きれいな日本語、季語を知ろう。冬の季語にはなにがある?

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小野寺葉月

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美しい日本語知っていますか? の冬編です。地味に続けていきたいこのシリーズ。俳句の世界では11月から1月までが冬。もう冬も本番ですね。

目次

俳句ってなに?和歌・短歌・川柳との違いは?

和歌=短歌

和歌とは、漢詩に対し日本で発展した詩歌全般のことで、その中に短歌・長唄・旋頭歌(せどうか)などの種類があります。現在では短歌以外の歌はほとんどなくなり、和歌=短歌という認識でも問題がないそうです。5・7・5・7・7で構成されており、5・7・5が「上の句」で7・7が「下の句」。有名なのは百人一首で、テーマは恋愛・自然など様々な歌があります。

俳句…侘び寂び

俳句は、5・7・5で構成されており、自然を表す「季語」が必ず入っていなければならないものです。数える時は「一句、二句」と数えます。テーマは自然の情景などが多く、「侘び・寂び」などの美意識を表現することができます。

川柳…日常、身近

川柳は5・7・5の構成で、「季語」がないもののことをさします。俳句に対して日常的なテーマやおもしろみなどが表現しやすいです。

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俳句の上での四季

俳句の上での季節は、現在の季節とは少しずれがあります。旧暦時代に使用されていた二十四節気をベースに考えられていいるのです。旧暦だから月の満ち欠けとリンクしていると思いがちですが、実際には太陽の一年の周期を二十四に分割したものです。二十四節気は立春に始まり、大寒に終わります。夏至と冬至、春分と秋分を軸に考えられています。

春…2・3・4月

立春・雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨

立春・雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨

夏…5・6・7月

立夏・小満・芒種・夏至・小暑・大暑

立夏・小満・芒種・夏至・小暑・大暑

秋…8・9・10月

立秋・処暑・白露・秋分・寒露・霜降

冬…11・12・1月

立冬・小雪・大雪・冬至・小寒・大寒

立冬・小雪・大雪・冬至・小寒・大寒

冬の季語|時候

短日 日短(ひみじか) 暮早し 日つまる 冬至 一陽来復。

二十四節気の一つ。昼が最も短く、夜が最も長い一日。

二十四節気の一つです。昼が最も短く、夜が最も長い一日のことを言います。日が短くなってくるのを感じると、本当に冬が来たのだなあと感じませんか?

冴ゆ 冴ゆる

澄み切ったような寒さ、透明感のある寒さをいいます。  風さえて 今朝よりも又 山近し  加藤暁台  夕方ごろでしょうか、今朝見たよりも山が近くに見えるほどに空気が澄んでいる、冴えているような情景が浮かびます。寒い日ほど遠くの景色がくっきり見えます。

澄み切ったような寒さ、透明感のある寒さをいいます。

風さえて 今朝よりも又 山近し  加藤暁台

夕方ごろでしょうか、今朝見たよりも山が近くに見えるほどに空気が澄んでいる、冴えているような情景が浮かびます。寒い日ほど遠くの景色がくっきり見えます。

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冬の季語|天文

小春 小春日和 小春日 小六月 小春凪 小春空

陰暦十月の別名でもあります。現在の暦だと十月下旬~十二月上旬ころです。  このころは雨風も落ち着き、ぽかぽかと暖かい日も続くことが多く、日中はぽかぽかとまるで春のような気候になることがあります。  海の音 一日遠き 小春かな  加藤暁台  小春日和には海も静かで、冬風を運んでくる海の音も気にならないほど心を緩めてくれます。  風花 かぜはな  晴れの日にちらつく雪のことです。静岡県や群馬県でよく見られ、風下の山麓地方に多い現象です。大陸から日本列島に寒気が来ると日本海側に雪が降ります。その雪雲が山々をこえて太平洋側に流れ込んでくると風花が舞うことがあります。また、晴れた日に積もった雪がふきとばされて空中に舞うことも表します。  風花の かかりて青き 目刺買ふ  石原舟月  店先に並んだ目刺に風花がちらちらとかかっているものを買い求める。晴れた日の空の青さがうつるような目刺に、風花が白くちらちらと舞う様子のコントラストが美しい句です。

