ティランジア・ガルドネリとは?育て方・栽培方法|植物図鑑

植物名
ティランジア・ガルドネリ
学名

Tillandsia gardneri

科名
ブロメリア科
属名
ティランジア属
原産地
ブラジル

ティランジア・ガルドネリの特徴

ガルドネリはブラジルが原産のティランジアで、ゲミニフローラやグロボーサなどど同じ環境に自生しているようです。薄い葉に絹のような上品なトリコームが生えており、見た目が非常に美しいティランジアです。

分岐した花序からピンク色の花を咲かせるガルドネリですが、花弁はあまり伸びず、ブラクトから少し出る程度です。また、自家受粉をする性質があり、開花後に種が出来ることも珍しくありません。ただし、自家受粉をするためか、開花後の子株を出す数が少ないように感じます。

また、活着しない状態でいると蒸れなどに弱く、枯れやすくなるため早めにコルクやインテリアバークなどに着生させると良いでしょう。

 

ティランジア・ガルドネリの詳細情報

園芸分類 ティランジア(エアプランツ)
耐寒性 普通
耐暑性 普通
耐陰性 あり
花色 ピンク色
開花時期 不定期

トリコームとは

ティランジアの葉の表面にはトリコームと呼ばれる毛のようなものが生えています。このトリコームは非常に重要な器官で、主に強い日光から身を守るため、水分を絡めとるためという役割があります。

実際に湿潤地に生えているティランジア程トリコームが少なく、乾燥地に生えているティランジア程トリコームが多く生えています。

例えば、ジャングルの木の根元に生えているブルボーサは肉眼ではトリコームが見えませんが、砂漠地帯の岩や瓦礫に生えているテクトラムはとても長いトリコームが生えています。このことからトリコームの量は湿度と降雨量、日光量に関係していることが伺えます。

面白いことに、乾燥地帯に生えているテクトラムにブルボーサと同じ感覚で水やりをすると、どんどんトリコームが剥げていきます。逆に、テクトラムの水やりを温室内に打ち水をする程度にすると、真っ白で長く、非常に美しいトリコームが生えてきます。

また、このトリコームの生えている量によって銀葉種と緑葉種に分けられます。

銀葉種

銀葉種とはその名の通り、葉が銀色に見えるティランジアのことです。銀色に見えるメカニズムは単純で、光が葉の表面に生えているトリコームに当たると銀色(白色)に見えるためです。

そのため、トリコームの量が少ないティランジアは銀色には見えず、緑色に見えるため緑葉種と呼ばれています。

代表的な銀葉種にはテクトラム,イオナンタ,ハリシー,キセログラフィカ,カプトメデューサエなどがあります。一般的に、銀葉種は乾燥に強いものが多いと言われています。

緑葉種

緑葉種は葉が緑色に見えるティランジアのことです。銀葉種と比べトリコームが少ないため葉が緑色に見えます。

代表的なものにブラキカウロス,ブルボーサ,ブッツィー,トリコロール,プセウドベイレイなどがあります。一般的に、緑葉種は乾燥に弱く水を好む傾向にあると言われています。

ティランジアの根の役割と仕組み

ティランジアに根が出るということを知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、実際にはティランジアも他の植物と同じように根を持っているのです。

ただし、ティランジアの場合は一般的な植物とは根の役割が違います。

役割

植物と言われて多くの方がイメージするのは土に根を張っている地生植物だと思います。しかし、ティランジアは地面には根を張らずに樹皮や岩肌と言った場所に根を張る着生植物になります。

着生植物で有名なのは胡蝶蘭やカトレア、富貴蘭、最近人気が出始めたビカクシダや無葉ラン(キロスキスタ)等でしょうか。いずれも樹皮などに着生している植物になります。

ティランジアは蘭やビカクシダと違って根からの水分や養分の吸収はあまりなく、あくまで着生するためにあります。

ただし、発根して着生した方が株の状態が安定しやすく、ティランジアが上手く育たないという方は発根、着生をさせてみてください。

着生の仕組み

ティランジアは根から接着剤のような物質を分泌することで樹皮などに着生しています。そのため、ツルツルとした樹皮や物などには着生することが出来ません。

ティランジア亜科の新分類について

2016年10月、PHYTOTAXAに「ティランジア亜科の分類学をDNA解析に基づいたものに改定する」という内容の論文が発表されました。

今までは故ハリー・E・ルーサー氏のマクロ形態学分類(花の特徴等で分類する方法)を用いてきましたが、今回はDNAの一部を解析して分類したというものです。

DNA解析を行ったことによりティランジア亜科には新たに11の属が設けられました(2016年10月時点)。また、ティランジア属からはダイエリアーナ、ハマレアナ、ベヌスタがラシナエア属へと異動しました。しかしながら花を解剖したときの特徴が他のラシナエアとは異なるため、疑問視する声も出ています。

