ティランジア・ゲミニフローラとは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- ティランジア・ゲミニフローラ
- 学名
Tillandsia geminiflora
- 英名
- Tillandsia geminiflora
- 科名
- ブロメリア科
- 属名
- ティランジア属
- 原産地
- ブラジル、アルゼンチン
ティランジア・ゲミニフローラの特徴
ゲミニフローラとは双子の花という意味で、その名の通り一つの花苞に赤花を二輪咲かせます。非常に美しい美種ですが、最近流通量が減ってきているのが玉に瑕です。
自生地では湿度の高い森林の中で樹皮に着生しています。
葉が薄いため乾燥に弱く、水を多く求めます。そのため素焼き鉢に水苔を使って植え込むと調子がいいです。
ティランジア・ゲミニフローラの詳細情報
園芸分類 | ティランジア(エアプランツ) |
---|---|
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 普通 |
花色 | ピンク |
開花時期 | 不定期 |
トリコームとは
ティランジアの葉の表面にはトリコームと呼ばれる毛のようなものが生えています。このトリコームは非常に重要な器官で、主に強い日光から身を守るため、水分を絡めとるためという役割があります。
実際に湿潤地に生えているティランジア程トリコームが少なく、乾燥地に生えているティランジア程トリコームが多く生えています。
例えば、ジャングルの木の根元に生えているブルボーサは肉眼ではトリコームが見えませんが、砂漠地帯の岩や瓦礫に生えているテクトラムはとても長いトリコームが生えています。このことからトリコームの量は湿度と降雨量、日光量に関係していることが伺えます。
面白いことに、乾燥地帯に生えているテクトラムにブルボーサと同じ感覚で水やりをすると、どんどんトリコームが剥げていきます。逆に、テクトラムの水やりを温室内に打ち水をする程度にすると、真っ白で長く、非常に美しいトリコームが生えてきます。
また、このトリコームの生えている量によって銀葉種と緑葉種に分けられます。
銀葉種
銀葉種とはその名の通り、葉が銀色に見えるティランジアのことです。銀色に見えるメカニズムは単純で、光が葉の表面に生えているトリコームに当たると銀色(白色)に見えるためです。
そのため、トリコームの量が少ないティランジアは銀色には見えず、緑色に見えるため緑葉種と呼ばれています。
代表的な銀葉種にはテクトラム・イオナンタ・ハリシー・キセログラフィカ・カプトメデューサエなどがあります。一般的に、銀葉種は乾燥に強いものが多いと言われています。
緑葉種
緑葉種は葉が緑色に見えるティランジアのことです。銀葉種と比べトリコームが少ないため葉が緑色に見えます。
代表的なものにブラキカウロス・ブルボーサ・ブッツィー・トリコロール・プセウドベイレイなどがあります。一般的に、緑葉種は乾燥に弱く水を好む傾向にあると言われています。
ティランジアの根の役割と仕組み
ティランジアに根が出るということを知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、実際にはティランジアも他の植物と同じように根を持っているのです。
ただし、ティランジアの場合は一般的な植物とは根の役割が違います。
役割
植物と言われて多くの方がイメージするのは土に根を張っている地生植物だと思います。しかし、ティランジアは地面には根を張らずに樹皮や岩肌と言った場所に根を張る着生植物になります。
着生植物で有名なのは胡蝶蘭やカトレア、富貴蘭、最近人気が出始めたビカクシダや無葉ラン(キロスキスタ)等でしょうか。いずれも樹皮などに着生している植物になります。
ティランジアは蘭やビカクシダと違って根からの水分や養分の吸収はあまりなく、あくまで着生するためにあります。
ただし、発根して着生した方が株の状態が安定しやすく、ティランジアが上手く育たないという方は発根、着生をさせてみてください。
着生の仕組み
ティランジアは根から接着剤のような物質を分泌することで樹皮などに着生しています。そのため、ツルツルとした樹皮や物などには着生することが出来ません。
