園芸家「外山たら先生」と野草研究家「山下智道さん」が語る~日本で最初のハーブ協会JHSハーブセミナー

戸松敦子

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JHSこと「NPO法人ジャパンハーブソサエティー」は、1986年に設置された日本で最初のハーブ協会です。

そんな由緒ある協会が主催されるHERB SEMINAR2017が、表参道の東京ウィメンズプラザホールで開催されるとのことで、6月23日(金)に参加し、取材して参りました。

 

今回のセミナーは、豪華なお二方を講師にお迎えしました。

前半の部では、NHK「趣味の園芸」でおなじみ、かつJHSの顧問でもある園芸家外山たら先生が、ライフワークとして活動されている“学校菜園&食育プロジェクト”やポタジェガーデンについてのお話をしてくださりました。NHK番組の撮影秘話もこっそり楽しく教えていただいちゃいました。

外山たら先生は、世界各地のハーブを研究し日本で栽培方法を広めたハーブ栽培の先駆者であり、NPO日本コミュニティーガーデニング協会の会長でもあります。

提供:NPO法人ジャパンハーブソサエティー

 

後半の部では、ハーブ王子として多方面から引く手あまたの野草研究家山下智道さんに、身近な野草についての見分け方のポイントや利用法などをマニアックに説明していただきました。山下智道さんは、野草講座や野草散策ガイド、ガーデン監修や野草メニューの監修など様々なお仕事をされています。

提供:山下智道さんホームページ

 

それでは、前半の部からご紹介します。

前半の部「学校菜園とポタジェ」~園芸家 外山たら先生

アリス・ウォーターズさんの記事との出会い

外山たら先生は、2014年9月からNHK趣味の園芸 ”野菜の時間” のポタジェの講師とて出演し、「たらおじさん」の愛称で多くの視聴者に親しまれています。

そんな外山先生は、ライフワークとして「学校菜園とポタジェ」を広める活動をされているのですが、その活動を始めることになったきっかけは、10数年前の新聞に掲載されたアリス・ウォーターズさんの記事にあったそうです。

アリス・ウォーターズさんは、世界にスローフードを普及させ、アメリカでも最も予約が取れないと言われるレストラン「シェ・パニース」のオーナーでもある著名な方です。「アリスのおいしい革命」という本の名前を聞いたことがありませんか?

フレンチレストランを経営していた彼女は、空き缶やお菓子のゴミが散乱する地元の中学校の荒れている姿を目の当たりにし、地元の子供たちに食の大切さを学ぶ場を提供しようと考えました。そして彼女の意思に賛同した中学校長の協力のもと、学校の一部を教員や生徒とともに開墾し、1226坪の畑を作ったそうです。

 

一連のプロセスで学ぶプログラム~「栽培して食べる」

1. 畑の土づくり

2. 栽培

3. 収穫

4. 調理して食べる

「校庭で野菜や果物などを栽培し、収穫物を調理して食べる。」という一連のプロセスの体験を通じて、食について学ぶプログラムです。

このプログラムは「食べる事・命のつながり」を学校で教えることが求められる現代において、画期的な教育モデルとして全米で注目されており、こうした教育はエディブル・エデュケーションと呼ばれ、全米の公立学校、私立学校で正規の授業として実践されています。

 

「学校菜園とポタジェ」~日本各地で展開

外山先生は、アリス・ウォーターズさんの活動を日本でも行う必要があると強く考え、10数年にわたって「学校菜園とポタジェ」を広める運動を展開してきました。今後可能であれば、JHSの会員と一緒に “学校菜園&食育プロジェクト” を作り、パワーアップできないかと考えているそうです。

アメリカでは、中学の3年間を通じて授業に取り入れられていますが、日本で行う場合は小学校の4~6年生の3年間で行う方が子供たちの心に受け入れられやすいのではと話していらっしゃいました。今の子供たちは、スマートフォンやパソコンなどにふれて情報化社会の中で一生懸命生きているため、小学生のうちからこの授業をスタートし、土を耕し、栽培し、収穫し、調理して、食べる。そして命の大切さを学び、身につけておくことはとても必要だと思いました。

 

様々な分野の人が立体的に支えてつくる

このプロジェクトは、一見、家庭科分野だけに見えてしまいがちですが、実は、栽培に適した土壌の研究や食文化の調査など、理数や社会、歴史・文化といった多岐にわたる分野を学ぶことができるユニークな学習プログラムなのです。そのため、学校、行政、PTA、地域、農家含めて複数の分野の人が立体的にサポートしてつくっていく必要があると外山先生はおっしゃっていました。

これからの日本の子供たちに、最も大切な授業であり、多くの学校で取り組む流れができたら本当に素晴らしいと思いました。

写真は、学校で子供たちが育てたハーブを使って地域の人々がリースづくりのイベントを企画した時のものだそうです。

 

代々木公園ハーブガーデンの定例活動とイベント

外山先生が会長を務めていらっしゃる「NPOコミュニケーションガーデニング協会」は、東京都立代々木公園にあるハーブガーデンを活動の場としています。

月に1回の定期活動があり、植物に興味がある方、ご自宅に庭がなくハーブが育てられない方、外で汗を流すのが好きな方、いろいろな方が会員となり参加されているそうです。会員は随時募集していらっしゃるそうです。

また、外山先生による講座も開催されています。子供から大人まで幅広い年齢の方が参加できそうです。ぜひ皆様も参加してみてはいかがでしょうか。

NPO日本コミュニティーガーデニング協会のホームページはこちら

 

