アイスプラント(アイスプランツ)とは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- アイスプラント(アイスプランツ)
- 学名
Mesembryanthemum crystallinum
- 英名
- Common ice plant,Crystalline ice plant
- 科名
- ハマミズナ科
- 属名
- メセンブリアンテマ属
- 原産地
- 西アジア、ヨーロッパ、アフリカ
アイスプラント(アイスプランツ)の特徴
アイスプラントは、塩を隔離するための細胞が葉の表面にあり、それがツブツブとして凍ったように見えることから名前がつきました。この凍ったように見える粒は、ブラッター細胞と呼ばれる葉の一部で、カリウムやマグネシウム、レチノールなどの土壌から吸収したミネラル分を豊富に含み、リンゴ酸やクエン酸、ミオイノシトール、ピニトールなどを含み、メタボ対策野菜としても近年注目を浴びています。
アイスプラントは、ヨーロッパ、西アジア、アフリカ原産で、乾燥に耐えるとともに、耐塩性が高い塩生植物の一つであり、海水と同程度の塩化ナトリウム水溶液中でも水耕栽培が可能です。 塩生植物の他の農作物としては、干拓地の土壌の塩分を抜くために栽培することができる木綿や、甘みを増すためにあえて塩分を含んだ土壌で栽培する塩トマトなどがあります。
もともとアイスプラントが日本で出回るきっかけになったのも、有明海沿岸の塩害対策に役立てようと、佐賀大学農学部が持ち込んだのがきっかけだそうです。 その後、生食で塩味がするという最大の特徴を生かした特産物に育てようと栽培研究が進められ、市場出荷に至ったようです。まだまだ日本での歴史は浅いため、今後の品種改良にも注目したい野菜のひとつです。
アイスプラントは多肉植物
野菜として紹介してきたアイスプラントですが、サボテンのような多肉多汁組織をもつ多肉植物としての一面もあります。 同じハマミズナ科の植物として、ハナツルクサ カルポブローツス・エドゥリス などがあります。
アイスプラント(アイスプランツ)の詳細情報
園芸分類 | 野菜 |
---|---|
草丈・樹高 | 20~30cm |
耐寒性 | やや強い |
耐暑性 | 普通 |
花色 | 白他 |
開花時期 | 7~8月 |
アイスプラントのレシピ
アイスプラントの魅力である自然な塩味は、サラダにしてもドレッシングが要りません。ドレッシングとしての役割の野菜だなんて、とても素敵な発想の転換ですね。アイスプラントは青菜特有の青臭さは無く、嫌な癖がほとんど感じられません。食感はシャキシャキした感じで歯切れが良いです。さっと水洗いするだけで食べられます。 また、アイスプラントはβカロテンも豊富です。付け合せの野菜として、人参やおいものように茹でたり揚げたりしなくても、手間をかけることなくすぐに楽しむことが出来ます。 他にも、おひたしやあえ物など塩分を控えた味付けでさっと茹でるだけの簡単調理ができ、塩気をもともと持っているアイスプラントは、天ぷらにしても天つゆ、塩を用いる必要がないというところも新鮮な感覚です。 通になってくると、各生産農家で塩気が異なるようですので、好みの塩味を見つけるのもまた楽しみの一つです。 又、アイスプラントは加熱によって独特のネバネバ感が出るようになります。鍋料理やシチューなどの具材としても一味違ったアイスプラントを味わってみてください。
アイスプラントの保存方法
アイスプラントは乾燥しやすいので、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れておきます。4~5日は大丈夫ですが、食感が大切な野菜なので早めに食べる事をおすすめします。
アイスプラント(アイスプランツ)の育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
種まき | ||||||||||||
植え付け |
アイスプラント(アイスプランツ)の栽培環境
日当たり・置き場所
アイスプラントは、日当たりと風通しの良い場所を好みます。
真夏の直射日光の気温の高い環境のもとでは、下葉から枯れていきます。夏の栽培環境には注意しましょう。 比較的寒さには強いですが、氷点下の環境のもとですと枯れやすくなります。冬は室内に取り込むことをおすすめします。
温度
アイスプラントの生育適温は20℃です。
用土
市販の野菜用培養土で十分育ちます。アイスプラントは多湿を嫌うため水はけの良い土壌にしましょう。アイスプラントは発育の際に、土からの養分を根の部分からたくさん吸い上げます。養分の吸い上げは一般的な野菜よりも優れていると言われ、いかに良い土で育てられるかが重要になってきます。土の品質には、充分注意してください。
アイスプラント(アイスプランツ)の育て方のポイント
水やり
乾燥した環境を好みます。水のやりすぎによる多湿状態は避けましょう。雨の当たる環境では、アイスプラントへの泥はねに注意して、乾燥気味に育てましょう。
肥料
植え付けてからは、2週間ごとに肥料を施しましょう。
病害虫
アイスプラントが育つための土壌には、塩分が含まれていることから、虫があまり近づいてこないと言われています。 しかし、家庭菜園ともなると、やはりネキリムシなどの害虫の食害を受けることもあります。害虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
アイスプラント(アイスプランツ)の詳しい育て方
選び方
本葉4~5枚位で、緑が濃く、徒長していない苗を選びましょう。
種まき
春まきは2月〜3月、秋まきは9月にまきます。アイスプラントの発芽温度は20℃程で、あまりにも気温が低いと発芽しません。気温に気をくばり、日の当たる環境で発芽させましょう。
種がとても小さいので、種まきした後の水やりは、流れてしまわないように霧吹きなどで湿らせるとよいでしょう。
植え付け
育苗した場合、春なら4月頃、秋なら9月〜10月頃にはプランターに植え付けましょう。初めてアイスプラントを育てる初心者の方は、苗から育てたほうが育てやすいでしょう。
アイスプラントは塩分が含まれていることから、他の植物への影響を考え、プランターでの栽培をおすすめします。
アイスプラントは葉が円形に育ち、生長すると約50cm位になります。プランターもその大きさに合わせてお選び下さい。
花
アイスプラントは、葉の先がほんのり赤く色づいてくると花が咲きます。 長く収穫する場合は、花芽を摘み取り、順次収穫しましょう。アイスプラントの花が咲いた後は、種を採取することもできるので、種を採取する株とアイスプラントを収穫する株をそれぞれ育ててみてはいかがでしょうか。
収穫
株が50cm程度になったら収穫の目安です。植え付けから順調に育てば、早いものは1か月ほどで収穫することが出来ます。
アイスプラントは葉が大きくなりすぎると食味が落ちますので、次々に出てくるわき芽を順次収穫しましょう。
真夏と真冬の管理を上手に行うことで、順次収穫することができます。
増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)
アイスプラントは、野菜であるとともに多肉植物でもあります。そのため、挿し木で増やすことができます。
挿し木にする際は、アイスプラントの芽を数日乾かした後、清潔な土に挿して育てましょう。