プロに聞いた!初心者におすすめのミニ盆栽11選と育て方
土屋 悟
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暮らしのまわりに植物を置きたい人の中でじわじわと人気が高まっている盆栽。
小品盆栽を中心に扱う盆栽店「豆松屋」の山崎ちえさんと、モダンな盆栽作品が人気な「品品」の小林健二さんに、オススメのミニ盆栽と育て方を教えていただきました。
目次
盆栽とは
最近、グリーン好きの間で人気が高くなってきている盆栽。
和のテイストを持っていて、身の回りにちょっと置いておくだけで、雰囲気ががらっと変わります。
園芸店やガーデンセンターで、ポリポットに植えられて販売されている盆栽は素材用の苗木です。そのまま育てると枝が伸びすぎて扱いにくいことがあります。また、素材から盆栽に仕上げていくのには時間も技術も必要になります。
まずは、ある程度盆栽として作り込まれているものを手に入れて、手入れの仕方などを少しずつ身につけながら育てていくのがオススメです。
「豆松屋」山崎ちえさんオススメのミニ盆栽5選
「豆松屋」山崎ちえさん
小品盆栽を中心に扱う盆栽店「豆松屋」の盆栽家。販売の他、盆栽の指導にも携わっている。園芸雑誌や盆栽専門誌などでも活躍中。
▼山崎ちえさんについてはこちらもご覧ください。
1.シンパク(真柏)のミニ盆栽
シンパクはイブキ、ビャクシンなどの仲間のヒノキ科の樹木です。小さいものでもしっかり仕立てれば古木のような風格が出てきます。
また、ジンシャリと呼ばれる、枯れて白っぽくなった枝や幹の風合いを楽しめるのもシンパクならでは。
おすすめポイントは丈夫で育てやすいところ
「シンパクは、木が丈夫で、日差しの強い場所でも日差しの少ない場所でも生きていくので、どんな環境にも耐えてくれるのでオススメです。伸びた枝の先端を「芽摘み」しながら樹形を維持していくので、管理が比較的楽にできます。
さらに、針金かけにも挑戦しやすい樹種です。いかにも盆栽といった⾵格のあるものを⼿に⼊れたい⼈に、おすすめです。」
2.ゴヨウマツ(五葉松)のミニ盆栽
盆栽の中でも特に人気があるのが、松などの常緑の針葉樹の仲間。このようなグループを、盆栽では「松柏類」(しょうはくるい)と呼んでいます。なかでもオススメなのがこの、ゴヨウマツ。
手間のかかる「芽切りをしなくても大丈夫」
「松柏類の中でも、アカマツやクロマツなどは初夏に芽切りという作業が必要です。芽切りは、枝の先から出る芽を切ることで枝の伸びを抑えるという作業です。
この作業をを行わないと、枝が先へ先へとたくさん伸びてしまい、まとまりのない株姿になってしまいます。しかしこのゴヨウマツは、枝の伸びが強くないので芽切りをしなくてもそれなりの株姿になります。枝の太りも遅く、放任していても樹形を維持しやすいのもよいところ。
松柏類は葉が無いところから新しい枝を出しにくい性質があるため、枝づくりには気をつかう樹種ですが、ゴヨウマツは芽切りをしない分、手入れは楽なので、初心者の方にもおすすめです。高地に自生する松なので、夏は半日陰になるような場所で管理してくださいね。」
3.ベニシタン(紅紫檀)のミニ盆栽
盆栽を始めたら、一つは育てて見たいのが果実をつける実もの。
実をつけさせるためには、花が咲く芽がつく枝を作り、それを咲かせ、結実するところまでしっかり育てなくてはなりません。その点、バラ科の常緑低木である紅紫檀はオススメだそう。
剪定が簡単で実が楽しめる
「ベニシタンは1本でも実がつきやすいので、最初にチャレンジする実ものとしてはオススメの樹種です。
枝や芽の吹きもよいので、剪定で間違った枝を切ってしまってもすぐに枝が作り直せるのも初心者向きといえます。
花は初夏に咲いて、秋には実がなり、冬の間中楽しむことができます。
比較的丈夫で育てやすいのですが、水のやり忘れにだけは注意してください。」
4.クチナシ(梔子)のミニ盆栽
初夏に甘い香りを漂わせる、清楚な白い花を咲かせるクチナシもオススメの樹種だそう。
葉がモリモリ出てくる様子が可愛く、枝作りも面白い
