4/15公開!ターシャ・テューダー~静かな水の物語

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Photo by: Richard W Brown

目次

4/15(土)公開の映画「ターシャ・テューダー 静かな水の物語」

ターシャ・テューダーについて~

自然と寄り添うこと~

人生を見つめる~

松谷監督・鈴木プロデューサーにインタビュー

 

4/15(土)公開の映画「ターシャ・テューダー 静かな水の物語」

2008年6月に他界した、世界的に有名なガーデナー、人形・絵本作家でありスローライフを実践されていたターシャさんを季節の流れとともにフィルムに収めた映画が4/15(土)に公開されます。

2015年に生誕100年を迎えたターシャ、展覧会も開催され多くの方がターシャの世界観にふれました。

その最後の集大成

映画「ターシャ・テューダー 静かな水の物語」

~足りないものを嘆くのではなく、全てを受け止め感謝する、静かな水のようにありたい~

この映画を観ることでご自身の感情がわきあがる中に、きっと人生にとって大切なことが見えてくるはずです。

では、ここからは4/15(土)公開の映画「ターシャ・テューダー 静かな水の物語」について一部皆さんにもご紹介したいと思います。

ターシャ・テューダーについて~

1915年8月28日

アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン生まれの彼女は、アメリカで最も愛されている絵本作家の一人であり、人形作家でもあり、ガーデナーでもありました。

(C)2017映画「ターシャ・テューダー」製作委員会

 

両親共にボストンの名家出身で、彼女の両親の祖父や曽祖父及びその兄弟なども地元の名士でしたが、ターシャは小さいころからそんな華やかな世界が好きになれず、社交界よりも農場に魅力を感じ、いつも牛を欲しがっていた、そんな幼少時代でした。

両親が離婚した後ターシャは母親に引き取られます。母は子供には都会よりも田舎の方が向いていると考えたため、ターシャはコネチカット州レディングに住む両親の友人の家に預けられ、週末だけ母の住むニューヨークを訪れるようになりました。ターシャはボストンよりも自然の多いレディングを愛していたそうです。

13歳の誕生日に念願の牛を買ってもらったターシャは、15歳で学校を辞めて迷わず絵画と農業の道を選び、その経験はその後のターシャの庭の原型となりました。

(C)2017映画「ターシャ・テューダー」製作委員会

 

本格的なガーデナーとしてのターシャのスタートは57歳の時です。

ターシャの庭と言われる有名なお庭はバーモント州にあります。

※バーモント州は農業と酪農が盛んな地域で、このバーモンドという言葉はフランス語で「緑の山」という意味を持つ自然豊かな地方です。

ターシャは思う存分庭造りをするためにバーモント州に移り住み、19世紀頃の開拓時代スタイルであるスローライフな生活を送りました。

ターシャはおよそ30万坪の広大な土地に家と庭を作りその場所を「コーギ・コテージ」と呼びました。

(C)2017映画「ターシャ・テューダー」製作委員会

 

家具職人である長男が、ターシャの希望する電気や水道等、近代設備を最小限に留めた、暖炉とベッドとロッキングチェアー、薪オーブンがある昔ながらの家をたった1人で造り上げました。

ターシャは一日の大半を草花の手入れに費やし、山羊の乳を搾り、庭でとれた果実でジャムなどを作り、パイを焼きます。午前中には絵を描き、午後には刺繍。そんなスローライフの生活を送ります。

(C)2017映画「ターシャ・テューダー」製作委員会

 

自然と寄り添うこと~

バーモント州の豊かな自然の中で「輝ける春」が始まります。長い冬が終わり、ターシャが植えた球根が芽吹き始めます。

「この場所が気に入ってくれたのね」

ターシャは驕ることなく植物たちにお好みの場所を問い続けます。「どこに咲いていたいのか」植物たちの気持ちに寄り添うように。

シャクヤク、カノコソウ、フラクシネラ、チューリップ、スイセン、オリエンタルポピー…

ターシャの気持ちが通じたかのように春の庭は色とりどりの花で本当に光り輝くようです。植えられた花ではなく、そこに咲いていたい花が凛として存在しているようです。

(C)2017映画「ターシャ・テューダー」製作委員会

 

ターシャの1年は自然と共にあります。益々咲き誇る花々。90歳を越えたターシャとターシャの長男、孫夫婦らも庭を手入れします。

夏はターシャの誕生会。ターシャのために用意されたケーキにはターシャの庭に咲いていたと思われるお花が可愛らしく添えられています。

(C)2017映画「ターシャ・テューダー」製作委員会

「ろうそくを作るにはこの季節が一番なのよ。」

静寂なターシャの森にろうそくを作る音がしっとりと聞こえてきます。

これから長い冬の季節になります。

(C)2017映画「ターシャ・テューダー」製作委員会

 

