世界的に有名なフラワーデザイナー!グレゴール・レルシュ氏、来日インタビュー
山田智美
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グレゴール・レルシュ氏というフラワーデザイナーをご存知ですか?世界的にとても有名なフラワーデザイナーです。ヨーロッパのフラワーデザインの世界を牽引し、流行を作り出している人物と言っても過言ではありません。
そのグレゴール・レルシュ氏が来日し、2018年7月18~19日に東京流通センターにてセミナーが行われました。セミナー後のグレゴール・レルシュ氏本人にインタビューすることが出来ました。
常にフラワーデザイン界の先端を進み、生き生きとした目で花への想いを饒舌に語ってくれたグレゴール・レルシュ氏。彼が日本の私たちに伝えようとしたこと、インタビューで話してくれた素敵なお話を紹介します。
目次
グレゴール・レルシュ氏の紹介と来日目的
- 名前:グレゴール・レルシュ GREGOR LERSCH
- 職業:フラワーデザイナー
- 出身地:ドイツ(バドノイエンアール在住)
- 活動拠点:ドイツ
グレゴール・レルシュ氏は、ドイツを拠点に活動する、世界的に有名なフラワーデザイナーです。毎年世界中を飛び回り、年間32ヶ国でデモンストレーションやレクチャー、フラワーデザインの指導を行っています。彼のドイツのアトリエにも世界中から、彼の理論とテクニックを学ぶべく、たくさんの人が集まってきます。
ヨーロッパのフラワーデザインの世界を牽引し、日本におけるヨーロピアンフラワーデザインの基礎にも影響を与えている人物です。
常に流行の先を行き、その優れた技術と自由な発想力で世界中に驚きと感動を与え続けるフラワーデザイナーです。
グレゴール・レルシュ氏の今回の来日目的
日本にも毎年来日し、「インターナショナル ティーチャーズ オブ フローリストリー(International Teachers of Floristry)」と称するフラワーデザインのレッスンを行っています。
International Teachers of Floristry(INT)
グレゴール・レルシュ氏が年に一回日本で行うレッスンプログラムです。世界的トップフラワーデザイナーであるグレゴール・レルシュ氏から直接レッスンを受けることができ、ヨーロッパはもちろん世界の流行と技術を学べます。また9回受講するとINTディプロマを取得することができます。
日本でのグレゴール・レルシュ氏のレッスン、イベントについては、花阿彌(はなあみ)というフラワープロデュース会社が主催しています。このレッスンの為の来日に合わせて、今回は作品展とトークショーが開催されました。
グレゴール・レルシュ氏にインタビュー
世界で活躍をするフラワーデザイナーである彼は、大柄な体をした優しそうな雰囲気の人物でした。私のインタビューに対して、とても真直ぐな目で植物への想い、それからフラワーデザイナーとしての在り方を語ってくれました。
「グレゴ先生にとって花とはどんな存在ですか?または、花や植物への想いを聞かせてください」
グレゴール・レルシュ氏が、「それは非常に深い意味を持つ質問だ。ここでは話しきれないかもしれない」と言いながら、話し始めてくれました。それは私が初めて聞く、広い視野に基づいた植物への深い愛情でした。
グレゴール・レルシュ氏の植物への愛情
「この世界には動物、植物、それから人間が存在しています。その中で植物が一番弱い(一番繊細な)存在です。その弱い存在である植物に私は心を打たれ、感動します。それなのに、私はフラワーデザイナーとして植物を切らなければいけません。切って花を装飾することによって、人々の目に触れ、人は花を美しいと感じます。人が花を見て美しいと感動し、花に価値を見出すことが植物の種の存続に繋がっていきます。それが花の生産者の5代目として生まれた私の考えです」
さらに彼は家族について話してくれました。彼の家族の話を聞くのは初めてでした。「私の家は、母の家系はガーデナー、父は詩人。なのに、何事もきちんと説明をつけたがる家族でした。それが今の私を作っています」
植物の命を摘む、そして生かす愛
植物の繊細さに感動し愛するフラワーデザイナー。そこまでは花を愛する多くの人と同じ気持ちです。その先には、愛する植物の存続を考えるからこそ自分の手で命ある植物(花)を切って装飾することで、より植物の存在価値を高めようとする彼ならではの考えがありました。
