『水陸両用』のイネ!?稲を野菜の土とプランターで育ててみた

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最近、畑で育つ稲『陸稲(おかぼ)』という作物の存在を知った。私たちが普段食べているお米は『水稲(すいとう)』で、水を張った水田で育てられている。『陸稲』は普通の畑のような場所でも育てられる稲で、海外の水が不足している地域で注目されているほか、日本ではもち米などが『陸稲』の場合があるとのこと。

そんな中、水田でも畑でも育てられるイネを見つけた。『水陸両用』のイネと植物っぽくない謎のキャッチコピーで書かれている。ホバークラフトか。謎だらけなイネを育ててみました。

水陸両用の稲『イセヒカリ』

水陸両用のイネは『イセヒカリ』という品種の稲です。『イセヒカリ』はコシヒカリの突然変異で、伊勢神宮の神田で発見されました。神田に台風が直撃した際に、植えられていたコシヒカリは全て倒れてしまいました。ところが水田の真ん中に2株だけ、倒れず直立したままの稲があることに気が付いたのでした。そうして神様の水田で生き残った2株は、『イセヒカリ』という新しい品種になりました…という、伝説のような誕生逸話があるイネです。

『イセヒカリ』は水田で育てられるのが一般的ですが、畑で育てている人も少なからずいるようです。陸で稲が育つなんて、なんて面白そうなんだろう…。しかし陸稲自体、日本ではメジャーではないため、詳しい育て方はあまり分かりませんでした。今回は試行錯誤の中で『イセヒカリ』を色々な方法で育ててみました。

種もみを自宅で発芽させる

種もみを用意しました。種もみを買ったのは初めてですが、こんな保証票がついてくるようです。まず種もみや玄米を60度のお湯に10分漬けて、温湯消毒をします。温度計と魔法瓶の水筒を使って温度を一定に保たせ、10分で取り出したら、水にちょっとさらして消毒完了です。種もみが煮えてお粥になったら…と心配でしたが、大丈夫そうでした。イセヒカリ以外にも実験してみようと思い、玄米もいくつか用意して、温湯消毒を行いました。

 

温湯消毒後清潔なジャムの瓶に水道水を入れて、発芽させます。白いお米は食品用の普通の玄米で、茶色のものが種もみのイセヒカリです。瓶を暗くて暖かい場所に置いて、1日に1回以上蓋を開けて中の水を全て取り替えます。ここまでは通常の『玄米』から『発芽玄米』を作る工程と同じだと思います。発芽は気温によって変わってきます。実験をしたのが3月始め頃だったので、発芽には1週間~10日ほどかかりました。

 

イセヒカリは種もみだけあって、ほぼ全て発芽しましたが、食品用の玄米は常温保存で古かったせいか、今回は発芽しませんでした。もしかしたら「もみ」がないので温湯消毒の時に、煮えちゃったのかもしれません。ちなみに種もみから出ているのは「根」ではなく「芽」です。根は芽の後に出てきます。

 

こちらは古代米の玄米です。白米と一緒に炊くと、色がついて美しいですお米です。イセヒカリたちと一緒に温湯消毒して、同じようにジャム瓶に入れて発芽させましった。何故か黒米が数個と赤米が1個発芽しました。せっかくなので、イセヒカリと一緒に実験に使います。

 

100均の野菜の土とプランターで育てる

芽が出たら瓶から取り出し、植え付けを行います。土は散々迷いましたが、もっとも一般的そうな『100均の野菜の土』を使ってみました。100均の腐葉土もちょっと余っていたので、プランター(これも100均)の一番下に腐葉土を2~3㎝の厚さで敷いて、その上に野菜の土を敷きました。腐葉土を最下層に敷いたことで、水はけを多少悪くすることができました。イセヒカリは水田でも育つことを考えると、普通の野菜より水が必要かと思ったので、軽石やバーミキュライトなどは使いませんでした。

イネを『野菜の土』で育てることになるなんて…本当に大丈夫なんだろうか…。あらかじめ水を撒いて、土をたっぷりと湿らせておきます。

 

種もみを植える深さが分からず、1㎝くらいの深さで植えてみることに。割りばしの後ろ側で、土に穴を開けておきます。

 

ピンセットを使い、芽を上に向けて植えます。芽が少し土から出るらいが良い深さだと思います(1㎝は少し深すぎたかもしれません)。最後にピンセットで種もみが隠れるくらい土をかけてあげます。

 

イセヒカリの他に、芽が出た黒米と赤米も植えてみました。植え付けが終わったら、プランターの上にふんわりとラップをかけて保湿・保温させます。室内の明るい場所にプランターを置いてあげ、ある程度種もみが定着するまで、水はあげませんでした。

 

イセヒカリの芽が光合成を行い緑色に変わり、伸びてきました!この段階で、古代米の黒米と赤米は姿を消してしまいました…。やはり水田で育つ水稲は野菜の土では育たないみたいです。ラップを取り払い、もう少し伸びたら日当たりの良い屋外へ移動させます。

 

 

プランターでぐんぐん育つイセヒカリ

桜が咲き始めた頃、気温も上がりイセヒカリの根も定着したきたようなので、日当たり抜群の屋外へ移動させました。14個の発芽種もみを植えて、定着したのは11本になりました。2~3日1回たっぷり水を与えています。

 

さらに約3週間後の4月下旬。本数が減ることもなく草丈が20㎝を超える苗が出始め、成長期かな?と思い、肥料を与えてみることに。

 

肥料も何を与えるか迷いましたが、余っていた『100均の化成肥料(成分:8‐8‐8)』を使います。たしか水稲は「窒素を少なくさせる方が美味しいお米になる」、というようなことを聞いたことがあるような気がしますが、陸稲として育てているので、その辺は無視して普通の作物と同じような育て方をしてみることにします。

 

陸稲の適正な肥料の量が全く分からないので、同じイネ科でよく似た『芝生』を思い浮かべ、芝生と同じような量の肥料を与えてみました。間違った量ではなかったようで、数日経っても青々と元気に育ってくれています。

イセヒカリの水耕栽培もやってみた

水陸両用で水田でも畑でもOKなイセヒカリということで、念のため水耕栽培も試していました。

小皿に水道水を入れただけの場所で育てているイセヒカリです。発芽まではプランターの子たちと同じ条件で育てていますが、こちらは養分がないので、成長が悪いです。プランターのイセヒカリが20cmほどに成長しているのに対し、水のみのイセヒカリは10㎝くらいにしか育っていません。

 

ペットボトルを用いた水耕栽培のキットでも実験しました。こちらは肥料(成分:6.5-6-19)も与えているので、プランター栽培の子と同じくらいのスピードで育っています。水だけではなく、栄養も重要そうです。ちなみにこちらも発芽した古代米の黒米も一緒に撒いてみましたが、全て育ちませんでした。イセヒカリは順応能力が高くて、丈夫な品種みたいです。

 

いかがでしたでしょうか?まだまだ成長途中のイセヒカリ栽培ですが、プランター栽培の方も、水耕栽培の方も、穂が実るよう頑張って育ててみったいと思っています。特に陸稲の方は資料が少ないので、経験者の方がいらっしゃいましたら、Facebookに栽培指南などコメントなど残して頂けると嬉しいです。

 

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