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トリカブトの育て方・栽培方法|植物図鑑

植物名
トリカブト
学名

Aconitum

英名
Monkshood, Helmet flower
和名
鳥兜
科名
キンポウゲ科
属名
トリカブト属
原産地
日本、東アジア、北半球の温帯域

トリカブトの特徴

トリカブトは、キンポウゲ科トリカブト属に分類される北半球の温帯~亜寒帯原産の植物です。日本には約30種類ほどがあり、いずれも有毒です。日本三大毒草(トリカブト、ドクゼリ、ドクウツギ)の一つで、根を始めとした全草に毒があります。

毒を持つ植物の代表格として知られるトリカブトですが、実は生け花で広く用いられ、ポピュラーで育てやすい花です。毒草と聞いて栽培できるの? と思う方もいらっしゃると思いますが、花や葉の美しさから園芸品種が多く作出されおり、売買も育てるのも問題ありません。漢方では、附子(ぶし)という名前でトリカブトの根が生薬として使われています。

主に湿度が高い森に生えている多年草で、開花時期は8月~10月、冬は地上部を枯らして越冬します。20cmほどの矮性種から1mを超えるものまで、種によって草丈は様々です。名前の由来にもなったように、兜のように見える独特の袋状をした花を咲かせます。これはミツバチなど虫たちが奥まで入り込むことで効率的に授粉できるようにした工夫です。ただし、花粉にも毒があるので、トリカブトが咲く季節になると養蜂家たちはミツバチを巣箱から出さないようにするそうです。

トリカブトの詳細情報

園芸分類 草花
草丈・樹高 50~80cm
耐寒性 強い
耐暑性 やや弱い
耐陰性 あり
花色 白、紫、黄、緑、濃青
開花時期 8月~10月

トリカブトの花言葉

日本三大毒草のひとつ

「ドクウツギ」と「ドクゼリ」、そして「トリカブト」は日本三大毒草と呼ばれています。

ドクウツギは黒紫色の実に毒性があり、食べると呼吸困難を起こします。ドクゼリはセリの葉やワサビの根に似ているため誤食が多く、呼吸困難、意識障害などをもたらします。三種の中で最も毒性が強いのはトリカブトです。ただし、毒性を弱める処理をほどこせば麻酔薬や胃腸の薬として用いることができるようです。

漢方では乾燥させたトリカブトの塊根を附子(ぶし)として扱っています。

 

トリカブトはなぜ危険なのか?

トリカブトの毒は、口にさえ入れなければ基本的には問題ありません。ただし、樹液のついた手を口元につけてしまう可能性もあるため注意が必要です。トリカブトを扱うときは必ず手袋をつけ、使用後はよく洗っておきましょう。

トリカブトは、多年草です。存在を忘れてしまい、庭で雑草のようにまぎれていることがあります。根ごと引き抜かなければ、ずっと生え続けていることを覚えておきましょう。

最も危険なのは野山に出かけた時です。ヨモギの葉やニリンソウによく似ているので、間違えて採取されることが多いようです。トリカブトとヨモギは葉裏と茎の毛の有無や匂いで違いが分かりますが、一緒に群生していることがあるため、素人の採取は危険です。トリカブトとニリンソウはほとんど見分けがつかないので、判断する場合は花を見ます。春頃に白い花が咲いている場合はニリンソウで、秋頃に花が咲いていればトリカブトです。

トリカブトの栽培環境

日当たり・置き場所

森の沢の近くなど、暗くてじめっとしている場所を好みます。直射日光が苦手なので、50%~70%程度の遮光をして、風通しの良い場所で管理します。

日本に自生している高山植物のため、通年を通して屋外で問題ありません。

温度

耐寒性は強く、暑さには弱い性質です。寒冷地以外で栽培する場合は、なるべく涼しい場所に置いて下さい。

用土

酸性土壌を好むので、赤玉土と鹿沼土を同量で混合させたものか、赤玉土のみで植え込みます。市販の山野草の土でも問題なく育てられます。

トリカブトの育て方のポイント

水やり

湿潤な環境を好み、乾燥が苦手です。受け皿を置くなどして土が若干湿っている状態にしてください。冬場は休眠するため、土が完全に乾燥してから暖かい午前中に水やりしましょう。

肥料

元肥にはリン酸やカリを多く含む化成肥料を用意します。春から初夏の成長期には遅効性のものをやや控えめに与えます。

開花時と、開花後は液肥を与えるとエネルギーの消耗を抑えることができます。

病害虫

強い毒のあるトリカブトですが、春にはアブラムシがつきやすくなります。手でとらず、薬剤を用いる方が無難です。

トリカブトの詳しい育て方

選び方

葉が変色していない、節が詰まっているなど基本的な選び方に準じます。販売店によっては無毒の個体を扱っていることもあるので、毒が心配な場合、確認してみましょう。

種まき

ポットや育苗床にまき、浅く土をかぶせます。用土はピートモスがよいでしょう。発芽までは日陰で管理し、本葉が出てから徐々に日光に慣らします。

植え付け

植え替えの際は、鉢土を崩さないように扱いましょう。根腐れしやすいので、鉢植えの場合は鉢底石を忘れずにしましょう。

剪定・切り戻し

伸びすぎた枝を切る程度ですが、開花期は花が重すぎて倒れてしまうことがあるので、支柱を立てます。

また、暑さなどで葉が落ちてしまった場合は根元から切り戻しを行うことで、新葉が展開することがあります。

植え替え・鉢替え

1~2年に一度、2月頃に植え替えをします。植え替えに使う用土は赤玉土と鹿沼土を1:1で混ぜ合わせたものや山野草の土、赤玉土のみなどです。

植え替えをするときに塊根を傷つけないように注意してください。

名前の由来にもなったように、烏帽子のように見える独特の袋状をした花を咲かせます。花の様に見える部分は実はガクで、その内側に花びらがあります。これはミツバチなど虫たちが奥まで入り込むことで効率的に授粉できるようにした工夫です。

花色は濃青、紫、白、黄、緑などがあります。 

開花期は8月~10月頃で、涼しくなってくると蕾を付け始めます。花は切り花でも流通しています。

夏越し

夏の暑さが苦手です。50%~70%程度の遮光をし、受け皿などを敷いて風通しの良い場所で管理してください。

夕方~夜の涼しい時間帯に水やりをすることで乾燥を防ぎ、土ごと冷やすことができます。

冬越し

寒くなると葉が枯れ、塊根のみになります。休眠状態なので、過度の水やりは必要ありません。日本に自生している高山植物のため、寒さには強い性質です。

増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)

株分けか実生で増やすことができます。

  • 監修者:LOVEGREEN編集部

LOVEGREEN(ラブグリーン)の編集部アカウントです。ガーデニング、家庭菜園、インドアグリーンなど、幅広い植物ジャンルに精通したメンバーが在籍し、実際の栽培経験にもとづく花・植物の育て方や楽しみ方記事、お庭の取材記事、植物にまつわる企画などを配信しています。

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