カブ(蕪)の育て方|植物図鑑

植物名
カブ(蕪)
学名

Brassica campestris

英名
Turnip
和名
別名・流通名
カブラ、カブナ、カブラナ、スズナ
科名
アブラナ科
属名
アブラナ属
原産地
中央アジアおよびヨーロッパ西南部

カブ(蕪)の特徴

カブはアブラナ科の大根と並ぶ代表的な一年草の根菜で、日本書紀(日本の歴史書)にも記録されているほど、栽培の歴史が古い野菜です。地方に応じた独特の品種が多数栽培されています。

カブの葉=すずなと言われ、鈴菜、菘(すずな)と書きます。これは丸くて白い根の形を鈴に見立てたものです。すずなは春の七草にも数えられていて、大根とは異なり、葉がついた状態で販売されることが多いです。

カブ(蕪)の詳細情報

園芸分類 野菜
草丈・樹高 30~50cm
耐寒性 やや強い
耐暑性 やや弱い
耐陰性 やや弱い
花色 黄色

大根とカブの違い

大根とカブはよく似ています。二十日大根や聖護院大根は、丸いので一見するとカブのように見えますし、日野菜カブという品種はとても細長くまるで大根のようです。では、両者の違いはどこで見分ければいいでしょうか。

大根は胚軸と根が太ったもので、大根の上の方はつるんとしていますが、下の方にはひげ根や根が付いていた痕跡があります。

一方、カブは胚軸だけが太ったものなので、表面はつるっとしていて、先っぽについている細長いひげのようなものが根です。大根かカブかを見分けるときは根だったのか、茎(胚軸)だったかで見分けてください。

他の見分け方として、ダイコンの花は白や薄紫色で、カブの花は黄色なので区別もつきやすいのですが、カブは花が咲く前の美味しいうちに収穫したいですから、お花が咲くまで育てることはなかなか無いかもしれませんね。

諸葛菜(しょかつさい)と呼ばれるカブ

中国の後漢末期から三国時代の軍師として知られる諸葛亮(字は孔明)が、「行軍の先々でカブを栽培させては食料とした」という逸話が残っていることにちなんで、カブを諸葛菜(しょかつさい)と呼ぶことがあります。カブはやせた土地でも栽培できますし寒さにも耐え、収穫も早いので、貧しい農民から感謝をこめて名付けられたそうです。ちなみに、日本では、「諸葛菜」と言えば「オオアラセイトウ(ムラサキハナナ)」という植物のことをさすようです。

カブの保存方法

カブは葉がついたまま保存すると葉が根の水分を吸い上げてしまうので、根と葉はすぐに切り分けて、それぞれをポリ袋にいれて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。

カブ(蕪)の育て方カレンダー

時期 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
種まき
収穫

カブ(蕪)の栽培環境

日当たり・置き場所

カブは日当たりを好みます。風通しの良い場所で育てましょう。

温度

カブの生育適温は15℃20℃で冷涼な気候を好み、春まきと秋まきの年に2回作ることが出来ます。暑さに弱いため、初心者は秋まきの品種を選び栽培する方がよいでしょう。

用土

カブは土壌の適応性が高い根野菜で、PH5.26.8の間であれば栽培が可能です。

カブは肥料が多すぎると葉だけ伸びてしまうため、元肥の量は他の野菜と比べて少し控えめにしましょう。

プランター栽培のカブは、野菜用の培養土で育てましょう。

畑栽培のカブは、植え付け前に土を耕す準備が必要です。畑の土が酸性に傾いている場合は、まず植え付けの2週間前位には石灰を入れ、耕しましょう。その1週間後に完熟堆肥と元肥を入れ土になじませます。土の酸度は、市販の酸度測定液などを使うと安価で簡単に調べることができます。

窒素分を含む肥料は、石灰と合わさることで窒素分がアンモニアガスとなって消失してしまうため、同時に使用してはいけません。

なお、この場合の石灰とは「消石灰」や「苦土石灰」をさします。牡蠣殻などの「有機石灰」ではそのような化学反応は起きないので、どうしても日数がない場合は「有機石灰」「完熟堆肥」「有機肥料」を使うと同時に混ぜ込むことが可能で、すぐに種まきや植え付けができます。

カブ(蕪)の育て方のポイント

水やり

発芽するまでは、土を乾かさないように水やりをします。発芽後は、土の表面が乾いた時に水やりを行います。 また、根の肥大期に水やりが足りないと、裂根の原因となるため、根の肥大を確認したら水やりには気をつけましょう。

肥料

2回目の間引き後に、2週間に1回程度追肥します。

病害虫

病気は根こぶ病、べと病、白斑病が発生します。
害虫はアブラムシヨトウムシ、アオムシ、カブラハバチが発生します。 日頃から
木酢やニームなどの忌避剤で予防を心がけましょう。

カブ(蕪)の詳しい育て方

選び方

カブは、形・色・味の違う品種がたくさんありますので、お好みの種類の種を選びましょう。

種まき

カブは直根性のため移植には向きません。畑やプランターに直まきしましょう。

小カブの種は、すじ状にまき、水を絶やさないように管理しながら発芽を促します。

大カブは、一か所に45粒の点まきにするか、すじ状にまいて、間引き菜を食べるのも楽しみの一つです。

カブは好光性種子のため、光が当たりやすいように覆土の量は、少なめを心がけましょう。

カブの間引き

すじまき(小カブ大カブ)

1回目 双葉がそろったら23cm間隔。
2回目 本葉23枚の頃56cm間隔。
3回目 本葉が56枚の頃、大かぶは1517cm、小かぶは810cm間隔。

点まき(大カブ)

1回目 双葉がそろったら3本立ち。
2回目 本葉23枚の頃2本立ち。
3回目 本葉が56枚の頃1本立ち。

ちなみに、小カブなどは草丈20cm程生長すると、株もとに直径12cmほどのカブになります。このタイミングで間引くことで、実もある間引き菜を楽しむこともできます。

植え付け

主に種をじかにまいて育てるので、植え付け作業はしません。もし、植え付けを必要とする場合は、カブの根が直根性という性質から、できるだけ早い段階で植え付けを行いましょう。

カブはとう立ちすることで花芽を付け、黄色い花を咲かせます。

収穫

品種によって異なりますが、小カブは直径45cm、大カブは直径812cmくらいになったら株元の葉をもって引きぬきながら順に収穫しましょう。収穫が遅れると、「す」が入ったりひび割れをおこしたりするので、早めに採りましょう。

※「す」が入る…根に蓄えられている栄養が葉に送られてしまい、スポンジのように中身がスカスカになること。

収穫は小カブなら種まき後40日50日ほどで、大カブなら種まき後70日後位が目安です。

  • 監修者:LOVEGREEN編集部
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