バーモント州の冬は一面白い世界になり、お庭の長いお休みになります。

ターシャのクリスマスは家族に引き継がれています。

大きなクリスマスツリーにはターシャの孫娘が作るクッキーの飾り付けもプラスされ、時間をかけて丁寧に用意されたクリスマスのあしらいにターシャもとても嬉しそうです。

(C)2017映画「ターシャ・テューダー」製作委員会

 

こうしてバーモント州のターシャのコーギコテージの1年は終わり、また「輝ける春」を迎えるのです。

 

人生を見つめる~

ターシャが影響を受けたのは、アメリカ合衆国の作家・思想家・詩人・博物学者のヘンリー・デイヴィッド・ソローの著書「ウォールデン森の生活」という本です。

ソローもボストンの近郊、コンコードの町に近いウォールデン池のほとりに自ら建てた小屋で人生について、自然について、動物への愛情を持ちながら日々を過していました。

ソローの言葉でターシャが好きな言葉があります。

「夢に向かって自信を持って進み

思い描いた人生を生きようと努力するなら

思わぬ成功を手にするだろう」

(C)2017映画「ターシャ・テューダー」製作委員会

 

ターシャは夢のためにしっかりと歩み続けます。

「人生は短いから不幸でいる暇はないのよ。」

そして…

「人生は忍耐の連続よ。忍耐の後に得るものは価値がある。」

 

ターシャは私たちに問いかけます。

「忙しすぎて心が迷子になっていない?」

Photo by: Richard W Brown

 

松谷監督・鈴木プロデューサーにインタビュー

とても気さくで、お話しやすい雰囲気を醸し出してくださる松谷監督と鈴木プロデューサー。今回映画の製作に携われたお二人にお話を聞く機会を与えていただきました。

(左:鈴木プロデューサー、右:松谷監督)

 

お二人が実際に訪れた「ターシャの庭」で一番印象に残っている風景はどんな風景でしょうか?

松谷監督:季節ごとにターシャのお庭の印象は違いますが「一体どこからどこまでお庭かしら?緑がいったいどこからどこまで続いているのだろうか?」そんな境目が分からないほどの圧倒的な緑の存在が目に飛び込んできました。小径から森へとつながっていてまるで「秘密の花園」という表現がぴったりとくるそんな風景でした。そこだけが別世界でした。

鈴木プロデューサー:今まで様々なお庭の撮影や取材を行ってきましたが、季節折々の植物が織り成すターシャの庭は、一般の「花壇」とはあまりにも違い過ぎるため、「庭の構造」の概念が吹っ飛びました。広大で、起伏があるお庭、迷子になるほどの広大な森の中にひっそりとたたずむ「コーギ・コテージ(ターシャの家)」。木の配置一つ取ってみても「絵本の世界観」そのものでした。家が見えなくなったら基準がなくなり、森そのものに同化する。木の枝がアーチになっていたり、小さいころ見ていた絵本の風景そのものがターシャの庭でした。

 

試写会で拝見させていただきましたが、ターシャの映画ということで映画の始まりは植物が咲き誇る庭をイメージしていましたが、映画は白い銀世界に覆われた冬から始まりました。どんな意図があったのでしょうか。

松谷監督:最初から映画の始まりは「冬」と決めていました。ターシャは1人の時間をとても大切にしていましたが、その1人の時間というのは「孤独」という意味ではなく「自立」という意味の1人でした。1人で生きていても、それがしっかりと成り立つターシャの芯の強さ。それが彼女のベースであるということを伝える意味でも「庭と植物と彼女」の前に「個」としてのターシャから描きたいという想いから冬の始まりとしました。

鈴木プロデューサー:テレビ番組としては、「ターシャの庭」を見せることが基本であり重要でしたが、映画という表現方法においては、なるべく私たちが見たそのままのターシャを伝えたいという思いでした。そのため、監督が制作当初から「映画では冬から始めたい」という思いに異論はありませんでした。

松谷監督:ターシャのところに行くと不思議な感じがするんです。本当に「絵本のままの世界」。彼女が生きている場所は、絵本の世界そのものでした。ターシャにとって夢と現実は相反するものではなく、「夢に描いた場所」と「ターシャが絵に描いた場所」、「実際にターシャの生きている場所」全てが一致していました。

 

10年間という長きに渡る取材をしてらっしゃいますが、振り返ってみていかがですか?