後半の部「野草のある生活」~野草研究科 山下智道さん

野草との出会い~野草への想い

福岡県北九州市出身の山下さんは、お父様が登山家であったり、おじい様おばあ様と暮らしていらした環境からか、幼い頃から草花や野草を身近に感じていたそうです。

野草は園芸用の植物に比べるとちょっと地味かもしれませんが、古くから生活の一部として取り入れられるほど日本人の身体に合うとても素晴らしい力があります。しかし残念なことに今、その日本人の知恵や伝統が忘れさられようとしています。

山下さんは、「日本にある野草の美しさを若い人たちや子供たちに伝えていきたい。」「家族から教わった野草の効能を生かした伝統を今の日本に守り伝えたい。」と強く思い活動していらっしゃいます。

道端に何気なく咲いている野草にはそれぞれ違う顔や個性があって、それは人間も同じだということを野草から教わり、自分も周りの人を大切にするようになったとお話しされていました。

 

野草の活用術いろいろ

1. 野草料理

例:イタドリの味噌炒め

イタドリの柔らかいところを摘み、さっとゆがいてごま油で炒めお味噌と味醂で味付けしたら完成です。

2. 野草のハーバルバス

フレッシュヨモギやカキドオシなどを摘み、煮出してお風呂の中に入れます。フレッシュな香りを生かしたい時は、摘んだ葉をネットに入れてお風呂に入れ、ハーバルバスを楽しむこともできます。爽やかな香りが心と体を癒してくれます。

3. 野草茶

摘みたてのフレッシュ野草を洗ってポットに入れ、沸騰したお湯を注ぎ3~5分蒸らして出来上がり。一人分は手のひらにひとつかみが目安です。ヨモギ、カキドオシ、クロモジなどがおすすめです。

写真は、山下さんが当日持ってきてくださった野草たちです。

 

野草の紹介

山下さんのおすすめの野草71種

「これ以上絞り切れませんでした。(笑)」と、爽やかな笑顔でおっしゃり、71種の野草を真剣に紹介してくださりました。今回のセミナーのために作成してくださったJHSオリジナルレジュメは、植物好きの参加者が今後出会う野草を調べたい時にとっても参考になる完全保存版レジュメですよね。

 

ひとつひとつ丁寧に、特徴やおすすめの理由、出会えそうな場所などを教えてくださりました。参加者が野草の魅力に引き込まれる時間でした。 

 

注意すべき毒草のお話し

野草を摘む時に絶対気をつけなければいけないのが、毒草の存在です。中には毒の無い野草にそっくりな姿をした毒草もあり、食べると死に至ることもあるので、そこが野草を扱う時の一番の注意点です。

野草を学ぶ時は、毒草も学ぶことが大切です。葉っぱだけの状態では毒草と見分けることが難しいので、その野草はどんな生長をしてどんな花が咲いてどんな実がなりどんな種ができるか、1年を通じて観察することが大切だそうです。初心者で不安な場合は、専門家に聞きながら野草を摘んだり食したりする必要があります。

 

日々の研究ノート

こんなに野草に詳しい山下さんでも、まだまだ知らない野草がおありで、日々の研究ノートを作成されているそうです。新たな野草を1日に5種類覚える事が目標だそうですが、「なかなか難しいですね。」とお話しされていました。

今回ご紹介してくださった野草の中に、多摩川の土手によくあるという野草がいくつかあったので、早速多摩川探検に行きたい気持ちにまりました。

おそらく今回参加された方の多くの方が、「山下さんは若いのに素晴らしい。」と感じたことでしょう。山下さんはいつも「ハーブ王子」という名でご活躍されているそうですが、今回「野草研究家」というスタンスで講義をしてくださった姿はとても素敵だと思いました。ご本人は「どちらでも大丈夫です。」と笑っていらっしゃいました。

 

山下智道さんは、東京・横浜を中心に全国でイベントや講座を開催されています。ぜひ、ホームページからそのご活躍をご覧になり、イベントに参加されてはいかがでしょうか。

山下智道さんのホームページはこちら

 

終わりに

今回のセミナーは、お二人の講師の方にいらしていただき、本当に内容の濃いセミナーでした。参加者の盛大な拍手から、その充実感がうかがえました。ハーブや植物が好きでその関係のお仕事をされている方や、何かしらハーブや植物に携わっている方が集まられたのだと思いますが、今回のセミナーに参加し、セミナーで学んだことや感じたことを持ち帰り、それぞれの場で役立たせてご活躍されるのだなと思いました。時々、このように真剣に学ぶ時間を持つことは大切な事だと感じました。

皆様も、JHSこと「NPO法人ジャパンハーブソサエティー」が企画されるハーブのイベントに参加されてみたらいかがでしょうか。様々な場所でいろんなイベントを開催されていますので、ぜひ、ホームページからご覧になってくださいね。

▼ハーブ王子山下智道さんに関する記事はこちら

 

▼多摩川の野草「ハマダイコン」の記事はこちら

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戸松敦子

グリーンアドバイザー、ハンギングバスケットマスター、野菜ソムリエ、家庭菜園検定2級。園芸業界で植物全般を幅広く学び経験してきました。LOVEGREEN編集部では主に寄せ植えやリース作り、ボタニカルピープルなどの取材を担当。人が植物と心地良く暮らし、その幸せの連鎖が世界中に広がっていくことを願います。趣味はママさんサッカー。都大会優勝を目指して日々練習しています。

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