冬のお庭を彩る! とても優れている「原種シクラメン」の魅力
LOVEGREEN編集部
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冬の花壇を彩るシクラメン。苗は秋ごろから出回ります。シクラメンはハート形の葉っぱがとてもかわいい花ですね。お庭で育てている方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介したいのは、お庭でよく目にする園芸種のシクラメンではなく「原種シクラメン」。お庭のシクラメンから、もう一歩踏み込んだ「原種シクラメン」の魅力について、プロの生産者の横山園芸の横山さんにお話を伺いましたのでご紹介したいと思います。
目次
シクラメン〜園芸種と原種
写真提供:横山園芸
▲原種シクラメン
「原種シクラメン」とは、一体どんなシクラメンなのかご存知ですか?画像を見て「原種シクラメン」と「園芸種シクラメン」の違いを見てみましょう。
▲園芸種シクラメン
同じ「シクラメン」という品種には変わりありませんが、みなさんがよくお庭で育てている園芸用のシクラメンは、シクラメンの野生種が品種改良されることによって作られています。
写真提供:横山園芸
▲原種シクラメン
園芸種のシクラメンとは違う証拠に、この原種シクラメンの丸まった花茎をご覧ください。クルクルとした花茎の姿が、なんとも可愛いですね。
原種シクラメン
原種シクラメンとは、品種改良されていない野生のシクラメンです。実際に見てみると、確かに園芸種のシクラメンよりも花が小ぶりのサイズです。濃いピンクや薄いピンクの花色、小さな花はとても可憐な姿です。「かわいい!」という印象がぴったりのシクラメンです。
葉も園芸種のシクラメンに比べて小ぶりで、小さなハートの形が、原種シクラメンのかわいさを更に引き立たせます。葉の模様もそれぞれの斑入りが個性的で、同じ原種シクラメンといえども、どれを選んでいいのか迷ってしまいそうです。
シクラメンの名前の由来
写真提供:横山園芸
▲原種シクラメン
シクラメンの名前の由来は、ギリシア語の「キクロス」という言葉からきています。キクロスの意味は、「旋回」「らせん」という意味です。英語でいうところの「サイクル」つまり「円」という意味から、シクラメンという名前になりました。この花茎のクルクル丸まった様子が名前の由来で、原種シクラメンの特徴の一つです(花茎がまかないタイプの原種もあります)。
この特徴から、原種シクラメンが鳥に食べられたり、とても乾燥する過酷な環境で育っていたことが分かります。種の部分をクルクルと花茎で巻いて保護することで、しっかり種が熟してから種を地面にこぼすことができます。過酷な環境を生き抜くために勝ち取った素晴らしい性質です。(ちなみに、園芸種のシクラメンの花茎がクルクル巻いていないのは、園芸用のシクラメンの品種改良に使われている原種が巻かないタイプのシクラメンだということです。)
写真提供:横山園芸
▲30年程栽培した原種シクラメン
原種シクラメンの中には、このように長い間かけて、大きな株になるものもあります。このシクラメンは30年ほどの月日が経過したものです。とても大株ですね!
写真提供:横山園芸
▲40年ほど栽培した原種シクラメン
この写真は、更に大株になった原種シクラメンです。この原種シクラメンは40年もので、アフリカに自生する「ローフシアナム」という品種です。私たちもこんなに大株に育ててみたいですね。
思ったより簡単!原種のシクラメンの管理方法
写真提供:横山園芸
▲発芽した原種シクラメン
上の写真は原種シクラメンのタネ(種)をまいて発芽してきたところです。一般の方が原種シクラメンをタネ(種)から育てるのは少し難しいようですが、 原種シクラメンの管理方法は園芸種のシクラメンよりも管理は意外に簡単だそうです。
原種シクラメンを生産している横山園芸の横山さんに、管理方法をお伺いしました。
原種シクラメンの管理方法
1. 特に葉組みなどの作業は必要ない。
(葉組みとは、葉や花を移動させて、シクラメンの形を整えること。)
2. 液肥も園芸種ほど与えなくてもよい。
3. 丈夫な品種を選べば、1年中外で元気に育つ。
4. 鉢で育てても、水やりは1週間に1回ほどで充分育つ。
このように、原種シクラメンは私たちにとても育てやすい性質を持っています。園芸用シクラメンよりも原種の方がガーデン向きかもしれません。
写真提供:横山園芸
▲1年程栽培した原種シクラメン
写真提供:横山園芸
▲3年程栽培した原種シクラメン
このくらいの大きさの株になれば、みなさんでも充分原種シクラメンを外で育てることができます。
園芸種のシクラメンの管理方法
私が家で育てているシクラメンは、鉢植えで育てている園芸種のシクラメンです。昨年から大株を育てて1年たちましたが、葉だけが立派に茂っていて、わずかに根元に花茎が存在している状態でした。
プロの生産者の方に、園芸種のシクラメンを上手に咲かせるためのアドバイスもいただきました。
園芸種シクラメンの管理方法
1. 園芸種のシクラメンは「葉組み」といって、葉を外側に動かすことで株の真ん中に光を当てる。
2. 1週間に1度は液肥を与える。
3. 温度管理として寒ければ家に取り込む。
なるほど…自宅のシクラメンの花が咲かない理由がこれで良くわかりました。
原種シクラメンの香り
写真提供:横山園芸
▲原種シクラメン
香水のような香りのする原種のシクラメン。みなさんはシクラメンの香りを嗅いだことはありますか?
残念ながら園芸種のシクラメンも、原種のシクラメンも、香りがある種類は少ないようですが、実際にいい香りのする原種シクラメンの香りを何鉢か嗅がせていただきました。
香水のような素晴らしい香り!趣の異なるスパイシーな香りの原種もあります。想定を遥かに超える原種シクラメンの素敵な香りに大変感激し、その香りの思い出は何年経っても忘れられません。
原種シクラメンまとめ
・原種のシクラメンは、種の部分にクルクルと花茎がまいている。
・原種シクラメンは、品種によっては真冬も外で管理ができるため育てやすい。
・原種シクラメンは、葉組みや肥料、水やり等の管理が園芸種よりも容易である。
クルクルと巻いた花茎のかわいい原種シクラメンはいかがでしたか?
こうしてプロの生産者の方にお話を伺ってみると、原種シクラメンはお庭で育てるシクラメンとして、とても優れた性質があることが分かりました。そして、今まで育てているシクラメンが「園芸種」なのか、「原種」なのか気にかけたことがなかったのですが、今回この原種シクラメンの形態・香りを楽しむために愛着ある大株に育ててみたいという気持が湧きました。
今回お話を伺ったのは、原種シクラメンの東京都の生産者「横山園芸」の横山直樹さんです。原種シクラメンに対する素晴らしい愛情と共に、日々精魂込めて生産されています。生産者としての横山さんの詳しい記事も、ぜひ合わせてご覧ください。
写真撮影:LOVEGREEN編集部
写真提供:横山園芸
▼原種シクラメンの他にクリスマスローズ、ダイヤモンドリリーの生産者としても有名な横山園芸のことならコチラ
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