ツツジとは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- ツツジ
- 学名
Rhododendron
- 英名
- Azalea
- 和名
- 躑躅
- 科名
- ツツジ科
- 属名
- ツツジ属
- 原産地
- 東アジア
ツツジの特徴
ツツジは、ツツジ科ツツジ属の常緑、落葉の低木あるいは高木です。北半球の温帯に分布し、特に日本、中国、ヒマラヤに多く、約850種が自生しています。日本原産なので風土に馴染んでおり、大した手入れをしなくても、毎年花を楽しめる花木です。また、刈り込みによって樹高を管理できるのも魅力です。
ツツジには常緑と落葉の種類があります。ヤマツツジ、オオムラサキ、キリシマ、クルメツツジ、ヒラドツツジ、リュウキュウツツジ、モチツツジは常緑、レンゲツツジ、ミツバツツジ、ゴヨウツツジ、オンツツジは、冬に落葉します。これらのツツジから生み出された園芸品種も豊富です。花が大きく、花色も豊富で、美しいことから、世界中で園芸品種が作出されています。
常緑のオオムラサキや、キリシマ、ヒラドツツジは花が大きく、花色も鮮やかなことから、街路樹や公園など、身近な場所に多く植栽されています。落葉のミツバツツジは開花期間が短いなどの理由から、花木としての利用は少ないようです。同じく落葉のレンゲツツジは、ツツジには少ないオレンジ系の花色が魅力で、園芸品種も多く作出されています。
ツツジの詳細情報
園芸分類 | 庭木、常緑、落葉 |
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草丈・樹高 | 50cm~300cm |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
花色 | 紫、赤紫、ピンク、濃いピンク、赤、オレンジ、濃いオレンジ、黄色、白 |
開花時期 | 4月~5月 |
ツツジの花言葉
ツツジの斑点模様の意味
ツツジの花びらをよく見ると上方の花びらにだけ斑点があります。これは「蜜標」または「ガイドマーク」とよばれ、昆虫に蜜腺があることを伝え、花粉を運んでもらうために誘う役目をしています。実際、蜜は花の中央でなくこの斑点のある花びらにあるようです。子供のころ、ツツジの蜜を吸ってその甘味を味わった経験のある方もいると思いますが改めて観察してみてはいかがでしょうか。ちなみにハウスの中で人の手によって育てられている品種の中には昆虫に受粉してもらう必要がないため斑点をもたないものもあります。
世界最古のツツジ、サツキ専門書
元禄5年(1692年)に江戸染井村で植木屋を営んでいた伊藤伊兵衛によって「錦繍枕きんしゅうまくら」が刊行されましたがこれは世界最古のツツジ、サツキの図入りの解説書です。この書のなかでツツジ175品種、サツキ161品種が紹介されています。当時すでにツツジもサツキも数百種類におよぶ品種がつくられていたことがわかります。
ツツジの育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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開花 | ||||||||||||
植え付け | ||||||||||||
植え替え | ||||||||||||
剪定 |
ツツジの栽培環境
日当たり・置き場所
日当たりと風通しの良い場所を好みます。
用土
酸性土壌を好みます。ピートモスなどで、土壌を酸性に傾けるようにするとよいでしょう。
鉢植えは、市販のツツジ用の培養土で問題なく育てられます。
ツツジの育て方のポイント
日常の管理
花が咲き終わったら、こまめに花がらを摘むと、株の疲労が減ります。
水やり
根付いてからは降雨にまかせます。乾燥が続くような時は、様子を見て水やりを行いましょう。
鉢植えは、表土が乾いたらたっぷりと水やりします。
肥料
花が咲き終わったらお礼肥、1月の休眠期に緩効性肥料を、控えめに施します。
病害虫
ハダニ:ハダニは気温が高いところや乾燥している場所に発生します。暖かい時期に発生しやすく植物の葉から栄養を吸収して弱らせます。水やりの際に葉裏まで水をかけるようにして予防しましょう。
ツツジの詳しい育て方
選び方
葉の色がきれいなもの、分岐が多く徒長していないものが良い株です。枝の先に花芽が上がってれば、購入後すぐに花を楽しめます。
植え付け
植え付け適期は、3月~4月と9月~10月です。根をほぐして植え付け、根と土がなじむように、たっぷりと水やりをします。
剪定・切り戻し
剪定適期は、花が終わった5月~7月です。この時に翌年の樹形も考えて、刈り込むようにしましょう。ツツジは、翌年の花芽を作るのが早いので、花を楽しむのであれば、夏前に剪定を済ませるようにします。
植え替え・鉢替え
植え替え適期は、3月~4月と9月~10月です。ツツジは生長が早い花木なので、1~2年に1度、一回り大きな鉢に植え替えます。
花
ツツジは4月~5月に、大きく色鮮やかな花を咲かせます。
増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)
常緑のツツジは、さし木で容易に増やすことができます。落葉のツツジは、少し難しくなりますが、発根剤を使用すれば根を出すこともあります。または、秋にできた種を翌春4月頃にまいて増やすこともできます。
ツツジの花が咲かない理由
剪定時期を間違えている
ツツジの花が咲かない理由として一番多いのが剪定時期の問題です。
ツツジは、花が終わったらすぐに剪定を行います。理由は、開花後すぐに、翌年の花芽の準備に入るからです。地域によっても違いますが、東京だと5月の末頃から梅雨時期の間に、剪定や刈り込みを行います。初夏以外の時期に「伸びているから」と剪定してしまうと、来年花が咲かなくなるので気をつけましょう。ツツジは強い刈り込みに耐える花木です。小さく管理したいのであれば、花後に強剪定を行うようにしましょう。
日照不足
ツツジは、日陰に植えても育ちますが、花は咲きにくくなります。街路樹の植え込みのツツジを思い出してみると、直射日光の当たる道路脇でも元気よく花を咲かせています。あれくらい日光が当たっても大丈夫なほど太陽が大好きな植物で、乾燥にも強い花木です。日当たりの良い場所で管理しましょう。
肥料の与えすぎ
野生のツツジは山の山頂などにも生えている種類の植物です。山頂の土は砂や石が混じり、土壌が痩せている場所が多くありますが、それでもツツジは元気よく花を咲かせます。元々そういう場所で生きてきた植物なので、肥沃な土壌だとかえって元気をなくしてしまうことがあります。過保護にならない程度に育てることが、花を楽しむコツです。また、ツツジは一般的に水はけの良い酸性土壌好むので、ピートモスなどで土壌改良をするとよいでしょう。