ティランジア亜科の新分類について
2016年10月、PHYTOTAXAに「ティランジア亜科の分類学をDNA解析に基づいたものに改定する」という内容の論文が発表されました。
今までは故ハリー・E・ルーサー氏のマクロ形態学分類(花の特徴等で分類する方法)を用いてきましたが、今回はDNAの一部を解析して分類したというものです。
DNA解析を行ったことによりティランジア亜科には新たに11の属が設けられました(2016年10月時点)。また、ティランジア属からはダイエリアーナ、ハマレアナ、ベヌスタがラシナエア属へと異動しました。しかしながら花を解剖したときの特徴が他のラシナエアとは異なるため、疑問視する声も出ています。
ティランジア亜科の分類改定に伴い、今までは異種交配種(例:ティランジア属とティランジア属による交配)とされていたものが属間交配種(例:ラシナエア属とティランジア属による交配)へと変更されたものが多くあります。
その逆もまた然りで、属間交配種とされていたものが異種交配種となったものがあります。
まだ改定されたばかりなので新名称で販売しているナーセリーも少ないようですが、図鑑や販売店によって呼称が異なっている場合があるかもしれません。
しかしながら、変更されているのはあくまで呼称であり、植物自体は変わっていません。
そのため、このティランジアの植物図鑑に関しても新呼称と旧呼称が混在している場合がありますが、植物本体とその他育て方に関しては新呼称旧呼称関係なく、同じものです。
ティランジア・ゲミニフローラの栽培環境
日当たり・置き場所
【屋外】
屋内から屋外に出した直後に直射日光を当ててしまうと、刺激が強すぎて葉焼けを起こしてしまいます。最初は日陰に出して徐々に日光に慣らしていくか、30%~50%の遮光をしてください。
遮光するときに遮光ネットや寒冷紗を使用すると簡単に遮光することができます。遮光ネットと寒冷紗はホームセンターや園芸店だけでなく、100均でも購入することが出来ます。
オリーブなどの大きめの庭木を植えてある場合は、コルクに着生させたティランジアを庭木の枝に掛けることで遮光できます。しかし、時間帯によって直射日光が差し込む場合はやめてください。
【屋内】
屋内で管理する場合は日光不足になり、徒長してしまうことが多いのでなるべく日光が当たる場所に移動してください。
室内でも直射日光は厳禁です。レースのカーテン越し程度の日光を当てて下さい。日光が当てられない場合は、植物育成ライトやメタルハライドランプを導入するなどして補ってください。
ライトやランプの種類によっては本体が高熱になり、火災の原因となることがあるので、取り扱いには充分注意してください。
置き場は室内室外関係なく、日当たりがよく、風通しの良い場所に移動してください。風通しが悪いと水やり後に蒸れてしまい、腐って枯れてしまいます。
温度
ティランジアの適温は20℃~30℃です。最低気温10℃、最高気温40℃までは耐えますが、それを越えてしまうと弱ってしまい、最悪の場合枯れてしまいます。
最低気温10℃以下になる場合は屋内に取り込むか、温室の中にティランジアを移動し、ファンヒーターなどを使って保温してください。
最高気温40℃を越える場合は扇風機やサーキュレーターを使って風を当てるか、日陰に移動してください。
長い時間日陰に置いておくと、日光不足で徒長する危険性があるので、午前中など40℃を越えない時間帯は日当たりのいい場所に置いてください。
用土
【コルク】
コルク樫の樹皮を剥がしたものです。一度樹皮を剥がしたコルク樫は10年ほどで再び樹皮が再生し、また剥がすことが出来ます。一番初めに剥がされた樹皮をバージンコルクと言い、表面がデコボコしているためティランジアを活着させるのに人気があります。もちろん、バージンコルクでなくても十分活着に使えます。また、水を弾く性質があります。
【インテリアバーク】
松の樹皮を加工したもので、汎用性が高く、ティランジアの活着材料に迷ったらこれを選択すれば大丈夫です。松の樹皮にはヤニなどの灰汁が含まれているので、煮沸をして灰汁抜きをする必要があります。
【バークチップ】
バークを細かく砕いたもので、主に鉢に入れて植え込み材料として使います。保水性もベラボンや水苔に比べると低く、扱いやすいです。インテリアバーク同様に灰汁抜きが必要です。
