時速50kmで飛ぶ!? スズメガ科の生態・駆除と防除について

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小野寺葉月

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大きいイモムシを見かけたらそれはスズメガ科の幼虫かもしれません。大きい体に見合った大食漢のスズメガ幼虫。成虫と合わせて種類や生態、駆除と防除についてまとめました。

目次

スズメガってどんな虫? 幼虫はどこにいる?

スズメガの種類とスズメガが好む植物

スズメガの駆除・防除について

スズメガについてまとめ

 

スズメガってどんな虫? 幼虫はどこにいる?

オオスカシバ幼虫。おしりに尾角(ビカク)というツノのようなものがあります。

オオスカシバ幼虫。おしりに尾角(ビカク)というツノのようなものがあります。

スズメガとは

スズメガはチョウ目スズメガ科の総称です。世界中に約1200種ほどいることがわかっています。幼虫、成虫ともに比較的大きく、お庭で遭遇するとその大きさにちょっとびっくりしてしまいます。成虫の翅の形は三角形で、スピードの速い蛾です。なんと時速50kmほどのスピードで飛ぶ種類もいます。翅の形や構造上早く飛べるんですね。

スズメガが幼虫から成虫になるまで

幼虫はおしりのあたりにツノがあります。好きな植物が種類によって決まっており、食害された葉でスズメガの幼虫がいることがわかる場合があります。卵は真ん丸で葉の上に産み付けられていることがあります。卵から孵化した幼虫は、なんどか脱皮を繰り返し、若齢幼虫から終齢幼虫に変化していきます。蛹になってから完全変態し、羽化します。蛹は蝶のように糸で草花に固定されるわけではなく、地上に降り、土の中にもぐってから蛹になります。羽化すると土から出てきます。

糞に注目

幼虫は葉っぱと同じような色の場合が多いので見つけにくいのですが、糞がすごく大きいので目立ちます。手榴弾のような造形の糞で、大きさもかなり大きいです。見かけたら付近に幼虫がいる目印なので、よく観察してみましょう。

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スズメガの種類とスズメガが好む植物

自宅で飼育したスズメガが羽化したところです。おとなしく手につかまっていました。

自宅で飼育したスズメガが羽化したところです。おとなしく手につかまっていました。

スズメガに毒はある?

まず初めに、スズメガ科の幼虫も成虫も毒を持っていません。なので、触れてもかぶれたりすることはありません。

スズメガが庭にいる場合

もし幼虫が庭木にいる場合、幼虫が大きくなればなるほどかなりの大食漢なので、庭木を守ることを考えると、取り除いたほうがいいでしょう。スズメガの幼虫は脚の吸盤がかなりしっかりしており、はがそうと思ってもなかなかはがれなかったりします。さらに、手を近づけると頭をあげて左右にブンブン!と振り威嚇してきます(これがめちゃくちゃかわいい・・・と小野寺は思うのですが)。結構重量があるので威嚇で枝がしなることがあります。

スズメガの種類は?

スズメガ科は、ウチスズメ科・スズメガ亜科・ホウジャク亜科にわけられます。

スズメガ科は、ウチスズメ科・スズメガ亜科・ホウジャク亜科にわけられます。

エビガラスズメ

昆虫名 エビガラスズメ
学名 Deilephila elpenor
科名

スズメガ亜科

体長(終齢幼虫)

80-90mm

翅開帳

80-105mm

終齢幼虫になると体の色がぐっと濃い茶色に変化します。

〜エビガラスズメの幼虫が好む植物〜

マメ科の植物、サツマイモなどヒルガオ科の植物につきやすいです。

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ベニスズメ

昆虫名 ベニスズメ
学名 Deilephila elpenor
科名

スズメガ亜科

体長(終齢幼虫)

75-80mm

翅開帳

55-65mm

ベニスズメの成虫はピンクと抹茶色のツートンカラーで細身のフォルムはさしずめスズメガ界のマドンナ。ベニスズメは草本や花につきます。

〜ベニスズメの幼虫が好む植物〜

シロツメクサ、ミソハギ、ツリフネソウ、ツキミソウ、ヤナギラン、ホウセンカなど。果樹ではブドウなどにもつきます。

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シモフリスズメ

昆虫名 シモフリスズメ
学名 Psilogramma increta
科名

スズメガ亜科

体長(終齢幼虫)

90mm

翅開帳

110-130mm

幼虫にシモフリのような白い筋が入っているのが特徴。成虫はビロードのようなグレーと黒の模様です。顔つきは精悍で格好よいです。

〜シモフリスズメの幼虫が好む植物〜

プリペットやシマトネリコ、ネズミモチ、イボタノキ、ハシドイ、ヒイラギ、オリーブなどでよくみかけます。

オリーブの記事はこちらもチェック!

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オオスカシバ

昆虫名 オオスカシバ
学名 Cephonodes hylas
科名

ホウジャク亜科

体長(終齢幼虫)

60-65mm

翅開帳

50-70mm

オオスカシバの幼虫はクチナシでよく見かけます。新芽や花芽を食べてしまうので花つきが悪くなってしまいます。

〜オオスカシバの幼虫が好む植物〜

クチナシ

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ホウジャク

ハチドリやオオスカシバのようにホバリングしながら花の蜜を吸う。オオスカシバのようには翅が透けていず、翅を休めているときはスズメガ科のフォルムをしている。写真はおそらくホシホウジャク。

昆虫名 ホウジャク
学名 Cephonodes hylas
科名

ホウジャク亜科

体長(終齢幼虫)

50mm

翅開帳

40-45mm

 

〜ホウジャクの幼虫が好む植物〜

ヘクソカズラ・アカネ・スイカズラなど

 

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スズメガの駆除・防除について

成虫のスズメガが飛んでいるところはなかなか見かけることがありません。飛ぶときのスピードが時速50kmと非常に速いためと、夜行性だからです。

スズメガの駆除と防除のポイント

スズメガは種類によって特定の植物に発生します。一度発生すると同じ時期に何匹か幼虫を見かけることがあります。わたしの実家のクチナシは、毎年オオスカシバが卵を産み付けていきます。幼虫を補殺した後でも1週間ほどたつとまた同じ数だけ(4~5匹)見ることもあるので、一度みかけたら、駆除した後も定期的に確認するようにしましょう。

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スズメガについてまとめ

・幼虫を探すときは糞を目印に探す

・一度幼虫を見つけたら同じ植物に発生しやすいので定期的に確認する

・成虫は夜行性。幼虫成虫ともに毒はありません

・庭木のなかでスズメガに好かれる木については発生時期はとくに定期的に確認しましょう

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スズメガは食害がすごいのと糞も目立つので、かわいいのですが野放しにしておくのはなかなか大変です。幼虫の小さいうちに補殺することをおすすめします。もし、虫を飼うことに抵抗がなければ育てて孵化させるのもおすすめです。

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小野寺葉月

中高短で美術を学び、卒業後観葉植物も扱う雑貨店で店長、バイヤーを担当。産後LOVEGREEN編集部で季節や庭木、虫の記事担当しつつ、説明や挿絵などで再び絵を描き始める。Botapiiでもエディブルガーデン他のイラストを担当。縁あって現在はフィリピンのセブ在住。ダイビングリゾートで広報も担当している為、海の中やマクロダイビングの世界に夢中。魚より珊瑚やホヤ、海藻など植物寄りの世界が好き。勘と勢いで生きている。

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