松谷監督:実際にターシャとともに過ごすことが出来たのは3年間でした。亡くなった後は、引き続きターシャのご家族を訪ねて行ったので、ターシャが亡くなったという印象はあまりなかったと思います。

鈴木プロデューサー:この10年間「ターシャの庭」を再放送をしなかった年はなかったですし、ターシャが私たちの中で古くなることはありませんでした。

(C)2017映画「ターシャ・テューダー」製作委員会

 

ターシャの言葉の中で「忙しすぎて迷子になっていない?」という言葉が印象的でした。実際に忙しく毎日をあっという間に過ごしている私たちにとって、自分自身に問いかける言葉でした。

松谷監督:「何のためにこんなに忙しいんだっけ?」時には立ち止まり、ほかの人の評価は頭の中から追い出して、自分の求めることを自分の心に問い、見つめ、一歩ずつ歩き続けること。その大切さがこの言葉に込められた最大のメッセージだと思います。

ターシャも自分に言い聞かせていたようです。実際に絵本を書いているときは締め切りに追われて、牛の乳をしぼりながら原稿を口頭で編集者に伝えることもあったそうです。ターシャ自身も余裕をもって好きなことをしていたわけでなく、とても忙しかったけれど、それをとてもポジティブにとらえて行動していた人でした。

鈴木プロデューサー:ターシャは「努力」や「忍耐」をしてきたといいますが、愚痴も批判も言わないですし、「努力」や「忍耐」をしてきたけどそれを人に強要はしない人でした。

松谷監督:例えばターシャの庭にある同じ種類の花を買ってきてそこに同じように並べても、「ターシャの庭」と同じかといえばそうではありませんね。実際庭を作るには最低12年はかかるとターシャは言っていました。植物たち自身が植えた場所を気に入り、根を下ろし、力強く育ってくれるのが何より嬉しいと。「育つといいなあ」「枯れないかなあ」と生長を待つガーデナーならではの「楽しさ」を実践されていました。

ある日突然やりたいことが実現するというものではないですし、いろんな「忍耐」「努力」の時間を過ごして初めて理想の実現に至る、そのプロセスこそが楽しく、その楽しい「忍耐」と「努力」を人から奪ってはいけないとターシャは言っていました。

鈴木プロデューサー:好きなことであれば、人から見て大変だと思われることもじつはそんなに苦ではなく、好きなことを自身に問いかけ、そこを目指していくことが大切なんです。

~松谷監督、鈴木プロデューサーを通して、ターシャへの強い想いが伝わってきました。

(C)2017映画「ターシャ・テューダー」製作委員会

 

最後に松谷監督と鈴木プロデューサーの好きな植物を教えてください。

松谷監督:私は鎌倉で生まれ育ちました。暗くじめじめした崖にへばりつく緑鮮やかな葉っぱ、小さな星に似た花。「なぜこんな所にこんな風に?」子供の私に植物の不思議を教えてくれた花です。

イワタバコ

湿った岩崖に張り付いて育つイワタバコは、葉がタバコに似ているためイワタバコという名前がついたようです。

 

鈴木プロデューサー:花はエーデルワイスが好きです。以前番組で女優の斉藤由貴さんとオーストリアに行って崖っぷちに咲いていたエーデルワイスを見てからとても好きです。雪の山道の中のなか斉藤由貴さんと二人で美しさに感動したことがとてもいい思い出です。ハーブのローズマリーの香りもとても大好きです。

エーデルワイス

エーデルワイスを直訳すると「高貴な白」という意味です。ヨーロッパアルプスの岩地に自生している貴重な高山植物です。

 

~松谷監督、鈴木プロデューサーありがとうございました。お二人のお話を聞いてより深くターシャの世界に近づくことが出来ました。

4/15(土)公開の映画「ターシャ・テューダー 静かな水の物語」は、もう一度自分の人生を見つめるそんなきっかけをくれます。

「人生はあっという間。好きに生きるべきよ。そして、幸せは自分で作り出すのよ。」

この映画は素晴らしいお庭を眺め、憧れのスローライフを実践している芳醇な時間を見に行くだけではありません。

私たちの暮らしを見つめる映画でもあります。

皆さんもこのフィルムを通して、ご自身の人生を見つめてください。

(C)2017映画「ターシャ・テューダー」製作委員会

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ターシャが愛した1年で特別な“輝きの庭”に咲いている花

 

 

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