【ベラボン】
ヤシの殻を砕いたもので、主に鉢に入れて植え込み材料として使います。軽く、保水性に優れます。多湿環境でベラボンを使うとカビが発生する可能性があるので、注意が必要です。
【水苔】
乾燥させた水苔を水で戻したものです。バークチップやベラボンよりも使い勝手がよく、植え込みに使うことで高湿度を保つことができます。また、コルクなどに巻き付けることで程よい湿度を保つことが出来ます。
【軽石(鉢底石)】
軽石はとにかく水はけがよく、鉢に入れて植え込み材料として使います。コルクやインテリアバークよりは湿度を保つことが出来ます。
【流木】
自分の好きな形の流木にティランジアを着生させることが出来ます。川や海で拾って来たものは煮沸消毒や塩抜きが必要なので、お店で販売されているものがおすすめです。また、長い間風雨に晒すと腐ってしまったり、内側に虫が入り込むことがあるので、屋外での使用は注意してください。
【カクタススケルトン】
その名の通りサボテンの骨です。保水性が高く、多湿の環境に置いておくとカビが発生する可能性があるので注意が必要です。
ゲミニフローラは乾燥に弱いので、素焼き鉢に水苔を使って植えこむ方法がおすすめです。
ティランジア・ゲミニフローラの育て方のポイント
日常の管理
枯葉取りをする理由
エアプランツは根元付近の古い葉から枯れていきます。実際に生えている自然界では当然、枯葉取りをしてくれる人はいません。そのため、枯葉取りは必要ないという主張もありますが、枯葉取りをすることで梅雨時のカビの発生や腐敗を防ぐことが出来るので、ある程度枯葉が出てきたら取り除くことをおすすめします。
枯葉取りの方法
枯葉は主に根元部分に出てきます。枯れた葉は茶色くなり、手で引っ張ると簡単に取り除けます。
枯葉が無くなりスッキリしました。
乾燥や葉折れによって枯れた部分もハサミなどを使い取り除きます。
見栄えがよくなりました。
クランプ(群生)している株は、株と株の間にある枯れた葉も取り除きます。これが残っていると風通しや水切れが悪くなり、蒸れる原因になります。
毎日枯葉取りを行う必要はありませんが、月に1回ほど株の状態確認も兼ねて枯葉取りをしてみて下さい。
水やり
ティランジアはどの種類も共通して2~3時間濡れている状態がベストです。
【屋外】
最低気温10℃以上の季節は毎日~2,3日に一度のペースで、夕方~夜の涼しい時間帯に水やりを行ってください。屋外は蒸れる心配がないので、水やり後に株を逆さまにする必要はありません。午前中に雨が降った日は水やりをしなくて大丈夫です。
最低気温10℃以下の季節は週に一度のペースで午前中に水やりを行ってください。夕方~夜の気温が下がる時間帯に水やりをしてしまうと、凍ってしまい最悪の場合枯れてしまいます。
【屋内】
最低気温10℃以上の季節は2,3日に一度のペースで水やりをしてください。
水やり後に風通しの悪い場所に置いておくと蒸れてしまい、腐って枯れることがあるので株を逆さまにして置いておくか、扇風機やサーキュレーターで風を当てて下さい。
最低気温10℃以下の季節は耐寒性を上げるためと、徒長を防ぐために、週に一度のペースで午前中に水やりを行ってください。夕方~夜の気温が下がる時間帯に水やりをしてしまうと、凍ってしまい最悪の場合枯れてしまいます。
冬に乾燥してきて部屋の湿度が極端に下がってきたら加湿器を使って過湿するか、霧吹きを使ってティランジアを置いてある場所付近の湿度を上げて下さい。
肥料
肥料はなくても育ちますが、施肥をした方が生長が早く、花のボリュームも多くなります。
ティランジアはどの種類も葉からしか吸水することができません。そのため、肥料は液体肥料を使う必要があります。どうしても固形肥料を使いたあい場合は水に適量を溶かしてお使いください。
肥料は正しい希釈倍率で使わないと、肥料焼けという葉焼けに似た状態になってしまいます。ティランジアの希釈倍率は約1000倍です。施肥は水やりの2,3回に一度のペースか、週に一度のペースで行ってください。施肥をした次の日の水やりでは、葉の表面に残っている液肥を洗い流すイメージで、たっぷりと行ってください。
【施肥するときの注意点】