ティランジア亜科の分類改定に伴い、今までは異種交配種(例:ティランジア属とティランジア属による交配)とされていたものが属間交配種(例:ラシナエア属とティランジア属による交配)へと変更されたものが多くあります。

その逆もまた然りで、属間交配種とされていたものが異種交配種となったものがあります。

まだ改定されたばかりなので新名称で販売しているナーセリーも少ないようですが、図鑑や販売店によって呼称が異なっている場合があるかもしれません。

しかしながら、変更されているのはあくまで呼称であり、植物自体は変わっていません。

そのため、このティランジアの植物図鑑に関しても新呼称と旧呼称が混在している場合がありますが、植物本体とその他育て方に関しては新呼称旧呼称関係なく、同じものです。

ティランジア・ガルドネリの栽培環境

日当たり・置き場所

ガルドネリは半日陰を好むため、屋外で育てる場合は遮光ネットなどを使用して直射日光を遮るようにしましょう。

ガルドネリを室内で育てる場合葉なるべく明るい窓際などで育てるようにし、真夏など日光が強い場合はレースのカーテン越し程度の日光が当たるようにします。また、屋内外問わず風通しの良い場所に置きましょう。

温度

ガルドネリの適温は20℃~30℃です。最低気温10℃、最高気温40℃までは耐えますが、それを越えてしまうと弱ってしまい、最悪の場合枯れてしまいます。

最低気温10℃以下になる場合は屋内に取り込むか、温室の中にティランジアを移動し、ファンヒーターなどを使って保温してください。

最高気温40℃を越える場合は扇風機やサーキュレーターを使って風を当てるか、日陰に移動してください。

長い時間日陰に置いておくと、日光不足で徒長する危険性があるので、午前中など40℃を越えない時間帯は日当たりのいい場所に置いてください。

用土

ガルドネリは蒸れを嫌うため、コルクやインテリアバークなどに着生させるのが良いでしょう。

ティランジア・ガルドネリの育て方のポイント

日常の管理

枯葉取りをする理由

ティランジアは根元付近古い葉から枯れていきます。実際に生えている自然界では当然、枯葉取りをしてくれる人はいません。そのため、枯葉取りは必要ないという主張もありますが、枯葉取りをすることで梅雨時のカビの発生や腐敗を防ぐことが出来るので、ある程度枯葉が出てきたら取り除くことをおすすめします。

枯葉取りの方法

枯葉は主に根元部分に出てきます。枯れた葉は茶色くなり、手で引っ張ると簡単に取り除けます。

枯葉は主に根元部分に出てきます。枯れた葉は茶色くなり、手で引っ張ると簡単に取り除けます。

枯葉が無くなりスッキリしました。

枯葉が無くなりスッキリしました。

乾燥や葉折れによって枯れた部分もハサミなどを使い取り除きます。

乾燥や葉折れによって枯れた部分もハサミなどを使い取り除きます。

見栄えがよくなりました。

見栄えがよくなりました。

クランプ(群生)している株は、株と株の間にある枯れた葉も取り除きます。これが残っていると風通しや水切れが悪くなり、蒸れる原因になります。  毎日枯葉取りを行う必要はありませんが、月に1回ほど株の状態確認も兼ねて枯葉取りをしてみて下さい。

クランプ(群生)している株は、株と株の間にある枯れた葉も取り除きます。これが残っていると風通し水切れが悪くなり、蒸れる原因になります。

毎日枯葉取りを行う必要はありませんが、月に1回ほど株の状態確認も兼ねて枯葉取りをしてみて下さい。

水やり

【屋外】

ガルドネリは最低気温10℃以上の季節は毎日~2,3日に一度のペースで、夕方~夜の涼しい時間帯に水やりを行ってください。屋外は蒸れる心配がないので、水やり後に株を逆さまにする必要はありません。午前中に雨が降った日は水やりをしなくて大丈夫です。

最低気温10℃以下の季節は週に一度のペースで午前中に水やりを行ってください。夕方~夜の気温が下がる時間帯に水やりをしてしまうと、凍ってしまい最悪の場合枯れてしまいます。

【室内】

ガルドネリは最低気温10℃以上の季節は2,3日に一度のペースで水やりをしてください。水やり後に風通しの悪い場所に置いておくと蒸れてしまい、腐って枯れることがあるので株を逆さまにして置いておくか、扇風機やサーキュレーターで風を当てて下さい。

