知っておきたい「お盆飾り」お花の飾り方やマナーについて
峰亜由美
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お盆は、夏にご先祖様が家族と一緒に過ごすために帰ってくる4日間とされています。地域によっての違いがありますが7月13日からの4日間と8月13日頃からの4日間とされ、ご先祖様を偲び感謝の気持ちを込めて、お花やお菓子、果物等を支度して温かい気持ちでお迎えし供養する古来から伝わる行事です。
今回はお盆に飾るお花の飾り方やマナー、少しいつもと違ったイメージで飾るための花材選びのコツと飾り方をご紹介します。
目次
お盆ってどんな行事?
お盆は仏教行事としての正式な呼び名は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と言い、「お盆」は盂蘭盆会(うらぼんえ)から変化して現在では親しみやすくそう呼ばれる様になったようです。故人を偲び、ご先祖様や精霊が家族のもとに帰って来て一緒に過ごす日とされています。
お盆の期間
地域によっても違いはありますが、大きく分けて7月13日から行う地域と、8月13日頃から行う地域があります。
・7月15日を中心として13日~16日の4日間は新暦のお盆。カレンダー通りの太陽暦の日にちで行われるお盆。
・8月15日を中心として8月13日~16日の4日間の旧暦の頃、月の満ち欠けを基準にした日にちに行われるお盆。
2つの期間に分かれている理由は、旧暦の7月15日に執り行われていたお盆は、明治時代になってから、明治政府が暦(こよみ)を国際化に合わせた為、古来より使われていた月の満ち欠けを基準とした太陰暦から、地球を周る太陽を基準とした太陽暦に合わせる様になりました。その事によって今までより一ヶ月早いお盆になり、月の満ち欠けを優先して仕事を進めていた農村部では太陽暦(カレンダー通り)の7月13日~始まるお盆の期間は、ちょうど農繁期に差し掛かるため、今まで通りの旧暦の8月~9月の間の月齢でのお盆を執り行われる様になりました。
お盆にまつわる花火のお話
夏の夜空に大きく咲く大輪の花、花火。
今回は植物ではないお花のお話を少しさせてください。
花火もお盆と密接な関係のある行事で、 お盆の季節に執り行われる行事の一つです。
始まりは江戸時代中期、徳川吉宗によって大飢饉や江戸時代に流行した疫病で亡くなった多くの死者の供養と災厄除けの祈願を込めて隅田川で水神祭を行った際に打ち上げた花火「両国川開き」が始まりだといわれています。
ご先祖様を思い、花火を見上げながら感謝の時間を過ごすお盆も素敵ですね。
お盆に供える花と飾り方のマナー
お盆にお供えする花は3本(3種)5本(5種)7本(7種)と日本では奇数が良いと言われています。
3本の場合は白、黄色、紫。
5本の場合は、白、黄色、紫、赤、ピンクの5色を飾られることが多く一般的です。
花の色味は、華やかになっても構いません。ちょっとしたマナーはありますが、基本的には好きな色の花を飾られるのが良いと思います。
お墓参りやお仏壇には、1対(いっつい)と呼ばれる飾り方で、左右対称になる様に同じ花材の花束を2束飾ります。
お墓参りの場合は、数日後に片づけに行くのが一般的ですが、遠く離れた場所へお墓参りに行く場合はその日のうちに持ち帰り、自宅のお仏壇などに飾ります。
飾るのを避ける花
故人が生前の好みの花や宗教や宗派による違いを除いた場合は例外もありますが、棘(とげ)のある花、毒のある花、黒い花、香りの強い花、花首ごと落ちてしまう花は避けた方が良いと言われています。ご家族や故人が心地よく手向(たむ)ける事が何よりですので参考にしてみてください。
■棘(とげ)のある花・・・バラ、アザミ
■毒のある花・・・彼岸花(ひがんばな)
■黒い花・・・クロユリ等、見た目が黒い花は控えます。
■香りの強い花・・・カサブランカ
■花が頭から落ちる花・・・椿
初めて迎えるお盆(新盆)のお花は白いお花
新盆(にいぼん)又は初盆(はつぼん)と呼ばれ、故人が49日を過ぎたあとに初めて家に帰ってくる日をお迎えするお盆です、白い花を飾り色を混ぜないのが一般的とされています。
故人が好んでいた、お菓子や果物と一緒にお花を飾ります。
新盆を迎える故人にお花を贈る場合、アレンジメント等は手入れもしやすい為、受け取られたご家族への負担も少なく飾りやすい為、喜ばれます。
お供えするお花の飾り方
お供え物の花は奇数で飾るのが基本になります。
3本の場合、花の色は白、黄色、紫の基本となる3色、5本の場合は白、黄色、紫、赤、ピンクと基本の3色+2色の花を足します。プラスする2色は黒色の花以外なら何色でもかまいません。お好みの花をご準備下さい。
1.花の準備
今回は竜胆(リンドウ)輪菊(りんぎく)小菊(こぎく)を中心として合わせて行きたいと思います。
先ほど用意した基本の3本に、少し鮮やかなピンクの色合いの2本の花を加えて、5本の花を使用します。加えたお花は、スプレーカーネーションと小菊です。
まずは花瓶の高さに合わせて花の丈をカットします。
