スパイスの種類一覧|特徴と使い方、香辛料との違いは?
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スパイスの種類を特徴や使い方も合わせて一覧で紹介します。香辛料やハーブとの違い、カレーに使われるスパイス、ブレンドスパイスについてもお話します。
目次
スパイスとは? 香辛料との違い
スパイス( Spices )とは、香辛料や香味料という意味の英語です。料理に味や香り、辛味など、風味を付けることを目的として入れるものです。スパイスと香辛料との違いについては明確な定義というものはなく、ほぼ同義として使用されています。
スパイスの多くは、古くにアジアや南米からヨーロッパに渡り、世界中に広まりました。冷涼なヨーロッパ地域では珍しい、熱帯や亜熱帯で育つ植物の実や根、樹皮、葉、茎などが乾燥保存されて船で運ばれていったことが始まりで、今でも多くは乾燥した状態で流通しています。
スパイスとハーブとの違い
ハーブとは、薬草のこと。食用になるもの、香りを楽しむものや薬効があるものなど、私たちにとって有用な植物の総称です。スパイスとハーブの違いについて明確な定義はありません。スパイスと同様に料理に使用するものもあれば、生薬や精油、化粧品として使用するものなど、用途は様々です。
スパイスの種類|特徴と使い方
日本でも流通の多いスパイスの種類を、特徴や使い方も合わせて紹介します。
オールスパイス
オールスパイスとは、ナツメグ、シナモン、クローブを合わせたような甘く奥行きのある香りが特徴。南米原産のフトモモ科オールスパイス属の常緑樹の実を乾燥させたもので、数種類のスパイスを混ぜたものではありません。
そのままなめてもほんの少しの苦味を感じる程度で、味や辛みはありません。肉や魚料理の下味、ジャムやお菓子の香り付けに使います。
カイエンペッパー
カイエンペッパーは、乾燥させて粉末にした唐辛子のこと。特定の品種があるわけではありません。真赤な色と舌にピリッとくる刺激が特徴。
使い方は、料理の下味の他、食べる直前に好みで足したりします。使用量が多ければ多いほど辛味が増すので、お好みで調整してください。
唐辛子
唐辛子は、刺激的な辛さと花のような香りが特徴。ナス科の多年草で、鷹の爪やハバネロなど、たくさんの品種があります。赤く熟した実を乾燥させたもので、ホールや粉末の他、糸唐辛子や輪切り唐辛子なども流通しています。ジャンルを問わず、あらゆる料理に使用されるスパイスです。
ゆっくりとオイルで温めれば、辛味と花のような香りを楽しめます。種ごと手でちぎって使うと辛さが増すので、料理を辛くしたいときにおすすめです。
カフィアライム(コブミカンの葉)
カフィアライムは、東南アジア原産のコブミカンの葉を乾燥させたもの。甘さと苦味を感じる柑橘系の香りが特徴です。コブミカンは、ミカン科ミカン属のボコボコとした実が特徴の常緑樹です。ライムリーフやバイマックルーという名前でも流通しています。
グリーンカレーやトムヤムクンなどのタイ料理に欠かせないスパイスです。煮込む際に入れて、食べるときには取り出すようにしてください。
カルダモン
カルダモンは、鼻から抜けるような清涼感と少しの甘さを感じる香りが特徴で、噛むと少しの苦味があります。南インド原産のショウガ科カルダモン属の多年草で、和名はショウズクという植物の青い実を乾燥させたものです。
使い方は、カレーの香り付けの他、お茶に入れて甘い香りを楽しみます。ホールでも粉末でも流通しています。
キャラウェイ
キャラウェイは、甘い香りと、噛んだ時に感じるミントを思わせるような清涼感が特徴。セリ科ヒメウイキョウ属の二年草で、和名をヒメウイキョウといいます。花が終わった後にできる実を乾燥させたもので、見た目はフェンネルに似ています。
ザワークラウトや魚のマリネの他、クッキーなどの焼き菓子の風味付けに使います。
クミン
クミンは、甘い香りと少しの苦味が特徴。セリ科の一年草の実を乾燥させたものです。カレーに欠かせないスパイスとして知られています。また、香りが強いことから、羊肉の臭み消しにも使用されます。
ホールでも粉末でも流通しています。炒めて香りを出したり、煮込む際に入れたりして使います。
クローブ
