蓮(ハス)と睡蓮(スイレン)の 違いと見分け方。花や葉の特徴
山田智美
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蓮(ハス)と睡蓮(スイレン)はどちらも美しい花を咲かせる水生植物。この2つの花の違いと見分け方を、花の咲く季節、花や葉の特徴、見分け方について詳しくお話します。これでもう、蓮(ハス)と睡蓮(スイレン)を間違えることはありません。
目次
- 蓮(ハス)とは?基本情報
- 睡蓮(スイレン)とは?基本情報
- 蓮(ハス)と睡蓮(スイレン)の花の季節の違い
- 蓮(ハス)と睡蓮(スイレン)の花の特徴と違い
- 蓮(ハス)と睡蓮(スイレン)の葉の特徴と違い
- 蓮(ハス)と睡蓮(スイレン)の見分け方
蓮(ハス)とは?基本情報
- 植物名:ハス
- 学名:Nelmubo nucifera
- 科名・属名:ハス科ハス属
- 分類:多年生水生植物
- 英名:Lotus
蓮(ハス)の特徴
蓮は、日本や中国、インドなどのアジアを中心に分布するハス科の水生植物。夏に大きく優美な花を咲かせます。
水底に地下茎を持ち、水面の上に1m以上伸ばした葉柄の先に30~50cmの円形の葉を広げます。地下茎の膨らんだ部分は蓮根(レンコン)と言って食用にされます。花は直径10~30cmと大きく、色はピンクや白などがあります。
蓮は、泥の中から伸びて美しい花を咲かせることから、仏教では清らかさの象徴とされてきました。多くの人に愛され、各地の寺院や公園の池などに植えられています。蓮の花の季節には、各地で観蓮会などの催しが開催されます。
睡蓮(スイレン)とは?基本情報
- 植物名:スイレン
- 学名:Nymphaea
- 科名・属名:スイレン科スイレン属
- 分類:水生植物
- 英名:Water lily
睡蓮(スイレン)の特徴
睡蓮は、世界の熱帯、亜熱帯、温帯に分布するスイレン科の水生植物。水の上に浮かぶように咲く花が印象的です。
睡蓮は園芸上、耐寒性のある温帯スイレンと熱帯スイレンに分けられます。日本に自生するヒツジグサという睡蓮は温帯スイレンの1種です。
水底に地下茎を持ち、葉は水面に浮くように広がります。花は水面に浮かぶように咲く種類から水面上に長く花柄を伸ばして咲く種類まで様々。特に熱帯スイレンは花色、サイズともに多様です。各地の公園や温室の池などに植えられています。
エジプトでは、朝に開花し夜に閉じる睡蓮を太陽や生命の象徴と考え、古くから神聖視されてきました。また、睡蓮の学名Nymphaeaは、ギリシャ神話の水の妖精の名前Nympha(ニンファ)に由来するとされています。
蓮(ハス)と睡蓮(スイレン)の花の季節の違い
蓮の花
蓮と睡蓮の開花時期と、花咲く季節の違いを比べてみましょう。
蓮(ハス)と睡蓮(スイレン)の開花期
熱帯スイレンの花
- 蓮の開花期:7月
- 睡蓮の開花期:5月~10月(品種による)
蓮(ハス)と睡蓮(スイレン)の花咲く季節の違い
蓮の白花
蓮の花が咲くのは、7月頃。初夏というには暑くなってからで、うだるような真夏の暑さになる前という頃に咲き始めます。
睡蓮の花が咲くのは、初夏から秋の5月~10月頃。特に身近な場所で見られる温帯スイレンは5月頃から、温室で管理されている熱帯スイレンは6月頃から先始め、10月頃まで開花を楽しめます。
品種にもよりますが、蓮は夏のひと時、睡蓮は初夏から秋までと、長く開花を楽しめるという印象です。
蓮(ハス)と睡蓮(スイレン)の花の特徴と違い
蓮の花
蓮と睡蓮の花の特徴を整理しました。それぞれの違いがわかります。
蓮(ハス)の花の特徴
蓮のシャワーヘッドのような花床
- 開花時間:早朝から昼まで
