オシロイバナ|種子や花の特徴、名前の由来、育て方と遊び方
山田智美
このライターの記事一覧
オシロイバナとは?花の特徴、花咲く季節、名前や別名、学名の由来、種の特徴、遊び方など。知っているようで知らないオシロイバナについて、たっぷり紹介します。
目次
オシロイバナとは|基本情報
- 学名:Mirabilis jalapa
- 和名:白粉花(おしろいばな)
- 別名:ユウゲショウ
- 科名属名:オシロイバナ科オシロイバナ属
- 分類:一年草あるいは多年草
オシロイバナの特徴
オシロイバナは、夏の夕方に色鮮やかな花を咲かせるオシロイバナ科オシロイバナ属の草花。南アメリカ原産で、原産地では多年草ですが、日本では越冬が難しいので一年草として扱われることもあります。
オシロイバナは、メキシコ原産の外来種です。元は園芸植物として輸入されてきたものが、各地で雑草化し、帰化植物となっています。
オシロイバナの名前の由来
オシロイバナの花後にできる黒い種を指で押し潰すか、剥くなどして取り除くと、中に白い粉が入っています。この粉を白粉(おしろい)に見立てたことが、オシロイバナという名前の由来です。
オシロイバナの別名の由来
オシロイバナの別名「ユウゲショウ」は、オシロイバナが夕方から咲くこと、種が白粉のようであることから、夕方に化粧をする女性を連想させることに由来するそうです。
オシロイバナの英名の由来
オシロイバナの花は、夕方に開き、朝には閉じてしまうことから、英名では「Four-o’clock(フォーオクロック)」と呼ばれます。
また「Marvel of Peru(ペルーの脅威)」という英名は、オシロイバナの美しさに驚いたから、オシロイバナがペルー原産だと思われていたからだと言われていますが、実際の原産地はメキシコだとされています。
オシロイバナの学名の由来
オシロイバナの学名 Mirabilis は、ラテン語で「美しい、不思議な」に由来しています。理由は、オシロイバナが発見されたときに植物学者リンネがこの花の美しさに驚いたからだとか、1つの株から数色の花を咲かせるからだとか、諸説あります。
オシロイバナの花の特徴と咲く季節
オシロイバナの花の咲く季節
オシロイバナの花が咲くのは、7月~10月です。初夏から咲き始め、夏の暑い盛りに花も盛りを迎え、秋になるといつの間にか花数を減らして姿を消していきます。
夕方まで遊んだ帰り道、夏祭りや盆踊りに向かう道すがら、帰省した田舎の庭など、夏休みの記憶の景色の中に色鮮やかなオシロイバナの花が浮かんでくることはありませんか。オシロイバナは夏に最盛期を迎える花です。
オシロイバナの花の咲く時間
花が開く直前のオシロイバナのつぼみ
オシロイバナの花の咲く時間は、夕方4時頃から翌朝まで。翌朝の花は、咲いている場所の日当たりや気温にもよりますが、大体午前中にはしおれてしまいます。
咲き終わってしぼんだオシロイバナの花
オシロイバナの花は、マツヨイグサなどと同じく、夕方開花して翌朝にはしぼんでしまう一日花(一夜花)です。
オシロイバナの花の特徴
オシロイバナの花は、ラッパのようなフォルムで、筒状の部分は長さ4~5cm、花径は3~4cm、花の中心からしべ類が飛び出したような作りをしています。花びらのように見える部分は、実は花びらではなくがく片が変化したものです。
オシロイバナの花の色
オシロイバナの花の色は、赤、ピンク、オレンジ、黄色、白などがあります。1つの株の中でピンクと黄色が同時に咲いていたりします。さらに1つの花で、黄色の花にピンクが混ざっていたりもします。これは、ベタレインという色素に関係しています。