クローブは、甘く刺激的な香りが特徴の世界四大スパイスの1つ。インドネシア原産、フトモモ科のチョウジノキという常緑高木の花のつぼみを乾燥させたもので、釘のような形をしています。
ホールでも粉末でも流通していて、肉料理の臭み消しや香り付け、お菓子などに利用します。赤ワイン煮込みに入れると、味と香りに奥行きが出るのでおすすめです。
コリアンダー
コリアンダーは、パクチーの実を乾燥させたもので、コリアンダーシードとも呼ばれます。パクチーの生の葉の独特の香りとはまったくの別物で、甘く爽やかな香りが特徴。
ホールでも粉末でも流通していて、ホールはそのままカリカリとかじって食感を楽しむこともできます。カレーなどのエスニック料理や肉料理の香り付けに使います。
花椒(ホワジャオ)
花椒は、鼻から抜けるような香りと、舌がしびれるような辛味が特徴。麻婆豆腐の辛味で馴染みのあるスパイスです。中国原産のミカン科サンショウ属のカホクザンショウという落葉樹の実を乾燥させたもので、日本のサンショウとは近縁の別種になります。
ホールでも粉末でも流通があり、中華料理の辛味付けに使います。棒棒鶏やオイスターソース煮のような、甘味のあるタレや煮込みに一つまみ加えると全体が締まります。
サフラン
サフランは、ほのかな甘い香りと黄色の色素が特徴のちょっと高価なスパイス。アヤメ科クロッカス属の秋咲き球根植物で、3つに分かれためしべを乾燥させたものです。1つの花から少ししか採取できないことから高価なスパイスとされています。
料理の色と香り付けに欠かせないスパイスです。水溶性なので、お湯に浸けて色を出したり、水と一緒に煮込んだりして使います。
シナモン
シナモンは、甘い香りが印象的な世界四大スパイスの1つ。アップルパイの香りといえばピンとくる方も多いのではないでしょうか。セイロンシナモンやカッシアなど、クスノキ科の常緑樹のなかでも香りの良い数種類の総称で、樹皮を乾燥させたものです。
ホールでも粉末でも流通しています。お菓子、煮込み料理や肉料理の臭み消しなどに使う他、クリスマスリースなどの花材としても人気があります。
スターアニス(八角)
スターアニスは、独特の強く甘い香りが特徴の、八角とも呼ばれるスパイス。マツブサ科のトウシキミという落葉樹の木の実を乾燥させたもので、星のような形をしています。中華料理で馴染みのある香りです。
肉の煮込み料理の他、お菓子の香り付けに使います。ホールで流通していますが、香りが強いので、使うときは割って欠片にするとよいでしょう。形がかわいらしいので、クリスマスリースなどの花材としても人気があります。
ターメリック
ターメリックは、黄色の色付けに使用されるスパイスで、少し苦味を感じるような土臭い香りが特徴。ショウガ科のウコンという植物の根を乾燥させたもので、カレーに欠かせないスパイスです。
多くは粉末、まれにホールで流通しています。カレーの他、ターメリックライス、ベトナム料理のバインセオ、その他料理の色付けに使います。
ナツメグ
ナツメグは、甘みと少し苦味を感じる香りが特徴の世界四大スパイスの1つ。東南アジア原産のニクズク科のニクズクという常緑樹の種の中にある胚乳の部分を乾燥させたもので、多くは粉末で流通しています。
肉の臭み消しに使用されることで有名で、ハンバーグには欠かせないスパイスです。他にもコロッケや餃子、お菓子の香り付けに使います。
パプリカ
パプリカは、少し酸味を感じるような独特の香りが特徴で、ピメントと呼ばれることもあります。ナス科の多年草の実を乾燥させて粉末にしたもので、日本で流通している野菜のパプリカとは別種です。ハンガリーのパプリカを使ったシチューが有名ですが、他のヨーロッパ諸国、地中海、南米などの料理にもよく使用されます。
肉の臭み消しのほか、ドレッシングに混ぜたり、マリネ液の香り付けなどに使います。赤い色が鮮やかなので、料理の仕上げに一振りしたりと、彩りとしても活躍します。
フェンネル
フェンネルは、甘く、すっとした爽やかな香りが特徴のスパイス。フェンネルの実を乾燥させたもので、フェンネルシードとも呼ばれます。魚の臭み消しに使用されるハーブで、マリネやピクルスの他、お菓子にも使用されます。
ペッパー(こしょう)
