胡蝶蘭(コチョウラン)には魅力がいっぱい。実際に生産されている様子をレポート
大曽根百代
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管理が難しいと思われがちな胡蝶蘭(コチョウラン)ですが、意外に室内向きで花持ちも良く育てやすい植物だったのをご存じでしょうか。
目次
胡蝶蘭(コチョウラン)って?
胡蝶蘭(コチョウラン)は色も豊富にあり、飾りやすい小さな品種もあります。土で栽培してないのでオフィスやキッチンに置いても土こぼれや虫の心配もいらない優れもの。さらに水やりも毎日あげる必要ないのです。意外と知らない胡蝶蘭(コチョウラン)の魅力とその種類、生産の様子を紹介します。
胡蝶蘭(コチョウラン)の置き場所
胡蝶蘭(コチョウラン)を贈答用でいただいたけど置き場所に困った! なんてこと、ありますよね。胡蝶蘭(コチョウラン)は環境に慣れる性質を持っているので、日がガンガン当たるところでなければ意外に場所を選びません。あまり日の射さないトイレや北向き窓に植物を置きたいと思っている方、多肉植物など植物を置いてもうまく育たなかった…という方も結構いらっしゃるのではないでしょうか? さらに花も鑑賞できたら尚更いいですよね。胡蝶蘭(コチョウラン)はそのような場所でも順応し、花も咲かせてくれます。
このくらいの光量の場所でも育ちます。
大きめの胡蝶蘭(コチョウラン)も同様、満開に。
サイズの小さい胡蝶蘭(コチョウラン)なら好きな場所に飾れます。パソコン脇に置いて花に癒されながらデスクワーク、なんてことも可能です。
花持ちも良く、この環境でも1~2カ月花が咲き続きます。
驚いたことに、胡蝶蘭(コチョウラン)の品種によっては半年以上持つそう。水替えの手間や水浸しになる恐れがない点で切り花以上に簡単ですね。さらに一番花が枯れても、2節以上残したところから切るとまた二番花を咲かせてくれるのです。
二番花が枯れたら、今度は元のほうで茎を切ります。そうすると下からまた花茎を伸ばし開花するので、実は一度だけでなく二度や三度も楽しめてしまう花だったのです。胡蝶蘭(コチョウラン)の変わった飾り方ではこういったのも素敵ですよ。好きな板などに張り付けておけば、さらに飾る場所も選びません♪
胡蝶蘭(コチョウラン)の管理するポイント
水やり
水やりは春~夏は1週間に一回、秋~3月頃までは2週間に1回くらいのペースで与えます。板に着生させたランは霧吹きで、時々水を張った桶などに数時間か浸けてまた飾ってもいいそうです。
温度
10℃以下にならないところで管理をするのがいいですが、以下になる場合は夜間に段ボールや発泡スチロールを被せると温度を保てます。真冬など心配な場合はリビングなど暖かいお部屋に移動させましょう。
場所
直射日光の当たらない場所、半日陰の場所。
水耕栽培もできる!
このように花瓶などに挿しても育ちます♪ 週に1度の水の入れ替えでOKです。暑い時期の水は汚れやすいので、こまめに取り換えましょう。
▼こちらの胡蝶蘭(コチョウラン)についての記事も合わせてご覧ください
こんな色もあった! 胡蝶蘭(コチョウラン)の種類
白のイメージが強い胡蝶蘭(コチョウラン)ですが、実はいろんな色があり、バリエーション豊富です。
この胡蝶蘭(コチョウラン)は日陰で管理をするとライムグリーンに色代わりするという不思議な品種。しかも最長8カ月花が持ったそうです。
長く楽しめてさらに色変わりする素敵な品種ですね。
花びらの柄が個性的なこちらのラン。【ゲイシャワルツ】というユニークなお名前です。
なんと最長11カ月花がもったという記録保持者です!!