屋内から屋外へ出した直後に1000倍希釈の液体肥料を施肥してしまうと、刺激が強すぎて肥料焼けしてしまいます。そのため2000倍希釈から始めるか、屋外の環境に充分慣れたタイミングで施肥してください。
真夏や冬場は生長が緩慢になるので施肥の必要はありません。
病害虫
【ハダニ】
黄緑や赤い体色をした0.5mmほどの小さな害虫です。葉の裏側に潜み吸汁します。ハダニに吸汁された箇所は白い斑点状になるのですぐ分かります。そのまま放置しておくと最悪の場合枯れてしまいます。
また、ハダニは薬剤耐性が付きやすく1度の薬剤散布で完全に駆除する必要があります。
【アブラムシ】
アブラムシは2~4mmほどの小さな害虫です。幼虫、成虫ともに葉や蕾を吸汁します。群生していることが多く、早めに対処しないと手遅れになる場合があります。
アブラムシはスス病などのウイルス病の媒介者で、吸汁されてしまうとそこからウイルスがティランジアの中に侵入し、病気を発症させます。また、発症しなくても吸汁されたことで体力がなくなり、そのまま枯れてしまう場合があります。
見つけ次第ピンセットやティッシュなどで捕殺してください。
【カイガラムシ】
3mmほどの小さな虫で、白い綿毛のようなものを背負っています。吸汁して生長していくと、身体からワックスなどを分泌し、身体を守ろうとします。カイガラムシに吸汁されると株が弱ってしまい、そのまま枯れてしまうことがあります。
ワックスで身体を覆ったカイガラムシは非常に厄介で、殺虫剤が効かないことがあります。そのため、歯ブラシやピンセット、爪楊枝などを使って地道に一匹ずつ捕殺する必要があります。
ティランジアの場合は葉の付け根に群がりやすいので、定期的に確認することをおすすめします。
【ナメクジ】
葉や花芽など、食べれる場所ならどこでも食害する性質の悪い害虫です。大食漢でもあるので、梅雨時などナメクジが発生しやすい時期は夜に見回りをしてください。少し食害された程度なら成長に問題はありませんが、葉の大半を食害されたり、ティランジアの根元付近の基部を食害された場合は枯れてしまう可能性があります。
ナメクジは這った後が光るので、それを見つけたら要注意です。忌避剤でティランジアに寄れないようにし、すこし離れた場所に誘引剤を置くと効果的です。
【ダンゴムシ】
柔らかい花芽や発芽したての株、トリコームを食害します。ナメクジより食害される可能性は低いですが、地面の近くにティランジアを置いている場合は注意が必要です。一度食害されたトリコームは復活しないので、注意してください。
ダンゴムシもナメクジ同様に忌避剤でティランジアに寄れないようにし、すこし離れた場所に誘引剤を置くと効果的です。
【ヤスデ】
柔らかい花芽やトリコームを食害します。ナメクジより食害される可能性は低いですが、地面の近くにティランジアを置いている場合は注意が必要です。一度食害されたトリコームは復活しないので、注意してください。
【バッタ】
イナゴやオンブバッタなどのバッタは葉の硬さに関係なく食害します。また、食害する量も多いので気付かないでいると手遅れになっていることがあります。
バッタ類には忌避剤を使用するよりも防虫ネットを使用した方が効果的なので、遮光ネットを張っていない場所に取り付ける事をおすすめします。
【黒カビ】
梅雨時など湿度の高いときに風通しの悪い所に置いておくと、黒カビが繁殖して黒い斑点が葉に出ることがあります。少量なら気にする必要はありませんが、黒カビが大繁殖して葉を覆ってしまうと枯れてしまいます。繁殖させないようになるべく通気性の良い場所に置いて下さい。気になるようなら、カビに侵された葉を切り取ってください。
ティランジア・ゲミニフローラの詳しい育て方
選び方
買う時に注意したほうがいいポイントは全部で5つあります。
・葉先が枯れていない
・葉に弾力がある
・株に重量感がある
・害虫がついていない
・病気になっていない
特に注意してほしいのが病気と害虫の有無です。病気や害虫が付いている株を家に持ち帰ってしまうと、その株が原因で他の株にも病害虫が広がってしまう可能性があります。
病害虫さえ付いて無ければ、他のポイントは妥協しても大丈夫です。
種まき
種が採取出来次第すぐに種まきをしてください。水で戻した水苔の上や濡らしたキッチンペーパーの上に蒔いて、常に濡れている状態にすれば1~2週間程度で発芽します。
