ニラとは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- ニラ
- 学名
Allium tuberosum
- 英名
- Oriental garlic、Chinese chives
- 和名
- 韮
- 別名・流通名
- 懶人草(らんじんそう)
- 科名
- ヒガンバナ科
- 属名
- ネギ属
- 原産地
- 東アジア
ニラの特徴
ニラは独特の香りが料理を引き立て、炒め物や鍋物、餃子の具などに使われる野菜です。栄養面でも、カロテン、ビタミンB2、ビタミンC、カリウム、カルシウムなどを含み栄養豊富です。
東アジア原産で、日本でも古事記や万葉集にも名前が出てくるなど古くから親しまれていました。古くはミラ「美辣」と呼ばれており、これは美味しいという意味で、野菜の種類が少なかった昔に大変重宝がられた野菜でした。
ニラは別名懶人草(らんじんそう)とも呼ばれます。懶人(らんじん)とは怠け者のことで、次々収穫できるニラは、畑や庭の隅に何株か植えるだけで誰にでも簡単に育てられる野菜という意味合いでつけられたようです。
多年草で一度植え付けると同じ株から数年収穫することができ、数年経過した後は株分けをするとさらに長く収穫することができます。畑だけでなくプランター栽培もできるので、家庭菜園向きの野菜のひとつです。
ニラの詳細情報
園芸分類 | 野菜 |
---|---|
草丈・樹高 | 20~30cm |
耐寒性 | やや強い |
耐暑性 | やや強い |
花色 | 白 |
開花時期 | 8月~10月 |
ニラの種類
ニラには緑葉を利用する通常の葉ニラのほかに、遮光して軟白栽培した黄ニラ、伸びた花茎と若い蕾を利用する花ニラがあります。
ニラ
一般的なニラは、濃い緑色の葉を食べる「葉ニラ」で長さは30cmくらい。特有の香りを生かして炒め物や鍋物、餃子の具などに使われています。
黄ニラ
黄ニラは、やわらかくてほのかに甘味があり、香りもマイルドです。栽培に手間がかかるので、価格は普通のニラに比べてやや高めのため、あまり出回りません。そのため、家庭菜園で育てるなら是非チャレンジしてほしい栽培方法です。流通している黄ニラは、岡山県が全国の生産量の7割ほどを占めています。
黄ニラを家庭で栽培する場合は、収穫後ダンボール箱などで株を囲って10~15日程度、遮光させたものを黄化部から切り取り収穫します。香りが強すぎず、甘みがあり旨味がアップするため、生でも食べやすい味わいです。また、黄ニラには、葉ニラに含まれない脳の老化を予防すると言われているアホエンという栄養素が含まれています。
花ニラ
ニラは8月以降になると開花しますが、花を咲かせると株を弱らせてしまうため、蕾のうちに花茎を摘み取ります。
つぼみも花茎もやわらかく、油で炒めるとシャリッとした独特の歯ごたえがあります。
最近は花ニラ収穫専用の品種もいくつか開発され、市場に出回っているのはそうした品種であることが多いようです。
「とう」収穫専用の花ニラ品種
テンダーポール、ニラむすめなど
ニラの花言葉
ニラの育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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種まき | ||||||||||||
収穫 |
ニラの栽培環境
日当たり・置き場所
風通しと日当たりの良い場所を好みますが、半日陰程度なら問題なく栽培可能です。栽培場所をあまり選ばず、大変育てやすい野菜です。
温度
ニラの生育適温は15~25℃です。
用土
ニラをプランターで栽培する場合は、野菜用の培養土で育てましょう。
畑栽培のニラは、植え付け前に土を耕す準備が必要です。畑の土が酸性に傾いている場合は、まず植え付けの2週間前位には石灰を入れ、耕しましょう。その1週間後に完熟堆肥と元肥を入れ土になじませます。土の酸度は、市販の酸度測定液などを使うと安価で簡単に調べることができます。