この胡蝶蘭(コチョウラン)のたくさん咲いた姿は圧巻です。
淡いピンクがとてもかわいらしく個人的にお気に入りのランでした。花弁の下あたりの黄色がワンポイントになっていますね。
黄色い胡蝶蘭(コチョウラン)って見たことありますか? 鮮やかな黄色とピンクがワンポイントで入って元気のでるお色味です。
ピンクとオレンジが混ざったような色が綺麗な胡蝶蘭(コチョウラン)、よく見ると混ざっているのがわかります。
変わった花弁の形と銅葉が特徴の【サクラン】。小ぶりで桜色の花と、葉っぱの色がかっこいいランです。
グリーンの色のランもあるんですよ。派手な色が苦手な方にも楽しめる色味で、ナチュラルな雰囲気も感じられます。
ベージュがかったピンクが大人っぽい色味のラン。オランダの品種です。
これらのランはミディー胡蝶蘭(コチョウラン)という種類で、大きさもそこまで大きくはないので気軽に飾ることができます。従来の胡蝶蘭(コチョウラン)より気軽に楽しんでほしいということから、あえて花茎を曲げず自然な胡蝶蘭(コチョウラン)の姿で販売している種類もあります。
海外ではこちらのタイプが主流だそうですよ。曲げないタイプもかわいいですね。
胡蝶蘭(コチョウラン)は、どのように生産されているの?
さて、立派な花姿の胡蝶蘭(コチョウラン)ですがどのように生産されているのでしょうか。その様子を見てみましょう。
まず、バイオ技術を使い培養させた苗と海外から苗を取り寄せて栽培する方法があります。このように小さい苗で台湾やベトナムから輸入します。
そしてポットに植え替え
このような状態にします。
胡蝶蘭(コチョウラン)の植え替えに使用しているのは土ではなく、なんとスポンジなどが混合されたバークチップ。植物=土に植えるイメージが強いので本当にこれで育つのかと不思議です。
もともとは木に着生して生きているので、土に植えてしまうと密度が高すぎて根が窒息状態になり枯れてしまうのだそうです。
植え替えたら…
植え替えが完了した苗は28℃~35℃に保たれた温室で管理をします。湿度も高くまるで熱帯温室にいるよう。
そしてこの温室で株を太らせます。肥料のほかに温度も重要で、この温室で十分に株を太らせたら涼しいハウスに移動させて花芽を出させます。
温かいところから涼しいところに置くと花芽を形成します。なので大株にする場合は長く温室で管理をされるそうです。
花茎があちこち向いてしまうので支柱をして向きをそろえます。
胡蝶蘭(コチョウラン)の開花!
ラベルを付けていよいよ出荷です。
胡蝶蘭(コチョウラン)の横にアイビーが一緒に植わっている鉢もありました。
かわいい箱に入り皆様の元へ送られていきます。
このように生産されている胡蝶蘭(コチョウラン)ですが、品種はどのように作られているのでしょうか。次でその様子をお伝えします。
胡蝶蘭(コチョウラン)の交配の様子
品種を作りにかかせない交配の様子を見せていただきましたのでご紹介します。
まず花の真ん中にある、少し突起したところから花粉を取り出します。
親指の先端にあるのが取り出した花粉。
それをかけ合わせたい花の雌しべに。
突起部分の内側に押し込みます。
花粉が落ちないようにピンセットなど使ってきちんとはめます。
無事交配できたら花の後ろが膨らみ、オクラのようなものができます。この中にたくさんの細かい種が入っているそうです。バニラビーンズを思い浮かぶと分かり易いでしょうか。
胡蝶蘭(コチョウラン)の魅力や生産の様子は、いかがでしたか?
高級な胡蝶蘭(コチョウラン)のイメージですが意外に育てやすく気軽に楽しめる植物だったのです。小さいタイプの胡蝶蘭(コチョウラン)ならいろんな所で楽しめるし、色もたくさん。置き場所にも困らないのでギフトや自分用でも楽しめると思います♪
是非育ててみてください。
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