陰暦十月の別名でもあります。現在の暦だと十月下旬~十二月上旬ころです。

このころは雨風も落ち着き、ぽかぽかと暖かい日も続くことが多く、日中はぽかぽかとまるで春のような気候になることがあります。

海の音 一日遠き 小春かな  加藤暁台

小春日和には海も静かで、冬風を運んでくる海の音も気にならないほど心を緩めてくれます。

風花 かぜはな

晴れの日にちらつく雪のことです。静岡県や群馬県でよく見られ、風下の山麓地方に多い現象です。大陸から日本列島に寒気が来ると日本海側に雪が降ります。その雪雲が山々をこえて太平洋側に流れ込んでくると風花が舞うことがあります。また、晴れた日に積もった雪がふきとばされて空中に舞うことも表します。

風花の かかりて青き 目刺買ふ  石原舟月

店先に並んだ目刺に風花がちらちらとかかっているものを買い求める。晴れた日の空の青さがうつるような目刺に、風花が白くちらちらと舞う様子のコントラストが美しい句です。

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冬の季語|地理

枯野 枯野原 枯野宿 枯野人 枯野星

霜も降り、草も枯れて、虫の音もしなくなったような野原のことです。  旅に病で 夢は枯野を 駈け廻る  松尾芭蕉  松尾芭蕉生前最後の句です。この句は「病中吟」として詠まれています。このとき松尾芭蕉は、病に伏しており、この句を詠んだ四日後に亡くなったそうです。なので「辞世の句」とされたりもしますが、「病中吟」としてあることから、本人にはまだ旅をつづけたいという意思があったと思われます。解釈は大きくは二通り。「旅中、病に臥せっているものの、夢は枯野をかけめぐりまだまだ旅を続けたい」という未来を見つめているものと「まだまだ旅の途中なのに病に臥せってしまった。枯野を駆け回る夢を見てももうそれはできなくてかなしい」という死を見つめているもの。どう解釈するかは、いろいろな研究があるようですが、私は前者の未来を見つめているものがいいなと思います。枯野にはさびしく、生き物の気配がない野原とされているわけですが、春になれば枯野が嘘のように新緑が芽吹くことを芭蕉は知っていたと思うのです。

霜も降り、草も枯れて、虫の音もしなくなったような野原のことです。

旅に病で 夢は枯野を 駈け廻る  松尾芭蕉

松尾芭蕉生前最後の句です。この句は「病中吟」として詠まれています。このとき松尾芭蕉は、病に伏しており、この句を詠んだ四日後に亡くなったそうです。なので「辞世の句」とされたりもしますが、「病中吟」としてあることから、本人にはまだ旅をつづけたいという意思があったと思われます。解釈は大きくは二通り。「旅中、病に臥せっているものの、夢は枯野をかけめぐりまだまだ旅を続けたい」という未来を見つめているもの「まだまだ旅の途中なのに病に臥せってしまった。枯野を駆け回る夢を見てももうそれはできなくてかなしい」という死を見つめているもの。どう解釈するかは、いろいろな研究があるようですが、私は前者の未来を見つめているものがいいなと思います。枯野にはさびしく、生き物の気配がない野原とされているわけですが、春になれば枯野が嘘のように新緑が芽吹くことを芭蕉は知っていたと思うのです。

