スミレ(菫)とは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- スミレ(菫)
- 学名
Viola mandshurica
- 英名
- Violet
- 和名
- 菫(すみれ)
- 科名
- スミレ科
- 属名
- スミレ属
- 原産地
- 日本、朝鮮半島、中国の東北部から東部一帯
スミレ(菫)の特徴
スミレとは、スミレ科スミレ属の多年草。世界の温帯に400種類が存在していると言われています。そのなかでも56種類が自生する日本はスミレ王国です。
スミレという名前は、スミレ科スミレ属の総称のように使われていますが、本来は「スミレ」と名付けられたViola mandshuricaのことを指します。mandshuricaとは中国を意味する言葉ですが、日本原産です。日本の風土に馴染んでいるため、非常に育てやすい植物です。
スミレの花は形が特徴的で、後部が突き出して細長い袋状となっており、ここが蜜を分泌する蜜房となっています。スミレという名前の由来は、花を横から見た姿が大工が使う墨入れ(墨壺)に似ているからだといわれています。
スミレは、野山や森以外に街中でも見られます。アスファルトの隙間から花を咲かせているのを見かけるほど強健な草花です。典型的な虫媒花で、その花の蜜を求めてやってきた昆虫の体に付着した花粉が、次の花に移動して授粉にいたるという仕組みです。けれど、実際にはこの方法で結実することは少ないと言われています。春の開花期を過ぎた夏から秋、環境がよければ冬でも、閉鎖花といって蕾の段階で自家受精して結実します。スミレが花を咲かせていないのに、種を作っているのを見かけるのはこのためです。
スミレ(菫)の詳細情報
園芸分類 | 草花 |
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草丈・樹高 | 5~15cm |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 普通 |
耐陰性 | やや強い |
花色 | 紫、薄紫、白、ピンク |
開花時期 | 3月~5月 |
スミレ(菫)の種類
スミレ(ホンスミレ)
- 学名:viola mandshurica
- 花色:濃い紫
日本に昔から自生しているスミレです。他の品種と区別するために、ホンスミレやマンジュリカと呼ばれることもあります。深い紫色の花を咲かせます。民家に近い公園や道端から明るい山野まで自生している身近な場所で見かけます。
タチツボスミレ
- 学名:Viola grypoceras
- 花色:淡い紫
タチツボスミレは、淡い紫色の花がかわいらしい品種。山野や道路脇など、身近な場所で見かけます。名前は株元から花茎を立ち上げて咲くことに由来します。
コスミレ
- 学名:Viola japonica
- 花色:淡い紫
コスミレは、淡い紫色の花を咲かせる品種。種小名が japonica であるように、日本原産のスミレです。山野の落葉樹の足元など、明るい日陰を好みます。
アオイスミレ
- 学名:Viola hondoensis
- 花色:淡い紫
アオイスミレは、青みがかった紫色が美しい品種。花の中心にある模様と丸みを帯びたスペード型の葉が特徴です。山野の明るい場所で見かけます。
オオバキスミレ
- 学名:Viola brevistipulata
- 花色:明るい黄色
オオバキスミレは、明るい黄色の花を咲かせる品種。日当たりの良い森の中や山野に生えています。葉は大きく、スペード型をしています。花色が黄色なので、スミレだとわからないくらいです。
アメリカスミレサイシン
- 学名:Viola sororia
- 花色:白に薄紫、白
アメリカスミレサイシンは、園芸用として入ってきたものが野生化した品種です。繁殖力が強いといわれますが、野花のような可憐な趣きです。
スミレ(菫)の育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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種まき | ||||||||||||
植え付け | ||||||||||||
植え替え | ||||||||||||
開花 |
スミレ(菫)の栽培環境
日当たり・置き場所
冬から春は日当たりが良く、夏は半日陰になるような、落葉樹の下などを好みます。あまり日当たりが悪いと花が咲かなくなるので注意しましょう。
用土
水はけと保水性の良い土が適しています。鉢植えは市販の山野草の土が向いています。
スミレ(菫)の育て方のポイント
水やり
表土が乾いて白っぽくなったら、たっぷりと水やりをしましょう。乾燥が続くと株が弱ってしまいます。水切れに注意してください。
鉢植えも、表土が乾いたらたっぷりと水やりします。
肥料
庭植えは、特に施肥の必要はありません。生育が悪いようであれば、様子を見て施してください。
鉢植えは、開花が終わった5月から梅雨に入る前までと、冬の休眠期に入る前の10月頃に追肥として緩効性肥料を適宜与えます。
過肥を苦手とするので、様子を見ながら少量ずつ与えるようにしましょう。
病害虫
特に目立った病害虫の被害はありません。
スミレ(菫)の詳しい育て方
選び方
葉が黄色く変色していないもの、根元から葉がしっかりとついているものが良い株です。花芽が上がっているものを選べば、すぐに開花を楽しめます。
種まき
スミレの種はとりまき(採取してすぐにまくこと)します。一度乾燥させて保存した種は、2月~3月頃にまくようにしてください。
赤玉土小粒などに種をまき、発芽までは水を切らさないようにします。本葉が出たら、好きな鉢や花壇に定植しましょう。
種まきには園芸用培養土などではなく、栄養分のない赤玉土が向いています。
植え付け
スミレの植え付けは、2月~4月、9月~10月が適期です。
剪定・切り戻し
種を採取する予定がなければ、花後にこまめに花がらを摘みましょう。余計な栄養を消費することがなくなり、次の花が咲きやすくなります。種は、開花時期が過ぎてからでも閉鎖花から採取できます。
植え替え・鉢替え
スミレは、根の生長が早い植物です。鉢底から根が出てくるようになったら、1回り大きな鉢に植え替えるようにしましょう。ただしスミレは多年草と言っても数年で枯れてしまうので植え替えをしなくてもそれほど問題はありません。
花
スミレは、3月~5月頃に紫や薄紫、ピンク、白などの小さな可憐な花を咲かせます。
収穫
スミレの種は、ほぼ一年中収穫できます。花が咲いていなくても閉鎖花で種を作り続けているので、注意して観察してください。
スミレの果実は、出来たばかりのときはうつむくように下を向いています。熟すにつれ上を向き始め、完全に上を向くと弾けて周囲に種を飛ばします。スミレの種を採取するなら、横向きから斜め上を向いているくらいで採取するのがベストです。
冬越し
冬は葉を減らすか、地上部が枯れたようになって休眠します。特に必要な冬越しの作業はありません。
増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)
スミレは、種で増やせます。こぼれ種でもどんどん増えます。
スミレの育て方のコツ
スミレは日本に自生する在来種の植物です。特に手間をかけずとも毎年花を咲かせてくれます。園芸分類では多年草ですが、数年で枯れてしまうので、長く楽しみたいのであれば、種を取って増やすようにしましょう。