花も紅葉も美しい樹木ハナミズキ! 来年の花付きをよくするために知っておきたいこと。
小野寺葉月
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桜のあとの季節に咲く花で人気なハナミズキ。お庭や街路樹で季節ごとに目を楽しませてくれる花です。そんな花を楽しみにしているのに…。今年は咲かない!? なぜなのでしょう?
目次
- ハナミズキとはどんな花?
- ハナミズキの花は花じゃない?
- 花だけじゃない! 紅葉も美しいハナミズキ
- ハナミズキの赤い綺麗な実。食べられるの?
- 葉が落ちたハナミズキも美しい
- ハナミズキを来年もっと咲かせるために何をするべき?
- ハナミズキの剪定は花芽に注意!
- ハナミズキのまとめ
ハナミズキとはどんな花?
植物名 | ハナミズキ(花水木) |
学名 | Cornus florida |
英名 | Flowering dogwood |
科名 | ミズキ科 |
属名 | サンシュユ属 |
原産地 | 北アメリカ |
ハナミズキは、ミズキ科の落葉花木で高さは10mほどです。北アメリカ原産でアメリカを代表する花の一つでもあります。ハナミズキが日本へ入ってきたのは明治時代。ワシントンにソメイヨシノを送った返礼としてやってきました。白や赤のハナミズキの花は4月から5月にかけてが開花時期です。
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ハナミズキの花は花じゃない?
ハナミズキの花に見えているのは、実は苞(ほう)という葉の一種です。中心にあるめしべのように見えるものが、花序(かじょ)という4mm程の小さな花が集合しているものです。ハナミズキの花びらに見える大きな苞は、ここに花があることを虫や鳥に教えるための役割があります。
ハナミズキの花の咲く少し前の見た目は、横から見るとフクロウの顔に似ていて愛嬌があります。
花だけじゃない! 紅葉も美しいハナミズキ
ハナミズキの楽しみは花だけではありません。花が終わると葉が生い茂り、秋になると一斉に紅葉を始めます。真っ赤に紅葉したハナミズキの葉は一枚一枚の大きさが6~10cmほどあるので、木が真っ赤に覆われたように見えます。ハナミズキは幹が細くまっすぐなので、葉の紅葉がより目立ちます。
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ハナミズキの赤い綺麗な実。食べられるの?
赤くつやつやしたハナミズキの実は、だんだん冬に向かって色味がなくなっていく街並みの中で鮮やかな色をそえます。あまりにもつやつやしているのでとても美味しそうですが、私たちが食べることはできません。毒こそありませんが渋みが強く、おいしくありません。鳥たちには人気で、ヒヨドリ、ムクドリ、オナガなどが食べに来るようです。鳥たちがフンをする中にハナミズキの種があり、その種が土に落ち発芽した実生から育つハナミズキもまれにあるようです。
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ハナミズキは落葉します
冬の間ハナミズキは葉を落とし、春に向かって準備をします。葉が落ちたからと言って枯れているわけではありません。落葉して丸坊主になったハナミズキは春や夏に比べると寂しいですが、枝はきれいな曲線を描いて空に向かって伸びているため、枝と幹だけになっても絵になる木なのです!
そして春に近づくと、玉ねぎや球根みたいな花芽をつけるのです。
ハナミズキを来年もっと咲かせるために何をするべき?
街中でハナミズキの花を見ていると、花付きの良いハナミズキと花があまりついていないハナミズキを見かけることがあります。何が原因なのでしょうか?
木が生長途中
まず考えられるのは木が生長途中にあるということ。木は、花をつけることにも実をつけることにもエネルギーを使います(生殖生長)が、木の生長期にまだまだ生長したい場合は花や実にエネルギーを回せないことがあります。苗を買ってきて年数が浅かったりすると木は葉や枝・根を伸ばす方にエネルギーを使うため(栄養生長)花や実にまでエネルギーが使えないようです。柑橘類などの果樹はとくに実をつけるまで時間がかかりますが同じ理由です。
日照不足
ハナミズキはお日様を好むので日当たりが悪いと花付きが悪くなります。また、日当たりが良い場所に植えてあっても、枝が混んでいたりすると中の方の枝には日が当たらず、花が付かなくなることがあります。徒長枝などのひょろひょろした細い枝には花が付きませんので、適期剪定が必要になります。
土が適していない
土に栄養分がない、もしくはすでに分解されてしまったなど、何らかの理由で栄養がない土になっている場合、花がつかなくなることがあります。
ハナミズキは隔年開花?
花の中には一年おきに開花する隔年開花という性質を持ったものがあります。隔年開花とは、ある年蕾をたくさんつけ、たくさん開花させた木が、花を開花させるために非常にエネルギーを使いすぎてしまい、翌年花つきが悪くなる場合があります。ツツジやシャクナゲ、カキなどがそうで、毎年同じように開花させたい場合は蕾の段階で摘蕾(てきらい)を行うことが必要です。
去年咲きすぎた
沢山花芽が付いた後の年は花が咲かなかったり花芽が付いても数が少なかったり、といったムラがある場合があります。例年よりたくさん花芽が付いた時、翌年も適度な花付きを望む場合は蕾を取る摘蕾(てきらい)を行ってあげると花つきのムラが少なくなるでしょう。
沢山花が咲いたときは
お礼肥料をまきましょう。花後6月ごろに、木の枝の外周に沿って、10cmほどの深さの穴を掘り、肥料を混ぜ込みます。また、休眠期の11~3月ごろにも寒肥と言って冬越しのための肥料をまきましょう。
どうしても咲かせたい!
どうしても咲かせたい、そんなとき・・・。木をストレスにさらして花付きをよくする、という方策がとられる場合があります。木は生育環境など身に危険を感じると子孫を残そうとして花をつけたり実をつけるようになります。その仕組みを利用して、根切りをするというもの。幹から15cmくらい離れた場所にスコップを突き立て、根を切ります。これを3、4カ所行うことで、根が切られたハナミズキは子孫を残そうと花をつける・・・という大胆な手当て。いきなり大きく切ってしまうと後もどりできませんから、スコップで切らずとも根元を少しずつ掘り起こしながら根をカットしてみる、など少しずつ様子を見ながら行うのをオススメします。
ハナミズキの剪定は花芽に注意!
ハナミズキは樹形の乱れが少ない木ですが、どうしても剪定が必要な場合は11月~2月、落葉している間に行うのが剪定の適正時期です。落葉しているので花芽がわかりやすく、誤って剪定してしまうことを防げるでしょう。またハナミズキの花芽は6~7月ごろに花芽分化するため、それ以降に剪定するときは注意が必要です。ハナミズキの花芽はちいさな玉ねぎみたいな可愛い形なので、それを落とさないように注意しながら剪定しましょう。
ハナミズキのまとめ
◆生長途中の苗は花が付かない場合がある
◆植え付ける場所は日当たりの良い場所で栄養のある土が適している
◆1年間のサイクルを知り適正時期に追肥や剪定を実施する
◆剪定する場合は込み入った枝を落として風通しを良くする
◆剪定時花芽を落とさないように注意する
木の生長を見守りつつ、春に花を楽しめるようによく観察してみましょう!
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