- クチナシは、6月~7月に香りの良い白い花を咲かせるアカネ科クチナシ属常緑低木です。花は夕方から咲き始め、夜の方が香りが強くなるといわれています。1~2日で黄色くなって萎れてしまう短命な花ですが、次々と花を咲かせるので、開花期間中はたくさんの花を楽しめます。花は一重咲きと八重咲きがあり、直径5~10cmです。樹高は1~2m、葉は常緑で、光沢のある濃緑色、楕円形で葉脈がはっきりとしているのが特徴です。常緑で葉の密度が高いので、生垣や目隠しとしても好まれます。樹高が30~50cm程度にしかならないコクチナシは、鉢植えで育てやすい品種として人気があります。 秋から冬にオレンジ色に実る果実は、黄色の染料として利用されてきました。たくあんの黄色は、クチナシの実で色付けされたものです。ただし、八重咲きや大輪の美しい花を咲かせる園芸種の多くは結実しません。 クチナシという名前の由来は、果実が熟しても裂開しないことによります。また、『山吹の 花色衣 主や誰 問へど答へず くちなしにして(秋が過ぎ、冬が来ても一向に口を開けない)』という古今和歌集にある歌が由来だともいわれています。