窒素分を含む肥料は、石灰と合わさることで窒素分がアンモニアガスとなって消失してしまうため、同時に使用してはいけません。
なお、この場合の石灰とは「消石灰」や「苦土石灰」をさします。牡蠣殻などの「有機石灰」ではそのような化学反応は起きないので、どうしても日数がない場合は「有機石灰」「完熟堆肥」「有機肥料」を使うと同時に混ぜ込むことが可能で、すぐに種まきや植え付けができます。
ニラの育て方のポイント
水やり
プランター栽培は、プランターの土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。
肥料
植え付けた年は9月頃に追肥を行います。翌年以降は、収穫した都度、お礼肥えとして追肥を行いましょう。
ニラの詳しい育て方
選び方
葉の色が濃い苗を選びましょう。
種まき
ニラの発芽適温は17~22℃です。種から育てたニラの収穫は、2年目以降からになります。
春まきは3月~4月に、秋まきは9月~10月に育苗ポットに一箇所4~5粒づつ種をまきます。
畑に直まきする場合は、まき溝をつくり1~2cm間隔ですじまきします。ニラの種が見えなくなる程度の土をかぶせてからしっかりと水を与えましょう。
発芽までは長くて2週間程度かかります。発芽後、込み合っている芽があれば、1~2cm間隔になるよう間引きます。
植え付け
【畑栽培】
直まきした芽が草丈20cm程度になったら掘り起こし、2〜3株ずつをまとめて定植します。一般的な野菜は、株同士をくっつけないのが基本ですが、ニラは数株まとめて植えた方がよく育つ珍しい野菜です。
ニラの株は最終的には幅20~30cm、高さも30cm位の大きさになります。株間は30cm位とりましょう。
植え付け時の土寄せのポイント
まず10cm程度の溝を作り、株がぐらつかない程度に浅植えをします。ニラは一度に深く土寄せをすると、初期の生長がゆっくりになる性質があるため、2~3回に分けて土寄せを行います。最終的に生長点(写真の丸印の部分)が土に埋もれないようにするのが植え付けの深さの目安です。
最初の植え付けから3週間くらい経過し、株がしっかりと起き上がってきたら再度土寄せを行い、最終的に溝が平らになるようにします。
【プランター栽培】
幅65cm横長のプランターで5株までが目安です。販売されている一般的なニラの苗は複数の株が1つのポットに植え付けられた2年目以降の状態のものです。ポットから引き抜いて、そのまま定植しましょう。
植え替え・鉢替え
株が大きくなり密集してくると、新しい茎が出て枝分かれしてきます(分げつ)。そのままにしていると、株元が窮屈で葉が細くなったり、株が弱ってくるため、3年程度を目安に株分けしてください。
冬から春先に地際5cm程度で葉をカットし、株を掘り起こし、初年度の植え付けと同じく、2〜3株ずつまとめて植え付けし直します。土寄せに関しては植え付け欄をご覧ください。
花
夏になるととう立ちして花茎が伸びてきます。開花させると株を弱らせてしまうため、蕾のうちに花茎を摘み取ってから追肥して秋の収穫にそなえます。摘み取った花茎は花ニラと呼ばれ、食用にできます。
なお、同じ読み仮名ですが、分類的にまったく違う「ハナニラ(イフェイオン)学名Ipheion uniflorum」という植物があります。葉はニラの香りがしますが、観賞用で食用にはできません。
収穫
冬が終わったら、まずは伸びている葉を株元から3~4cmを残して刈り取ります(捨て刈り)。捨て刈りすることによって、整った新しい葉が生えそろってきます。草丈25~30cmになったら株元から5cm程度を残して最初の収穫をしましょう。その後、春から秋まで複数回の収穫ができます。収穫後は追肥と土寄せしておきましょう。
冬越し
冬になり葉が枯れてきたら、地際5cm程度で刈り込みます。