【育てた野菜を丁寧に扱う】育てて食べる。はじめてさんのエディブルガーデン12月編
古幡真恵
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Illustration:小野寺葉月
エディブルガーデンの12月の作業のポイントは「育てた野菜を丁寧に扱う」。
お正月の御節料理に使用する重箱の意味やその他のお正月料理に使いたい野菜のおめでたい下ごしらえなどをご紹介します!
目次
- 育てた野菜を丁寧に扱う。心を込めたお正月
- おめでたい野菜の下ごしらえ〜煮物
- おめでたい野菜の下ごしらえ〜酢の物(かぶ)
- おめでたい野菜の下ごしらえ〜盛り付け飾り(きゅうり)
- おめでたい野菜の下ごしらえ〜番外編(かまぼこ)
育てた野菜を丁寧に扱う。心を込めたお正月
お正月のお節料理の起源をたどれば、日本人が米を作り始めた弥生時代にまでさかのぼります。季節折々に収穫される作物に対し、自然の恵みに感謝して、神にささげたことが「節供料理」すなわちお節料理の起源です。
時代とともに、邪気払いや不老長寿の祈願行事としての意味を強めますが、特にお正月は大切な1年の始まりに欠かすことのできない大切な節目として「おめでたい」意味を込めた料理を作ります。
おせちの重箱
三重の場合
一の重(上段)には祝い肴、口取りの黒豆、数の子、田作り、紅白かまぼこ、きんとん、伊達巻、昆布巻き、たたきごぼう、錦玉子、チョロギ。
二の重(中段)に主に海の幸の焼き物、煮物は主に山の幸のレンコン、里芋、八頭、クワイ、ゴボウ。
三の重(下段)に酢の物、和え物の紅白なます、菊花かぶ、小肌粟漬け。
五重の場合
一の重には祝い肴、口取りの黒豆、数の子、田作り、紅白かまぼこ、きんとん、伊達巻、昆布巻き、たたきごぼう、錦玉子、チョロギ。
二の重に主に海の幸の焼き物。
三の重には煮物は主に山の幸のレンコン、里芋、八頭、クワイ、ゴボウ。
与の重(四という文字は使用しない)には酢の物、和え物の紅白なます、菊花かぶ、小肌粟漬け。
五の重には、年神様から授かる福を詰める場所として空っぽにしておくか、家族の好物や予備の料理など。
おめでたい野菜の下ごしらえ〜煮物
せっかく「おめでたい」お節料理を作るなら、使う食材にも「おめでたい」意味を込めたいですね。
お節料理に使われる食材や切り方には、じつは全てに意味が含まれています。ひとつひとつを紐解くように、野菜の下ごしらえをしましょう。
にんじん
にんじんは、お節に欠かせない野菜の代表の一つですね。にんじんの色が赤い色をしていることから「寿」を意味する野菜として使われます。寿という言葉には、祝い事や長寿という意味が込められています。
ねじり梅
縁起の良いにんじんを松竹梅でお馴染みの梅にかたどります。1年の初めに花をつける梅に見立てて、にんじんを縁起の良いものに仕立てていきましょう。
〜道具(包丁・まな板以外)〜
・梅の型
・ピーラー
作り方
1. にんじんの皮をむきます。
2. 梅の型でにんじんを抜きます。
3. 梅の内側の5か所に切れ込みを入れます。
4. 切り込みから隣の切込みにかけて、斜めに切り落とします。
5. 両面斜めに切り込みをいれたら完成です。
しいたけ
しいたけは、神様へのお供えとして使われ健康を願う野菜です。
亀甲椎茸
「鶴は千年、亀は万年」長寿のシンボルとしての亀の甲羅に見立てた亀甲椎茸の形を作りましょう。
作り方
1. しいたけの石づきを切りとります。
2. しいたけの左右を平行に切ります。
3. 上下の丸い部分を亀の甲羅に見立てて、六角形になるように均等に切り落とします。
4. 鹿の子切りといって、斜めに格子に切り込みを入れます。
5. 六角形の亀甲椎茸の完成です。
レンコン
レンコンには穴が空いています。このことから「先を見通す」という意味をもち、縁起物としてお正月に欠かすことのできない野菜の一つです。
花レンコン
縁起物のレンコンも可愛く花に見立てて飾り切りをしましょう。
〜道具(包丁・まな板以外)〜
・ピーラー
作り方
1. レンコンの皮をむきます。
