彼岸花(ヒガンバナ)とは?育て方・栽培方法|植物図鑑

植物名
彼岸花(ヒガンバナ)
学名

Lycoris

英名
Red spider lily
和名
彼岸花
別名・流通名
曼珠沙華、リコリス
科名
ヒガンバナ科
属名
ヒガンバナ属
原産地
中国

彼岸花(ヒガンバナ)の特徴

彼岸花(ヒガンバナ)は夏の終わりから秋にかけて咲く球根の花。お彼岸の頃に開花するLycoris radiataの他夏に開花する品種もあります。最近はたくさんの園芸品種があり、学名のリコリスという名前で流通していることがあります。

1本の真っ直ぐな緑色の茎の先端に、直径約10cm前後の花を咲かせます。花びらの色は品種改良が進み種類によって違いますが、日本で多くみられるのは赤。田んぼなどのあぜ道に咲いている風景をが印象的です。

彼岸花(ヒガンバナ)の花弁は他の花に比べて独特です。幅は5mm程度、長さは4cm程の花びらを6、7枚放射状に付けます。茎の長さは30~50cm。成人の膝丈程に伸びます。葉っぱも茎と同様細長く30~50cmになります。彼岸花(ヒガンバナ)は面白い事に花が咲く時期に葉っぱはありません。花が枯れた後ににょきにょきと生長する特徴があります。花と葉が同時に着かないことから「葉見ず花見ず」と言われています。

一般的に彼岸花(ヒガンバナ)で流通しているものは、秋の彼岸の頃に赤い花が咲く、リコリス・ラディアータと呼ばれる品種です。白花の彼岸花(ヒガンバナ)はリコリス・アルビフローラと呼ばれる交配種です。

彼岸花(ヒガンバナ)の詳細情報

園芸分類 球根
草丈・樹高 30cm~50cm程度
耐寒性 弱い
耐暑性 強い
花色 赤、白、黄、ピンク、アプリコット、オレンジ
開花時期 7月~10月頃

数多くの歌手に歌われる「彼岸花」

秋に咲く花、別れの花。少しうら寂しいイメージは、音楽を作る人にとって創作意欲を沸き立てるよう。「彼岸花」というタイトルの曲を持つ歌手は沢山いらっしゃいます。例えば、森昌子さんが歌う「彼岸花」は阿久悠さん作詞。彼岸花の別名「曼珠沙華」というタイトルでは、工藤静香さん、藤あや子さん、山口百恵さんらがテーマにし歌っています。また山口百恵さんは「悲願花」という当て字にした曲も歌っています。これからも彼岸花をテーマにした名曲が生まれるかもしれません。

初カラー作品「彼岸花」

「東京物語」など数々の名作映画を作って来た日本の映画監督小津安二郎。その名監督初のカラー映画のタイトルをご存知でしょうか。それが「彼岸花」なのです。彼岸花は曲のみならず、映画など動画にも創作意欲を掻き立てるようです。小津安二郎監督が撮影した「彼岸花」は悲しいお話などではなく、娘を嫁に出す父の葛藤を描いた親子の物語。劇中に出てくる「彼岸花」というタイトルの「花」の部分だけ真っ赤な所が鮮明であり、彼岸花の情熱の赤を思わせる様。これを機に日本の名作に触れては如何でしょうか。

彼岸花には別名が沢山!

彼岸花とう名前が付けられれた経緯は、お盆を過ぎた9月辺り、つまり「彼岸」の時期に咲くから彼岸花と名付けられたとされています。また、彼岸花の猛毒性に連想されこの花に触れると死ぬしかない。死=彼岸、から名づけられたともされています。悲しいイメージの付く彼岸花ですが、別名が存在します。皆さんがよく耳にするのは「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」ではないでしょうか。こちらは仏語から名づけられています。仏教の世界の彼岸花・曼珠沙華は純白。現世で咲く花とは一線を介す見た目になっているそうです。その他、彼岸花はリコリス属に属していることから園芸上では「リコリス」と呼ばれることが多いようです。

彼岸花の役割

彼岸花は墓地や畦に植えられていることが多い植物。実はこの植えられている場所にも理由があります。彼岸花の球根にはアルカロイド系の毒が含まれており、誤って摂取すると中毒症状を引き起こす可能性があります。昔の人はこれを知っており、モグラやネズミなどから稲や野菜などの作物を守るために、侵入を防ごうとして彼岸花を畦に植えたと言い伝えられています。また、墓地に植えられているのは同じくモグラやネズミから埋葬された遺体を守るためと言われています。

 

彼岸花(ヒガンバナ)の育て方カレンダー

時期 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
植え付け
肥料
開花

彼岸花(ヒガンバナ)の栽培環境

日当たり・置き場所

彼岸花(ヒガンバナ)は、日当たりの良い場所を好みます。半日陰程度の場所でも栽培可能です。

用土

鉢植えは市販されている培養土で栽培可能です。最近の草花用培養土は元肥が入っている場合があります。その際は別途元肥を混ぜる必要はありません。

地植えの場合は腐葉土を混ぜて水はけを良くし、緩効性肥料を混ぜると生育が良くなります。

彼岸花(ヒガンバナ)の育て方のポイント

水やり

地植えは、植え付け直後にたっぷりと水やりをし、それ以降は基本的に降雨だけで問題ありません。

鉢植えは、鉢の表面の土が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。極端に乾燥すると球根が弱り、花つきが悪くなるので注意しましょう。

肥料

地植え鉢植えともに追肥は必要ありません。ただし、花壇などで何年も同じ場所に植えっぱなしの彼岸花(ヒガンバナ)は、2、3年に一度、花後に堆肥や腐葉土を混ぜると生育が良くなります。

病害虫

特に問題になる病害虫の害はありません。

彼岸花(ヒガンバナ)の詳しい育て方

選び方

彼岸花(ヒガンバナ)は球根で流通しています。ずっしりと重みがあって、カビなどがはえていないものを選びましょう。最近はポット苗に球根を植え付けた状態でも流通していることがあります。

植え付け

地植えは、植え付け前に元肥を施し土を耕しておき、10cm程度の深さの穴を掘り植え付けます。球根同士の間隔は10~15cm程度あけましょう。

鉢植えは、根が伸びるスペースを確保するため、浅植えで植え付けます。鉢は深さのある鉢が適しています。

剪定・切り戻し

花が咲き終わったら花首のところで早めに切り取りましょう。

植え替え・鉢替え

地植えは基本的に植えっぱなしで大丈夫ですが、鉢植えは数年して花つきが悪くなったら、6月~8月に球根を掘り上げ、新しい土に植え替えをしましょう。

品種によって開花が始まる時期が違い、7月終わりごろから10月頃に花を咲かせます。

彼岸花

芽吹き始めの彼岸花(ヒガンバナ)

赤い花が咲くリコリス・ラディアータはお彼岸の頃に開花します。彼岸花(ヒガンバナ)は花が咲く時期に葉っぱはありません。花が枯れた後に葉が生長する特徴があります。

増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)

彼岸花(ヒガンバナ)は植えっぱなしで栽培でき、球根が分球して増えていきます。

  • 監修者:LOVEGREEN編集部
LOVEGREEN編集部アカウントです。編集部のスタッフが監修をしています。
監修している植物一覧を見る
植物の悩みならLOVEGREEN(ラブグリーン)のQ&A

人気の植物ランキング