祈りの植物|1月~注連飾りの植物たち
LOVEGREEN編集部
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1月の祈りの植物はお正月の注連飾りの植物たち。注連飾りの素材として使われる植物に込めた願いや由来、しきたりをご紹介します。
目次
歳神様を迎える正月飾り
お正月、みなさんの家ではどんな正月飾りをしましたか? 主な正月飾りは、歳神様を迎えるためにしつらえます。例えば、門松(かどまつ)は、歳神様が家に来るための目印とされています。
また、注連飾り(しめかざり)は、災厄を除ける結界をつくるしつらえで、歳神様を迎える場所にふさわしいことを示します。そして、歳神様が家で過ごす間の依り代となるのが鏡餅(かがみもち)です。
日本人は、こうした正月飾りで歳神様を招き入れ、五穀豊穣や家内安全など1年の幸せを祈ってきました。ちなみに、年末の大掃除も、元々は歳神様を迎えるために始まった風習といわれています。
注連飾りのダイダイ
正月飾りで、門松を飾る家庭はさすがに少なくなりましたが、注連飾りはまだ多くの家庭の玄関に飾られています。稲わらを編んだ注連縄に付けられているのは、それぞれ縁起物の植物たちです。
なかでも存在感があるのが「ダイダイ」。ミカン科の小高木で、直径7~8cmとやや小ぶりの果実は、長く枝から落ちず、翌年の果実と一緒に実ることから、家が「代々」続く=家運隆盛の縁起物となりました。
関東以西であれば栽培はそれほど難しくないので、縁起物の果樹として庭で育てても面白いでしょう。ただし果実は酸味と苦みが強いので生食には向きません。ポン酢にするか、焼酎サワーに絞ってどうぞ。
ウラジロは夫婦円満?
注連飾りに使われる植物で、もうひとつ代表的なものがウラジロです。ウラジロ科のシダ植物で、福島~新潟以南の山地に自生しています。日当たりのいい場所を好み、ときには2m以上の大きさになります。
このウラジロが注連飾りに使われるのは、葉が2枚1組に出る複葉で、裏側が白いことから。つまり、夫婦仲良く「ともに白髪が生えるまで」。夫婦円満、健康長寿などの祈りが込められているようです。
シダ科の植物は、独特の雰囲気があり、最近はガーデニングでも人気です。しかし、ウラジロは栽培がかなり難しいので、シダを育てたい人は「ガーデンファーン」などの名称で販売されているものがおすすめです。
ユズリハ、その由来は?
西日本の注連飾りには、ユズリハも使われています。福島以西に自生するユズリハ科の高木です。公園や街路に植えられることもあるため、名前は知らなくても、見たことがある人は多いでしょう。
ユズリハは、漢字で書けば「譲葉」。その年の葉が枝に残り、翌年新しい葉が出そろうと、落ちるという特徴があります。親が子を見守り、代を譲るようなその様子から、子孫繁栄の縁起物となりました。
葉色も樹形もきれいな木なので、庭に植えたいところですが、樹高は5~10mにもなります。栽培はあまり難しくないものの、よほど広い庭がなければ、地植えで育てるのは難しいかもしれません。
地方によって注連飾りはさまざま
ウラジロの右側にあるのはヒイラギの葉
ユズリハが主に西日本で使われるように、注連飾りには地方ごとの特徴があります。北海道では生ものを使わず、東北では昆布や松葉が使われます。これはダイダイやウラジロが寒い地域では育たないためでしょう。
また、地方によっては、ヒイラギやアセビの葉を縁起物として飾る風習もあるようです。最近はプラスチックでできた飾りも増えていますが、地方によって異なる注連飾りの文化はなくしたくないものです。
注連飾りの処分
画像素材:PIXTA
松の内を終えて、歳神様にお帰りいただいた後の注連飾りは、東日本では1月7日、西日本では1月15日までに外します。それを焚き上げる祭事「どんど焼き」「左義長」も、最近は減ってしまいました。
特に都市部に住んでいる人は、自治体の規則に沿って廃棄するしかありません。ただ、そのときは外した注連飾りを、半紙などでていねいにくるんで処分してください。歳神様に感謝することをお忘れなく。
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