種のことをもっと知ろう。選び方や余り種の活用法
LOVEGREEN編集部
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日頃私たちが家庭菜園やガーデニングで何気なく使っている種について、みなさんはどこまでご存知ですか?
種を考えると、とてつもなく長い歴史が…
地球が誕生した後、海水の中に様々な生命が誕生します。その様々な生命の中から、突然変異によって光合成をする生物が生まれ、海の中で藻の仲間が栄えます。植物はしだいに陸上へ進出し、コケ植物を経て、陸上ではシダ植物が栄えます。そこからまた更に長い時間を経て、ようやく種子でふえるいわゆる花が咲く植物が誕生しました。
気が遠くなるような時間を経て存在する「種」。漠然と種をまく季節になったら、当たり前のようにまいていた「種」についてご紹介します。
目次
種の加工について
作物の始まりの種ですが、私たちが手にするまでに、まずは種子の生産が必要です。農作物と同様に畑に作付けを行い種を取るために育てます。
現在、種子メーカーが国内および海外の採種農家や採種会社に委託する形で種の生産が行われています。国内では採種農家が減少していることに加え、天候不順にも対応するために、それぞれの作物に適した気候を持つ海外の地域も利用して種子生産を行っているそうです。
種子生産は短くても6ヶ月、長いものでは約2年をかけて栽培した採種もあるようです。今では簡単に100均でも手に入る種ですが、種生産農家と種メーカーの生産があってのことだと再認識させられます。
国内外の生産地から入荷された種は、さらにより充実した高発芽率のタネとしてメーカーで精選されています。また、農業の機械化やセル成型育苗の普及により、そこからまた種子加工の需要も年々増加しています。
ペレット種子
天然素材を主成分とする粉体を用い、種子を成形したものがペレット種子です。不整形種子や偏平種子、花き類などの微細種子でも、ペレット加工することで、取り扱いや機械播種が容易となり、作業性の向上というメリットが得られます。
フィルムコート種子
殺菌剤や着色剤を加えた溶液で種子をコーティングし、種子周囲に形成する薄い被膜に薬剤を固着させたものがフィルムコート種子です。発芽時の病害防除効果はもちろん、薬剤の飛散が極めて低く、作業者に対する安全性向上の効果もあります。
殺菌剤の使用ということで農薬処理された種になるため、間引きした葉を召し上がる際、気になる方は双葉を取り除き、本葉を召し上がることをお勧めします。
ネーキッド種子
ホウレンソウ種子は硬い果皮に覆われているため、発芽障害を起こしやすい問題があります。この硬い皮を特殊技術で除去して裸状にし、発芽性を改善したものがネーキッド種子です。その上、殺菌剤をフィルムコートしてあるので、病原菌防除の面でも工夫されています。
こちらも殺菌剤の使用ということで農薬処理された種になります。間引きした葉を召し上がる際に、気になる方は双葉を取り除き、本葉を召し上がることをお勧めします。
このように、私たちが手にする種はこの他にも様々な加工方法があり、使用する側が使いやすい種子として生まれ変わっています。
種の種類〜早生・中生・晩生について
種の事が少しわかったところで、私たちが手に取る種袋の裏について見ていきましょう。
このように、学名や英名、原産地などが記載されていたり、栽培の情報も詳しく書かれています。
なかでも野菜などによく使われている「早生(わせ)・中生(なかて)・晩生(おくて)」についてご説明します。
野菜の品種は、栽培期間の長さの違いによって、「早生・中生・晩生」に分けられています。
・早生(わせ) :栽培期間が短いために育てやすい。
・中生(なかて):早生と晩生の中間。
・晩生(おくて):栽培期間が長いだけに、管理が大変ですが、じっくり育つだけに味が良い。
これらの情報から、家庭菜園初心者の方は早生を選ぶと栽培しやすく、上級者になると晩生を選び味にこだわってみたり、さらには栽培期間の違う、早生と晩生品種を両方作って収穫のタイミングをずらしたり、収穫の期間を伸ばすことができます。うまく利用することによって、何倍にも家庭菜園に活用することができるのです。
種の種類~品種について
それぞれの種のメーカーで、様々な品種の育て方が簡単にスマホなどで見れる時代です。いろいろ検索して野菜の品種にこだわってみてはいかがでしょうか。
種メーカーのカタログをみると、一つの作物から何十もの品種が検索できます。一般的なもの以外にも、江戸東京野菜や京野菜に代表される伝統野菜の種もありますので、ぜひ興味をもって選ばれてはいかがでしょうか。
例えば同じブロッコリーでも、頂花蕾(ちょうからい)を収穫した後収穫する側花蕾(そくからい)の大きさも品種によって違います。
カブは、様々な大きさ、色など、種類も豊富で、カブの皮が手でむける品種もあります。たくさんある品種の中から選ぶ楽しみが増えますね。
固定種とF1について
そもそも、種子というのはその土地で種子を採取した方が、その土地に合う植物の種を作ることができます。そのため、固定種の野菜の種は採取して、翌年種をまいて栽培することができます。気に入った品種の種を採取して、来年の家庭菜園に使用するのも楽しみの一つですね。
完熟した種を採取して天日で乾燥させ、密封保存します。採取する種は、同じ科の野菜など、交配しそうなものは近くに育てないように気を付けましょう(例 シソとエゴマ)。
ただ、F1と書かれた交配種野菜だけは、種を採取し、次回に使用するのは難しいです。というのも、F1という交配種野菜から種を採ると、劣性形質が現れます。発芽速度、草丈、葉色、根群、果色はじめあらゆる形質で劣性遺伝子が顔を出すため、F1から自家採種した種は、見るからにバラバラの野菜になってしまいますので、使用する際には気をつけましょう。
種の注意点について
種袋には他にも重要なことが書かれています。
こちらはモロヘイヤの種ですが、「モロヘイヤの種子(実)には、有害物質が含まれています。人畜が種子(実)を食べないように注意してください。」と記載されています。お子さんを持つお母さんや、ペットのいるご家庭では注意が必要ですので、種袋は必ず目を通しましょう。
余った種の活用法について
いろいろ種や種袋の活用方法について見てきましたが、ご家庭に眠っている種袋はありませんか?
もう一度種の袋に記載されているものを確認した後は、そのまま種を捨ててしまうのは、何だか味気なく、何だかもったいない。
サラダなどの具材として、スプラウトやベビーリーフとして育てて食べましょう!
小さい段階で収穫するので、種袋に書いてある適期なども気にせず、古い種も発芽率が落ちるだけですので気にせずにチャレンジしましょう。
種のまき方だって気にせず、バラまきでOK!大胆で構いません。いろんな品種、種類の種をざっと蒔いて、順次収穫していきましょう!
種|まとめ
・私たちが手にする種は、様々な地域、様々な国で作られてる。
・種にはいろんな加工の方法がある。
・早生・中生・晩生を利用しよう。
・種の袋はしっかり内容を把握しよう。
・余った種はベビーリーフとして育てよう。
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