植え付け
お好みの用土に着生させてください。
剪定・切り戻し
古くなり、枯れてしまった葉を取り除いてください。
植え替え・鉢替え
コルクやインテリアバークに着生しているティランジアは植え替えをする必要が無いのですが、鉢に水苔で植え込んであるティランジアは、植え替えをした方が良い場合があります。
観葉植物などは根詰まりを解消するため、鉢増しをするために植え替えをしますよね。
しかしティランジアの場合は違ってきます。ティランジアは根からほとんど水を吸収をしないため、根詰まりという概念はないようです。
また、ティランジアは鉢の大きさで株の大きさが変わるというより、湿度と日光量で大きさが変わってくるので、鉢増しというのは必要ないでしょう。(※株が大きくなり、バランスが崩れて倒れてしまう場合は大きい鉢に植え替えます)
植え替えをする理由
ティランジアを植え替えする理由は、虫の除去と劣化した水苔の交換です。
鉢底ネットと軽石を敷いていれば虫が侵入することはあまり無いのですが、稀に虫が入り込んでいる場合があるので、水苔が劣化してきたタイミングで植え替えをし、除去します。
入り込む虫はナメクジやダンゴムシなどで、ティランジアを食害する害虫なので注意が必要です。
水苔は劣化すると保水力が落ちてしまうので植え替えることをおすすめします。
植え替えのタイミング
水苔が劣化してきたタイミングと言われてもピンとこない方もるのではないでしょうか。
画像を見て頂いた方が分かりやすいと思うので、下の画像をご覧ください。
水苔が劣化しています。
触ってみるとパサパサとしており、粉々になります。このように粉々になるようなら植え替えをして良いと思います。
こちらは綺麗な水苔です。繊維1本1本がしっかりしています。
さらに肥料を多めに与えていたり、日当たりの悪い場所に置いておくと水苔の表面に藻が出てくるので、植え替えをして日当たりと風通しのいい場所に移動すると良いと思います。
植え替えの方法
では早速ティランジアを植え替えていきましょう!
まず初めに劣化した水苔をティランジアから除去します。
根を傷つけないように、丁寧に剥がしていきます。剥がすのが無理そうなら、無理やり剥がさなくて大丈夫です。
水でふやかした水苔を根に優しく巻いていき、軽く絞ります。
素焼き鉢、鉢底ネット、鉢底石はそのまま再利用して大丈夫です。
ティランジアを鉢の中に入れ、水苔を詰めてしっかり脱水すれば完成です!
植え替え後の管理方法
植え替え後は水苔がかなり濡れている状態なので、日当たりと風通しのよい所に置いてください。夏場は1日~2日あれば水苔が丁度いい湿り具合になります。
また、植え替えをした後に雨などが降ってしまうと、水苔が水を大量に吸収して乾き辛くなってしまうので、雨が降らない日に行うか、雨が当たらない屋外の風通しのよい場所に置いてください。
同じ理由で、水やりをするときも霧吹きで葉を濡らす程度にしてください。水苔がある程度乾燥すれば普通に水やりをして大丈夫です。
花
特定の開花時期はありません。株がある程度大きくなったら開花します。
収穫
特に収穫するものはありません。
夏越し
気温が40℃以上になった場合は日陰に移動してください。30~40%程度の遮光をすると葉焼けを防止することが出来ます。水やりは毎日~2、3日に一度のペースで夕方~夜に行ってください。午前中に行うと暑くなり煮えてしまいます。
活力剤を1000倍に希釈して水やりの2~3回に一度のペースで行うと夏バテを防止できます。
冬越し
気温が10℃以下になったら耐寒性を上げるためと、徒長を防ぐために水やりを週に一度のペースで午前中にたっぷり行ってください。
気温が10℃を切らないように室内に入れるか、温室内でファンヒーターなどを使って保温してください。ファンヒーターなど暖房器具を使う場合は火事に注意してください。
活力剤を1000倍に希釈して水やりの2~3回に一度のペースで行うと耐寒性を上げられます。
増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)
実生と株分けをすることができます。
「空気中の水分で育つ」は間違い
