家庭菜園初心者さんが追肥で失敗する理由 | エディブルガーデン7月
古幡真恵
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Illustration:小野寺葉月
春に植えた野菜の苗が、周りの畑の作物と差が目立つように…
どうしてうちの野菜は実が大きく育たないのかしら?
こちらの畑では、せっせと肥料を与えているのにキュウリの葉が白い粉をふいてうどんこ病みたい…
しっかり肥料を与えているのに、なんでうちの野菜は病気になったのかしら?
それってもしかして、与える「肥料の加減」が原因かもしれませんね。
目次
- 家庭菜園初心者さんは追肥で失敗する?
- 家庭菜園初心者さんには緩効性肥料の有機肥料
- 有機肥料の愉快な仲間たち
- 化成肥料じゃダメなの?
- 化学肥料との付き合い方
- 植物からみた追肥を与えるタイミング
- 間違いやすい液体肥料と活力剤の違い
家庭菜園初心者さんは追肥で失敗する?
私が屋上菜園のスタッフをしていたときに、たくさんの会員さまと一緒に野菜を育てた経験から感じたことです。
家庭菜園初心者さんだからというか、人それぞれの性格が出るというべきか、極端な肥料の与え方にびっくりすることがあります。
あるときは、まるでお相撲さんが手のひらいっぱいに塩をまくように。またあるときは、お焼香をあげるときのようにちょっぴりだけ。肥料を与えるタイミングがわからなくて、気が付けば収穫半ばまで一度も与えてなかったなんてことも。
でも、皆さん作物を大事に育てたい思いは変わらないんですよね。
植物においても、人間においても「良い加減」ということが大切だと実感する一コマでした。
家庭菜園初心者さんが追肥で失敗する理由
結局のところ、肥料を与え過ぎるか、少な過ぎるかの二択になります。それぞれの失敗でどんなトラブルが発生するのでしょうか。
失敗1:与える量や回数が多過ぎる
<トラブル発生>
・アブラムシ類が多発する
・軟弱に育つ(病気が発生することもある)など
もし、使用する肥料が「ゆっくり」効いてくれれば、「急に悪影響はでない」はず…
失敗2:与えない、または少な過ぎる
<トラブル発生>
・花や幼果が落ちる
・大きく育たないなど
もし、使用する肥料が「ゆっくり」効いてくれれば「長い間効果」があるはず…
▼花や幼果が落ちるなどの生理障害についてはこちらをご覧ください。
家庭菜園初心者さんには緩効性肥料の有機肥料
さまざまな追肥のトラブルの原因を考えてみると、家庭菜園初心者さんにはゆっくり効果があらわれ、効き目が穏やかに続く緩効(かんこう)性肥料の有機肥料がおすすめです。
なぜ有機肥料はゆっくり効果があらわれるの?
有機肥料を土に施すと、植物が栄養分を取り込みやすいように土の中の微生物が分解してくれます。その後、根が吸収して植物体内に栄養素が運ばれていきます。
有機肥料が微生物に分解されるまでに時間を要すため、基本的にゆっくり効果が表れ、長く持続します(有機肥料の中には速効性タイプも有り)。
化成肥料の落とし穴
速効性肥料の代表「化成肥料」は、水に溶けるとすぐに土中に栄養分が溶け出るため、与え過ぎると植物が必要以上の栄養を吸収してしまい生育に悪影響が出てしまいます。
家庭菜園初心者さんには粒状加工の有機肥料がおすすめ!