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冬の季語|植物

冬萌 ふゆもえ

冬の暖かい日に、木の芽や草の芽が出ていることを言います。土手などを眺めると枯草のなかにも鮮やかな緑がすこし見られ、春を予感させます。

冬の暖かい日に、木の芽や草の芽が出ていることを言います。土手などを眺めると枯草のなかにも鮮やかな緑がすこし見られ、春を予感させます。

冬萌えや 茶の実をひろふ 椀のかご   室生犀星

茶の木の実は、九月から十一月ごろに花が咲いたものの種子が、ほぼ一年かけて熟し、秋に実を落とします。近くの木には春に向けて芽がついている様子と、乾いた冬の固い土の上に落ちた茶の実の固く丸いさま、椀かごにからからと入れるさまなどが思い浮かびます。

冬椿 寒椿 早咲の椿

冬の間に早咲きする椿のことです。地域的に房総半島や伊豆諸島、四国の南部や伊勢湾沿岸地方などは開花が早いのでこれにあたります。

つくばひの 少なき水や 寒椿  田中王城

冬になると庭に出る回数も少なくなり、蹲踞に残る水が少ないことで冬の乾燥した空気を感じます。そこに寒椿が浮いているのか、近くに咲いているのでしょうか。冬の色彩が少ない庭に寒椿の生きている色がさっと目に入ってきたような情景です。

石蕗の花 石蕗咲く 橐吾の花

ツワブキはキク科ツワブキ属の多年草で、葉はフキに似て濃い緑の丸い葉です。花は菊のような花が長い茎の先に咲きます。  石蕗の 日陰は寒し 猫の鼻  酒井抱一  ツワブキは日陰でもよく育つので、自然と生えているところは少しひんやりとした場所ですが、そこにいる猫の鼻もひんやりするほどだ、ということでしょうか。酒井抱一は江戸後期の絵師であり俳人でもあります。さすが絵師だけあり、情景がすぐ浮かぶような句ですよね。

ツワブキはキク科ツワブキ属の多年草で、葉はフキに似て濃い緑の丸い葉です。花は菊のような花が長い茎の先に咲きます。

石蕗の 日陰は寒し 猫の鼻  酒井抱一

ツワブキは日陰でもよく育つので、自然と生えているところは少しひんやりとした場所ですが、そこにいる猫の鼻もひんやりするほどだ、ということでしょうか。酒井抱一は江戸後期の絵師であり俳人でもあります。さすが絵師だけあり、情景がすぐ浮かぶような句ですよね。

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冬の季語|生活

雪吊

雪のために庭木や果樹の枝などが折れたり、果樹の収穫に影響がないよう、あらかじめ縄か針金などで枝をつっておきます。石川県の兼六園で行われる雪吊りは毎年ニュースになりますね。

大寒の 星に雪吊り 光りけり  久保田万太郎

大寒の日、星が出ている中、雪吊りがほんのり光っている様子でしょうか。

探梅 梅探る

古来春を告げるとされる梅を山野へ探しに行くことを言います。まだ寒い時期、開花前に、ほころび始めた梅の花を見ようと求めていく様を表します。

この道を われらが往くや 探梅行  高浜虚子

探梅に勇んでいく気持ちですね。花はいつ咲くかなと見ている時期、楽しみにしている時期ほど楽しいような気持ちは今も昔も変わらないんですね。

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いかがでしたか?

季語を知ると私たちの普段の生活も彩るような気がしませんか。今回、俳句を詠みながらいろいろな情景を想像して、とても楽しかったです。季語は季節をより身近に感じるためにも、もっと広まってほしいなあと思います。私も俳句を詠むのはお休み中ですが、季節の句は継続して詠んでいこうと思いました!

 

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小野寺葉月

中高短で美術を学び、卒業後観葉植物も扱う雑貨店で店長、バイヤーを担当。産後LOVEGREEN編集部で季節や庭木、虫の記事担当しつつ、説明や挿絵などで再び絵を描き始める。Botapiiでもエディブルガーデン他のイラストを担当。縁あって現在はフィリピンのセブ在住。ダイビングリゾートで広報も担当している為、海の中やマクロダイビングの世界に夢中。魚より珊瑚やホヤ、海藻など植物寄りの世界が好き。勘と勢いで生きている。

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