- 花径の大きさ:10~30cm
- 花柄の長さ:1m以上
- 花芯:シャワーヘッドのような花床に多数のしべ類がついている
睡蓮(スイレン)の花の特徴
睡蓮の花
- 開花時間:朝から日暮れまで(一部夜咲き種は夜間)
- 花径の大きさ:5~15cm
- 花柄の長さ:水面~30cm程度
- 花芯:雌しべを中心に複数の雄しべがらせん状についている
蓮(ハス)と睡蓮(スイレン)の花の違い
蓮の花
花の大きさの違い
蓮の花の大きさは、チャワンバスなどの小さなもので10cm程度、大輪咲きの品種は30cm程度と大きめなのに対して、睡蓮の花の大きさは身近で見られる温帯スイレンで5cm程度、熱帯スイレンの大輪咲きでも15cm程度と小さめです。
花柄の長さの違い
水面に浮くように咲く睡蓮
蓮の花柄は水面から1m以上伸びるのに対して、睡蓮は水面に浮くように咲くか、長いものでも水面から15cm程度です。
花芯の違い
睡蓮の花芯
蓮の花芯は中心にシャワーヘッドのような特徴的な花床がありますが、睡蓮の花芯は多数のしべ類が密集しているような印象です。
蓮(ハス)と睡蓮(スイレン)の葉の特徴と違い
蓮(ハス)の葉の特徴
蓮の葉のロータス効果
- 大きさ:30~50cm
- フォルム:円形
- 表面:光沢はなく、表面は水を弾く(ロータス効果)
睡蓮(スイレン)の葉の特徴
切れ込みの入った睡蓮の葉
- 大きさ:10~30cm
- フォルム:円形~楕円形で、切れ込みが入る
- 表面:光沢がある
蓮(ハス)と睡蓮(スイレン)の葉の違い
睡蓮の葉には光沢がある
蓮の葉は光沢のない円形で、表面は水を弾く特性があるので、泥や水が付着しても葉が汚れることがありません。対して睡蓮の葉は、表面に光沢があり、切れ込みが入ったようなフォルムをしていて、この切れ込みから水を落とす仕組みになっています。
蓮(ハス)と睡蓮(スイレン)の見分け方
花の時期で見分ける
蓮の花が咲くのは7月頃だけ
- 蓮の花の咲く時期:7月頃
- 睡蓮の花の咲く時期:5月~10月(品種による)
蓮は夏の一時の開花なのに対して、睡蓮は花期が長いのが特徴。初夏や秋に咲いていたら、睡蓮だと見分けられます。
花の大きさで見分ける
睡蓮の花の大きさは5~15cm
- 蓮の花の大きさ:10~30cm
- 睡蓮の花の大きさ:5~15cm
花径が10~30cmと大きければ蓮、花径が5~15cmと小さければ睡蓮と見分けられます。
花の色で見分ける
紫色の睡蓮の花
- 蓮の花色:ピンク、白、黄色
- 睡蓮の花色:ピンク、白、黄色、紫など
花の色がピンクや白、黄色で、花の中心にシャワーヘッドのような花床があれば蓮です。花色がピンク、白、黄色、紫で、水面に浮くか、水面近くに咲いていれば睡蓮です。蓮に紫色の花はないので、紫色であれば睡蓮だとわかります。
葉で見分ける
- 蓮の葉:水面から1m以上、直径30~50cm、切れ込みのない円形で水を弾く
- 睡蓮の葉:水面近く、直径10~30cm、切れ込みのある円形~楕円形
蓮の葉は水面から1m以上高く伸びた先に切れ込みのない円形の大きな葉を広げます。睡蓮は水面近くに光沢と切れ込みのある直径10~30cmの葉を広げます。
葉が水面高くにあり、円形であれば蓮、葉に切れ込みや光沢があったら睡蓮という風に見分けられます。
蓮も睡蓮も古代から神聖視されてきた花。また、水面に花を咲かせる幻想的な美しさも相まって、多くの人を魅了してきました。蓮と睡蓮の見分け方をマスターして、次の夏は水生植物見学にお出かけしてみませんか。暑い夏に水辺の植物を眺めていると、目から涼を感じられるでしょう。
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