グレゴール・レルシュ氏の産み出す作品は、人の心に響くようなとても美しく感覚的な作品なのに、その構造は非常に論理的です。彼の家族の話を初めて聞いて、彼の世界観の片鱗(へんりん)を見たような気がしました。
彼の中に見えた両面心理
表面的には矛盾のように見える想いと行動、花を切って生けることが、その植物を肯定し、種を存続させるための愛へと繋がる。彼の植物への深い想いは、対極のようで繋がっている二つの要素から成り立っていました。
それから彼の生い立ち。グレゴール・レルシュ氏の花はとても繊細で優しく、感覚的。それなのに、装飾構成はとてもロジカル。「何となく」で作られたものではなく、必ずそこに理論が存在しています。それが彼のフラワーデザインの最大の魅力です。
人柄も魅力的なグレゴ先生
インタビューの最後にグレゴール・レルシュ氏が、突然「ケンゾー!」と大きな声で言い、続けて「私がつけている香水を知りたかったんじゃないのか」と言います。さらに続けて「マンツァイ ボンサイ」と。
聞いたこともない単語に困っていると、通訳さんが笑って教えてくれました。「マンザイボンサイ(漫才盆栽)」と言っている、つまり「盆栽のように小さな漫才(笑い話)」という意味だそうです。インタビューの最後を冗談で締め括ろうとしてくれたようです。
植物への深い愛情という、とても素敵な話をしてくれたトップフラワーデザイナーは、冗談も言ってくれるようなチャーミングな男性でした。
作品も本人も繊細でロジカル
グレゴール・レルシュ氏の作る花の作品の数々は、とても優しく繊細で堅苦しさなんて感じられないのに、作り方にはきちんとした理論が常に存在しています。ただ華やかにするためにお花が塊(かたまり)を成しているわけではありません。ただ面白みがあるからネペンシスや果実をぶら下げているわけでもありません。すべて彼の理論の上に作り上げられているのです。
人々の感性に訴えかけてくる繊細な作品とその裏側に存在する理論。彼自身も矛盾とも思える二つの要素を併せ持つ魅力的な人物でした。
常に流行の先を行き、新しいフラワーデザインを提案し続けるグレゴール・レルシュ氏。彼の複雑で奥深い世界は、やはり言葉より作品を見ていただくのが一番でしょう。
グレゴール・レルシュ氏の作品の魅力
世界のフラワーデザイン界を率いるグレゴール・レルシュ氏。彼の作り出す作品には、周囲の空気まで変えてしまうようなインパクトがあります。花を使ったオブジェと言うのでは言葉が足りません。有機素材である植物と無機質な素材を使って、この世には無い植物を産み出してしまうようなイメージです。
彼の手から産み出された植物たちは自由で美しく、瑞々しい生命力を感じます。色、繊細さ、驚き、楽しさ、美しさといった様々な要素で、私たちを感動させます。そして見ている者に安心感を与える落ち着きがあります。
それは全て、彼の作品の見えないところに存在している理論と秩序です。例えばこの写真の作品は、アシンメトリーをテーマにしているそうです。ボリュームでアシンメトリーを作り出し、色もコントラストにすることでテーマを強調しています。
彼の作り出す花の世界には、必ず理論が存在しています。だから、全てが美しく調和しているのです。
グレゴ先生のレッスンに行ってみよう!
グレゴール・レルシュ氏は毎年来日し、年に一回インターナショナル ティーチャーズ オブ フローリストリー(International Teachers of Floristry)というフラワーデザインのレッスンを行っています。
世界的トップフラワーデザイナーであるグレゴール・レルシュ氏から直接レッスンを受け、世界でも最先端の流行と技術を学べます。また、9回受講するとINTディプロマを取得することができます。
日本でのグレゴール・レルシュ氏のレッスン、イベントについては、花阿彌(はなあみ)というフラワープロデュース会社が主催しています。興味のある方は、花阿彌(はなあみ)へ直接お問い合わせください。
花阿彌(はなあみ)
〒253-0025 神奈川県茅ヶ崎市松ヶ丘2-11-5
tel 0467-87-0987
fax 0467-87-0981
e-mail [email protected]
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