家庭菜園初心者さんの追肥には、栄養素がバランスよく配合された粒状に加工された有機肥料が使いやすくてGOOD!有機肥料の性質を利用することで、追肥の失敗は格段に減るはずです。
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粒状加工の有機肥料をすすめる理由
何度もお伝えしますが(笑)家庭菜園初心者さんにおすすめしたい有機肥料は、粒状に加工され、栄養素がバランスよく配合されたものです。
有機肥料は完全に発酵されたものを使用しなければ、害虫がわいてきたり、病気や生理障害を発生させることもあるからです。家庭菜園初心者さんは粒状に加工され、栄養素がバランスよく配合されたものを試してみてくださいね。
有機肥料の追肥の与え方
有機肥料を追肥として土に混入すると、雨や水やりなどで成分がゆっくり混じり合い、肥料分が植物の根から吸収されます。そのため、追肥をした後覆土するか軽く土と混ぜ合わせます。
追肥を施す場所
1. 根の先端部分
追肥を施す場所は作物が肥料を吸収しやすいように、直接有機肥料が当たらない根の先の方に施します。作物の根の先がどの辺か分からない方は、目安として伸びた葉の先の下あたりの土に施すと良いでしょう(プランター栽培はできるだけ外側に)。
2. 溝肥(畑栽培)
作物から離れた畝の端の方に溝を作って肥料を施します。
3. 穴肥(畑栽培)
株間を利用して、穴を掘り肥料を施します。
まだある!? 有機肥料のメリット
有機肥料を土に投入することで、微生物に分解される働きから土壌改良にも効果があり、土をふかふかにし団粒構造を促します。
※団粒構造とは、土は元々とても小さい粒でできていて、その土がくっついて小さな塊になったものを団粒と呼びます。さまざまな大きさの団粒が集まってできている土を団粒構造(だんりゅうこうぞう)の土と呼びます。
有機肥料の愉快な仲間たち
Illustration:小野寺葉月
家庭菜園初心者さんの追肥には、有機肥料をおすすめしましたが、一体どんな原料から作られているのか、皆さんは知っていますか?
植物由来と動物由来
有機肥料は大きく分けて「植物由来」のものと「動物由来」のものがあり、種類によって肥料の3要素(窒素・リン酸・カリウム)の含有量が違ってきます。
代表的な動物由来の有機肥料
はじめに紹介する有機肥料は、動物の糞(ふん)を利用したものですが、意外な動物の糞も利用されていますよ。
動物の糞(概ね3要素を含む)
主に鶏の糞を発酵させたものが主流です。
発酵鶏糞などは速効性があるので、元肥にも追肥にも使用できます。
牛や馬、豚の糞などの有機肥料もありますが、そのほかにちょっと変わった種類もあります。
「バットグアノ」といってコウモリの糞を原料にした有機肥料です。
骨粉質類(主にリン酸を含む)
豚や鶏の骨を高温処理し、乾燥させ、粉砕した肥料です。主にリン酸を多く含む肥料です。ゆっくり効果が表れる緩効性肥料のため、元肥に使われます。
この骨粉は、庭木とくに花木の寒肥に昔から使用される肥料です。家庭菜園だけでなく、1〜2月の寒い時期に園芸用としても使用できる肥料です。
魚粉類(主に窒素とリン酸を含む)
魚の水分と脂肪分を抜いて作られた魚かすの肥料は、窒素とリン酸を多く含んでいます。ゆっくり効いていく有機肥料と早く良く効く化成肥料のちょうど中間のような肥料です。
原料が魚なので、土の表面に魚粉類が出ていると鳥や小動物、虫の餌となってしまうため、必ず土の中にしっかりと混ぜ込みましょう。匂いも「お魚」なので、うっかり土の上に置いたままにすると自然と動物が寄って来るお庭になっちゃいます(笑)
代表的な植物由来の有機肥料
思わず昔話を連想してしまう植物由来の有機肥料です。
草木灰(主にカリウムを含む)
原料は草や木を燃やしてできた灰です。主にカリウムを含みます。速効性肥料のため、元肥にも追肥にも使用できます。
灰というだけあり、さらさらとした粉末です。とても軽いので風の強い日など飛散防止に気を付けて下さいね。
草木灰を見ていると、昔話の「花咲じいさん」のことを思い出します。
この草木灰をまいた翌年にきれいな花が咲いたことから、あのお話が生まれたのかなと妄想してしまいます(笑)
油かす類(主に窒素を含む)
菜種や大豆などの油を搾った後の搾りかすから作った肥料です。リン酸とカリも多少含んでいますが、主に窒素の含有量の多い有機肥料です。土壌の微生物を増やし、土壌の団粒化を促す土壌改良材としても優れた肥料です。ゆっくり効果が持続する緩効性肥料のため元肥として使用される有機肥料です。
\化成肥料じゃダメ?/
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