2. レンコンを輪切りにします。
3. 穴の開いた部分に沿って、外側に切れ込みを入れます。
4. 花レンコンの完成です。
おめでたい野菜の下ごしらえ〜酢の物(かぶ)
かぶは「頭(かしら)」という意味をもち、株が上がるにかけて縁起の良い野菜です。
菊花かぶ
かぶは菊に見立てて切りましょう。菊の花は、長寿、無病息災を願う縁起の良い花の一つです。お正月には1年の無病息災を願って菊に見立てたかぶの甘酢漬けはいかがですか。
〜道具(包丁・まな板以外)〜
・はし
〜調味料〜
・唐辛子
・塩水(水・塩)
・甘酢(酢・砂糖・水)
作り方
1. かぶの皮をむきます。この時、上部と下部は平になるように、側面は3つに分けて角度をつけていきましょう。
2. 完全に下まで切り落とさないようにはしをおいて、かぶに格子状の切り込みを入れます。
3. 切り込みを入れたかぶを塩水にさらしてしんなりさせてから、甘酢に漬け込み盛り付けます。
4. 最後に唐辛子を真ん中にのせて完成です。
おめでたい野菜の下ごしらえ〜盛り付け飾り(きゅうり)
きゅうりの歴史は3000年ほど前と言われており、日本では1000年前から栽培されていたとされています。そんな歴史あるきゅうりも、切り口が徳川家の葵の紋に似ていたことから江戸時代には大変不人気の野菜だったそうですが、九の利を得る野菜として縁起の良い野菜の一つです。
きゅうり松
先ほどにんじんを「梅」に見立てて飾り切りしましたが、今回のきゅうりは松竹梅の「松」に見立てて切りましょう。
松もいわずと知れた縁起物。常緑樹のため冬でも緑を絶やさないことから不老長寿の象徴として、昔から日本人に愛されている樹木です。
〜道具(包丁・まな板以外)〜
・はし
作り方
1. きゅうりを10cmほどの長さに切り、縦半分に切ります。
2. 下が太く、先が細くなるようにハの字に見立てて切ります。
3. 先の部分がより細くなるために、上部を斜めに切り落とします。
4. きゅりの厚み1/3のほどまで、切り落とさないように気をつけながら縦に細かい切り込みを入れていきます。
5. 斜めに切り込みを入れ、左右に倒していきます。
6. 松に見立てたきゅうりの完成です。
おめでたい野菜の下ごしらえ〜番外編(かまぼこ)
野菜ではありませんがかまぼこはお正月に欠かせない食べ物です。このかまぼこも縁起の良い食べ物のひとつです。
板についているかまぼこは半円です。この形が日の出をあらわすことから、新年の新しい門出に相応しい食べ物としてお正月に食べられています。
この縁起の良いかまぼこの切り方を2つご紹介します。
手綱
手綱とは、馬を御するための手綱に見立てたものです。
武家社会の名残で、手綱を締めるように心を引き締め、己を厳しく戒め、戦いに備える心を養うという意味を込めます。
作り方
1. かまぼこを板から外し、お好みの厚さに切ります。
2. 外側の丸い部分を2/3ほどむきます。
3. むいた部分の真ん中に切り込みを入れます。
4. はしを切り込みの中にくぐらせます。
5. 完成です。
蝶々
蝶々は風水でも縁起のいい生き物とされ、喜びをあらわします。新年を蝶々のかまぼこと共に喜びましょう。
作り方
1. かまぼこを板から外します。
2. 全て切り落とさないように注意しながら、5mm位の薄めに切り込みを入れます。
3. 切れ目から5mmほどのところでかまぼこを切ります。
4. 切り取ったかまぼこを半分に切ります。
5. 板についていた部分を少し残し、丸い部分から切り込みを入れます。
6. 今度は反対側の板についていた部分から少し切り込みを入れます。
7. 5の部分を6の部分に差し込みます。
8. 完成です。
いかがでしたか?
縁起の良い野菜に少し手を加えるだけで華やかになりますね。1年の始まりを丁寧な野菜の切り方で、心を込めた素敵なお正月を迎えましょう。
出来上がったお料理もより素敵に仕上がりますので、みなさんもぜひひと手間かけてみてはいかがですか。
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