最低気温10℃以下の季節は耐寒性を上げるためと、徒長を防ぐために、週に一度のペースで午前中に水やりを行ってください。夕方~夜の気温が下がる時間帯に水やりをしてしまうと、凍ってしまい最悪の場合枯れてしまいます。

冬に乾燥してきて部屋の湿度が極端に下がってきたら加湿器を使って過湿するか、霧吹きを使ってティランジアを置いてある場所付近の湿度を上げて下さい。

肥料

ガルドネリは肥料はなくても育ちますが、施肥をした方が生長が早く、花のボリュームも多くなります。

ティランジアはどの種類も葉からしか吸水することができません。そのため、肥料は液体肥料を使う必要があります。どうしても固形肥料を使いたあい場合は水に適量を溶かしてお使いください。

肥料は正しい希釈倍率で使わないと、肥料焼けという葉焼けに似た状態になってしまいます。ティランジアの希釈倍率は約1000倍です。施肥は水やりの2,3回に一度のペースか、週に一度のペースで行ってください。施肥をした次の日の水やりでは、葉の表面に残っている液肥を洗い流すイメージで、たっぷりと行ってください。

真夏や冬場は生長が緩慢になるので施肥の必要はありません。

病害虫

ガルドネリを育てる時はハダニに注意しましょう。

ティランジア・ガルドネリの詳しい育て方

選び方

ガルドネリを購入する時に注意してほしいことは病気と害虫の有無です。病気や害虫が付いている株を家に持ち帰ってしまうと、その株が原因で他の株にも病害虫が広がってしまう可能性があります。

種まき

ガルドネリは種が採取出来次第すぐに種まきをしてください。水で戻した水苔の上や濡らしたキッチンペーパーの上に蒔いて、常に濡れている状態にすれば1~2週間程度で発芽します。

植え付け

お好みの用土に着生させてください。

剪定・切り戻し

ガルドネリの下葉の部分は、水を吸収しやすくするような役割をしています。そのため、あまり取り除かない方が良いでしょう。ただし、風通しが悪く、蒸れが心配な場合は多少取り除いても問題はありません。

植え替え・鉢替え

コルクやインテリアバークに着生しているティランジアは植え替えをする必要が無いのですが、鉢に水苔で植え込んであるティランジアは、植え替えをした方が良い場合があります。

ガルドネリはピンク色の花を咲かせます。花の咲き方や花序の形状に個体差があるためコレクションするのも良いでしょう。

ガルドネリはピンク色の花を咲かせます。花の咲き方や花序の形状に個体差があるためコレクションするのも良いでしょう。

夏越し

ガルドネリは気温が40℃以上になった場合は日陰に移動してください。30~40%程度の遮光をすると葉焼けを防止することが出来ます。水やりは毎日~2、3日に一度のペースで夕方~夜に行ってください。午前中に行うと暑くなり煮えてしまいます。

活力剤を1000倍に希釈して水やりの2~3回に一度のペースで行うと夏バテを防止できます。

冬越し

ガルドネリは気温が10℃を切らないように室内に入れるか、温室内でファンヒーターなどを使って保温してください。ファンヒーターなど暖房器具を使う場合は火事に注意してください。また、耐寒性を上げるためと、徒長を防ぐために水やりを週に一度のペースで午前中にたっぷり行ってください。

活力剤を1000倍に希釈して水やりの2~3回に一度のペースで行うと耐寒性を上げられます。

増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)

ガルドネリは実生と株分けをすることができます。

「空気中の水分で育つ」は間違い

ティランジア(エアプランツ)を買う時に空気中の水分を吸収して育つから水やりは不要!というキャッチフレーズを見たことがあるという方もいらっしゃると思います。確かに、ティランジアは空気中の水分を吸収して育つことが出来ます。しかし、それはあくまで自生地での話です。ティランジアの多くは雲霧林と呼ばれる標高の高い森林や高山の岩肌に自生しています。

標高の高い場所は昼夜の気温差が激しく、明け方になると濃霧が発生します。この濃霧は霧というよりも雲に近く、雲海の中をイメージするのが良いでしょう。この濃霧がティランジアに当たると、ティランジアの葉に水分が付着します。この水分をティランジアは吸収しているため、空気中の水分を吸収して育つと言われています。そのため、日本の自然環境では空気中の水分を吸収して育つということはとても困難です。自生地以外でティランジアを育てる場合はしっかりと水やりをする必要があります。

  • 監修者:LOVEGREEN編集部
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