごく申し訳ないことをしたと思いましたし、自分の浅はかな行動でこのような事になったのでかなり後悔しました。それが本格的に頑張ることを決意した3つ目のきっかけです。

 

シクラメン・アジサイを生産しようと決めた理由はなんですか?

色々な植物の栽培を試してみて、たまたま長男が生まれる年に「レオン」というアジサイの品種を作ってからアジサイの育種・栽培も行おうと思いました。実はレオンは長男の名前なんです。

嫁さんの名前の品種もありますし、家族の名前を付けられるので栽培を決めました。

 

ちなみにシクラメンの「アンジュ」という品種は次男の名前です。

 

シクラメンに関してはもともと育種していたこともありますが、「アンジュ」が*²フロリアードで金賞をいただき、その後オランダの種苗会社から連絡がありました。「うちの持っている品種をすべて使っていいから、新品種を作ってくれないか」というお話を頂き、ブリーディング契約をすることに。

品種は例えると絵の具、沢山持っている方がその分色んな色を出すことができます。たくさんの種類を作ることができます。世界に通じる品種を作るのが私の目標なので、これからもシクラメンで育種・生産をおこなっていきます。

*²オランダで開催される10年に1度の園芸博覧会

 

仕事をするうえで特に大変なことや苦労する点はありますか?

生き物なので、暑い日なんかは自分のご飯より水やりを優先しなければならないですし、常に病害虫がついてないかのチェックも必要になり付きっきりになってしまうところですかね。あとは会社員のようにちゃんとした休みを取ることができないので、そこの部分では子供達には悪いなと思います。

育種の面で何か苦労される点は何ですか?

育種に関しては、品種を沢山持っていても場所を取り、経費がかさみますので見極めが必要になります。使わないと判断したら捨てる、将来を考え商品価値を見いだせる物を取ってくといった作業をしなければ、数が増えて大変なことになります。育種をするということは経営者にならないといけません。決断力が問われるので大変ですね。

 

やりがいを感じる時はどんな時ですか?

やっぱり直売所などでお客さんから「これいいわね~」「綺麗ですね」などの言葉を直接聞けた時が一番嬉しいかな。商品づくりのヒントにもなりますしね。次回の品種づくりの参考にしています。

 

高橋さんおススメの生産物を教えてください。

先ほど紹介したシクラメンの「アンジュ」とアジサイの「レオン」ですね。

「アンジュ」は咲き方が特徴で、上を向いて咲くシクラメンなんですよ。世界初のシクラメンで海外でも評価を頂きました。

 

イラストのお花のようでとても可愛らしいですね。

そうでしょう~!現在は色が7種類あるので好きな色も選べますよ。

「レオン」もうちのオリジナル品種で農林水産大臣賞を頂いたアジサイです。優しい色合いのブルーにフリル咲きなのが特徴です。そして咲き進むにつれグリーンになり色の変化を楽しめます。

 

段々とグリーンに変化していき…

 

ライムグリーンの秋色アジサイとして楽しめます。


大鉢ですとこのような感じになります。

 

レオンの新品種「ホワイトレオン」もあります。ガクがホワイトカラーでエッジがパープルの色が特徴です。

 

酸性・アルカリ性どの土壌に植えても白い色のままです。

 

あとこちらもおすすめですよ。目の覚めるようなブルーから深いグリーンに変化する「ラグーン」というアジサイです。


咲き始めは絞りの入った色になるんです。


咲き進むと何とも言えないグリーンの色に変化します。

 

これから栽培してみたい植物は何ですか?

もうすでに栽培はしてますが、ユッカやブロメリアなどの観葉植物ももっと自家生産していきたいですね。

 

これらの植物って、かっこいいけど手が出せないって人結構いると思うんですよ。販売されてるのは輸入が多い為、輸送費などでどうしても高額になってしまいます。そんなままでは高い植物があまり売れない日本では通用しない。それなら自分にできることは、育てる環境も場所もある自分が種を播いて育てることじゃないか!と思い、ユッカ実生で育ててたり、ブロメリア・チランジア・ビカクシダなどを栽培しています。

 

沢山栽培して、ユッカなんか大きな株が5000円とかで買えたらいいよね、10本買ったら1本サービス!なんてできる余裕がある位栽培出来たらと考えてます。シクラメン、アジサイに限らず大栄花園の作る観葉植物!という感じにしていきたいですね。お店で販売している植物は全て自家生産にいずれはしてきたいです。

 

プライベートで育てている植物はありますか?

ユッカが大好きで自宅にも植えてあります。実生から育てているんですよ。

大きいヤシやブロメリア、アガベなど刺々しいものが好きですね。

 

最後に一言おねがいします!

とにかく一つの植物(商品)を作るのにすごい時間や手間をかけ、皆様にいい商品をお届けできるよう一生懸命生産しています。ただ生産しているだけでなくその商品にはいろんな想いがあるということを思っていただけたら嬉しいです。

多肉植物や観葉は人気ですが鉢花ってあまり若い人達には浸透してないですよね。是非、鉢花もインテリア雑貨を買うように身近に楽しんでください。

ちなみにうちではアジサイを気軽に楽しんでもらえるように小さ目のアジサイも栽培しています。

ハンギングタイプであれば好きなところで楽しむこともできます。底面吸水タイプの鉢なので、下からお水が流れ出る心配もないので安心です。


麻で包んだアジサイは麻ひもが通してあるのでこちらもハンギングできますし、麻なのでそのまま土に植えることができます。

 

取材させていただいた日はアジサイの時期でしたのでシクラメンにはお目にかかれませんでしたが、アジサイはとっても魅力的な品種ばかりで目移りしてしまいました。目標は「世界に通じる品種づくり」、世界規模で植物を広めることを考えておりこれからも目が離せない生産者さんです。観葉植物も栽培されているので、そちらの分野でも注目です!

 

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