ティランジア(エアプランツ)を買う時に空気中の水分を吸収して育つから水やりは不要!というキャッチフレーズを見たことがあるという方もいらっしゃると思います。
確かに、ティランジアは空気中の水分を吸収して育つことが出来ます。しかし、それはあくまで自生地での話です。ティランジアの多くは雲霧林と呼ばれる標高の高い森林や高山の岩肌に自生しています。
標高の高い場所は昼夜の気温差が激しく、明け方になると濃霧が発生します。この濃霧は霧というよりも雲に近く、雲海をイメージするのが良いでしょう。
この濃霧がティランジアに当たると、ティランジアの葉に水分が付着します。この水分をティランジアは吸収しているため、空気中の水分を吸収して育つと言われているのですね。
そのため日本の自然環境では空気中の水分を吸収して育つということはとても困難です。自生地以外でティランジアを育てる場合はしっかりと水やりをする必要があります。
水やりの種類
ティランジアの水やりは4種類あります。
1.霧吹きやジョウロ等を使う(ミスティング)
一番オーソドックスなやり方になります。霧吹きやジョウロ、シャワーなどを使ってティランジアに水やりをする方法で、電動噴霧器や蓄圧式噴霧器を使えば楽に水やりをすることが出来ます。
ティランジアは主に葉から水分や養分を吸収するので、株全体が濡れるように水やりをし、必ず通気性の良いところに置いて下さい。
2.ディッピング
ディッピングとはバケツなどの容器に水を張り、ティランジアを1~2分ほど漬けておく方法になります。ディッピングは株全体を水の中に沈めるため、確実に株全体を濡らすことができます。
しかし、管理しているティランジアの数が多いと非常に手間を取る方法になります。室内でウスネオイデスなどを管理しており、霧吹きで水やりをするのが大変な場合はディッピングが非常に便利です。
3.ソーキング
ティランジア関連の書籍やお店のポップなどで目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
ソーキングとは、端的に言えばディッピングの時間を長くしたものです。人によってソーキングの時間は様々で、諸説ありますが、基本的に3~6時間程度で最長でも12時間以内に終わらせましょう。
ソーキングを長時間行ってしまうと呼吸が出来ずに腐ってしまったり、水から上げたときに蒸れてしまうことがあります。
また、冬季など気温が10℃以下の場合はソーキングをしてしまうと凍えてしまい、最悪の場合枯れてしまいます。
そのため、基本的にはミスティングかディッピングで水分量を調節し、過乾燥になっている株のみソーキングすることをおすすめします。
4.雨に当てる
これは番外編に近い立ち位置なのですが、雨に当てることは非常に有効な水やりの仕方です。雨に当てることで株が長時間濡れている状態となり、さらには屋外で通気性も良いため蒸れにくくなっています。
冬の雨は冷たいので当てない方が良いですが、梅雨時や秋の長雨には出来るだけ当てるようにしてください。高湿度な環境が続くことで発根しやすくなります。
また、雨が降ることで気温が下がり、ティランジアにとって快適な気温になります。雨が降った後に晴れたりすると蒸れてしまうことがあるので、必ず遮光をし、屋外でも風通しの良い場所に置いて下さい。
冬場の栽培ポイント「乾燥と低温」
ティランジアを育てている人が必ず頭を抱えるのが冬場の栽培ですよね。冬越しは室内に入れておけばいいのは分かるけど、栽培となるとどうすれば良いのでしょうか?
意外と知られていないのですが、ポイントは乾燥と低温です。
大切なティランジアは可愛くてついつい過保護にしてしまいますよね。なるべく暖かい場所で乾燥しないように水やりをしっかりとすると思います。
しかし、それが温室等で日光が十分確保できているならば良いのですが、一般的な室内で栽培しているときに過保護にしてしまうと徒長してしまうんです!
そこで乾燥と低温です。葉にダメージが出るギリギリまで乾燥させ、樹液の濃度を上げて耐寒性を強め、葉がダメージを受けるギリギリの気温まで下げます。
そうすると自生地で言うところの乾季に似たような状況となり、成長を止めいわゆる休眠状態になります。
そして翌年の気温が上がり始めた頃に水やりの回数を増やすことにより、ティランジアが目覚め、場合によっては開花に至ることがあるようです。