ペッパーは、日本ではこしょうと呼ばれて親しまれている世界四大スパイスの1つ。唐辛子の辛味とはまた違った刺激が特徴です。実を皮ごと乾燥させたものがブラックペッパー、果皮を取り除いたものがホワイトペッパーです。
ホールでも粉末でも流通があり、料理や好みで使い分けます。臭み消しや香り付けとして料理に最初から使う以外に、味や香りのアクセントとして仕上げに振りかけたりします。
ピンクペッパー
ピンクペッパーは、ピンク色の丸くかわいらしい実が特徴。ピンクペッパーとして流通しているのは、ウルシ科の数種類の木の実です。
香りや刺激は強くありませんが、料理の彩りとして人気があり、仕上げに散らしたりして使います。
ローリエ
ローリエは、爽やかな芳香があり、肉や魚料理の臭み消しに使用されるスパイスで、ローレルや月桂樹という名前でも呼ばれます。クスノキ科のゲッケイジュの葉を乾燥させたもので、日本でも身近な場所で見かけます。
シチューやポトフ、マリネ液など、たくさんの料理で活躍します。多くはホールで流通しているので、料理に使用する際は、食べるときに取り出すようにしましょう。
ブレンドスパイスとは? 種類も紹介
ブレンドスパイスとは、数種類のスパイスを混ぜあわせて作られたもの。発祥の地域の特色を感じるような個性豊かなものがたくさんあり、少量使用するだけでいつもの料理に変化を付けられる便利なスパイスです。
五香粉(ウーシャンフェン)
五香粉は、中国やアジアの料理で使用されるスパイスで、スターアニス、花椒、シナモン、クローブ、陳皮などの5種類以上のスパイスをブレンドして粉末になったものが流通しています。
甘さと刺激のある香りが特徴で、肉や魚、野菜など、多くの料理に使用します。いつもの鶏のから揚げも、下味に五香粉を加えるだけで、一気に中華料理に変身します。
ガラムマサラ
ガラムマサラは、インドで使用される数種類のスパイスをブレンドしたもの。主にクローブ、クミン、ブラックペッパー、カルダモンなどが入っています。カレーの香り付けや肉料理など、様々な料理に使用できます。
七味唐辛子
七味唐辛子は、日本で昔から愛されてきたブレンドスパイス。唐辛子の他、山椒、ごま、陳皮、麻の実などが入っていて、入っているものも比率も作る人によって様々です。また、必ずしも7種類に限りません。
そば、煮込み料理、汁物、漬物まであらゆる和食で活躍します。七味唐辛子が大好きだと言って、常に持ち歩いている人もいるくらいです。
ハリッサ
ハリッサは、数種類のスパイスがブレンドされた唐辛子ペースト。唐辛子の他に、にんにくやコリアンダー、キャラウェイなどが入り、香りと辛味を楽しめるスパイスです。北アフリカ発祥で、クスクスのスープや煮込み料理に添えてアクセントとして使用します。家庭で気軽に作ることもできます。
カレーに使われるスパイスといえば?
カフィアライム(コブミカン)
タイ風のカレーを作るなら、カフィアライムは欠かせないスパイス。他にはない香りで、一気にエスニックな気分になれます。
カルダモン
カルダモンは、エスニックなカレーにもヨーロッパ風のカレーにも使われるスパイス。苦味があるので、ホールを使用したら食べる前に取り出すようにしましょう。
クミン
香りが強いクミンは、カレーに必ずといっていいほど入っているスパイスです。食べているカレーが物足りない時に、パウダーを少し振りかけるだけで、味に変化が出ます。
クローブ
甘く奥深い香りのクローブは、カレーの味に奥行きを出してくれます。
ターメリック
カレーの色付けに欠かせないターメリック。このスパイスなしにカレーは成り立ちません。
唐辛子
唐辛子は、カレーの辛さを調整するために必須のスパイス。種ごと手でちぎって入れれば、1本だけでも驚くような辛さになります。
ローリエ
肉のカレーを作るなら、絶対に入れたいのはローリエ。しっかりと香りが付くので、風味に安定感が出ます。
ガラムマサラ
ガラムマサラを入れると、風味がより豊かになります。カレーの仕上げに一振りするのもおすすめです。
スパイスを使うことで、香りだけでなく、辛味を加えたり、味に奥行きを出したりできます。上手に使いこなして、レパートリーの幅を広げましょう。
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