彼岸花(ヒガンバナ)とは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- 彼岸花(ヒガンバナ)
- 学名
Lycoris radiata
- 英名
- Red spider lily
- 和名
- 彼岸花
- 別名・流通名
- 曼珠沙華(まんじゅしゃげ)、死人花(しびとばな)、火事花(かじばな)、リコリス
- 科名
- ヒガンバナ科
- 属名
- ヒガンバナ属
- 原産地
- 中国
彼岸花(ヒガンバナ)の特徴
彼岸花は、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の球根植物。秋になると、田畑の畔、神社や寺院の参道、身近な道路の脇などで、燃えるような真赤な花を連ねるように咲かせます。彼岸花は地下に鱗茎を持ち、分球で増えるので、密に群生しています。遠くから見ると、たくさんの真赤な花がかがり火のように咲いている様子が幻想的です。
彼岸花は、秋になると30~50cmの花茎を真直ぐに伸ばし、その先に数個の花を放射状に咲かせます。花一つ一つを見ると、花びらは細く縁が少し波打っていて、先端が反り返り、しべ類が飛び出すような独特のフォルムをしています。彼岸花の特徴は、花が咲き終わってから葉が出てくるところです。花が咲いていた場所に濃いグリーンの細い線のような葉を伸ばします。この頃には花は枯れてなくなっているので、多くの人はそれが彼岸花の葉だと気づかないようです。
彼岸花(ヒガンバナ)に白い花は咲く?
彼岸花は、基本的に真赤な花を咲かせますが、まれに白花もあります。真赤な彼岸花が群生している中で、ポツンと白い花が咲いているようなケースは非常に稀な突然変異です。
白といっても白に近い淡い黄色の花は、シロバナマンジュシャゲと呼ばれる彼岸花とショウキズイセンの交雑種です。シロバナマンジュシャゲも彼岸花と同じころに開花し、群生します。シロバナマンジュシャゲからは多くの園芸品種が作出されていて、白の他にピンクや、黄色の花を咲かせるものなどがあります。
彼岸花(ヒガンバナ)は種子を作らない?
彼岸花は、その昔中国から渡来したと考えられています。中国では種子を作るものが確認されていますが、日本に分布している彼岸花は、種子を作ることはなく分球で増えていきます。
彼岸花(ヒガンバナ)には毒がある?
彼岸花は地下の鱗茎に有毒のアルカロイドを含みます。墓地や田畑周辺で彼岸花を見かけるのは、昔はこの毒でネズミなどから大切な穀物や遺体を守るために植えられていたそうです。
彼岸花(ヒガンバナ)の名前や別名の由来
彼岸花にはたくさんの別名があります。彼岸花という名前は、秋の彼岸近くに開花することから名付けられました。曼珠沙華(まんじゅしゃげ)という別名は、仏教で天界に咲くと伝えられている花に由来します。死人花(しびとばな)という別名は、この花が墓地や寺院の近くに多いからです。火事花(かじばな)という別名は、赤い花を炎に見立て、家に持ち込むと火事になると言って忌み嫌ったことが由来だそうです。
彼岸花(ヒガンバナ)とリコリスの違いは?
彼岸花は Lycoris radiata のこと、リコリスとはヒガンバナ属の学名 Lycoris をカタカナ読みしたものです。ヒガンバナ科の植物は園芸品種が多く、切り花や鉢植えで愛され、リコリスという名前で流通しています。
彼岸花(ヒガンバナ)の詳細情報
園芸分類 | 球根 |
---|---|
草丈・樹高 | 30~50cm程度 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 強い |
花色 | 赤、まれに白 |
開花時期 | 9月~10月頃 |
彼岸花(ヒガンバナ)の種類
シロバナマンジュシャゲ
学名:Lycoris × albiflora
シロバナマンジュシャゲは、彼岸花とショウキズイセンの交雑種で、彼岸花と同じ9月~10月に開花します。白といっても真白ではなく、白に近い淡い黄色です。園芸品種が多く作出されていて、白の他にピンクや、黄色の花などがあります。
ナツズイセン
学名:Lycoris squamigera
ナツズイセンは、ヒガンバナ科の球根植物。8月上旬から中旬にピンク色の彼岸花やユリに似た花を咲かせます。
彼岸花(ヒガンバナ)の花言葉
映画や歌にも登場する彼岸花(ヒガンバナ)
小津安二郎監督作品「彼岸花」
「東京物語」など数々の名作映画を作って来た日本の映画監督小津安二郎。その監督初のカラー映画のタイトルが「彼岸花」です。小津安二郎監督が撮影した「彼岸花」は悲しいお話ではなく、娘を嫁に出す父の葛藤を描いた親子の物語。劇中に出てくる「彼岸花」というタイトルの「花」の部分だけ鮮明な赤に色付けされているのが印象的です。
数多くの歌手に歌われる「彼岸花」
「彼岸花」というタイトルの曲はたくさんあります。例えば、森昌子さんが歌う「彼岸花」は阿久悠さん作詞。彼岸花の別名「曼珠沙華」というタイトルでは、工藤静香さん、藤あや子さん、山口百恵さんなどが歌っています。また山口百恵さんは「悲願花」という当て字にした曲も歌っています。
彼岸花(ヒガンバナ)の育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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植え付け | ||||||||||||
開花 |
彼岸花(ヒガンバナ)の栽培環境
日当たり・置き場所
日当たりと風通しの良い場所を好みます。半日陰程度の場所でも栽培可能です。
用土
水はけが良ければ、あまり土壌を選びません。
彼岸花(ヒガンバナ)の育て方のポイント
水やり
基本的に降雨に任せます。
鉢植えは、表土が乾いたら鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水やりしましょう。
肥料
植え付け時に元肥を施すようにしましょう。
病害虫
特に問題になる病害虫の害はありません。
彼岸花(ヒガンバナ)の詳しい育て方
選び方
傷やカビのない球根を選ぶようにしましょう。
植え付け
6月~7月が植え付け適期です。15~20cm間隔を空け、球根の高さと同じくらいの深さに植え付けます。
剪定・切り戻し
花が咲き終わったら花首のところで早めに切り取りましょう。
植え替え・鉢替え
地植えは基本的に植えっぱなしで大丈夫ですが、鉢植えは数年して花つきが悪くなったら、6月~8月に球根を掘り上げ、新しい土に植え替えをしましょう。
花
芽吹き始めの彼岸花
彼岸花の花は9月~10月、秋の彼岸の頃に開花します。彼岸花は花が咲く時期に葉っぱはありません。花が枯れた後に葉が生長する特徴があります。
冬越し
冬は地上部が枯れたようになって越冬します。
増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)
彼岸花は分球で増やせます。