ルピナスって?花の季節や種類、育て方、生け方のコツ、豆、雑学まで
山田智美
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春の訪れを知らせてくれるお花のひとつであるルピナス。藤の花を逆さにしたようなその形から、「昇り藤(ノボリフジ)」という和名を持ちます。淡いピンクから紫、春の空のようなブルー、ぱきっとした黄色まで、色の種類やお花のサイズも豊富です。そんなルピナスについて、花の季節や種類、育て方、ちょっと変わった生け方のコツ、ルーピン豆など、ルピナスの雑学まで詳しくご紹介します。
目次
- ルピナスとは?ルピナス基本情報
- こんなにある!ルピナスの種類
- ルピナスの育て方
- 切り花で楽しむルピナス
- ルピナス茎を曲げる!ちょっと変わった生け方のコツ
- ルーピン豆って?ルピナスの豆は食べられる?
- ルピナスは魅力がいっぱい!ルピナス雑学
ルピナスとは?ルピナス基本情報
ルピナス
- 学名:Lupinus
- 科名:マメ科ルピナス属
- 分類:一、二年草
- 花期:4月終わり~6月
- 英名:Lupin
ルピナスの特徴
ルピナスは、小さなマメのお花をきゅっと集めて、ブドウを逆さにしたような形で咲く、たまらなく可愛いお花です。和名の「昇り藤(ノボリフジ)」も、藤(フジ)の花を逆さにしたような花姿に由来しています。
ルピナスは夏の暑さと蒸れに弱く、夏越しが出来ないので一年草とされていますが、寒冷地や涼しい地方では宿根草です。矮性の種類から、草丈100㎝程まで大きくなる品種まであります。
ルピナスは葉も魅力的!
ルピナスは葉の形が印象的で、地植えにするとそれだけでオーナメントプランツとして存在感を発揮します。
こんなにある!ルピナスの種類
カサバルピナス
葉の先が下向きに広がり、傘を広げたような形状をしていることから、この名前が付きました。すーっと上に伸びた華奢な茎に、深い藍色の花穂をつけます。原産地では、野原に群生して咲いている姿も見かけられます。
キバナルピナス
明るい黄色の花を咲かせます。ただ塗りつぶしたような黄色ではなく、花芯に近づくにつれて白っぽくなるグラデーションがついています。
ラッセルルピナス
アメリカ合衆国原産の宿根の品種。日本の高温多湿な夏を越せないので、通常一、二年草扱いとされます。草丈が100㎝を超す大きな種類です。
ルピナス・ピクシーデライト
切り花でも良く出回る小型種。花色も淡いピンクからブルーがかった薄紫、少しくすんだ藍色まで豊富。華奢な作りからも、可憐な印象を受ける草花です。庭植えにもしても花付きが良く、次々と花芽を上げてくれます。
ルピナス・テキセンシス
ピクシーデライトと同じく草丈20~30cm程度の小型種です。
ルピナスの育て方
種から
種まきから始めるのであれば、9~10月上旬くらいに蒔きましょう。あまり寒くなる前に、土がふかふかと暖かい時期に植えてあげます。植え付け前に一晩ぬるま湯に浸しておくと発芽率が良くなるようです。植え付け時に元肥か腐葉土を混ぜ込んであげれば、特に肥料の必要はありません。
苗から
ルピナスは根をいじられるのが嫌いです。植え替えの際には根を触ったり崩したりしないようにしましょう。ポットから出したらそのままの形ですぽっと土に植え替えてあげてください。同様に移植も嫌いますので、植え替えはしないようにしましょう。
水やり
多湿を嫌います。土の表面が乾いたらたっぷりと与え、それ以外はどんなに可愛くてもやたらとお水を上げないようにしてください。
注意点
ルピナスは秋に種をまいて(苗なら春に植え付けて)、4~5月に花を楽しみ、梅雨から夏にかけて気温と湿気の上昇とともに枯れていくサイクルです。夏を迎えて急に枯れたと思わないでくださいね。
切り花で楽しむルピナス