ベタレイン色素は、赤系や黄系の色を発色する色素です。オシロイバナの花はベタレイン色素を持っていて、この色素によって発色します。ただし、色が変わる仕組みについては、まだあまりはっきりわかっていないようです。
オシロイバナには、1つの株から違う色の花を咲かせることにちなんで、「恋を疑う」という花言葉があります。
▼オシロイバナの花言葉
オシロイバナの香り
あまり認識されていませんが、オシロイバナの花には淡い芳香があるのも特徴です。クチナシのようにはっきりとした強い香りではありませんが、近くに寄るとふわりと花の香りがします。オシロイバナの花の香りは、ちょっと和風というか、パウダリーというか、例えの難しいさらりとした優しい香りです。オシロイバナの花を見つけたら、ぜひ確認してみてください。
オシロイバナの種の特徴
オシロイバナの種は、黒い球形をしています。外側の黒く堅い果皮を指で押し潰すか、剥くなどして取り除くと、中に白い粉が入っています。この粉を白粉(おしろい)に見立てたことが、オシロイバナという名前の由来です。昔の女性が実際にこの粉を使って化粧を施していたという話の真偽は定かではありません。
オシロイバナの種の中にある白い粉は胚乳といって、発芽のための栄養を蓄えている部分です。
オシロイバナの毒性
オシロイバナは、有毒成分を含んでいます。根、茎、種子とほぼ全草に毒があり、口にすると嘔吐、下痢、腹痛などの症状が出ることがあります。また、皮膚や粘膜への刺激という心配もあります。むやみに口に入れないように気をつけましょう。
オシロイバナの遊び方
オシロイバナの種で遊ぶ
先述しましたが、オシロイバナの種の中には白い粉が入っています。この白い粉を取り出して遊ぶ方法です。
指の腹で黒い種をきゅっと押すと、ひびが入るように割れます。そのまま力をこめれば、果皮がつぶれて、中から白い粉が出てきます。あるいは、ひびが入ったところから果皮を剥いて、中に薄い膜があるので膜もじりじりとはがして、粉を取り出します。粉はしっとりとしていて、指の腹でこすると粉末状になります。この粉を使っていらないものに落書きをしたりして遊びます。
わたしが子供の頃は手の甲に塗って遊んだりしましたが、肌の弱い方にはあまりおすすめしません。
オシロイバナのパラシュートで遊ぶ
オシロイバナの花のラッパのようなフォルムと長いしべ類を活かして作るパラシュートです。
オシロイバナの花を付け根のグリーンの苞の部分から摘み取ります。しべ類を切らないように、グリーンの苞をそっとちぎり取ります。そのままゆっくりと引くとしべ類が引かれ、花の筒の部分に引っかかって止まります。
そっと手を離すと、花の部分が空気の抵抗を受け、パラシュートのようにくるくると回転しながらゆっくりと落ちていきます。
オシロイバナの育て方
場所、用土
オシロイバナは、日当たりと風通しの良い場所を好みます。
鉢植えは市販の園芸用培養土で問題なく育ちます。
水やり
表土が乾いたらたっぷりとを目安に水やりしましょう。
肥料
植え付け時に元肥を施しましょう。
鉢植えは開花時期に緩効性肥料を施します。
種まき
オシロイバナの種は、直まきできます。5月~6月頃に花壇やポットに直接まきます。
冬越し
オシロイバナは、冬に地上部を枯らして越冬します。特に必要な冬越し作業はありません。
▼オシロイバナの詳しい育て方
日本の夏の記憶と直結しているようなオシロイバナの花。身近な植物ですが、意外と知っているようで知らないことも多かったのではないでしょうか。
夜にハッとするような色鮮やかな花を咲かせ、香りも良く、小さな子供と遊ぶこともできる花です。夏の夜は、オシロイバナの花を眺めて過ごしてみませんか。
▼編集部のおすすめ
関連ワード
今月のおすすめコンテンツ
「オシロイバナ|種子や花の特徴、名前の由来、育て方と遊び方」の記事をみんなにも教えてあげよう♪