ジューンベリーの葉が丸く切り取られた?ハキリバチのアート作品!
山田智美
このライターの記事一覧
花も実も可愛いジューンベリーの木。果実が終わって葉っぱだけになっても可愛らしい、庭木として大人気の果樹です。
そんな可愛いジューンベリーの葉っぱがある日無惨(むざん)にも穴だらけになっていたら、びっくりしますよね。友人宅のジューンベリーの木に実際に起こった不思議な出来事をご紹介します。
目次
ジューンベリー基本情報
- 学名: Amelanchier
- 科名:バラ科
- 和名:セイヨウザイフリボク
- 分類:落葉小高木
春、桜が咲き始めるよりも少しだけ早く、ジューンベリーの花は咲き始めます。白い小さな花をふわりと枝いっぱいに咲かせます。葉が出てくるのはその後。お花が終わってから、丸い形の柔らかい葉を茂らせていきます。
名前の通り、6月頃にきれいな赤黒い果実をたわわに実らせます。小さな丸い果実が赤く色づき始め、それから黒に近い赤に変わっていきます。そのまま摘んで食べてもおいしい実ですし、ジャムや果実酒にする楽しみ方もあります。
ジューンベリーに起こった不思議なこと
初夏のある日、友人宅のジューンベリーにある日不思議なことが起こりました。気がついたら、葉っぱが丸く切り取られているのです。友人は最初に青虫の類の食害を心配しました。せっかく育てているジューンベリーの木を丸坊主にされたのではたまりません。けれど、青虫の類は発見できませんでした。
夏は緑が生長する季節です。同時に害虫被害も多くなる季節です。友人は経過観察に余念がありませんでした。日に日に葉は齧り(かじり)取られていきます。それでも青虫の類は見つかりませんでした。
ジューンベリーに可愛いお客様
とうとうある日、犯人を見つけました。現行犯です。パリパリという音を立てながら、ジューンベリーの葉を上手に丸く噛み切っています。
現行犯ですがあまりに可愛くて、捕まえるよりも写真を撮る方に夢中になってしまったそうです。
犯人の正体はハキリバチ
調べたところ、このお客様の正体は「ハキリバチ」という蜂の仲間でした。ハキリバチの仲間は種類が多くて種を限定するのは難しいので、ハキリバチという総称で呼ばせてもらいます。
ハキリバチの仲間は食用にするために葉を切り取っているわけではありません。この切り取った葉を俵型に丸めて巣を作るそうです。巣はホースや竹筒など、チューブ状になっているものの中に作られます。チューブの形に合わせて葉を丸めて入れて、その葉の中に花粉や蜜と一緒に卵を産み付けます。
まだ切り取ってます。まだまだ切り取ります。必要な分が集まるまで、何度でも足繁く通ってきます。近くで人間が見ていてもお構いなしです。パリパリと小さな音を立てて葉っぱをまあるく切り取っていきます。
最終的にはアート作品
一通り必要な葉を集め終わったのでしょう。ハキリバチはある日を境にぱったりと来なくなってしまいました。ハキリバチが残していった跡がこの写真です。無惨(むざん)なまでに穴だらけ、と言いたいところですが、ここまできれいに切り取られたら、もう「芸術的!」と感嘆したくなります。
この虫がやってきたときの対処法は、放っておくことです。ハキリバチは、ミツバチの類です。葉っぱを切り取って行くだけで他には何の害もありません。それどころか、お花の花粉を運んでくれる、花粉媒介者でもあるのです。見かけたらゆっくり観察してみてください。葉っぱを切り取る可愛い現場を押さえられるかもしれませんよ。
▼編集部のおすすめ
関連ワード
今月のおすすめコンテンツ
「ジューンベリーの葉が丸く切り取られた?ハキリバチのアート作品!」の記事をみんなにも教えてあげよう♪