切り花での出回り時期は2~3月です。草花はすぐに萎れてしまいそうな印象がありますが、最初にしっかりと水上げを行えば長く楽しめます。淡い色が印象的な草花ですので、春の野花との相性は最高です。ラナンキュラスのような安定感のあるお花も、シラーやワスレナグサ、ムスカリのような小花の集合体も、バイモユリやケマンソウのような個性的なお花とも合わせやすく、森で摘んできたような花束が出来上がります。
ルピナス茎を曲げる!ちょっと変わった生け方のコツ
切り花で出回っているものの多くは、ピクシーデライトやカサバルピナスなどの小型種です。茎が華奢なこの種類は、最初に水を吸わせるときの姿勢でその姿に変化をつけられます。水が落ちた状態から一気に吸わせる「水上げ」で使える技です。
水を張ったバケツに、花の先端まで新聞などで包み真直ぐに立てて水を吸わせれば、花穂は頭頂を真直ぐ上に向けます。ちょっと花穂の先端に変化をつけたい場合は、大きな洗面器などに水を張って、花を器に対して寝かすように横向きにセットします。そのまま一気に水を吸わせることで、花穂の先端だけがくるんと上を向く可愛い姿が出来上がります。
茎の曲がったルピナスの花は、口径の狭い花瓶に生けても横に広がるような姿になってくれるので、非常に絵になります。ちょっとした一工夫で個性的なルピナスの花あしらいができ上ります。
ルーピン豆って?ルピナスの豆は食べられる?
ルピナスの豆は食用?
ルピナスの種は、地中海沿岸では食用にされています。「ルーピン豆」や「ルパン豆」、「ハウチワ豆」などと呼ばれてお酒のおつまみにされます。ポルトガルでは、ビールを注文すると、このルーピン豆が付いてくることがあります。暑い夏の日にルーピン豆をつまみながら、暮れない夜を楽しむのです。
実はこのルーピン豆は日本では食用とはされていません。アルカロイドを含有していて毒性が高いということから認められていないようです。さらにどのルピナスの種でも食用になるわけではありません。特定の品種に限られますので、むやみに食べないようにしてください。
それでもルーピン豆をつまみにビールを飲んで夏の夜を過ごすという楽しみ方に憧れます。
ルピナスは魅力がいっぱい!ルピナス雑学
根粒菌と仲良し
「根粒菌」をご存知ですか。マメ科の植物の根にくっついて根粒を作り、空気中の窒素を固定し栄養に変えて供給してくれる土壌微生物です。代わりにマメ科の植物から光合成で作ったものを受け取っている共生関係にあります。道端のカラスノエンドウなどを引き抜いてみると根っこに白っぽい粒々が付いているのがわかります。これが根粒菌です。
この根粒菌がいないとマメ科の植物は豆を太らせることができません。マメ科の植物が根に根粒菌を集めることで土も肥沃になります。休耕中の田んぼにレンゲを植えるのはこの理由からです。ルピナスもマメ科なので、根粒菌と共生関係にあります。
必ず下のお花から咲くルール
ルピナスのお花は(ルピナスに限らずですが)、必ず下の方のお花から咲いていきます。これは、上の方のお花から咲いてしまうと、上からの日光を遮ってしまうことになるからです。お花全体に順番に太陽の光がいき渡るようにというお花同士の思いやりですね。
素敵な絵本「ルピナスさん」(バーバラ・クーニー作)
絵本に登場する主人公の女性は「ルピナスさん」と呼ばれています。ルピナスさんは世界中を旅して、いろんな経験をしました。そして、たくさんの人を幸せにしたいと考えました。その結果ルピナスさんは、たくさんのルピナスの種を蒔きました。ルピナスさんが蒔いたルピナスの種はやがて花を咲かせ、たくさんの人を幸せにしてくれました。見ているだけでも可愛い絵本ですが、大人が読んでも素敵な一冊です。
アルセーヌ・ルパンと同じ名前
モーリス・ルブラン原作のフランスを代表する大怪盗「アルセーヌ・ルパン」は、「Arsene Lupin」と綴ります。このLupinはルピナスの英名と同じ綴りです。ルピナスと大怪盗ルパンは…あまり繋がりませんね。
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