「クチナシは花が楽しめるだけでなく、花後の黄色い果実も楽しめるのがいいところ。しかも常緑なので、一年中青々とした姿なのもいいですよね。
公園などの植栽にもよく使われており、細やかな手入れをしなくても元気でいてくれる丈夫さもあります。
夏から秋にかけて、翌年咲く花芽ができます。秋以降に剪定をすると、花芽を切ってしまって花が楽しめなくなるので、注意してくださいね。花や実をつけなくても、枝作りの面白さもある樹種です。どこで剪定しても枝が出ますし、挿し木などふやすのも簡単にできます。寒さに弱いので、冬場は寒風の当たらない軒下などで管理してください。」
5.モミジ(紅葉)のミニ盆栽
せっかく盆栽を育てるなら、是非挑戦してみたいのがモミジ。
春の芽吹きから夏のさわやかな緑葉、そして紅葉といつも美しい葉を楽しむことができます。落葉してからは、葉のない幹姿を眺めるのも楽しいものです。
手間暇かけて作り込む楽しみのある樹種
「ビギナーの方もやってみたいという人が多いのがこのモミジ。実は、春の芽摘み、初夏の葉刈りなど、行う作業が多いので、マメな人向けの樹種です。
枝数をふやすためには芽や枝の出方を知った上で剪定をする必要があります。手間をかければかけるほどよくなっていくので、じっくりと盆栽を楽しみたい人にもおすすめです。
夏は、強い日差しで葉焼けしないように半日陰で管理し、水切れに注意してくださいね。こまめに様子を見ながら、四季の移ろいに合わせて変化する葉姿を楽しんでください。」
品品 店主 小林健二さんオススメのミニ盆栽6選
品品 店主 小林健二さん
東京奥沢でモダンな盆栽作品が人気な「品品」店主。現代のライフスタイルにあった、盆栽をはじめとする小さなグリーンが人気。
▼小林健二さんについてはこちらもご覧ください。
1.クロマツの栽景
トルコブルーの平鉢にクロマツを寄せた景色盆栽、栽景。
春から秋のお手入れがポイント
「苔や砂、石を用い海岸の景色を楽しめる盆栽です。黒松は盆栽初級者から楽しめる盆栽の一つであります。
冬に主役となる盆栽なので春から秋にかけて育てるといったお世話が必要です。春は肥料を与え、初夏に芽切をし、秋には古い葉を取り除くなどの手入れで美しい状態を保てば、冬に万全の状態で観賞できますよ。」
2.ツバキ、斑入りコケモモのミニ盆栽
いずれも常緑樹なので、一年を通じて青々とした姿を楽しめる盆栽。
花と実を楽しめる
「ツバキ、斑入りコケモモともに、花と実を楽しめるものを選んで合わせたのがポイントです。」
3.クロマツの5本立てのミニ盆栽
本来クロマツはまっすぐ上に伸びる植物です。そのすらっとした姿を生かし、すっきりとまとめた盆栽。
扱い方で仕上がりの違いを楽しめる
「松は「木に神様が宿るのを待つ(マツ)」に通じることから、古くから縁起がよいと考えられてきた樹木。そのことから、お正月には松飾りなどにも使われますよね。
この盆栽も、お正月には若松として飾るなど、日本の冬を彩る植物として楽しんでいただけます。
そのまますっきりとした姿を楽しんでよし、ここから針金掛けをして風情を出すのもよしの逸品です。」
4.ヤブコウジのミニ盆栽
実ものの定番ヤブコウジを寄せた一鉢。
冬に赤い実を楽しめる
「千両、万両、百両などとならび、ヤブコウジは十両とも呼ばれる縁起のよい植物です。冬の寒い中で、ホッと心が温まるような赤い実を楽しめる盆栽です。」
5.ヤブコウジ、斑入りコケモモのミニ盆栽
常緑のヤブコウジとコケモモを寄せ、目にも鮮やかな苔をきれいに葉って仕上げた盆栽。
花も実も楽しめる
「赤い実だけでなく、花も楽しめる寄せ植えです。常緑のヤブコウジのグリーンと苔のグリーンに、斑入りのコケモモがアクセントになっています。」
6.苔のミニ盆栽
ハリネズミ型の鉢に苔を貼り込んだ、品品名物の苔の盆栽。
ビジュアルを楽しむ
「苔も植える鉢を変えると違った見え方をしてきます。大小サイズが異なるハリネズミの鉢をそばに置いておくと、親子のハリネズミが寄り添っているような、物語のある風景が見えてくるはず。」
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