花の丈は花瓶の2倍から2.5倍の長さにすると花器とのバランスが良く安定します。花の丈をカットする時は、花を逆さまにして花の丈と花器を比べて測るとカットしやすいです。その際に気を付ける注意点は花を逆さまにする為、床やテーブルに勢い余って花がぶつかり折れてしまわない様に丁寧に扱ってみましょう。花の丈が決まったら生ける前の下処理をしていきます。
菊の茎はハサミではなく手で折ると水あげが良く、花も長持ちします。
水に浸かる部分は葉をおとします。
小菊も水に浸かる部分の葉と蕾などは落とします。
スプレーカーネーションも水に浸かる部分の葉と花を落とします。
リンドウも同じように、水に浸かる部分の葉と花を落とします。
2.花の飾り方
花の飾り方は本格的には決まった形はありますが、ご自宅やお墓参りなどで家族みんなで飾る場合は気持ちを込めて飾る事が一番大切です。今回は簡単に飾れる基本的な飾り方とアレンジした飾り方をご紹介します。
花の準備ができたらいよいよ飾ります。水に浸かる部分の葉や花を処理したら、花を組みます。
花は中央に大きな菊をまず持って、リンドウ、白い小菊を少し低めに手に持ち、リンドウと小菊の間にピンクの小菊を配置します。
最後にスプレーカーネーションをその下の位置に配置して「ひし形」になる様に手に持ちます。
手で持っている所を、麻紐や輪ゴムなどで止めます。
お仏壇やお墓では一対(いっつい)という形でもう一束、同じ花を作ります。その際は花を左右対称の位置になる様に作ります。
花瓶の真ん中に生けます。真ん中に立つように花瓶の中に落としと言われる水入れを入れると上手く立てる事が出来ます。
お供えするお花をいつもと違うイメージで飾る
輪菊や小菊、ケイトウ等、白、黄色、紫と古くから愛されている昔ながらの仏花も安定した良さがありますが、お部屋に少し合わないかもしれないと思った事はありませんか?
最近は輪菊(りんぎく)や小菊も品種改良されセンス良くお部屋に飾れる種類も多く出てきました。
いつもとは違った雰囲気で仏花を生けてみませんか?
基本の3色のお花を別な花に変えると部屋に合わせやすい仏花に
従来の仏花の飾り方に基づきながら、同じ様に白、黄色、紫を基本にして、合わせる花の種類を少し変えるだけでインテリア等にも合わせやすい、お盆の花を飾ることができます。今回は基本になる3色の白と黄色のお花はピンポンマムに変え、紫はモカラという蘭を使用してみました。その他に合わせる花も彩(いろどり)を優しく明るい色を選んで生けてみます。
基本の仏花〜黄色
ピンポンマム(黄)
輪菊の種類ですが、ピンポンマム、またはポンポン菊などと呼ばれているまん丸の形が可愛い菊です。このピンポンマムは黄色から段々とオレンジ色にグラデーションで色を変えて行く種類です。ピンポンマムは他にも、グリーン、黄色、ピンク、えんじ色などがあります。
基本の仏花〜白色
ピンポンマム(白)
白い花はピンポンマムの白。
基本の仏花〜紫色
モカラ
紫の花はモカラを使います。最近は色の数が増えてきたら蘭です。花持ちも良く水替え次第で夏でも長持ちします。
その他の仏花に合わせる花
クルクマ
クルクマはピンクが一般的ですが、少し透けた花びらに見えるガクが特徴的なお花です。夏でも花持ちが良く、お盆に飾るお花としても適しています。
ケイトウ
ケイトウは昔は赤やオレンジ等のハッキリした色しか見かけませんでしたが、最近はグリーン、ブラウン、紫、この写真の様にアンティークカラーのピンクの様なグラデーションが美しい種類も増えてきました。花束の中に入れてみると、ゴージャスな彩となります。
千日紅
千日紅は赤や濃いピンク等が一般的ですが、この写真の様に淡いピンクの千日紅もあります。今回は淡いピンク色を使用したいと思います。
スプレーマム
小菊も現在はこのように可愛らしい形も多く、花持ちも良い為、仏花としてだけではなく、夏に普段飾る花としてもおすすめです。
花の飾り方
花の下準備は前回の基本的な仏花と同じ様に水に浸かる部分の落として、茎の長さを花瓶の長さに合わせて揃えておきます。
バランスよく、最初に大きなピンポンマムを手に持ち、大きい花、小さい花と順番に合わせて行きます。
少しずつ高低差をつけて行くと合わせやすいと思います。意識して後ろ側の花を高くして前に向かって行くに従い低く合わせてみましょう。全部の花を手で合わせたら、手に持っている支点を麻紐や輪ゴムで止めます。
ここで花を止める事によって、花瓶に生けた時に形を崩さずに生ける事が出来ます。
手で合わせ束ねた花は、花瓶にそのまま飾って完成です。
お盆のお花まとめ
■お盆のお花は基本的にはご先祖様が好きな花を飾る。
■本数は3本、5本、7本と奇数のお花を飾り、色は白、黄色、紫を中心に。
■棘(とげ)や毒のある花、黒い花、香りの強い花、花が頭ごと落ちる花は飾らない。
■花はなるべく菱形の配置になる様に組む。
■お墓に飾った場合は何日後かに引き取りにいくのが理想的ですが、遠い場合はその日のうちに持ち帰ります。
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