カタクリ(片栗)とは?育て方・栽培方法|植物図鑑

  • canva カタクリ
  • 冬から早春(1月~3月)に咲くピンク色の野草の花カタクリ
  • canva カタクリ
植物名
カタクリ(片栗)
学名

Erythronium japonicum

英名
Japanese dog’s tooth violet
和名
片栗
別名・流通名
堅香子(カタコ、カタカゴ)、エリスロニウム
科名
ユリ科
属名
カタクリ属
原産地
日本、東アジア

カタクリ(片栗)の特徴

カタクリ(片栗)は、ユリ科カタクリ属の多年草です。まだ雪の残る森や山林でいちはやく赤紫やピンクの花を咲かせ、春の訪れを告げてくれる存在で「スプリングエフェメラル=春の妖精」とも表現されます。まれに白花が咲いていることもあります。森の中の開けた場所で群生している姿は目を見張るほどの美しさです。うつむくように咲く花は、開花とともに花弁が反り返り、曇りや雨、夜になると花が閉じるという特徴があります。花後、草木が勢い良く生い茂る初夏には早々と地上部を枯らして休眠に入る、春のほんの2か月程度しか見ることのできない花です。

カタクリ(片栗)の球根からは良質なデンプンが取れるため、かつては球根から抽出したデンプンを片栗粉として調理に用いていました。近年では、ジャガイモやサツマイモから抽出したデンプンが用いられるようになっています。原材料が変わった後も、片栗粉という名前のみが残っています。

都市開発や森林の荒廃、乱獲などで一時は群生地が少なくなりましたが、保護活動によって再び花を見られるようになった地域もあります。

カタクリ(片栗)の詳細情報

園芸分類 草花
草丈・樹高 10~30cm程度
耐寒性 強い
耐暑性 弱い
花色 赤紫、ピンク、白
開花時期 3月~4月

キバナカタクリ

カタクリ(片栗)の種類・品種

カタクリ(片栗)は、日本には Erythronium japonicum 1種しか自生していませんが、北米やヨーロッパなど北半球に約20種が分布しています。

赤紫やピンクのイメージが強い花色ですが、海外種は白や黄色が中心で西洋カタクリとも呼ばれます。キバナカタクリの名でも知られ、パゴダの名で流通している北米産の「エリスロニウム・トゥオルムネンセ」は育てやすく、人気のある園芸種です。他に白花種のスノーフレークや、花の色幅がある欧州産の「エリスロニウム・デンスカニス」、日本のカタクリによく似ていて黄花の「エリスロニウム・アメリカナム」、白~クリーム色の「エリスロニウム・カリフォルニクム」、藤色の「エリスロニウム・ヘンダーソニー」などがあります。

カタクリ(片栗)の花言葉

カタクリ(片栗)の育て方カレンダー

時期 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
開花
球根の植え付け
植え替え

カタクリ(片栗)の栽培環境

日当たり・置き場所

発芽から開花期までは日当たりが良く、花後は強い日差しが当たらない環境を好むため、落葉樹の下のような環境での栽培が適しています。夏に強い西日が長時間当たるような場所への植え付けは不向きです。

鉢植えは、季節によって適切な環境に鉢を移動させるとよいでしょう。

用土

水はけが良い土を好みます。適度な湿り気も必要なので保水性も良くしましょう。

鉢植えは、山野草用の培養土などで栽培可能です。

カタクリ(片栗)の育て方のポイント

水やり

極端に乾燥させないようにしましょう。

地植えは、植え付け直後以外は水やりの必要はありません。極端に乾燥が続くようなときは、様子を見て水やりしてください。

鉢植えは、乾燥させ過ぎないように湿り気がある状態を保ちましょう。地上部がなくなる夏以降に新根が出るので、完全に乾き切らない程度に水やりを続けます。水のやりすぎは根腐れの原因となるので気をつけましょう。

肥料

植え付け時にもしっかりと元肥をすき込みます。地植えは腐葉土や堆肥または緩効性肥料、鉢植えは元肥をそれぞれ施します。

地植えは、自然の循環ができていて、周囲の草花が問題なく開花している土なら与えなくても栽培可能です。花付きなどの様子を見ながら判断しましょう。

鉢植えは、春から初夏の地上に葉がある間は十分に施肥を行ってください。液体肥料を1か月に2回程度与えます。

病害虫

特に目立った病害虫の被害はありません。

カタクリ(片栗)の詳しい育て方

選び方

カタクリ(片栗)は、球根かポット苗で流通しています。球根は、植え付け適期の夏までにカビや傷のない、充実したものを入手しましょう。ポット苗は、そこから根が出ているくらい、勢いのあるものを選びましょう。

学名のエリスロニウムの名で販売されていることがあります。欧米種は、日本で自生しているカタクリ(片栗)より温暖地でも栽培しやすいものが多く、園芸品種も多数あります。

種まき

初夏から夏に果実の先が裂けてきたら、収穫してすぐにまきます。冷蔵や乾燥させて保存する必要はありません。山野草の土などにまいて、翌春まで乾燥させないように管理します。春に小さな芽が出てきたら成功です。

カタクリ(片栗)は、発芽から開花までに7年~10年かかるといいます。葉を出して生育している期間の短い植物なので、葉が出たら施肥を行い、根気よく育ててください。

植え付け

球根の植え付け適時は、7月~9月です。植え付け前の準備として、土を30~40cmの深さまで耕し、根がスムーズに張るように整えます。深さ5~6cm、間隔は10cm程度になるように植え付けます。最後にたっぷりと水を与えます。

鉢植えは、3cm程度の深さに植え付けます。カタクリ(片栗)の球根は下へ下へともぐるように伸びる性質があるため、深く根が張れるよう深鉢を用意しましょう。

剪定・切り戻し

特に種を採取する予定がなければ、花後に花径を根元から切り取ります。葉は残して、翌年のためにしっかりと光合成をさせるようにしましょう。

植え替え・鉢替え

植え替え適期は、7月~9月です。株が生長してきたら、一回り大きな鉢に植え替えます。

canva カタクリ

カタクリ(片栗)の花は、他の花に先駆けて早春に開花します。終わった花は、種を採る目的がないなら早めに摘み取りましょう。

収穫

花後に果実の先が裂けてきたら、種の収穫のタイミングです。収穫した種は保存せず、すぐにまきましょう。

夏越し

夏になると地上部の葉を枯らして休眠します。風通しの良い半日陰や、木陰が理想的な環境です。株元に強い日差しが当たるようであれば、敷き藁などでマルチングをすると地温が極端に上がるのを防ぐことができます。

また、この時に地中では新しい根が出てきます。乾燥させ過ぎないように水やりをしてください。

鉢植えは、風通しが良い半日陰程度の場所に移動させましょう。休眠中で地上部分は葉がありませんが、断水せず根が腐らない程度に適度な湿り気のある状態になるように水やりをしてください。

増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)

種か分球で増やすことができます。種は採ったらすぐにまく「とりまき」をします。ただし、日本のカタクリ(片栗)は種をつけにくく、採取できたとしても実生苗が開花するには7~10年かかるといわれています。

植え付けから2年目以降に分球していくので、これを分けて増やす方が簡単です。休眠期の夏に株を掘り上げて、球根を分けます。種と違い、親株の性質がそのまま遺伝するのも特長です。

  • 監修者:LOVEGREEN編集部
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